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第4章 Open Your Eyes For The Elf's Past
閑話 エルフの過去 その7 ~受け継がれる意思~
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船での生活を始めてどのくらい経っただろうか?
しばらくすると、キセノンの過去の話を聞くようになった。
体力は勿論、知力や情報力も鍛えていると言っていた。
この船に乗っているのも、修行の旅の一環だという。
「私……個人的な……事情で……旅に……出てる……」
「個人的な事情?」
「うん……お父さん……亡くなった……それで……遺言で……『強くなれ』……って……」
「……どうしたの?」
キセノンは……涙を浮かべていた。
……彼女にも、悲しい過去があったようだ。
私だけが悲しくて、辛いだけじゃない……そんなことを考えた。
「ごめん……お父さん……思い出したら……涙が……」
「……ごめんなさい」
「貴方が……謝る……必要は……無いよ? それに……楽しい事も……ある」
「……楽しい事?」
キセノンは、涙を拭き、笑顔を見せた。
「うん……武術の……大会で……勝ったり……ダンジョンで……修行したり……誰かを……守ったり……」
「……」
私は咄嗟に、リンが言ったことを思い出した。
『確かにオブオブの言う通り、バリ悲しい事だってある……だからこそ、数少ない楽しいことを守りたいんだ!』
私は決めた、もしも新しい土地に着いたら……キセノンみたいに、楽しい事を見つけられるようになりたい。
そう思って私は……キセノンの手を掴んだ。
「……楽しい事……『アタシ』も見つけたいな! 『ノンノン』! アタシにバリ楽しい事、教えて!」
「……ノン……ノン?」
「うん! キセノンだからノンノン! ……と、そういえば、アタシの名前、まだ言ってなかったよね!」
……アタシは、改めて、名前を名乗った。
「アタシ、『リン』! 改めてよろしくね! ノンノン!」
アタシは、「彼女」の意思を受け継いで、楽しい事を守る……そう考えて、名前を名乗った。
名前を名乗ると……ノンノンは笑顔で手を掴み返した。
「うん……よろしくね……『リンちゃん』……」
……そういえば、「彼女」は、挨拶の時にこんなことをしたっけ?
アタシはノンノンの顔に、自分の顔を近づけて……お互いの唇を繋げた。
「ん……んん……」
ノンノンは驚愕の顔を浮かべていた……アタシは不思議と、嫌な気分ではなかった。
しばらくして、アタシたちは離れた。
「と……突然……何?」
「挨拶だよ! 挨拶!」
「挨拶……で……キス? 恥ずかしい……」
ノンノンは顔を真っ赤にしていた。
アタシもちょっと恥ずかしくなったけど……「彼女」はそうじゃないと考え、平然を装った。
「恥ずかしいの?」
私が笑顔で聞くと、ノンノンは首を思いっきり振った。
「うん……でも……悪くない……」
「……そっか! それじゃ! 改めてよろしく!」
「うん……よろしく……」
これが、ノンノンとの……初めての出会いだった。
☆
「……本当にここで良いのか?」
「うん! ここでいいよ!」
「そうか……まぁ、お前が決めたことなら、止める理由は無いな……元気で暮らせよ!」
「うん! 船長もありがとう!」
アタシ「たち」は新天地で、この船とお別れとなった。
この船には本当にお世話になったな……。
ちなみに、「たち」というのは……。
「キセノン、お前まで離れてしまうとはね……通訳を改めて探さないと……」
「私よりも……優れた……人は……いるよ……」
「そうだといいんだがねぇ」
アタシはノンノンと一緒に新天地……「サンルート王国」で、新たな旅に出ることにした。
アタシが「ここで降りる」って言うと、ノンノンも「私もここで降りる」とか言ってきたので、少し驚いてしまった。
船に別れを告げ、アタシたちは歩き始めた。
しばらくすると、キセノンの過去の話を聞くようになった。
体力は勿論、知力や情報力も鍛えていると言っていた。
この船に乗っているのも、修行の旅の一環だという。
「私……個人的な……事情で……旅に……出てる……」
「個人的な事情?」
「うん……お父さん……亡くなった……それで……遺言で……『強くなれ』……って……」
「……どうしたの?」
キセノンは……涙を浮かべていた。
……彼女にも、悲しい過去があったようだ。
私だけが悲しくて、辛いだけじゃない……そんなことを考えた。
「ごめん……お父さん……思い出したら……涙が……」
「……ごめんなさい」
「貴方が……謝る……必要は……無いよ? それに……楽しい事も……ある」
「……楽しい事?」
キセノンは、涙を拭き、笑顔を見せた。
「うん……武術の……大会で……勝ったり……ダンジョンで……修行したり……誰かを……守ったり……」
「……」
私は咄嗟に、リンが言ったことを思い出した。
『確かにオブオブの言う通り、バリ悲しい事だってある……だからこそ、数少ない楽しいことを守りたいんだ!』
私は決めた、もしも新しい土地に着いたら……キセノンみたいに、楽しい事を見つけられるようになりたい。
そう思って私は……キセノンの手を掴んだ。
「……楽しい事……『アタシ』も見つけたいな! 『ノンノン』! アタシにバリ楽しい事、教えて!」
「……ノン……ノン?」
「うん! キセノンだからノンノン! ……と、そういえば、アタシの名前、まだ言ってなかったよね!」
……アタシは、改めて、名前を名乗った。
「アタシ、『リン』! 改めてよろしくね! ノンノン!」
アタシは、「彼女」の意思を受け継いで、楽しい事を守る……そう考えて、名前を名乗った。
名前を名乗ると……ノンノンは笑顔で手を掴み返した。
「うん……よろしくね……『リンちゃん』……」
……そういえば、「彼女」は、挨拶の時にこんなことをしたっけ?
アタシはノンノンの顔に、自分の顔を近づけて……お互いの唇を繋げた。
「ん……んん……」
ノンノンは驚愕の顔を浮かべていた……アタシは不思議と、嫌な気分ではなかった。
しばらくして、アタシたちは離れた。
「と……突然……何?」
「挨拶だよ! 挨拶!」
「挨拶……で……キス? 恥ずかしい……」
ノンノンは顔を真っ赤にしていた。
アタシもちょっと恥ずかしくなったけど……「彼女」はそうじゃないと考え、平然を装った。
「恥ずかしいの?」
私が笑顔で聞くと、ノンノンは首を思いっきり振った。
「うん……でも……悪くない……」
「……そっか! それじゃ! 改めてよろしく!」
「うん……よろしく……」
これが、ノンノンとの……初めての出会いだった。
☆
「……本当にここで良いのか?」
「うん! ここでいいよ!」
「そうか……まぁ、お前が決めたことなら、止める理由は無いな……元気で暮らせよ!」
「うん! 船長もありがとう!」
アタシ「たち」は新天地で、この船とお別れとなった。
この船には本当にお世話になったな……。
ちなみに、「たち」というのは……。
「キセノン、お前まで離れてしまうとはね……通訳を改めて探さないと……」
「私よりも……優れた……人は……いるよ……」
「そうだといいんだがねぇ」
アタシはノンノンと一緒に新天地……「サンルート王国」で、新たな旅に出ることにした。
アタシが「ここで降りる」って言うと、ノンノンも「私もここで降りる」とか言ってきたので、少し驚いてしまった。
船に別れを告げ、アタシたちは歩き始めた。
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