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12話
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偽の証拠が崩れ去り、ハイルとイザベラの顔色が目に見えて悪くなっていく。会場の空気は、彼らへの疑惑と私への同情へと完全に傾いていた。招待客たちの囁き声が、もはや隠そうともせず彼らの耳に届いているだろう。
だが、私の反撃はまだ終わらない。これは防戦ではない。彼らの罪を白日の下に晒し、断罪するための戦いだ。
「ハイル様。あなたこそ、婚約者であるわたくしを差し置いて、長年にわたり、すぐそこにいらっしゃるイザベラ姉様と不適切な関係を続けていらっしゃいましたわね?」
私の言葉に、ハイルとイザベラが息をのむ。
「な、何を馬鹿なことを……! 僕とイザベラは、ただの義理の兄妹だ! 君は、自分の罪から目をそらすために、我々を貶めるつもりか!」
「そうですわ! サラ、あなた、気でも狂ったの!?」
必死で取り繕う二人を、私は冷ややかに見つめた。その狼狽ぶりは、何よりの証拠だった。
「では、お尋ねしますが。去年の国王陛下の誕生日を祝う夜会、お二人はバルコニーで何を話しておいででしたか?」
私の問いに、二人の顔から表情が消えた。彼らは、あの夜の密談を、まさか私が聞いているとは思ってもいなかっただろう。
「覚えていらっしゃらないようですので、わたくしの記憶を元に、再現して差し上げましょうか」
私は、集まった貴族たちによく聞こえるように、はっきりとした声で言った。その声は、自分でも驚くほど冷たく響いた。
「あなたはイザベラ姉様にこう仰いましたわね。『サラの持参金さえ手に入れば、あんな女はすぐに修道院送りだ』と。そして姉様はこうお答えになった。『まあ、素敵! そうしたら、わたくしがハイル様の公爵妃になってさしあげますわ』と」
その言葉は、爆弾となって会場に炸裂した。貴族たちの間に、驚愕と軽蔑のどよめきが広がる。
ハイルの顔は青を通り越して、土気色になっていた。イザベラは「ひっ」と短い悲鳴を上げて、口元を覆っている。
「そ、そんな……そんな会話、した覚えはない……! 君の妄想だ!」
「そうですか? では、その三週間後、観劇の帰りに立ち寄った宝飾店では? あなたは姉様に、わたくしの母の形見であるサファイアの首飾りを贈ると約束なさいました。わたくしが成人したら譲られるはずの、あの首飾りを。『あんな地味な女には似合わない。君のような華やかな女性こそが持つべきだ』と、そう言って」
「一昨年の狩猟大会では? 落馬したわたくしを助けにも来ず、二人で森の奥に消えていかれましたわね。あなたがたが戻ってきた時、イザベラ姉様の髪には、森の木の葉がついておりましたわ」
私は、完璧な記憶力で、次から次へと彼らの密会の日時、場所、そして交わされた会話の内容まで、正確に暴露していく。それはもはや、ただの告発ではなかった。彼らの罪を一つひとつ数え上げ、突きつける、記憶という名の鋭い刃だった。
彼らが交わした愛の囁きも、私を貶める悪辣な計画も、すべてが私の脳に記録されている。その事実が、何よりの恐怖となって彼らを打ちのめしていた。
「……もう、お分かりでしょう?」
私は、震えて立ち尽くすハイルを見据えて、静かに告げた。
「あなた方の嘘も、欺瞞も、悪意も、その一つひとつを、わたくしは決して忘れないのです」
私の言葉は、彼らへの死刑宣告のように、静まり返った庭園に響き渡った。
だが、私の反撃はまだ終わらない。これは防戦ではない。彼らの罪を白日の下に晒し、断罪するための戦いだ。
「ハイル様。あなたこそ、婚約者であるわたくしを差し置いて、長年にわたり、すぐそこにいらっしゃるイザベラ姉様と不適切な関係を続けていらっしゃいましたわね?」
私の言葉に、ハイルとイザベラが息をのむ。
「な、何を馬鹿なことを……! 僕とイザベラは、ただの義理の兄妹だ! 君は、自分の罪から目をそらすために、我々を貶めるつもりか!」
「そうですわ! サラ、あなた、気でも狂ったの!?」
必死で取り繕う二人を、私は冷ややかに見つめた。その狼狽ぶりは、何よりの証拠だった。
「では、お尋ねしますが。去年の国王陛下の誕生日を祝う夜会、お二人はバルコニーで何を話しておいででしたか?」
私の問いに、二人の顔から表情が消えた。彼らは、あの夜の密談を、まさか私が聞いているとは思ってもいなかっただろう。
「覚えていらっしゃらないようですので、わたくしの記憶を元に、再現して差し上げましょうか」
私は、集まった貴族たちによく聞こえるように、はっきりとした声で言った。その声は、自分でも驚くほど冷たく響いた。
「あなたはイザベラ姉様にこう仰いましたわね。『サラの持参金さえ手に入れば、あんな女はすぐに修道院送りだ』と。そして姉様はこうお答えになった。『まあ、素敵! そうしたら、わたくしがハイル様の公爵妃になってさしあげますわ』と」
その言葉は、爆弾となって会場に炸裂した。貴族たちの間に、驚愕と軽蔑のどよめきが広がる。
ハイルの顔は青を通り越して、土気色になっていた。イザベラは「ひっ」と短い悲鳴を上げて、口元を覆っている。
「そ、そんな……そんな会話、した覚えはない……! 君の妄想だ!」
「そうですか? では、その三週間後、観劇の帰りに立ち寄った宝飾店では? あなたは姉様に、わたくしの母の形見であるサファイアの首飾りを贈ると約束なさいました。わたくしが成人したら譲られるはずの、あの首飾りを。『あんな地味な女には似合わない。君のような華やかな女性こそが持つべきだ』と、そう言って」
「一昨年の狩猟大会では? 落馬したわたくしを助けにも来ず、二人で森の奥に消えていかれましたわね。あなたがたが戻ってきた時、イザベラ姉様の髪には、森の木の葉がついておりましたわ」
私は、完璧な記憶力で、次から次へと彼らの密会の日時、場所、そして交わされた会話の内容まで、正確に暴露していく。それはもはや、ただの告発ではなかった。彼らの罪を一つひとつ数え上げ、突きつける、記憶という名の鋭い刃だった。
彼らが交わした愛の囁きも、私を貶める悪辣な計画も、すべてが私の脳に記録されている。その事実が、何よりの恐怖となって彼らを打ちのめしていた。
「……もう、お分かりでしょう?」
私は、震えて立ち尽くすハイルを見据えて、静かに告げた。
「あなた方の嘘も、欺瞞も、悪意も、その一つひとつを、わたくしは決して忘れないのです」
私の言葉は、彼らへの死刑宣告のように、静まり返った庭園に響き渡った。
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