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第三話
~カイン視点~
ダイノス家に届いた一通の手紙。
差出人は、リナだった。正直、予想外だ。今までと同じように、あいつは結局泣き寝入りするものだと思っていたから。
とはいえ、だ。
あいつが今更何を言ったところで、何も変わらない。何せ、俺の親も、あいつの親さえもが、リナは男と駆け落ちした悪女であると信じているのだから。
俺はそう思って、半ば嘲笑しながら、その手紙の内容を皆の前で朗読し始めた。
「『皆様、ご無沙汰しております。リナ=サラマンダーです。はじめに、私の今の状況をお伝えします......』」
そんな書き出しで始まった手紙は、この手紙が届くころにはリナは氷の国にいるであろうこと、向こうの貴族筋に若干のつてがあり、そちらに身を寄せるつもりであることなどを語り出した。
「『私はもう二度と、あなた方と顔を合わせることはありません。なぜなら、あなた方が、此度のような浅はかな嘘八百に騙され、疑いもせず私を貶めるような方々だからです』」
手紙は、そう続く。
「ふん、嘘つきはどっちだ」
俺は皆にも聞こえるように大きな声で言った。今この場にいないリナと、この場にいる俺。どちらの言葉に説得力があるかなど、火を見るより明らかだ。
「『まず、私が男性と駆け落ちしたという話。これは、真っ赤な嘘です。ちょっと考えればわかるはずです、駆け落ちするなら、なぜこのタイミングなのでしょう?こんなにあからさまに姿を消せば、お金がふいになるのは目に見えています。それどころか、こっちが慰謝料を請求される恐れもある。男と逃げるなら、もっと早く逃げています。......私は、そこにいるであろう、カインと約束したのです。私の失踪は、彼が臨んだことである。そう、両親にはっきり伝えると。彼がその約束を破ったから、失踪のタイミングは不合理なものになりました』......冗談じゃない、このアバズレが!俺はそんな約束などした覚えはない。お前が一方的に、俺と結婚したくなくて逃げただけだろうが!」
俺は激高した演技をしながら、内心かなり焦っていた。
彼女の論理は正当性がある。押し切れるか?一抹の不安がよぎる。
「『次に、私の成績がナーラを脅して手に入れたものだという件。これもおかしな話です。私は、彼女と顔を合わせたことすらない。私は学校ではずっと特進クラスにいました。彼女は普通クラスだったのでは?だとしたら、テスト問題も違う、教室も違う、どうやってカンニングすることができるというのでしょう?それでも疑うなら、今すぐに彼女に大魔道法院の筆記試験でも受けさせてみればいい。果たして何点とれるでしょうかね』」
読みながら、俺は自分の顔が青くなっていくのを感じた。
声が震え、か細くなる。見かねた父親が、俺から手紙をひったくった。
「『では、なぜ彼女はこのような嘘をついたのか。それは、彼女がカインの計画に加担している......いや、むしろ、彼女こそが計画の主犯だったからに違いありません』」
その場にいた全員が、ナーラのほうを見た。
一斉に視線を向けられたナーラの足がすくむ。助けてやらなければ、そう思う一方で、俺は違和感を感じてもいた。
ナーラが主犯?いったい、どういうことだ。計画を考え、持ちかけたのは、俺の方だぞ。
ダイノス家に届いた一通の手紙。
差出人は、リナだった。正直、予想外だ。今までと同じように、あいつは結局泣き寝入りするものだと思っていたから。
とはいえ、だ。
あいつが今更何を言ったところで、何も変わらない。何せ、俺の親も、あいつの親さえもが、リナは男と駆け落ちした悪女であると信じているのだから。
俺はそう思って、半ば嘲笑しながら、その手紙の内容を皆の前で朗読し始めた。
「『皆様、ご無沙汰しております。リナ=サラマンダーです。はじめに、私の今の状況をお伝えします......』」
そんな書き出しで始まった手紙は、この手紙が届くころにはリナは氷の国にいるであろうこと、向こうの貴族筋に若干のつてがあり、そちらに身を寄せるつもりであることなどを語り出した。
「『私はもう二度と、あなた方と顔を合わせることはありません。なぜなら、あなた方が、此度のような浅はかな嘘八百に騙され、疑いもせず私を貶めるような方々だからです』」
手紙は、そう続く。
「ふん、嘘つきはどっちだ」
俺は皆にも聞こえるように大きな声で言った。今この場にいないリナと、この場にいる俺。どちらの言葉に説得力があるかなど、火を見るより明らかだ。
「『まず、私が男性と駆け落ちしたという話。これは、真っ赤な嘘です。ちょっと考えればわかるはずです、駆け落ちするなら、なぜこのタイミングなのでしょう?こんなにあからさまに姿を消せば、お金がふいになるのは目に見えています。それどころか、こっちが慰謝料を請求される恐れもある。男と逃げるなら、もっと早く逃げています。......私は、そこにいるであろう、カインと約束したのです。私の失踪は、彼が臨んだことである。そう、両親にはっきり伝えると。彼がその約束を破ったから、失踪のタイミングは不合理なものになりました』......冗談じゃない、このアバズレが!俺はそんな約束などした覚えはない。お前が一方的に、俺と結婚したくなくて逃げただけだろうが!」
俺は激高した演技をしながら、内心かなり焦っていた。
彼女の論理は正当性がある。押し切れるか?一抹の不安がよぎる。
「『次に、私の成績がナーラを脅して手に入れたものだという件。これもおかしな話です。私は、彼女と顔を合わせたことすらない。私は学校ではずっと特進クラスにいました。彼女は普通クラスだったのでは?だとしたら、テスト問題も違う、教室も違う、どうやってカンニングすることができるというのでしょう?それでも疑うなら、今すぐに彼女に大魔道法院の筆記試験でも受けさせてみればいい。果たして何点とれるでしょうかね』」
読みながら、俺は自分の顔が青くなっていくのを感じた。
声が震え、か細くなる。見かねた父親が、俺から手紙をひったくった。
「『では、なぜ彼女はこのような嘘をついたのか。それは、彼女がカインの計画に加担している......いや、むしろ、彼女こそが計画の主犯だったからに違いありません』」
その場にいた全員が、ナーラのほうを見た。
一斉に視線を向けられたナーラの足がすくむ。助けてやらなければ、そう思う一方で、俺は違和感を感じてもいた。
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