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第3章
14.『星野家の十字架』
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「まずは、俺が持っているこの十字架に注目して欲しい。特になごみちゃんに。」
「はい、しかと視界に捕らえています。」
珍しく真剣な表情で蒼は十字架を手に握り、その場にいる皆に見せつける。
色は深海を連想させる綺麗な紺。蒼自身の髪色でもある。
「お兄様、説明できる?説明下手だったらなごみちゃんに伝わんないよ?」
「余計なお世話だ。俺だって多少の国語力はある!」
「大丈夫!分かりにくい説明だったら私、茜が_____」
「何奴も此奴もうるせえ!黙って聞いてろ!!」
「「ハーイ。」」
茶々を入れた雪実と茜は同時に威勢のいい返事をすると、すぐ様真剣な顔付きになる。
その様子に呆れて嘆息しながらも、やや緊張気味であった蒼は気持ちを落ち着かせながら説明に取り掛かった。
「この十字架は、星野家内でしか支給されない物だ。つまり、他の店では売られてもいないし、何処の家に行ってもこの十字架は無い事を把握して欲しい。」
「オリジナルって事ですね。把握しました。」
「よし。」
自分の説明で相手にわかってもらえて嬉しいという感情がこみ上げる。
すると思わず、心の内で隠していた物が台詞として出てしまっていた。ニヤニヤと雪実やら茜、更には永陽まで笑いを堪えている。
態とらしく咳払いをしてから、説明を再開する。
「俺の持っている十字架は紺色。これは個々の魔力のオーラを示しているんだ。雪実と茜の十字架の色も是非見て欲しい。」
言われた通り、色素の薄い銀色の瞳を見開いて。
最初に胸元でぶら下げられた雪実の十字架を見て、次にずいと自分のを胸の前に出してくれた茜の十字架を見る。
「茜ちゃんは黄緑色、雪実ちゃんのは空色をしていますね。」
「ああ。厳密に言えば緑色と水色だ。」
間髪入れずに蒼は、なごみの意見に指摘を入れた。
その様を見守る雪実はすぐ様、指摘した意味がわかったのだろう、口の端を少しばかり釣らせる。
勿論、それに反論をする者もいた。
その者は不満そうに蒼に近づき、ぐいっと緑色もしくは黄緑色の十字架を、否が応でも見せつける。
「蒼くん、それじゃ納得行かないわ。私は星野家の人間だけれど、十字架のシステムまでは分からない。だから聞かせて頂戴。なごみちゃんの色の識別具合は尊敬に値するものだわ。どうしてそう大雑把に区別する必要があるのかしら?」
そこには不思議にも、先程の雰囲気とは全く違った茜が蒼の目前、反論してきたのだ。
なごみは戸惑ってしまい、顔を強ばらせる。
「茜に乗り移ったのか…。おう、安心してくれよ。そこもちゃんと説明するぜ。」
一瞬の事で蒼も一時的に混乱はしたが、一気に事情が分かれば茜に_____いや、茜ではない何かに語りかけた。
雪実も事情はちゃんと察するが、警戒状態のなごみに教えるべきか、幾度か迷った。
しかし、ここは敢えて言わないようにするのが賢明だろうと判断し、蒼とアイコンタクトで続きを説明するよう促した。
「破天荒なお嬢様だ。」と冗談めかしにやれやれ、と言った様子で見せつけられた十字架を手に取る。
「まあ、俺が敢えて大雑把に区別したのはパターンを増やさないため、っていう私的理由だな。今は俺が説明してるからな。俺基準で行かせてもらう。」
「そのパターンとは、一体何かしらね。」
今や茜ならざる者は、蒼の言葉一つ一つに敏感になっているようだ。
この調子だと、不審な事・分からない事があればすぐに指摘して来るだろう。
しかし蒼は何でも来いとでもいう表情で、楽しげに鼻を鳴らす。
「なごみちゃん、気にしないで話だけ聞いていてね。」
「うん。ありがとう雪実ちゃん。」
なごみの強ばった表情は既に消え去っており、通常通りの穏やかな表情へと戻っていた。
「はい、しかと視界に捕らえています。」
珍しく真剣な表情で蒼は十字架を手に握り、その場にいる皆に見せつける。
色は深海を連想させる綺麗な紺。蒼自身の髪色でもある。
「お兄様、説明できる?説明下手だったらなごみちゃんに伝わんないよ?」
「余計なお世話だ。俺だって多少の国語力はある!」
「大丈夫!分かりにくい説明だったら私、茜が_____」
「何奴も此奴もうるせえ!黙って聞いてろ!!」
「「ハーイ。」」
茶々を入れた雪実と茜は同時に威勢のいい返事をすると、すぐ様真剣な顔付きになる。
その様子に呆れて嘆息しながらも、やや緊張気味であった蒼は気持ちを落ち着かせながら説明に取り掛かった。
「この十字架は、星野家内でしか支給されない物だ。つまり、他の店では売られてもいないし、何処の家に行ってもこの十字架は無い事を把握して欲しい。」
「オリジナルって事ですね。把握しました。」
「よし。」
自分の説明で相手にわかってもらえて嬉しいという感情がこみ上げる。
すると思わず、心の内で隠していた物が台詞として出てしまっていた。ニヤニヤと雪実やら茜、更には永陽まで笑いを堪えている。
態とらしく咳払いをしてから、説明を再開する。
「俺の持っている十字架は紺色。これは個々の魔力のオーラを示しているんだ。雪実と茜の十字架の色も是非見て欲しい。」
言われた通り、色素の薄い銀色の瞳を見開いて。
最初に胸元でぶら下げられた雪実の十字架を見て、次にずいと自分のを胸の前に出してくれた茜の十字架を見る。
「茜ちゃんは黄緑色、雪実ちゃんのは空色をしていますね。」
「ああ。厳密に言えば緑色と水色だ。」
間髪入れずに蒼は、なごみの意見に指摘を入れた。
その様を見守る雪実はすぐ様、指摘した意味がわかったのだろう、口の端を少しばかり釣らせる。
勿論、それに反論をする者もいた。
その者は不満そうに蒼に近づき、ぐいっと緑色もしくは黄緑色の十字架を、否が応でも見せつける。
「蒼くん、それじゃ納得行かないわ。私は星野家の人間だけれど、十字架のシステムまでは分からない。だから聞かせて頂戴。なごみちゃんの色の識別具合は尊敬に値するものだわ。どうしてそう大雑把に区別する必要があるのかしら?」
そこには不思議にも、先程の雰囲気とは全く違った茜が蒼の目前、反論してきたのだ。
なごみは戸惑ってしまい、顔を強ばらせる。
「茜に乗り移ったのか…。おう、安心してくれよ。そこもちゃんと説明するぜ。」
一瞬の事で蒼も一時的に混乱はしたが、一気に事情が分かれば茜に_____いや、茜ではない何かに語りかけた。
雪実も事情はちゃんと察するが、警戒状態のなごみに教えるべきか、幾度か迷った。
しかし、ここは敢えて言わないようにするのが賢明だろうと判断し、蒼とアイコンタクトで続きを説明するよう促した。
「破天荒なお嬢様だ。」と冗談めかしにやれやれ、と言った様子で見せつけられた十字架を手に取る。
「まあ、俺が敢えて大雑把に区別したのはパターンを増やさないため、っていう私的理由だな。今は俺が説明してるからな。俺基準で行かせてもらう。」
「そのパターンとは、一体何かしらね。」
今や茜ならざる者は、蒼の言葉一つ一つに敏感になっているようだ。
この調子だと、不審な事・分からない事があればすぐに指摘して来るだろう。
しかし蒼は何でも来いとでもいう表情で、楽しげに鼻を鳴らす。
「なごみちゃん、気にしないで話だけ聞いていてね。」
「うん。ありがとう雪実ちゃん。」
なごみの強ばった表情は既に消え去っており、通常通りの穏やかな表情へと戻っていた。
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