4 / 5
第四章
真実
しおりを挟む
「そこのあなた」
「は、はい!?」
沈黙に耐えられなかったのか、女性は急に声を掛けてきた。案の定、声は裏返る。
「私の名前は小野 夏望(なつみ)あなたは?」
「あ、私は八木 純恋です。」
「敬語じゃなくていいよ。同じ部屋になった間柄だし、お互い敬語はなしにしましょう。私のことも夏望って呼んでもらって構わないよ。それはそうと、純恋はどうして夜行列車に乗っているの?急ぎの用事でも?」
「あ、は、はい。人に会いに行くんですけど・・・」
話が次々と進んでいくから、ついていけずにフリーズしてしまう。だが、再び沈黙が流れるのを恐れて、こちらから質問を投げかけてみることにした。
「夏望は?どうして夜行列車に乗っているの?」
「私はね、1ヶ月くらい前に夫と喧嘩をして家を飛び出したの。でも、娘がいるからね。やっぱり、娘のことが気になってしまって、今から家に帰るところなの。」
「羨ましい・・・」
「えっ!?羨ましい?喧嘩してしまったのに?」
しまった、心の声が出てしまった。
夏望は喧嘩して逃げたと言っているが、喧嘩できる相手がいるって幸せじゃない。それなのにどうして家族を置いてきたのか、私には純粋に分からなかったのだ。
「どういうこと?純恋は夫がいないの?」
図星だった。驚いてぽかんとしていると私の気持ちを察してくれたのか、夏望は優しい口調で話し出した。
「ごめんね、確かに夫がいない人に喧嘩して逃げたなんて言ったら羨ましいって思うよね。本当にごめん。純恋は結婚していないの?それとも・・・」
「うん、10年前、大地震が起きた時に離れ離れになってしまったの。今は娘と一緒に暮らしているんだけど。実は夜行列車に乗っているのも夫を探しに行くためなの。」
「そうなの・・・」
暗い雰囲気になり、長い沈黙が続く。沈黙に耐えられなくなり、話を戻す。
「夏望はどうして夫と一喧嘩してしまったの?あ、ごめん。こんな質問しない方がいいよね。」
「ううん、大丈夫だよ。」
夏望はそう言って夫と喧嘩した理由を話始めてくれた。
「さっきは夫と喧嘩して逃げてきたって言ったけど、正確には夫じゃないの。一緒に暮らしているってだけ。家族と離れ離れになった者同士が集まったって感じ。だから、私と夫と娘、全員血が繋がっていないの。そのせいか、夫はずっと離れ離れになってしまった妻のことを考えて・・・
気持ちは分かるけど、今一緒に暮らしているのは私だから悲しくなってしまって。そのことで少し喧嘩になってしまったの。」
「そうなんだね。私と同じような状況だから、すごく気持ちが分かる。ごめんね、さっきは羨ましいなんて言って。」
「大丈夫よ。それにしても私たちの状況って似ているわね。実は私たちが家族になったのは10年前の大地震がきっかけなのよ。」
えっ?嫌な予感がする。夏望も同じことを思っていたようだ。
「あの、一応純恋の旦那さんの名前を聞いてもいい?」
「叶芽っていう名前です。叶えるの叶に新芽の芽です。」
それを聞いた夏望は驚いた表情をする。もしかして、
「嘘でしょう?私が今一緒に暮らしている夫の名前、叶芽よ。」
「え・・・?」
「は、はい!?」
沈黙に耐えられなかったのか、女性は急に声を掛けてきた。案の定、声は裏返る。
「私の名前は小野 夏望(なつみ)あなたは?」
「あ、私は八木 純恋です。」
「敬語じゃなくていいよ。同じ部屋になった間柄だし、お互い敬語はなしにしましょう。私のことも夏望って呼んでもらって構わないよ。それはそうと、純恋はどうして夜行列車に乗っているの?急ぎの用事でも?」
「あ、は、はい。人に会いに行くんですけど・・・」
話が次々と進んでいくから、ついていけずにフリーズしてしまう。だが、再び沈黙が流れるのを恐れて、こちらから質問を投げかけてみることにした。
「夏望は?どうして夜行列車に乗っているの?」
「私はね、1ヶ月くらい前に夫と喧嘩をして家を飛び出したの。でも、娘がいるからね。やっぱり、娘のことが気になってしまって、今から家に帰るところなの。」
「羨ましい・・・」
「えっ!?羨ましい?喧嘩してしまったのに?」
しまった、心の声が出てしまった。
夏望は喧嘩して逃げたと言っているが、喧嘩できる相手がいるって幸せじゃない。それなのにどうして家族を置いてきたのか、私には純粋に分からなかったのだ。
「どういうこと?純恋は夫がいないの?」
図星だった。驚いてぽかんとしていると私の気持ちを察してくれたのか、夏望は優しい口調で話し出した。
「ごめんね、確かに夫がいない人に喧嘩して逃げたなんて言ったら羨ましいって思うよね。本当にごめん。純恋は結婚していないの?それとも・・・」
「うん、10年前、大地震が起きた時に離れ離れになってしまったの。今は娘と一緒に暮らしているんだけど。実は夜行列車に乗っているのも夫を探しに行くためなの。」
「そうなの・・・」
暗い雰囲気になり、長い沈黙が続く。沈黙に耐えられなくなり、話を戻す。
「夏望はどうして夫と一喧嘩してしまったの?あ、ごめん。こんな質問しない方がいいよね。」
「ううん、大丈夫だよ。」
夏望はそう言って夫と喧嘩した理由を話始めてくれた。
「さっきは夫と喧嘩して逃げてきたって言ったけど、正確には夫じゃないの。一緒に暮らしているってだけ。家族と離れ離れになった者同士が集まったって感じ。だから、私と夫と娘、全員血が繋がっていないの。そのせいか、夫はずっと離れ離れになってしまった妻のことを考えて・・・
気持ちは分かるけど、今一緒に暮らしているのは私だから悲しくなってしまって。そのことで少し喧嘩になってしまったの。」
「そうなんだね。私と同じような状況だから、すごく気持ちが分かる。ごめんね、さっきは羨ましいなんて言って。」
「大丈夫よ。それにしても私たちの状況って似ているわね。実は私たちが家族になったのは10年前の大地震がきっかけなのよ。」
えっ?嫌な予感がする。夏望も同じことを思っていたようだ。
「あの、一応純恋の旦那さんの名前を聞いてもいい?」
「叶芽っていう名前です。叶えるの叶に新芽の芽です。」
それを聞いた夏望は驚いた表情をする。もしかして、
「嘘でしょう?私が今一緒に暮らしている夫の名前、叶芽よ。」
「え・・・?」
10
あなたにおすすめの小説
夫が運命の番と出会いました
重田いの
恋愛
幼馴染のいいなづけとして育ってきた銀狼族の族長エーリヒと、妻ローゼマリー。
だがエーリヒに運命の番が現れたことにより、二人は離別する。
しかし二年後、修道院に暮らすローゼマリーの元へエーリヒが現れ――!?
サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします
二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位!
※この物語はフィクションです
流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。
当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。
不機嫌な侯爵様に、その献身は届かない
翠月 瑠々奈
恋愛
サルコベリア侯爵夫人は、夫の言動に違和感を覚え始める。
始めは夜会での振る舞いからだった。
それがさらに明らかになっていく。
機嫌が悪ければ、それを周りに隠さず察して動いてもらおうとし、愚痴を言ったら同調してもらおうとするのは、まるで子どものよう。
おまけに自分より格下だと思えば強気に出る。
そんな夫から、とある仕事を押し付けられたところ──?
妹の身代わりだった私に「本命は君だ」――王宮前で王子に抱き潰され、溺愛がバレました。~私が虐げられるきっかけになった少年が、私と王子を結び付
唯崎りいち
恋愛
妹の身代わりとして王子とデートすることになった私。でも王子の本命は最初から私で――。長年虐げられ、地味でみすぼらしい私が、王子の愛と溺愛に包まれ、ついに幸せを掴む甘々ラブファンタジー。妹や家族との誤解、影武者の存在も絡み、ハラハラと胸キュンが止まらない物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる