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第5章 異世界人、ショッピングモール、ベストマッチ!

第103話 異世界人対ゴーレム

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私は男性をリンに託して、岩の怪物に向かう。

「お、おい! あんた、あんな奴と戦うつもりかよ!?」

……男性が私に向かって叫ぶ。
あんな奴と戦うか……確かに、端から見たらイカれてるかも、でも……。

「……誰かがやらなきゃ終わらない、他の誰かがその責任を負うくらいなら……私がやります」
「……」

男性は私を見て、困惑の表情を浮かべる。
……ま、そういう顔にもなるよね、私もリンからこの言葉を受け取ったときはそうなったし。

「……頑張ってね、ルリルリ」
「……うん!」

私は刀を構え、ゴーレムの元へ向かう。
奴も私の存在に気付いたのか、こちらに向かって走ってきた。
奴は早速、腕を鈍器のように振り回してきた。
私はそれをスライディングで避け、刀を奴の頭に目掛けて振った……だけど。

「かっっっった!!」

岩なので当然だとは思ったが、やはり硬かった。
しかしダメージは通ったのか、ゴーレムの頭に若干ながら罅が入ったように見えた。
……リンは脆いところを狙えば一発だと言っていた。
どこだ……?

「ルリルリ! 避けて!」
「……え? うわぁ!?」

私はリンの警告を聞き、咄嗟にゴーレムの攻撃を避けた。
危ない危ない……あと少しで致命傷を負うところだった。

「ルリルリ! そいつの弱点は背中!」
「背中!? OK!」

リンはゴーレムの弱点を伝える。
背中……奴が攻撃を仕掛けたときがチャンスかもしれない。

「おりゃああああ!!」

私は刀を振り下ろした。
……するとゴーレムはそれを読んでいたかのように受け身を取ろうとしている。
……しめた。
私は攻撃すると見せかけて、横に逸れた。
……よし! 奴の背中はがら空きだ!
背中の……脆い部分……。

「……ここだ!」

私は奴の背中の脆い部分に目掛けて刀を振る。
その攻撃が命中し、ゴーレムは……呻き声をあげ、崩れていった。
……ふぅ。

「危なかった……」

正直勝てるとは思わなった、リンの助けが無かったら今頃死んでたかも。

「やったね! ルリルリ!」
「う、うん……」

私はリンに駆け寄り、ハイタッチの代わりにお互いのおでこをぶつけた。

「……さ、安全地帯はもうすぐだよ!」
「……うん!」

私たちは2人の生存者を抱え、安全地帯へと再び歩き出した。
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