我ら月夜の白兎団

CROW莉久

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第2章 新たな仲間

第7話 2度目の影

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 今の時刻は17時42分。

 寒い中僕達3人は学校のから少し離れた道を歩いていた。


「いやー、寒いねー。昨日はもう少し暖かかったのになー」


 と花霞が笑いながら言う。


「もしかしたら、誰かの「能力」で寒くなっていたり……なんて」


 と夢野も笑いながら言っている。


「流石にそうじゃないことを祈るなぁ」


 などと話していると、急に花霞の表情が真剣になった。


「……花霞? どうした?」


「影がいる……」


「え!?」


 辺りを確認するが影は見えない。


「見当たらないけど、どこに?」


「少し遠く……ついてきて!」


 と言い、花霞が走り出す。


「あ、ちょっと! 夢野、僕達も行こう!」


「はい!」


 花霞の後を追い、僕達も走り出す。



┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈



 花霞に追いつき聞いた。


「どうして、影がいるってわかるの?」


「昨日もそうだった。何故かわからないけど、体が何となく「あ、ここにいる」ってわかっちゃう」


「さっきまで気がつかなかったのは?」


「多分さっき現れたから、おそらく影は暗くなると同時に現れるんじゃなくて、暗くなってから現れるんだと思う」


「昨日は何体くらいの気配を感じた?」


「2人が戦ってたのしか知らないから、多分1体」


 どうやら、1日にそんなに多くの影は現れないらしい。


「割と走ってるけど、あとどのくらい?」


「あと少し!」


 角を曲がり、前を見ると、そこは近くで1番大きな公園だった。


「この公園?」


「うん」


 と花霞は答える。


「けど、この公園結構デカイですよ……この中から探すんですか?」


 と夢野が心配そうに聞く。


「大丈夫。大体の場所はわかるから」


 と言った花霞は公園の中の森に入って行く。


「この中入るんですか? だいぶ不気味ですけど……」


「大丈夫だよ。この中結構道とか遊具あるし、何かあっても僕が守るから」


「あ、ありがとうございます……」


 と言いながら僕達も森の中へ入って行く。


 中に入ると、明かりは木の間から入る月の光しかなく、前は見えずらい。


「どうやら私たち以外にも人がいるらしいね」


 と花霞が言う。


 前をよく見ると、1人のおそらく能力者が影と戦っている。


「誰かが戦っています! 助けに行きましょう!」


 と夢野が言う。


「ああ、そうしよう」


 僕達は影の方へと走り出した。


 影のいる場所につくと、1人の少年が影と戦っていた。

 花霞が走りながら少年に声をかける。


「助太刀しま……え? 君って……」


「ああ、ありがと……えぇ!?」


 と花霞とその少年はお互いの顔を見て驚いている。


「花霞さん、その人知り合いなんですか?」


 と夢野が花霞に聞く。


「あ、えっとね……この人は――」


 と言いかけたところで影が花霞にタックルし、花霞が吹き飛ばされる。


「花霞さん!?」


 夢野が花霞に駆け寄る。


「大丈夫ですか!? 花霞さん!」


 花霞の右足が曲がってはいけない方向に曲がっていた。


「ちょっと花霞大丈夫か!?」


「……大丈夫、大丈夫……このくらいなら「能力」で治せるから……」


 と言い腕を右手を光らせ、右足にかざした。


「ちょっと時間かかるかも……先に3人で戦ってて……」


「そ、そう。じゃあ先に行ってるね」


 と言い、影の方を向く。


「そこのお二人さん、君たちの「能力」は?」


 と少年が聞いてきた。


「僕は身体能力の強化、そこにいる夢野が見たことのあるものをコピーする能力だよ」


「そう…なら、そこのお嬢さん何か金属のものを出してくれないか?」


「良いですけど、どうしてですか?」


「戦うためだよ。俺の能力は「金属を自由に操れる能力」だ。一応家にあった鉄パイプを持ってきたが、さっき影に弾き飛ばされてしまってね」


「なるほど……金属バットしか思い浮かばないのでそうしますね!」


 と夢野が言い、右手を前に出したところで影が夢野に飛びかかる。


「アラタくん! 少しの間影の相手をお願いします!」


「任せて!」


 と言い、夢野の前に立ち、首に意識を集中し、影を蹴り飛ばす。

 蹴り飛ばされた影はそのまま数メートル吹き飛ぶ。


 すかさず追い打ちをかけようと影に殴りかかるが、紙一重で躱され、拳が地面を叩く。


「グッ……」


 隙ができた僕に影がタックルを決め、吹き飛ばされる。

 そのとき、


「君! これを!」


 と言って、夢野が少年に金属バットを投げ渡す。


 少年はそれを右手でキャッチすると目を閉じた。

 その瞬間、バットの形が歪み、形が変わっていく。


 3秒と経たないうちにバットが槍へと形が変わった。

 少年は槍を構えると、影へ突き刺そうと突くが、空を突く。


 流石に影もこの槍で貫かれると一溜りもないのか、回避に専念している。


 僕は体勢を立て直し、少年に叫ぶ。


「君! 僕が影の隙を作るから最後に思いっきり決めてくれ!」


「わかった」


 と少年が言い、すぐさま僕は影に掴みかかる。

 まだ少年の方に集中していた影は、僕に反応することが出来ず、易々と掴まれる。


 そして、掴んだ影を全力で地面に叩きつけ、叫ぶ。


「今だ!」


 すると少年は影に飛びかかり、槍を構え、影を貫く。

 貫かれた影は、力尽きたのか、徐々に薄くなり消滅し、槍も消滅した。


「ふぅ」


 と体から力を抜く。


「アラタくんと君! お疲れ様です!」


 と夢野が笑顔で言ってくれた。


「ありがとう、夢野」


「ああ、ありがと」


 ああ、そういえば、花霞どうなったんだろう

 と思い花霞の方を見る。


 ちょうど右足を治した花霞がこちらに歩いてきていた。


「いやー、ごめん。思ったより時間かかっちゃって」


 と笑いながら言ってる花霞に少年が口を開いた。


「昨日瀕死の俺を治すときは一瞬だったじゃないか」


「あの時は、本当に必死だったから……」


 と花霞が答える。


 ん? 「瀕死の俺」ということは……


「もしかして君が昨日花霞が助けた……」


「ああ、俺が、昨日そこの彼女が助けた少年……繰上ソラだ」

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