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第4章 Open Your Eyes For The Elf's Past

閑話 エルフの過去 その6 ~船での生活と故郷の今~

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『おーい! 到着したぞ! 荷物を運んでくれ!!』

 寝ていたのだが、船員が大声で何かを言ってきたので、私は起きてしまった。

「どうしたの?」
「港……着いた……荷物……降ろせって……」
「……そっか」

 私たちは早速着替え、荷物を下ろすのを手伝った。
 港を降りると、ファンスウィンとは違う風景が広がっていた。

「……ここは?」
「……キーキュル王国……ファンスウィンの……南」
「なるほど」
「とにかく……荷物……降ろそう……」

 私はキセノンの後ろについていき、荷物を下ろしていった。
 ……って。

「……ええ!?」
「……どうしたの?」
「いやいやいや、よくそんな重い物持てるね!?」

 キセノンは、馬車一台分はある荷物を片手1つで持ち上げていた。

「別に……鍛えて……いるから……」
「あ、そう……」

 そういえば部屋の中でも、トレーニングしてたっけ……。
 だからと言って、そんな量持てる普通!?

『おらぁ! 早く降ろせ!! 時間がねぇぞ!!』

 棒立ちしている私に向かって、船員が何かを叫んだ。

「……なんて?」
「早く……降ろせって……」
「あ、うん……」

 私は足早に荷物を下ろした。



 ……しばらくして、私はキセノンに『サンルート語』を教わるようになった。
 言語が分かるようになると、船員たちが何を言っているのかわかるようになったし、どこからか仕入れたであろう噂も理解できるようになった。

 ……ある日の事。
 あれは南の国だったかな……キセノンが、現地の商人となにやら噂話をしていた。
 しかも、私の事をチラチラ見ながら。
 気になった私は、キセノンに聞いてみた。

「……何の話してたの?」
「うん……貴方の……故郷……ファンスウィンの……話……」
「……」

 故郷の話か……どうせくだらない事だろう。

「ファンスウィン……共和制に……変わった……らしい」
「共和制?」
「うん……みんなの……投票で……首長が……選ばれる……氏族争い……終わる……」

 ……それはいいニュースだ……だが、キセノンの表情は悲しげだった。

「本当に終わるの?」
「いや……それが……」
「……それが?」

 キセノンは、あまり言いたくないようだった。
 ……私はどこか察してしまった。

「選挙で……選ばれた人……賄賂……受け取ったとか……氏族の人数的に……有利になったとかで……また……」
「……」

 キセノンが言った言葉に、私は悲しい気持ちになった。

「ごめん……嫌な気分に……させちゃった」
「いいよ……別に、あんな奴らの事なんか」
「……」

 キセノンは、悲しい表情で、私を見つめた。

「おい! 出航するぞ! 早く乗れ!」

 船長が私たちに向かって叫んだ。
 ……そろそろ出航か。

「……行こう、乗り遅れちゃう」
「うん……」

 私たちは船に乗り込んだ。
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