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第3章
18.『新たなる真実』
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「私は……最初から、その十字架の仕様を知っていました。…いや、厳密に言えば永陽さんの口から漏れた重大な人物の名を耳にして……ようやくジグソーパズルのピースが見つかって、空白が埋まった感覚に陥りました。」
「どういう事…?なごみちゃんが、星野家の十字架の仕様を知っていたって……。それに、重大な人物って…」
凛とした表情でなごみは蒼から離れ、一歩前へと出た。
それは、永陽との距離がさらに縮まることを意味する。
近づかれた永陽はというと、幽霊と対峙したかのように怖気付いている。……これから何か言おうとする事に薄々勘づいていての態度なのだろうか。
「……永陽さんが先程口にしていた星野満聖さんは、私が知る限りの情報ですと、“当時巷で有名だった看板娘の治らない病気を、旧友と協力し合って治した偉大なる魔術師”だったと…聞いています。」
「なんでそれを知って…」
問うた雪実の声が若干震えた。
確かに、『星野満聖』は偉大なる魔術師だ。蒼、雪実、永陽それに茜……星野家の血筋を引く者なら知っていて当然だ。
しかしなごみは星野家ではなく祀杞家の娘の筈。星野家以外の者にはそこまでの細かな情報は知られていない。何故その情報を彼女が知っているのか。
「その看板娘さんが、後に星野満聖さんの奥様になったというのも、お聞きしております。」
「待て、待て待て。もうわかった、なごみちゃんが俺達のじいちゃんの事を知っている事は。……だけど、それは誰から聞いたんだ?じいちゃんの知り合いじゃなきゃわからないよな、それ。」
蒼が首を傾げ謎めいている横で、永陽は一つ小さなため息をついた。
「すっかり忘れていたわ。……なごみちゃんの所の祀杞家と、星野家は二代前に関わりがあったのだという事をね。」
その言葉を聞いた雪実は茶と黄色のグラデーションのかかった瞳をこれ程かとまでに見開く。
そうだ、祀杞家と星野家には古い関わりがあるとなごみは初めの頃に言っていた。……だとすれば後は簡単である。何故なごみが事細かな星野家の情報を耳にしているのか。
「私のじいじ……いえ、何でもありません。祖父である『祀杞正門』は、星野満聖さんの唯一の旧友、だったそうです。」
これまで決して星野満聖から明かされることのなかった真実。
新たな関係者の名を初めて耳にした蒼と雪実は、暫く唖然としていた。
「どういう事…?なごみちゃんが、星野家の十字架の仕様を知っていたって……。それに、重大な人物って…」
凛とした表情でなごみは蒼から離れ、一歩前へと出た。
それは、永陽との距離がさらに縮まることを意味する。
近づかれた永陽はというと、幽霊と対峙したかのように怖気付いている。……これから何か言おうとする事に薄々勘づいていての態度なのだろうか。
「……永陽さんが先程口にしていた星野満聖さんは、私が知る限りの情報ですと、“当時巷で有名だった看板娘の治らない病気を、旧友と協力し合って治した偉大なる魔術師”だったと…聞いています。」
「なんでそれを知って…」
問うた雪実の声が若干震えた。
確かに、『星野満聖』は偉大なる魔術師だ。蒼、雪実、永陽それに茜……星野家の血筋を引く者なら知っていて当然だ。
しかしなごみは星野家ではなく祀杞家の娘の筈。星野家以外の者にはそこまでの細かな情報は知られていない。何故その情報を彼女が知っているのか。
「その看板娘さんが、後に星野満聖さんの奥様になったというのも、お聞きしております。」
「待て、待て待て。もうわかった、なごみちゃんが俺達のじいちゃんの事を知っている事は。……だけど、それは誰から聞いたんだ?じいちゃんの知り合いじゃなきゃわからないよな、それ。」
蒼が首を傾げ謎めいている横で、永陽は一つ小さなため息をついた。
「すっかり忘れていたわ。……なごみちゃんの所の祀杞家と、星野家は二代前に関わりがあったのだという事をね。」
その言葉を聞いた雪実は茶と黄色のグラデーションのかかった瞳をこれ程かとまでに見開く。
そうだ、祀杞家と星野家には古い関わりがあるとなごみは初めの頃に言っていた。……だとすれば後は簡単である。何故なごみが事細かな星野家の情報を耳にしているのか。
「私のじいじ……いえ、何でもありません。祖父である『祀杞正門』は、星野満聖さんの唯一の旧友、だったそうです。」
これまで決して星野満聖から明かされることのなかった真実。
新たな関係者の名を初めて耳にした蒼と雪実は、暫く唖然としていた。
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