上 下
118 / 424
第5章 異世界人、ショッピングモール、ベストマッチ!

第109話 新たなレアアイテム

しおりを挟む
「おい! 聞いてくれよ! 向こうにアエースエルスルームが……っておい、大丈夫か?」

 ゴルドは私とラピスの状態を見て、違和感を感じたようだった。
 うん、そうなるのも当たり前だ。

「えぇ!? アエースエルスルーム!? それ本当!? ゴル爺!」
「あ、あぁ……今キセノンがそこの入り口前で待機してるぜ、早く行くぞ!」
「うん! ラピラピ、ルリルリ! 早く行こう!」

 ……アエースエルスルーム、凄く発音しづらい名前だからよく覚えてる。
 変身するための腕輪とカードを手に入れた……所謂レアアイテムをゲットできる部屋。
 ……また新たなレアアイテムをゲットできるかもしれない。

「じゃあ、行こうか、ラピス」
「せ、せやな……」

 ……この何とも言えない空気を変えるためにも、早く行こうか。
 私たちはアプリを起動し、カードをかざして、変身した。



「こっちだ!」

 ゴルドの誘導に従い、私たちは走る。
 目的はゲーミングPCみたいな部屋、アエースエルスルーム……なんでこんな発音しづらい部屋にしたんだろう? 命名した人に問い詰めたい。

「あれだ!」

 ……ゴルドが指差した先、そこにはカラフルな扉をした廃墟。
 扉の前には、変身したキセノンが待機していた。

「……みんな……待ってたよ……」

 キセノンは私たちを見るや否や、こちらに近づいてきた。
 全員揃った……じゃ、入ろう。

「……じゃ、早く入ろうか」

 私は扉に手をかけ、最初の一歩を踏み出す。
 ……中は相変わらず、目が痛くなるくらいチカチカしていた。

「……あれだね」

 そう遠くない……奥の方に箱があった。
 中身はなんだろう? この部屋の中にある物だから使えるやつだとは思うけど。

「なんだろうね、バリ楽しみ!」
「瑠璃ちゃん……早く……開けて」

 リンとキセノンは期待に胸を躍らせていた。
 私も正直楽しみだ。

「じゃ、開けるよ?」

 箱の蓋に手をかけ、ゆっくりと開ける。
 ……中に入っていたのは。

「これは……新しいカード?」

 ……変身する時に使うカードと似たようなものだった、それも2枚
 両方とも、変身する時に使うやつと絵柄が違う。

「なんだろう……私が変身した姿に似てるけど……ちょっと違う気がする」

 1枚は、片手に黒い扇子のようなものを持っていて、もう片方の手にはピンクのボウガン、そして背中に刀のようなものを背負っていて、虫みたいな羽が生えていた……しかもなんだか見た目が身軽そうで、頭には蝶のような冠をしていた。
 もう1枚は、黄色い鉄槌のようなものを背中に抱えていて、青いコウモリの羽が生えていた……1枚目とは違い、こちらは屈強そうで、カブトムシみたいな王冠をしている。
 ……待てよ?

「これ……みんなの特徴が入ってない?」

 ボウガン、扇子、鉄槌、屈強な体……それぞれリン、ラピス、ゴルド、キセノンの特徴の1つだ……なんだこれは?
 ボウガンはよく見ると、リンが巨大化した姿のような蜂みたいな形をしているし、扇子もラピスが巨大化した姿のような蝶の羽みたいだ。

「ほ、ほんと!? 見せて!」
「私も……見たい」

 リンとキセノンは私に近づき、カードを興味津々に見つめる。
 なんだろうか? このカードは? なんとなく強そうなのは分かるけれども。

「な、なぁみんな、ちょっとそろそろあかんで」

 ラピスは部屋の周りを見てそう呟いた。
 ……そうだった、早く出ないと危ない。

「みんな、出よう!」

 私たちは足早に部屋を出た。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

僕たちは正義の味方

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:7pt お気に入り:6

伯爵令嬢は執事に狙われている

恋愛 / 完結 24h.ポイント:2,619pt お気に入り:454

異世界日帰り漫遊記

BL / 完結 24h.ポイント:411pt お気に入り:3,536

創星のレクイエム

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:228pt お気に入り:28

隻眼の騎士王の歪な溺愛に亡国の王女は囚われる

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:234pt お気に入り:374

女學生のお嬢さまはヤクザに溺愛され、困惑しています

恋愛 / 完結 24h.ポイント:610pt お気に入り:686

処理中です...