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第四話
しおりを挟むそして、現在。
私の元には、何の因果か、あの紅い髪の子供がいます。
まず、妹はすぐに本家から追い出され、あろうことか実家に帰ってきました。
本人は当然置いてもらえるものだと思っていたようですが、両親はこれを拒否。すると怒った妹は、子供をお荷物呼ばわりしたあげくに無理矢理置いていってしまいました。
それからの彼女の行方は誰も知りません。まあ、ろくな人生を送ってはいないでしょうね。
そして、今回の大醜聞ですっかり権威をなくしたレイブン家は、そのまま没落。
ですが、私の実家は、父が独自にコツコツ貯めていた蓄えを元手に、バロック様の力を借りながら事業を始め、どうにか商家としての新たな一歩を踏み出しました。
そして妹が置いていった子供は、私の提案にバロック様が賛同する形で、私たちが引き取ることにしたのです。
子供に罪はありませんし、ランスロット卿とは何の血縁もありませんでしたが、私の甥っ子であるという事実は、何も変わっていませんしね。
この子はその出自などお構いなしに、とても賢く、優しい子に育っています。
元々私だって、自分の子供はほしかった。でも、もうそのために努力するのはうんざりでした。だから、この子には自分の子のように、いや自分の子そのものとして、目一杯の愛情をかけているつもりです。
fin.
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というか、この世界では不妊治療って無い世界なんですか?⁝(ृòωó ृ )ु⁝
感想ありがとうございます!
不妊治療、現実でも伝統的な家系だったりすると否定的な見方をする方が多い気がします。
この世界にもあるにはあるのかもしれませんが、現代日本ほど普及していないのではないでしょうか。
法華さんの作品は本当にサクサク読めて好きです。
長いとどうしても飽きちゃったりするので。
引き取った子供が良い子になりそうでなによりです。
実の親がろくでなしでも、環境と教育次第という事ですよね。
あと、第三話に誤字を見つけました。
【つまり、経歴も柄も悪い~】の段落中で【“妹”の幸せをそっくりそのまま奪ってしまえる~】とありますが、たぶん【“姉”の幸せを~】ではないでしょうか。
感想ありがとうございます!とてもうれしいお言葉です。
誤字の指摘もありがとうございます。直しておきますね。
妹の遊び仲間の本当の父親も、アッサリ白状したわりに子供は引き取らなかったんですね…。でも、その方が子供にとって幸せかもしれませんね。
感想ありがとうございます!
ろくでもない男ひとりに育てられていたら、子供の人生はまったく違うものになっていたでしょうね。