2人の話【朗読用・二人用台本】

憑 桜兎 -Yoru Sakuto-

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アナタを想うと。

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―――――――――――――――――――――



【男性】 ♂ …読み手様のお名前を入れていただいて構いません。

《女性》 ♀ …読み手様のお名前を入れていただいて構いません。


―――――――――――――――――――――


【男性】
―――――俺は恋をした。


《女性》
―――――私は恋をした。




【男性】
今までにだって人を好きになった事はあった。……あったはずなのに、今のこの気持ちは…感覚は…初めて感じるものだった。気持ちが止まらない。


《女性》
私には好きになる資格なんて……ないはずなのに、今のこの気持ちは…感覚は…初めて感じるものなの。気持ちが止められない。



(間)



【男性】
寝起きから声を聴けた時 幸せな一日の始まり。


《女性》
何かあれば、『行ってらっしゃい』


【男性】
『行ってきます』…。


《女性》
戻って来た時には、『おかえりなさい』


【男性】
『ただいま』 の、言葉。
それに、休みの日の他愛のない会話。






《女性》
彼の……


【男性】
彼女の……
言動一つ一つで、一喜一憂する。



《女性》
『好き』 や 『大好き』 では足らず、『愛してる』 と言うには、私は……身分違いで…


【男性】
『好き』 や 『大好き』 では足らず、『愛してる』 と言うには、俺はまだ……未熟すぎた…。







【男性】
そんなある日、俺は彼女を泣かせてしまった…。自分の愚かさに…心底、嫌気がさした。多くのコンプレックスを抱える彼女に対して、俺の気遣いは足らな過ぎた。誰にだって、コンプレックスはあるものだと思う。俺は彼女の気持ちを知っていて、追い詰めてしまった。

『俺は…なんて事をしてしまったんだ……』


《女性》
『私は…なんで泣いたの……優しさを分かっていたのに…』

そう呟いた。今更何を言ったって、泣いてしまった事は変わらない。そう……私は、泣いていた。彼に…『泣かせた 』と、思わせてしまった。

『ごめんね…』


【男性】
声を震わせながら、泣いてる事を隠すように…彼女は俺にそう呟いた。

『謝らないで。貴女が謝る事じゃないんだ…。俺の方が謝らないといけないんだ。…泣かないで。本当にごめん』


《女性》
声を震わせながら、強さを見せる様に…彼は私にそう呟いた。

『謝らないで。君が謝る事じゃないの…。私が謝らないといけないんだよ。…謝らないで。本当に……ごめんなさい』


【男性】
彼女は再度謝ってきた…声を震わせ、声を殺し、何度も謝ってきた。身体の見た目にコンプレックスを抱えていた彼女。俺は知っていたのに…何度も求め、言葉にし、最後には強い言葉を…強い音を投げてしまった。全てが駄目だったんだ。…言葉に音に敏感な彼女に…俺はなんて事を。

『本当に…ごめん』


《女性》
彼は再度謝ってきた…声を震わせ、優しい声で、何度も…謝ってきた。そんな彼に、私は…『大丈夫、謝らないで。毎回…こんな風になってしまって、ごめんね』と…


【男性】
貴女は…どこまで優しいんだ。どうして俺を責めてこない。…彼女の優しさが、言葉が刺さる。


《女性》
君は…どこまで優しいの。どうして私を責めないの。…彼の優しさが、言葉が刺さった。

『恥ずかしいばかりで…呆きれるよね。嫌にもなるよね』


【男性】
その言葉に、声に…俺の心臓は激しく脈を打ち始め、苦しくなった。

『求めるばかりで…呆れるよな。嫌にもなるよな』


《女性》
その言葉に、声に…私の心臓は激しく脈を打ち始め、苦しくなった。





―――――。



【男性】
『俺は…貴女の事が好きなんです。貴女の抱えるコンプレックスも分かってます。強い言い方とかになってしまって、ごめんなさい…。ただ、譲れないことがあります…。俺はどんな貴女も見たい。色んな姿、表情、声…見たり聞いたりしたいんです!それだけ俺は…貴女の事が…大好きです…』

俺は俺の思いをぶつけた。ぶつけずにはいられなかった。…誤解しないで、勘違いしないで、頼むから…自分を責めないで。そんな思いを込めて、下手な言葉だけど、伝えるのが下手だけど、届けたい一心だった。


《女性》
『 …ありがとう。君にはちゃんと、私を見て…聞いて…知ってもらいたい。』……そう私は言った。


『私は…君の事が好き。私の抱えるコンプレックスを理解し、受け入れてくれて…。それなのに、少しの強い音に過剰に反応してしまって、ごめんなさい…。でもね、忘れないで。私はどんな姿も見てほしい。色んな姿、表情、声…見たり聞いたりしてほしい、知ってほしい!…君の事も知りたい。それくらい私は君の事が…大好き…なんだよ……』

私は私の思いをぶつけた。ぶつけずにはいられなかった。…誤解しないで、勘違いしないで、お願い…自分を責めないで。そんな思いを込めて、下手な言葉だけど、伝えるのが下手だけど、届けたい一心だった。


【男性】
彼女の声は震えていて、でもとても優しかった。

【 …ありがとう。俺はちゃんと、貴女を見て…聞いて…知りたいです。 】…そう俺は言った。


《女性》
彼の声は震えていて、でも頼もしくて…とても優しかった。


【男性】
俺は…眼に雫が残る彼女に優しく触れた。貴女は優しく微笑み、ゆっくりと目を閉じ…俺に身を委ゆだねた。貴女は…どうしようもない程に綺麗で……すぐに壊れてしまいそうだった。


《女性》
私は…眼に雫が残るまま、彼に優しく触れた。君は優しく微笑み、ゆっくりと目を閉じ…私を包んだ。君は…とても力強く……それでいて、とても優しかった。


【男性】
『俺は…絶対に離れません。……だから、離れんな…』

思わず出た言葉。


《女性》
そう言った彼に…『…絶対に離れない。……だから、君も…ね…』と、私は言った。


【男性】
彼女から漏れる吐息には、小さく甘い声が混ざる…。時折、小さく跳ねる身体が…愛おしくて、俺は激しく…けれど優しく抱いた。


《女性》
彼から漏れる吐息には、甘く小さな声が混ざる…。時折、激しくなる動きが…愛おしくて、私の身体は小さく反応した。


【男性】
俺達は…


《女性》
私達は…


【男性】
ゆっくりと…お互いの存在を…気持ちを…確かめ合う様にときを過ごした。





【男性】
『必ず…これからも守るから、支えさせて…俺の所に居てください…』


《女性》
『…うん。私にも支えさせて。……君の事が、大好きだよ』


【男性】
『うん。……貴女の事が、大好きです』


(少間)


【男性】
俺達は…

《女性》
確かめ合う様に

【男性】
優しく


【《男女同時》】
キスをした。

















END
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