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第3章 この猫、魔法使いで探索者!
第68話 猫のアレルギーと理解するということ
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「ねぇ、アリスさん。魔法以外では何が得意?」
「そうですねぇ……一応実家は仕立て屋でして、お店の手伝いはやったことありますけど……恥ずかしながら私、毛糸が苦手なんですよ」
「毛糸が苦手?」
……猫なのに? とは思っちゃいけない、思っちゃいけない……。
「私、毛糸に触れると、どういうわけか咳き込んじゃったり、目が赤くなったりするんです」
「あーなんかのアレルギーかな?」
「あれるぎー? ってなんですか?」
そっか、アレルギーを知らないのか。
関係ないけど、アレルギーって概念ができたのはここ最近だって言われているらしい。
異世界でもアレルギーがあるのは驚きだ……やっぱりどの世界にもそういうのはあるのだろうか?
「えーっとね、特定のもの……アリスさんで言えば毛糸の素材が体質に合わなくて、体が無意識に拒否反応を起こしてるんだよ」
うーん、アレルギーの説明ってこれであってるのかな? 間違っていないとは思うけど……。
アリスさんは……納得したのか、顔が緩んでいた。
「拒否反応……ですか、なんか、面白いですね!」
「お、面白い?」
アレルギーって自分の体の異常みたいなものなのに? 私も食べ物でアレルギー持ってるけど、面白いとは感じなかったなぁ、むしろ鬱陶しいとか、嫌だって気持ちが強い。
「いや、アリスさん。これのせいでみんなと同じものが食べられなかったり、皆は触れられるのに自分は触れられないとかあって、コンプレックス……鬱陶しく感じない?」
「だって、私の体が、私を守るためにそういうことを引き起こしているんですよね?」
「まぁ……そうなのかな?」
これに関しては専門外なので一概にそうとは言えない気がするけど……。
「私の体を守るために、無意識にそういうことを引き起こしている……確かに、瑠璃さんの言う通り、鬱陶しいとずっと思っていましたけど、今理由を聞くと、面白く感じるものですね!」
「……」
理由を聞くと、面白く感じる……か。
「私の体……今まで嫌な気持ちになってごめんね。私のために守ってくれていたんだね……」
アリスさんは自分の体を撫で……慰めているようだった。
……アリスさんから学ぶことはとても多い。
どんなに鬱陶しく感じても、嫌な気持ちになっても、理由を理解して、それに納得する……。
……そう考えると、私も、あのチャラい集団を理解してあげるべきなのだろうか?
本人が気にしていないとはいえ、彼らが行ったのは人種差別、でも彼らはそれが人種差別であることを理解していない……自分たちが面白いと思ったからそれをやった。
アリスさんが彼らを元気づけたとき……彼らはとても申し訳なさそうにしていた、つまり、自分たちがやったことがみっともないことだと理解したんだ。
あいつらは正直今でも許せないけど……理解はしてあげるべきなのかな?
「……瑠璃さん!」
「ど、どうしたの!?」
アリスさんが私の鎧を軽くたたき、前へと指を差した。
「あれは……ダンジョンボスです!」
「あ、あれが!?」
指を差した先に見えたのは……バカでかい黒いスライムだった。
「流石に2人であれを倒すのは無理ですね……違う人が来るまで待った方がよさそうです……」
……待つ? いや、そんな時間はない。
「……大丈夫」
「る、瑠璃さん? だ、ダメですよ! 1人で行ったら……」
私はアリスさんの警告を無視して、前へと進んだ。
「待っている時間はない、これで行く」
「こ、これって……どれですか?」
「……これのこと!」
私は巨大化アプリを起動し……カードをかざした。
<巨大化 ヒューマン>
腕輪にそんな表示が出現し、私は……巨大な戦士となった。
「る、瑠璃さん!? 瑠璃さんが……大きく……」
「アリスさん! 端に隠れてて!」
「は、はい!!」
スライムは戦闘態勢に入ったのか、私に向かってくる……。
3回目でまだちょっと怖いけど……やってやる!
「……さぁ、かかってこい! 私が相手だ!」
「そうですねぇ……一応実家は仕立て屋でして、お店の手伝いはやったことありますけど……恥ずかしながら私、毛糸が苦手なんですよ」
「毛糸が苦手?」
……猫なのに? とは思っちゃいけない、思っちゃいけない……。
「私、毛糸に触れると、どういうわけか咳き込んじゃったり、目が赤くなったりするんです」
「あーなんかのアレルギーかな?」
「あれるぎー? ってなんですか?」
そっか、アレルギーを知らないのか。
関係ないけど、アレルギーって概念ができたのはここ最近だって言われているらしい。
異世界でもアレルギーがあるのは驚きだ……やっぱりどの世界にもそういうのはあるのだろうか?
「えーっとね、特定のもの……アリスさんで言えば毛糸の素材が体質に合わなくて、体が無意識に拒否反応を起こしてるんだよ」
うーん、アレルギーの説明ってこれであってるのかな? 間違っていないとは思うけど……。
アリスさんは……納得したのか、顔が緩んでいた。
「拒否反応……ですか、なんか、面白いですね!」
「お、面白い?」
アレルギーって自分の体の異常みたいなものなのに? 私も食べ物でアレルギー持ってるけど、面白いとは感じなかったなぁ、むしろ鬱陶しいとか、嫌だって気持ちが強い。
「いや、アリスさん。これのせいでみんなと同じものが食べられなかったり、皆は触れられるのに自分は触れられないとかあって、コンプレックス……鬱陶しく感じない?」
「だって、私の体が、私を守るためにそういうことを引き起こしているんですよね?」
「まぁ……そうなのかな?」
これに関しては専門外なので一概にそうとは言えない気がするけど……。
「私の体を守るために、無意識にそういうことを引き起こしている……確かに、瑠璃さんの言う通り、鬱陶しいとずっと思っていましたけど、今理由を聞くと、面白く感じるものですね!」
「……」
理由を聞くと、面白く感じる……か。
「私の体……今まで嫌な気持ちになってごめんね。私のために守ってくれていたんだね……」
アリスさんは自分の体を撫で……慰めているようだった。
……アリスさんから学ぶことはとても多い。
どんなに鬱陶しく感じても、嫌な気持ちになっても、理由を理解して、それに納得する……。
……そう考えると、私も、あのチャラい集団を理解してあげるべきなのだろうか?
本人が気にしていないとはいえ、彼らが行ったのは人種差別、でも彼らはそれが人種差別であることを理解していない……自分たちが面白いと思ったからそれをやった。
アリスさんが彼らを元気づけたとき……彼らはとても申し訳なさそうにしていた、つまり、自分たちがやったことがみっともないことだと理解したんだ。
あいつらは正直今でも許せないけど……理解はしてあげるべきなのかな?
「……瑠璃さん!」
「ど、どうしたの!?」
アリスさんが私の鎧を軽くたたき、前へと指を差した。
「あれは……ダンジョンボスです!」
「あ、あれが!?」
指を差した先に見えたのは……バカでかい黒いスライムだった。
「流石に2人であれを倒すのは無理ですね……違う人が来るまで待った方がよさそうです……」
……待つ? いや、そんな時間はない。
「……大丈夫」
「る、瑠璃さん? だ、ダメですよ! 1人で行ったら……」
私はアリスさんの警告を無視して、前へと進んだ。
「待っている時間はない、これで行く」
「こ、これって……どれですか?」
「……これのこと!」
私は巨大化アプリを起動し……カードをかざした。
<巨大化 ヒューマン>
腕輪にそんな表示が出現し、私は……巨大な戦士となった。
「る、瑠璃さん!? 瑠璃さんが……大きく……」
「アリスさん! 端に隠れてて!」
「は、はい!!」
スライムは戦闘態勢に入ったのか、私に向かってくる……。
3回目でまだちょっと怖いけど……やってやる!
「……さぁ、かかってこい! 私が相手だ!」
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