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ぼくのネット友達2
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やっぱりあうのが怖い。
ラインでやりとりするのが楽しいのに、実際会ってしまうと今までの関係が終わってしまう気がする。いくらアオが幻滅しないと言ってくれていても、それでもメル友関係が終わってしまったら……やだよ。
たしかに僕だってアオにあいたい。会ってみたい。けど、自信がもてないんだ。自分に。
ぼくは『ごめんなさい、やっぱりあえない』と一言だけ送り、返信が来るのが怖くて、そのままスマホの電源を切って鞄にしまった。ごめんなさい、アオ。
「すみません、レジお願いします」
コンビニに訪れていた客が飲み物をレジに持ってきていた。
いかんいかん。バイトに集中しなきゃまた店長に叱られちゃう。ただでさえ鈍くさくて失敗しまくりなのに、これ以上失敗したら本部にクレームきちゃう。
ぼくは仕事に集中しようとアオの事は考えないようにする。が、やっぱりスマホの事が気になって気になって仕方がない。きっとラインきているだろうけど、どのみち怖くてみれないし。でも気になってしまうこの矛盾に溜息。
アオはぼくの事幻滅したはずだ。なんてマイナス思考な奴なんだって。
もう愛想尽かせてラインしてくれないかもしれない。ブロックしたかもしれない。
そうぼんやり考えていたのがよくなかった。
「ちょっとぉ!これ全然温まってないんだけどぉ」
派手なギャルの女性客の声に僕ははっと我に返る。弁当を温めてくれとの要望にレンジに入れたつもりが、全然うごいていないまま取り出していたみたいで、自分の間抜けぶりに泣きたくなった。
「も、申し訳ございません。今すぐに……」
「はやくしてよ!あたしこれからデートなんだから、遅れたら弁当一つ温められないあんたのせいだって本部にクレーム入れてやるからね!」
そ、そんなァああー。
本部にクレーム入れられたら今度こそぼくクビかも……ううう。ただでさえ失敗しまくりだし。
ぼくは顔色が真っ青になった。
「おい、何してんだよ」
そこへ、金髪で背の高い美形の人が揉めている様子を見かねて店内に入ってきた。
わあ、カッコイイ人だなあ……ってアレ、この人どこかで見たような……あ!今日廊下で一瞬だけ目があった人……柏木先輩だ!
「それがねーこのボケ店員がコンビニ弁当しっかり温めてくんなかったのよぉ。デートの前に食べようと思ったのにさぁ~」
うう、そのボケ店員でごめんなさいと、心の中で謝罪するぼく。
ギャル系女性客は柏木先輩の顔を見るなり可愛い子ぶりっ子に豹変していて、その豹変ぶりにぼくは驚いた。女の子ってこういう時切り替え早いよね、イケメン相手に。
「ほんと、やんなっちゃう。どう思う?アオイ~」
女性客がアオイこと柏木先輩に同意を求めているように訊いた。
柏木先輩の下の名前ってアオイって名前なんだ。ぼく初めて知った……じゃなくて!悠長に相手の名前の事考えている場合じゃない!ど、ど、どうしよう。
「っせぇな……誰だって失敗する事くらいあんだろ。そんな小さい事でギャアギャア目くじら立てやがって面倒くせぇ女だな」
先輩がギャル系女性客に舌打ちをしている。もしかして、ぼくの事気にかけてフォロー言ってくれたのかな。
「えー…だってぇ、レンジでチンするくらい普通だれでもできるのにィ~忘れてたってマジあり得なくなーい?せっかくアオイとデートするのにこのチビへぼ店員のせいで遅れるとか超嫌なんだもん」
チビへぼ店員てぼくのコトデスカ。
たしかにチビでへぼですけど、さすがにそこまで言われたらちょっと泣きそうになってしまうかも。ああ、考えるだけでちょっと涙腺がこみ上げてくる。やばいなあ……こんな顔見られたくないからちょっと下向いておかないとっ。それにしてもぼくって男のくせに泣き虫で情けないや。
そんなギャル系女性客に柏木先輩はまた舌打ちをした。
「ウゼエ……だからお前みたいな性悪女と付き合うのは御免なんだよ。帰ってゲームしてた方がマシだ。お前と過ごすこと自体が時間の無駄だってな!」
柏木先輩は吐き捨てるようにそう言い放ち、店から出て行った。
「え、ちょ、ちょっとアオイー!?まってぇ」
女性客は買おうとしていた弁当をそのままに、柏木先輩の後を追うように行ってしまった。僕は追いかけるのも忘れて茫然と立ち尽くしていた。
い、いいのかな、これ。まあ、まだお金頂いてないけどさ。
その一時間後、ぼくが商品を棚に並べているとお客さんが来店した。
ぼくはいらっしゃいませーと震えた声で言い、お客さんの方を向くと、なんとそのお客さんは、
「さっきはあのクソ女が迷惑かけたな。ごめんな」
柏木先輩だった。え、もしかしてわざわざ謝りに来てくれたの?
「え……あ、あの……いえ、謝るのはぼくの方です。温めないでそのまま袋に入れちゃってたぼくが悪くて……」
ど、どうしよう。こんな格好いい人としゃべっていると緊張しちゃうなあ。
それに柏木先輩って不良みたいな外見だから威圧感あるし、無愛想だって噂で聞いた事あるからぼく苦手なタイプかもだし。けど、どうしてか思ったほど怖くは感じなくて、むしろ親近感をなぜか感じてて……アレ、ぼく何言ってるんだろう。親近感とかバカみたい。イケメンと平凡の世界を比べちゃだめなのに。
「おい」
「え……」
「おい、聞いているのか」
先輩の声にぼくはハッとした。
「は、はいぃ!ご、ごめんなさい。ぼく、緊張しちゃって……その、えと……」
ぼくは声が裏がっていた。だめだ。やっぱりこういう不良みたいな人と話していると怖いかも。別に柏木先輩は極悪不良ってわけじゃないのに、金髪だし、イケメンだしっ。
「そんな怯えるな。何もしねぇから」
「は、はいぃ……」
そうは言ってもやっぱり先輩相手だからっ。
「まあ、怯えてるお前の仕草とか可愛いけどな」
「え……?か、可愛いだなんてっ」
ぼくはかあっと赤くなる。そんな事アオ以外で初めて言われたッ。
「それにしてもお前……彼方って名前なんだな」
先輩は僕の制服についている名札を見て言った。
「は、はい……倉本彼方といいます。先輩は柏木……ですよね?」
「ああ。柏木蒼だ。アオイかアオってあだ名で呼ばれてるけどな」
「アオ……ですか」
ぼくはどきんとした。まさか、ね。そんなわけ……
「なあ彼方」
どうしてか先輩に名前で呼ばれるのが初めてじゃないような気がした。
「お前の好きな物ってなに?」
「え、好きな物ですか?」
「いいからはやく言えよ」
急かす先輩にぼくは慌てる。
「は、はい……えーと……ゲームですかね。特に最近発売したやつでお気に入りのホラーゲームがあって……」
「……そうか」
先輩は先ほどより優しい顔で微笑んでいた。わあ、イケメンは笑い方も綺麗で絵になるなァ。ぼく、ドキドキしちゃったよ。
そんな事を考えていると、別のお客さんが数人やってきた。いけね、仕事しなきゃ。
「すまない。バイト中に押しかけちまって」
「い、いいんですよ。ここ、あんまりお客さん来ないから楽ですし、暇ですから」
「そうか。なら、また来るよ。バイトがんばんな、彼方」
先輩は先ほど女性客が買わずに置いていった弁当を買って帰って行った。
やっぱりイケメン美形はどんな表情もイケメン美形だなァ。背も高いし、体も大きいし。羨ましいよぅ。
ラインでやりとりするのが楽しいのに、実際会ってしまうと今までの関係が終わってしまう気がする。いくらアオが幻滅しないと言ってくれていても、それでもメル友関係が終わってしまったら……やだよ。
たしかに僕だってアオにあいたい。会ってみたい。けど、自信がもてないんだ。自分に。
ぼくは『ごめんなさい、やっぱりあえない』と一言だけ送り、返信が来るのが怖くて、そのままスマホの電源を切って鞄にしまった。ごめんなさい、アオ。
「すみません、レジお願いします」
コンビニに訪れていた客が飲み物をレジに持ってきていた。
いかんいかん。バイトに集中しなきゃまた店長に叱られちゃう。ただでさえ鈍くさくて失敗しまくりなのに、これ以上失敗したら本部にクレームきちゃう。
ぼくは仕事に集中しようとアオの事は考えないようにする。が、やっぱりスマホの事が気になって気になって仕方がない。きっとラインきているだろうけど、どのみち怖くてみれないし。でも気になってしまうこの矛盾に溜息。
アオはぼくの事幻滅したはずだ。なんてマイナス思考な奴なんだって。
もう愛想尽かせてラインしてくれないかもしれない。ブロックしたかもしれない。
そうぼんやり考えていたのがよくなかった。
「ちょっとぉ!これ全然温まってないんだけどぉ」
派手なギャルの女性客の声に僕ははっと我に返る。弁当を温めてくれとの要望にレンジに入れたつもりが、全然うごいていないまま取り出していたみたいで、自分の間抜けぶりに泣きたくなった。
「も、申し訳ございません。今すぐに……」
「はやくしてよ!あたしこれからデートなんだから、遅れたら弁当一つ温められないあんたのせいだって本部にクレーム入れてやるからね!」
そ、そんなァああー。
本部にクレーム入れられたら今度こそぼくクビかも……ううう。ただでさえ失敗しまくりだし。
ぼくは顔色が真っ青になった。
「おい、何してんだよ」
そこへ、金髪で背の高い美形の人が揉めている様子を見かねて店内に入ってきた。
わあ、カッコイイ人だなあ……ってアレ、この人どこかで見たような……あ!今日廊下で一瞬だけ目があった人……柏木先輩だ!
「それがねーこのボケ店員がコンビニ弁当しっかり温めてくんなかったのよぉ。デートの前に食べようと思ったのにさぁ~」
うう、そのボケ店員でごめんなさいと、心の中で謝罪するぼく。
ギャル系女性客は柏木先輩の顔を見るなり可愛い子ぶりっ子に豹変していて、その豹変ぶりにぼくは驚いた。女の子ってこういう時切り替え早いよね、イケメン相手に。
「ほんと、やんなっちゃう。どう思う?アオイ~」
女性客がアオイこと柏木先輩に同意を求めているように訊いた。
柏木先輩の下の名前ってアオイって名前なんだ。ぼく初めて知った……じゃなくて!悠長に相手の名前の事考えている場合じゃない!ど、ど、どうしよう。
「っせぇな……誰だって失敗する事くらいあんだろ。そんな小さい事でギャアギャア目くじら立てやがって面倒くせぇ女だな」
先輩がギャル系女性客に舌打ちをしている。もしかして、ぼくの事気にかけてフォロー言ってくれたのかな。
「えー…だってぇ、レンジでチンするくらい普通だれでもできるのにィ~忘れてたってマジあり得なくなーい?せっかくアオイとデートするのにこのチビへぼ店員のせいで遅れるとか超嫌なんだもん」
チビへぼ店員てぼくのコトデスカ。
たしかにチビでへぼですけど、さすがにそこまで言われたらちょっと泣きそうになってしまうかも。ああ、考えるだけでちょっと涙腺がこみ上げてくる。やばいなあ……こんな顔見られたくないからちょっと下向いておかないとっ。それにしてもぼくって男のくせに泣き虫で情けないや。
そんなギャル系女性客に柏木先輩はまた舌打ちをした。
「ウゼエ……だからお前みたいな性悪女と付き合うのは御免なんだよ。帰ってゲームしてた方がマシだ。お前と過ごすこと自体が時間の無駄だってな!」
柏木先輩は吐き捨てるようにそう言い放ち、店から出て行った。
「え、ちょ、ちょっとアオイー!?まってぇ」
女性客は買おうとしていた弁当をそのままに、柏木先輩の後を追うように行ってしまった。僕は追いかけるのも忘れて茫然と立ち尽くしていた。
い、いいのかな、これ。まあ、まだお金頂いてないけどさ。
その一時間後、ぼくが商品を棚に並べているとお客さんが来店した。
ぼくはいらっしゃいませーと震えた声で言い、お客さんの方を向くと、なんとそのお客さんは、
「さっきはあのクソ女が迷惑かけたな。ごめんな」
柏木先輩だった。え、もしかしてわざわざ謝りに来てくれたの?
「え……あ、あの……いえ、謝るのはぼくの方です。温めないでそのまま袋に入れちゃってたぼくが悪くて……」
ど、どうしよう。こんな格好いい人としゃべっていると緊張しちゃうなあ。
それに柏木先輩って不良みたいな外見だから威圧感あるし、無愛想だって噂で聞いた事あるからぼく苦手なタイプかもだし。けど、どうしてか思ったほど怖くは感じなくて、むしろ親近感をなぜか感じてて……アレ、ぼく何言ってるんだろう。親近感とかバカみたい。イケメンと平凡の世界を比べちゃだめなのに。
「おい」
「え……」
「おい、聞いているのか」
先輩の声にぼくはハッとした。
「は、はいぃ!ご、ごめんなさい。ぼく、緊張しちゃって……その、えと……」
ぼくは声が裏がっていた。だめだ。やっぱりこういう不良みたいな人と話していると怖いかも。別に柏木先輩は極悪不良ってわけじゃないのに、金髪だし、イケメンだしっ。
「そんな怯えるな。何もしねぇから」
「は、はいぃ……」
そうは言ってもやっぱり先輩相手だからっ。
「まあ、怯えてるお前の仕草とか可愛いけどな」
「え……?か、可愛いだなんてっ」
ぼくはかあっと赤くなる。そんな事アオ以外で初めて言われたッ。
「それにしてもお前……彼方って名前なんだな」
先輩は僕の制服についている名札を見て言った。
「は、はい……倉本彼方といいます。先輩は柏木……ですよね?」
「ああ。柏木蒼だ。アオイかアオってあだ名で呼ばれてるけどな」
「アオ……ですか」
ぼくはどきんとした。まさか、ね。そんなわけ……
「なあ彼方」
どうしてか先輩に名前で呼ばれるのが初めてじゃないような気がした。
「お前の好きな物ってなに?」
「え、好きな物ですか?」
「いいからはやく言えよ」
急かす先輩にぼくは慌てる。
「は、はい……えーと……ゲームですかね。特に最近発売したやつでお気に入りのホラーゲームがあって……」
「……そうか」
先輩は先ほどより優しい顔で微笑んでいた。わあ、イケメンは笑い方も綺麗で絵になるなァ。ぼく、ドキドキしちゃったよ。
そんな事を考えていると、別のお客さんが数人やってきた。いけね、仕事しなきゃ。
「すまない。バイト中に押しかけちまって」
「い、いいんですよ。ここ、あんまりお客さん来ないから楽ですし、暇ですから」
「そうか。なら、また来るよ。バイトがんばんな、彼方」
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