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竜之助の身の上話 四
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「ひいい! 賊の次は物の怪か! 食わないでくれー!」
青ざめた顔の侍が腰を抜かす。いよいよ死を覚悟し断末魔を上げる。
「食わねえよ! 女ならともかくな!」
竜之助に男色の気はない。
「貴様ぁ! よくも親父を!」
侍たちが動揺する中、賊たちは竜之助に殺意を向ける。
「おっと案外慕われていたんだな。そいつは悪いことをした」
「今更謝ったところでもう遅い!」
賊の一人が刀を縦に振る。
竜之助は避けなかった。
「……勘違いするなよ」
避けずに指二本で刃を受け止める。
「後悔も、反省もしねえよ!」
刀を取り上げて切りかかってきた賊の腹を足の裏で蹴る。
「っ……!?」
蹴られた男は嘔吐しながら蹲る。
「ふむ、拾い物にしては悪くない刀だ」
竜之助はしげしげと奪った刀の出来を評価する。
「か、かえせ、親父の形見……!」
「そうか。ならばあの世で礼を言っておいてくれ」
「な、なにを……」
しゅぱっ……!
男の首の隙間から血と嘔吐物が零れ落ちる。
「あ……あぁ……」
顔を真っ赤にして殺意をむき出しにしていた賊たちは、理解不能の強さ、未知の恐怖を前に完全に戦意を喪失をしていた。失禁をしている者もいた。
「……切れ味も悪くねえな」
たった今人を斬った刀は、恐ろしいことに血糊の類は付着していない。
「ば、化け物だ……化け物に違いねえ……!」
「にげろ! にげろ! お頭に助けを求めるんだ!」
賊たちは尻尾を巻いて逃げていった。
青ざめた顔の侍が腰を抜かす。いよいよ死を覚悟し断末魔を上げる。
「食わねえよ! 女ならともかくな!」
竜之助に男色の気はない。
「貴様ぁ! よくも親父を!」
侍たちが動揺する中、賊たちは竜之助に殺意を向ける。
「おっと案外慕われていたんだな。そいつは悪いことをした」
「今更謝ったところでもう遅い!」
賊の一人が刀を縦に振る。
竜之助は避けなかった。
「……勘違いするなよ」
避けずに指二本で刃を受け止める。
「後悔も、反省もしねえよ!」
刀を取り上げて切りかかってきた賊の腹を足の裏で蹴る。
「っ……!?」
蹴られた男は嘔吐しながら蹲る。
「ふむ、拾い物にしては悪くない刀だ」
竜之助はしげしげと奪った刀の出来を評価する。
「か、かえせ、親父の形見……!」
「そうか。ならばあの世で礼を言っておいてくれ」
「な、なにを……」
しゅぱっ……!
男の首の隙間から血と嘔吐物が零れ落ちる。
「あ……あぁ……」
顔を真っ赤にして殺意をむき出しにしていた賊たちは、理解不能の強さ、未知の恐怖を前に完全に戦意を喪失をしていた。失禁をしている者もいた。
「……切れ味も悪くねえな」
たった今人を斬った刀は、恐ろしいことに血糊の類は付着していない。
「ば、化け物だ……化け物に違いねえ……!」
「にげろ! にげろ! お頭に助けを求めるんだ!」
賊たちは尻尾を巻いて逃げていった。
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