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第3章 少年期 ミリア編
第四十六話「大人の階段」
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---エリーゼ視点---
あの日から、ベルの顔がまともに見られなくなった。
今まで、こんなことはなかったのに。
初めて船に乗って、初めて船に酔った。
その時にベルから向けられた優しさを、あたしは忘れられなくなってしまった。
自分なりに言葉にして伝えたつもりだったけど、全部を伝えきれたわけじゃない。
あたしよりもずっと小さな体のベルが、無理をしているように見えた。
あんなに小さな体で頑張ってくれてるのに、あたしはベルをぞんざいに扱っている。
そんな自分が、改めて許せなくなった。
あの日以降は、普通に顔も見れたし、喋ることだってできた。
でも、船を降りた途端に、また感情がこみあげてきた。
それをベルに知られたくなくて、あたしはベルにあんなに酷い態度をとってしまった。
これ以上優しさを向けられたら、あたしはきっと壊れてしまう。
あたしは、ベルが好きになってしまう。
――ダメ。
あたしはどうしようもなくわがままで、傲慢な性格をしている。
そんなあたしがベルを好きになるなんて、そんなのは絶対にダメ。
一旦距離を置けば、大丈夫よね。
この気持ちも、きっとどこかにいってしまう。
しばらく顔を合わせなければ、どうってことないわ。
「エリーゼ。どうして、ベルを避けてるんですか?」
「っ……!
どうして、あれだけでそんなことが言えるのよ」
「顔を見ればわかりますよ。
本当は、気分でも何でもなく、何か理由があるんでしょう?」
隣で部屋着に着替えているシャルロッテは、あたしの顔を覗き込んだ。
何で、あんなに短時間でそんなことまで分かったのだろうか。
「ベルのことを、嫌いになってしまったんですか?」
「そっ、そういうわけじゃ……」
「ですよね」
「ですよねって何よ」
シャルロッテは微笑んで、再び着替え始めた。
せめて服くらい着てから喋りなさいよね。
「いえいえ、私はとっくに気が付いているので。
ランスロットはどうかわかりませんが」
「気が付いてる?」
「……エリーゼは、ベルが好きなんですよね?」
「んな、がっ……!」
自分でもびっくりするくらいの驚きの声が出た。
ど、どこでそんなことに気が付いたというの……?
い、いや!
あたしはまだ、ベルを好きになったわけじゃ……
「いつも微笑ましく見ていますよ。
まだまだ経験が浅いなりに、頑張ってベルにアプローチをかけているところとか。
可愛いなって感じで、ニコニコしながら」
「しゃ、シャルロッテは、そんなこと言える程の経験があるって言うの?」
「そっ、それは……。
い、今はエリーゼの話をしているんですよ」
そうやって誤魔化すのはずるい。
後出しじゃんけんみたいなものじゃない。
最近、ベルに教わったやつ……。
「好きであるが故の『好き避け』。
思春期にありがちなんですよね。
わかります」
「シャルロッテも、経験したことがあるの?」
「いえ、本で読んだだけですが」
「何なのよ!」
シャルロッテは「ふふっ」と笑って、あたしの頭に手を伸ばした。
シャルロッテに頭を撫でられるのは、何だか新鮮な感じがする。
大体いつも、ベルが……
「まあどのような理由であれ、
あからさまに避けてしまうのはベルにとっても、エリーゼにとっても良くないと思いますよ。
これからまだまだ長い旅になるんですし、こんなところで関係に亀裂が生じてしまうのはまずいです」
「そう、だけど……」
「ベルは今、一人で都市を散策しています。
戻ってきたら、顔を合わせましょう。
誤解を解かないことには、ベルも傷ついたままだと思いますよ」
「どうして、ベルが街を歩いてるってわかるのよ?」
「こっそり見守っていましたからね。
エリーゼが扉を閉めた後、ベルはしばらくその場に固まっていました。
きっと、自分が何かしたのではないかと不安になっているんじゃないでしょうか」
まさか。
ベルは、あたしの嫌がるようなことはしない。
たまにちょっかいをかけてきたり、イジられたりはするけど、
心から嫌がっているわけじゃない。
でも、もしシャルロッテの言う通り、勘違いをさせてしまっているんだとしたら、
戻ってきたら謝らなきゃね。
あんな態度で突き放した矢先、顔を合わせずらいけど。
ここでまた一歩、大人になるのよ。
あの日から、ベルの顔がまともに見られなくなった。
今まで、こんなことはなかったのに。
初めて船に乗って、初めて船に酔った。
その時にベルから向けられた優しさを、あたしは忘れられなくなってしまった。
自分なりに言葉にして伝えたつもりだったけど、全部を伝えきれたわけじゃない。
あたしよりもずっと小さな体のベルが、無理をしているように見えた。
あんなに小さな体で頑張ってくれてるのに、あたしはベルをぞんざいに扱っている。
そんな自分が、改めて許せなくなった。
あの日以降は、普通に顔も見れたし、喋ることだってできた。
でも、船を降りた途端に、また感情がこみあげてきた。
それをベルに知られたくなくて、あたしはベルにあんなに酷い態度をとってしまった。
これ以上優しさを向けられたら、あたしはきっと壊れてしまう。
あたしは、ベルが好きになってしまう。
――ダメ。
あたしはどうしようもなくわがままで、傲慢な性格をしている。
そんなあたしがベルを好きになるなんて、そんなのは絶対にダメ。
一旦距離を置けば、大丈夫よね。
この気持ちも、きっとどこかにいってしまう。
しばらく顔を合わせなければ、どうってことないわ。
「エリーゼ。どうして、ベルを避けてるんですか?」
「っ……!
どうして、あれだけでそんなことが言えるのよ」
「顔を見ればわかりますよ。
本当は、気分でも何でもなく、何か理由があるんでしょう?」
隣で部屋着に着替えているシャルロッテは、あたしの顔を覗き込んだ。
何で、あんなに短時間でそんなことまで分かったのだろうか。
「ベルのことを、嫌いになってしまったんですか?」
「そっ、そういうわけじゃ……」
「ですよね」
「ですよねって何よ」
シャルロッテは微笑んで、再び着替え始めた。
せめて服くらい着てから喋りなさいよね。
「いえいえ、私はとっくに気が付いているので。
ランスロットはどうかわかりませんが」
「気が付いてる?」
「……エリーゼは、ベルが好きなんですよね?」
「んな、がっ……!」
自分でもびっくりするくらいの驚きの声が出た。
ど、どこでそんなことに気が付いたというの……?
い、いや!
あたしはまだ、ベルを好きになったわけじゃ……
「いつも微笑ましく見ていますよ。
まだまだ経験が浅いなりに、頑張ってベルにアプローチをかけているところとか。
可愛いなって感じで、ニコニコしながら」
「しゃ、シャルロッテは、そんなこと言える程の経験があるって言うの?」
「そっ、それは……。
い、今はエリーゼの話をしているんですよ」
そうやって誤魔化すのはずるい。
後出しじゃんけんみたいなものじゃない。
最近、ベルに教わったやつ……。
「好きであるが故の『好き避け』。
思春期にありがちなんですよね。
わかります」
「シャルロッテも、経験したことがあるの?」
「いえ、本で読んだだけですが」
「何なのよ!」
シャルロッテは「ふふっ」と笑って、あたしの頭に手を伸ばした。
シャルロッテに頭を撫でられるのは、何だか新鮮な感じがする。
大体いつも、ベルが……
「まあどのような理由であれ、
あからさまに避けてしまうのはベルにとっても、エリーゼにとっても良くないと思いますよ。
これからまだまだ長い旅になるんですし、こんなところで関係に亀裂が生じてしまうのはまずいです」
「そう、だけど……」
「ベルは今、一人で都市を散策しています。
戻ってきたら、顔を合わせましょう。
誤解を解かないことには、ベルも傷ついたままだと思いますよ」
「どうして、ベルが街を歩いてるってわかるのよ?」
「こっそり見守っていましたからね。
エリーゼが扉を閉めた後、ベルはしばらくその場に固まっていました。
きっと、自分が何かしたのではないかと不安になっているんじゃないでしょうか」
まさか。
ベルは、あたしの嫌がるようなことはしない。
たまにちょっかいをかけてきたり、イジられたりはするけど、
心から嫌がっているわけじゃない。
でも、もしシャルロッテの言う通り、勘違いをさせてしまっているんだとしたら、
戻ってきたら謝らなきゃね。
あんな態度で突き放した矢先、顔を合わせずらいけど。
ここでまた一歩、大人になるのよ。
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