94 / 424
第4章 Open Your Eyes For The Elf's Past
閑話 エルフの過去 その6 ~船での生活と故郷の今~
しおりを挟む
『おーい! 到着したぞ! 荷物を運んでくれ!!』
寝ていたのだが、船員が大声で何かを言ってきたので、私は起きてしまった。
「どうしたの?」
「港……着いた……荷物……降ろせって……」
「……そっか」
私たちは早速着替え、荷物を下ろすのを手伝った。
港を降りると、ファンスウィンとは違う風景が広がっていた。
「……ここは?」
「……キーキュル王国……ファンスウィンの……南」
「なるほど」
「とにかく……荷物……降ろそう……」
私はキセノンの後ろについていき、荷物を下ろしていった。
……って。
「……ええ!?」
「……どうしたの?」
「いやいやいや、よくそんな重い物持てるね!?」
キセノンは、馬車一台分はある荷物を片手1つで持ち上げていた。
「別に……鍛えて……いるから……」
「あ、そう……」
そういえば部屋の中でも、トレーニングしてたっけ……。
だからと言って、そんな量持てる普通!?
『おらぁ! 早く降ろせ!! 時間がねぇぞ!!』
棒立ちしている私に向かって、船員が何かを叫んだ。
「……なんて?」
「早く……降ろせって……」
「あ、うん……」
私は足早に荷物を下ろした。
☆
……しばらくして、私はキセノンに『サンルート語』を教わるようになった。
言語が分かるようになると、船員たちが何を言っているのかわかるようになったし、どこからか仕入れたであろう噂も理解できるようになった。
……ある日の事。
あれは南の国だったかな……キセノンが、現地の商人となにやら噂話をしていた。
しかも、私の事をチラチラ見ながら。
気になった私は、キセノンに聞いてみた。
「……何の話してたの?」
「うん……貴方の……故郷……ファンスウィンの……話……」
「……」
故郷の話か……どうせくだらない事だろう。
「ファンスウィン……共和制に……変わった……らしい」
「共和制?」
「うん……みんなの……投票で……首長が……選ばれる……氏族争い……終わる……」
……それはいいニュースだ……だが、キセノンの表情は悲しげだった。
「本当に終わるの?」
「いや……それが……」
「……それが?」
キセノンは、あまり言いたくないようだった。
……私はどこか察してしまった。
「選挙で……選ばれた人……賄賂……受け取ったとか……氏族の人数的に……有利になったとかで……また……」
「……」
キセノンが言った言葉に、私は悲しい気持ちになった。
「ごめん……嫌な気分に……させちゃった」
「いいよ……別に、あんな奴らの事なんか」
「……」
キセノンは、悲しい表情で、私を見つめた。
「おい! 出航するぞ! 早く乗れ!」
船長が私たちに向かって叫んだ。
……そろそろ出航か。
「……行こう、乗り遅れちゃう」
「うん……」
私たちは船に乗り込んだ。
寝ていたのだが、船員が大声で何かを言ってきたので、私は起きてしまった。
「どうしたの?」
「港……着いた……荷物……降ろせって……」
「……そっか」
私たちは早速着替え、荷物を下ろすのを手伝った。
港を降りると、ファンスウィンとは違う風景が広がっていた。
「……ここは?」
「……キーキュル王国……ファンスウィンの……南」
「なるほど」
「とにかく……荷物……降ろそう……」
私はキセノンの後ろについていき、荷物を下ろしていった。
……って。
「……ええ!?」
「……どうしたの?」
「いやいやいや、よくそんな重い物持てるね!?」
キセノンは、馬車一台分はある荷物を片手1つで持ち上げていた。
「別に……鍛えて……いるから……」
「あ、そう……」
そういえば部屋の中でも、トレーニングしてたっけ……。
だからと言って、そんな量持てる普通!?
『おらぁ! 早く降ろせ!! 時間がねぇぞ!!』
棒立ちしている私に向かって、船員が何かを叫んだ。
「……なんて?」
「早く……降ろせって……」
「あ、うん……」
私は足早に荷物を下ろした。
☆
……しばらくして、私はキセノンに『サンルート語』を教わるようになった。
言語が分かるようになると、船員たちが何を言っているのかわかるようになったし、どこからか仕入れたであろう噂も理解できるようになった。
……ある日の事。
あれは南の国だったかな……キセノンが、現地の商人となにやら噂話をしていた。
しかも、私の事をチラチラ見ながら。
気になった私は、キセノンに聞いてみた。
「……何の話してたの?」
「うん……貴方の……故郷……ファンスウィンの……話……」
「……」
故郷の話か……どうせくだらない事だろう。
「ファンスウィン……共和制に……変わった……らしい」
「共和制?」
「うん……みんなの……投票で……首長が……選ばれる……氏族争い……終わる……」
……それはいいニュースだ……だが、キセノンの表情は悲しげだった。
「本当に終わるの?」
「いや……それが……」
「……それが?」
キセノンは、あまり言いたくないようだった。
……私はどこか察してしまった。
「選挙で……選ばれた人……賄賂……受け取ったとか……氏族の人数的に……有利になったとかで……また……」
「……」
キセノンが言った言葉に、私は悲しい気持ちになった。
「ごめん……嫌な気分に……させちゃった」
「いいよ……別に、あんな奴らの事なんか」
「……」
キセノンは、悲しい表情で、私を見つめた。
「おい! 出航するぞ! 早く乗れ!」
船長が私たちに向かって叫んだ。
……そろそろ出航か。
「……行こう、乗り遅れちゃう」
「うん……」
私たちは船に乗り込んだ。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
46
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる