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第7章 吸血鬼、日々鍛えてますから!

第168話 吸血鬼の目

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「キセノン! キセノンって暗闇でも目が見えるんだよね?」
『うん……わかる……』

 合体する前、私はリンとの話を思い出した。

『ノンノン含めて、吸血鬼の人は暗闇でもへっちゃらなんだよ』

 キセノンなら、敵の動きがよくわかるかもしれない、そう考えたのだ。

「キセノン、目だけ意識を向けられる? 体の動きは私とゴルドに任せて!」
『うん……やってみる……』
『しゃあねぇ、せいぜい足引っ張るなよ!』

 私の提案に、2人は乗ったようだ。

『じゃあ、アタシたちは一旦下がろう! ラピラピ!』
『せやな! ヤバくなったら間に入るで!』

 リンとラピスは介入すると邪魔だと判断したのか、私たちの後ろに回る。
 確かに、何かあった時のために退避できるようにした方がいいかもね。

『意識……向けるよ?』
「うん!」

 キセノンは目に意識を向けたのか……周りがはっきり見えるようになった……気がする。

「おお! キセノンの視点だとこう見えるんだね!」
『うん……戦いやすい?』
「凄く戦いやすいよ!」

 慣れてくると、まるで暗闇など関係ないくらい良く見えるようになってきた。

『まぁ……ワシは違和感しかないがな……』
「まぁ慣れるでしょ……って来てるじゃん!」

 私は咄嗟に、奴の攻撃を腕でけん制した。

「よし! それじゃあこれ!」

 私は蹴りを入れ、奴を吹っ飛ばした。

『よし! ワシも!』

 ゴルドは背中に背負っていた斧を取り出し構えた。
 コボルトは立ち上がると、こちらに向かって爪を立て、襲い掛かった。
 ゴルドは奴に向かって斧を振り、奴は倒れた。

「ゴルド、流石!」
『このくらいお安い御用だ!』
『……気を付けて……次……来る!』

 ……キセノンの言う通り、またこっちに来てる!
 どうしよう……間に合わない!

『任せて……行くよ!』

 キセノンは斧を地面に置き、武術のポーズを取り、戦闘態勢に入る。
 こ、このポーズは……空手?
 キセノンは構えを取ると、奴に目掛けて正拳突きをした。
 そのまま一回転をし、裏拳をお見舞いさせた。
 私とゴルドはその動きについていくのに必死だった。

『おいキセノン! ついていくこっちの身にも……』
「いいよ! どんどんやってキセノン!」
『おい瑠璃! ……あぁもう! わかった! どうにでもなりやがれ!』

 キセノンは私たちの声を聞くと、そのまま奴に目掛けて回し蹴りをした。
 奴の顔面に蹴りが命中し、奴は既に瀕死の状態だ。

「よし、このままトドメ! ゴルド!」
『はいよ!』

 ゴルドは斧を拾い、思いっきり振りかぶった。

『いけえええええええ!!』

 ゴルドは巨大な斧をコボルトに目掛けて振り下ろし、奴を一刀両断した。
 奴はそのまま煙になり……消えた。

『よっしゃ! 退治完了!』
「キセノンの目、すごいね……」
『ゴルドちゃんと瑠璃ちゃんも……凄かったよ』

 私たちは勝利を分かち合った。

『流石! ノンノンの眼力は世界一だね!』
『それじゃあ、はよ戻ろうや』

 私たちはコボルトの消滅を確認し、元の大きさに戻った。
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