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八章御三家と球技大会とアンチ王道
8-13※R15
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猫の家に入ると、嗅ぎなれた香水の香りと気配がする。もう来ていたのかと扉を開けると、すぐに猫のカイが俺にすり寄ってきた。可愛らしい白ミニ大福の頭を撫でて奥へ進むと、気配を漂わせる張本人はシルバーに猫じゃらしを向けて微笑んでいる。同じ色の毛並み同士だからか、なんとなく似ている所に今更ながら微笑ましくなって笑みがこぼれた。
「直」
俺が声を掛けると、矢崎は穏やかに振り返って立ち上がる。
「甲斐」
猫のシルバーは足元で矢崎に懐いていて可愛いなと見ていたら、優しく腕を引き寄せられた。そのままたくましい胸に抱き寄せられて、矢崎の香水と肌のにおいが一気に俺を酔わせる。
久しぶりの感触に胸がほわほわと満たされていって、少しの間だけお互いに黙ってそれに浸り合った。
「……二人きりで、はやくあいたかった」
「……おれ、も……」
恋しかったと言わんばかりにぎゅっとされてドキドキする。お互いに本当に恋する乙女みたいだよなって苦笑してしまった。
「寂しかった。お前がいない時間は退屈で苦痛で寂しかった」
「俺も、さ、寂しかったよ。ぁ、あんたが……肌恋しかった。あんたにいっぱい触られるようになってから、二次元じゃ満足できなくなって……その……」
ここ二か月は、直に触れられる感触を思い出しながら男の儀式をすることが多くなった。
一度、現実の気持ち良さを知ってしまうと、もう非現実の二次元だけでは性的欲求的に物足りなくなってしまって、二次元のエロ画像を見ても興奮もドキドキも半減してしまった。二次元美少女オタとしては忌々しき問題だと思うけれど、それもそこまでショックではなかったし、むしろ三次元の方がいいとさえ思い始めている。
やはり、現実感ある感触には敵わないなって納得して、直にされた行為や感触を思い出す日々。二次元はその美少女に触れられないし、あの震えるような快楽も味わえない。
さすがにオナグッズやラブドールにまで手を出してしまうほどディープな世界に入りたいとは思わなかったし、むしろそこまでいくと後には引き返せない気もしていたから、今のままの自分でよかったと思う。三次元を捨てちゃダメだってな。
それから直への愛おしさと肌恋しさもどんどん募るようになり、高まる依存はよくないと思いながらも止められない。いつか離れ離れになるとわかっていても、ダメだと思いながらも愛しい気持ちに歯止めが利かなくなっていく。
あの二か月前の離島での出来事と、最近の嫉妬事件(スピンオフ参照)がぐっとお互いの距離を縮めさせてくれた。
もっともっと精神的な距離が近くなって、俺も直に甘えるようになって、愛情をより素直に伝える事ができるようになった。
「……あんたに触られるのを……妄想するようになったんだ……」
もう二次元だけじゃスッキリイケない。直の存在を妄想しないと興奮しないから。
「甲斐、あんまり可愛い事を、言ってくれるなよ……っ。止まらなくなるじゃないか」
そんなつもりはないと言う前に唇を唇で塞がれた。直のキスは離れている分の寂しさをぶつけるように激しいもので、唇を舐められてすぐに歯列をこじ開けられて、口内を舌先で貪り尽くされる。
「ん…っんんっ、はぁ」
唾液が口の端からこぼれて顎を伝う。直からの濃縮度100%のキスに酔いしれて頭がぼうっとしてくる。この極上のキスも、あといつまでできるんだろう。いつまで直と一緒にいられるのだろう。
考えたくないのに、いつか訪れる別れに不安と淋しさがちらついて、キスに夢中になりながらも脳内の片隅ではずっとそんな事を考えてしまっていた。
「甲斐……お前に触れたい」
壁に寄りかかるように直が座ってその膝の上に俺が跨ると、直の手が俺のベルトに及ぶ。
「時間……ないんじゃないのか」
「お前に触れる時間くらいある。お前に触れたい。感じたい」
ベルトを外されてスラックスのチャックをおろされる。直の手が俺の膨らみにそっと触れて、流れるような手つきでそこをわざとらしくかすめていく。
指が少し触れただけでびりっとした電流が走り、一気に達しそうになった。好きな人に触られる。それだけで体はいつもの倍くらい感度が高まって、反応も一入。
下着をずり降ろされて、ぶるりと飛び出す象徴は今のキス等で完全に元気になっていた。躰は素直だなと感じやすくなった自身に苦笑しつつ、直の手が俺自身にじかに触れて上下に扱いてくる。念入りに亀頭の部分を刺激され、湿っぽくなった竿や睾の方も優しい愛撫にゾクゾクした。
親指と人差し指で執拗に何度も動かされながら、俺も直のベルトを震えながら外し、直の苦しそうな膨らみをスラックスのチャックと下着から取り出して、直がしている事を俺も同じようにした。
「っあ、は、あ。直っ」
直の猛々しい先っぽを手で上下に扱きながら、直の手淫で快楽に悶える。
「は……っ、く、甲斐……」
そんな直も気持ちよさそうにして荒く呼吸を吐き出している。余裕のない表情の直は、イケメン嫌いな俺でさえ男らしくてイケメンに見えちまうから不思議だ。
「きもち、いぃ……」
ただ触れて扱きあうだけの行為でも、まるで本当にセックスしているような感覚だった。二次元じゃ得られない快楽が俺を支配して、腰ががくがく震えて絶頂が近くなってくる。直のものと俺のものを一纏めにして、一緒に握り合って互いに擦り付けあう。それだけで先ほど以上の快楽と興奮に目眩がした。
「は、ぁ、直っ、耳、や」
「甲斐は、先っぽ触られながら……耳をいじられるの、好きだよな」
直が荒く吐息を吐きながら俺の耳を甘噛みする。
「ゃ、あぁっ」
耳が弱いせいか今度はそこに舌を這わせてくる。俺のちんこを擦りながらだから意地悪な事をしてくるものだ。
「甲斐、可愛い声」
「う、るさ、んんっ、んぅ」
直の舌が耳から唇に移動して、俺の唇を濃厚に重ねてくる。
お互いがお互いのものに触れて、扱きあって、擦り付け合って、激しいキスで求め合いながらさらにその動きが激しくなって……。
ああ、だめだ。深いキスしながらちんこ弄られるとか、もうイキそ……。
「っ、んんぅ!」
直の手が俺の先端を何度目かこすった瞬間に俺は吐精し、直は俺がイッた後に続けて達した。
互いの精が腹と床を濡らしあってやっと冷静になる。二人してこんな場所で何をやっているんだろうって思ったけど、久しぶりだからこそ触れたかった。お互いに離れている間の活力の補充をしあいたかった。
「今度……勉強教えてやる」
「は………なんでまた急に」
お互いに欲望を吐き出し合ってからすぐ、直が俺を抱き寄せてそう言った。藪から棒である。
「今日、お前のテストの点数の事で教師共があきれ果てていたのを見たからな」
「それはいつもの事だな」
平常運転というやつである。成績の事で文句を言われたり呆れられたりするのは毎度の事だ。
「それに夏休み真っ只中で補習だなんだと言われて会えなかったからな」
「あー……」
夏休みの最中、直からせっかく三時間くらい時間がとれたと言われたのに、あえなく俺が補習のせいでその少ない逢瀬の時間が露と消えた事を思い出す。
夏休み前の期末テストが散々だったからな。健一ら一部のEクラスメンバーと土日とお盆以外の平日はほぼ補習に駆り出されて、せっかくの貴重な休みが減った事が記憶に新しい。
「少ない自由の時間の中で会えると思ったのに……。寂しかったんだからな」
直の顔が未だあの時の事を根に持っていて少し拗ねている。
「あの時は……悪かったよ。全然勉強する暇なかったというか、平日全部補習になるとは思わなかったというかだな……」
どうせ補習だろうと諦めきっていたのもあったが、まさか平日休み全て駆り出されるとは思わなかったよ。万里ちゃん先生のくどすぎるお説教付きでだ。とほほである。
「言い訳なんて聞きたくない」
「……う」
「オレ……少しでも長く甲斐と一緒にいたかったのに補習とか……あきれ果てながら悲しかった。オレが極度の寂しがり屋だって知っているだろう?」
「知ってる……だからごめんて」
ひたすら謝罪をする事しかできない。いくら成績が悪くても、少しでも勉強をしておけばまだ平日全てを補習日にされなくて済んだはずだ。俺の超絶勉強嫌いと忙しいを理由にして招いた俺の落ち度である。
「じゃあ、次会う時……オレのわがまま全部聞けよな」
「わがままって……」
「来週の土日……二人で勉強会するからな」
「土日に勉強会……」
したくないなんて俺に拒否権などない。さすがにしないと留年の危機だし、両親や万里ちゃん先生にこれ以上怒られるのも勘弁だしな。平日全てが補習になったせいであんまり遊びにも行けなかったし、夏休みをほぼ全部補習付で過ごす惨めさったらなかったものだ。
「大丈夫だ。ちゃんと手とり足取りみっちり個人授業してやる」
「手とり足取り個人授業ってなんか言い方が卑猥」
AVとかであるやらしー個人授業でもする気かね。
「そうだな。卑猥な事……するぜ」
「えっ」
それも含めてか。
「その時に……お前の全てをもらう」
なにを?なんてそんな野暮な事は訊けない。
「好きにしていいんだろう?」
「っ……」
球技大会の試合中にそう言っちゃったもんな。あの時はタダ券の事で頭がいっぱいだったので、体を売るような真似になってしまうが背に腹は代えられなかったのだ。でも、いざそれを目の前で通告されると自分の発言に怖気づいてしまうもの。だがしかし、
「約束、したからな。……いいよ」
もう自棄だ。どうせ次に泊まる事があればそうなるだろうと予感はしていた。それに何より直とこういう事をするのに躊躇いがなくなっている。二人して抜きあいとかするようになったから、そろそろって気持ちもあったからな。
「じゃあ、その時までに心の準備しておけよ」
「……お、おう」
期待と不安に俺は来週の土日に胸を躍らせたのであった。
八章 完
次回はエロとラブラブ回の甘甘満載。
「直」
俺が声を掛けると、矢崎は穏やかに振り返って立ち上がる。
「甲斐」
猫のシルバーは足元で矢崎に懐いていて可愛いなと見ていたら、優しく腕を引き寄せられた。そのままたくましい胸に抱き寄せられて、矢崎の香水と肌のにおいが一気に俺を酔わせる。
久しぶりの感触に胸がほわほわと満たされていって、少しの間だけお互いに黙ってそれに浸り合った。
「……二人きりで、はやくあいたかった」
「……おれ、も……」
恋しかったと言わんばかりにぎゅっとされてドキドキする。お互いに本当に恋する乙女みたいだよなって苦笑してしまった。
「寂しかった。お前がいない時間は退屈で苦痛で寂しかった」
「俺も、さ、寂しかったよ。ぁ、あんたが……肌恋しかった。あんたにいっぱい触られるようになってから、二次元じゃ満足できなくなって……その……」
ここ二か月は、直に触れられる感触を思い出しながら男の儀式をすることが多くなった。
一度、現実の気持ち良さを知ってしまうと、もう非現実の二次元だけでは性的欲求的に物足りなくなってしまって、二次元のエロ画像を見ても興奮もドキドキも半減してしまった。二次元美少女オタとしては忌々しき問題だと思うけれど、それもそこまでショックではなかったし、むしろ三次元の方がいいとさえ思い始めている。
やはり、現実感ある感触には敵わないなって納得して、直にされた行為や感触を思い出す日々。二次元はその美少女に触れられないし、あの震えるような快楽も味わえない。
さすがにオナグッズやラブドールにまで手を出してしまうほどディープな世界に入りたいとは思わなかったし、むしろそこまでいくと後には引き返せない気もしていたから、今のままの自分でよかったと思う。三次元を捨てちゃダメだってな。
それから直への愛おしさと肌恋しさもどんどん募るようになり、高まる依存はよくないと思いながらも止められない。いつか離れ離れになるとわかっていても、ダメだと思いながらも愛しい気持ちに歯止めが利かなくなっていく。
あの二か月前の離島での出来事と、最近の嫉妬事件(スピンオフ参照)がぐっとお互いの距離を縮めさせてくれた。
もっともっと精神的な距離が近くなって、俺も直に甘えるようになって、愛情をより素直に伝える事ができるようになった。
「……あんたに触られるのを……妄想するようになったんだ……」
もう二次元だけじゃスッキリイケない。直の存在を妄想しないと興奮しないから。
「甲斐、あんまり可愛い事を、言ってくれるなよ……っ。止まらなくなるじゃないか」
そんなつもりはないと言う前に唇を唇で塞がれた。直のキスは離れている分の寂しさをぶつけるように激しいもので、唇を舐められてすぐに歯列をこじ開けられて、口内を舌先で貪り尽くされる。
「ん…っんんっ、はぁ」
唾液が口の端からこぼれて顎を伝う。直からの濃縮度100%のキスに酔いしれて頭がぼうっとしてくる。この極上のキスも、あといつまでできるんだろう。いつまで直と一緒にいられるのだろう。
考えたくないのに、いつか訪れる別れに不安と淋しさがちらついて、キスに夢中になりながらも脳内の片隅ではずっとそんな事を考えてしまっていた。
「甲斐……お前に触れたい」
壁に寄りかかるように直が座ってその膝の上に俺が跨ると、直の手が俺のベルトに及ぶ。
「時間……ないんじゃないのか」
「お前に触れる時間くらいある。お前に触れたい。感じたい」
ベルトを外されてスラックスのチャックをおろされる。直の手が俺の膨らみにそっと触れて、流れるような手つきでそこをわざとらしくかすめていく。
指が少し触れただけでびりっとした電流が走り、一気に達しそうになった。好きな人に触られる。それだけで体はいつもの倍くらい感度が高まって、反応も一入。
下着をずり降ろされて、ぶるりと飛び出す象徴は今のキス等で完全に元気になっていた。躰は素直だなと感じやすくなった自身に苦笑しつつ、直の手が俺自身にじかに触れて上下に扱いてくる。念入りに亀頭の部分を刺激され、湿っぽくなった竿や睾の方も優しい愛撫にゾクゾクした。
親指と人差し指で執拗に何度も動かされながら、俺も直のベルトを震えながら外し、直の苦しそうな膨らみをスラックスのチャックと下着から取り出して、直がしている事を俺も同じようにした。
「っあ、は、あ。直っ」
直の猛々しい先っぽを手で上下に扱きながら、直の手淫で快楽に悶える。
「は……っ、く、甲斐……」
そんな直も気持ちよさそうにして荒く呼吸を吐き出している。余裕のない表情の直は、イケメン嫌いな俺でさえ男らしくてイケメンに見えちまうから不思議だ。
「きもち、いぃ……」
ただ触れて扱きあうだけの行為でも、まるで本当にセックスしているような感覚だった。二次元じゃ得られない快楽が俺を支配して、腰ががくがく震えて絶頂が近くなってくる。直のものと俺のものを一纏めにして、一緒に握り合って互いに擦り付けあう。それだけで先ほど以上の快楽と興奮に目眩がした。
「は、ぁ、直っ、耳、や」
「甲斐は、先っぽ触られながら……耳をいじられるの、好きだよな」
直が荒く吐息を吐きながら俺の耳を甘噛みする。
「ゃ、あぁっ」
耳が弱いせいか今度はそこに舌を這わせてくる。俺のちんこを擦りながらだから意地悪な事をしてくるものだ。
「甲斐、可愛い声」
「う、るさ、んんっ、んぅ」
直の舌が耳から唇に移動して、俺の唇を濃厚に重ねてくる。
お互いがお互いのものに触れて、扱きあって、擦り付け合って、激しいキスで求め合いながらさらにその動きが激しくなって……。
ああ、だめだ。深いキスしながらちんこ弄られるとか、もうイキそ……。
「っ、んんぅ!」
直の手が俺の先端を何度目かこすった瞬間に俺は吐精し、直は俺がイッた後に続けて達した。
互いの精が腹と床を濡らしあってやっと冷静になる。二人してこんな場所で何をやっているんだろうって思ったけど、久しぶりだからこそ触れたかった。お互いに離れている間の活力の補充をしあいたかった。
「今度……勉強教えてやる」
「は………なんでまた急に」
お互いに欲望を吐き出し合ってからすぐ、直が俺を抱き寄せてそう言った。藪から棒である。
「今日、お前のテストの点数の事で教師共があきれ果てていたのを見たからな」
「それはいつもの事だな」
平常運転というやつである。成績の事で文句を言われたり呆れられたりするのは毎度の事だ。
「それに夏休み真っ只中で補習だなんだと言われて会えなかったからな」
「あー……」
夏休みの最中、直からせっかく三時間くらい時間がとれたと言われたのに、あえなく俺が補習のせいでその少ない逢瀬の時間が露と消えた事を思い出す。
夏休み前の期末テストが散々だったからな。健一ら一部のEクラスメンバーと土日とお盆以外の平日はほぼ補習に駆り出されて、せっかくの貴重な休みが減った事が記憶に新しい。
「少ない自由の時間の中で会えると思ったのに……。寂しかったんだからな」
直の顔が未だあの時の事を根に持っていて少し拗ねている。
「あの時は……悪かったよ。全然勉強する暇なかったというか、平日全部補習になるとは思わなかったというかだな……」
どうせ補習だろうと諦めきっていたのもあったが、まさか平日休み全て駆り出されるとは思わなかったよ。万里ちゃん先生のくどすぎるお説教付きでだ。とほほである。
「言い訳なんて聞きたくない」
「……う」
「オレ……少しでも長く甲斐と一緒にいたかったのに補習とか……あきれ果てながら悲しかった。オレが極度の寂しがり屋だって知っているだろう?」
「知ってる……だからごめんて」
ひたすら謝罪をする事しかできない。いくら成績が悪くても、少しでも勉強をしておけばまだ平日全てを補習日にされなくて済んだはずだ。俺の超絶勉強嫌いと忙しいを理由にして招いた俺の落ち度である。
「じゃあ、次会う時……オレのわがまま全部聞けよな」
「わがままって……」
「来週の土日……二人で勉強会するからな」
「土日に勉強会……」
したくないなんて俺に拒否権などない。さすがにしないと留年の危機だし、両親や万里ちゃん先生にこれ以上怒られるのも勘弁だしな。平日全てが補習になったせいであんまり遊びにも行けなかったし、夏休みをほぼ全部補習付で過ごす惨めさったらなかったものだ。
「大丈夫だ。ちゃんと手とり足取りみっちり個人授業してやる」
「手とり足取り個人授業ってなんか言い方が卑猥」
AVとかであるやらしー個人授業でもする気かね。
「そうだな。卑猥な事……するぜ」
「えっ」
それも含めてか。
「その時に……お前の全てをもらう」
なにを?なんてそんな野暮な事は訊けない。
「好きにしていいんだろう?」
「っ……」
球技大会の試合中にそう言っちゃったもんな。あの時はタダ券の事で頭がいっぱいだったので、体を売るような真似になってしまうが背に腹は代えられなかったのだ。でも、いざそれを目の前で通告されると自分の発言に怖気づいてしまうもの。だがしかし、
「約束、したからな。……いいよ」
もう自棄だ。どうせ次に泊まる事があればそうなるだろうと予感はしていた。それに何より直とこういう事をするのに躊躇いがなくなっている。二人して抜きあいとかするようになったから、そろそろって気持ちもあったからな。
「じゃあ、その時までに心の準備しておけよ」
「……お、おう」
期待と不安に俺は来週の土日に胸を躍らせたのであった。
八章 完
次回はエロとラブラブ回の甘甘満載。
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