2人の話

憑 桜兎 -Yoru Sakuto-

文字の大きさ
2 / 5

アナタを想うと。【女性ver.】

しおりを挟む
―――――――――――――――――――――



『読み手様』…♀



―――――――――――――――――――――



―――――私は恋をした。


私には好きになる資格なんて……ないはずなのに、今のこの気持ちは…感覚は…初めて感じるものなの。気持ちが止められない。


―――――。


寝起きから声を聴けた時 幸せな一日の始まり。

仕事前の 【 行ってきます 】 の、一言。

帰宅後の 【 ただいま 】と【 お疲れ様 】 の、言葉。

休みの日の他愛たあいのない会話。



彼の言動一つ一つで、私は一喜一憂する。




『好き』 や 『大好き』 では足らず、『愛してる』 と言うには、私は……身分違いだと思う…。


だから、私は………―――。





そんなある日、私は彼の前で泣いてしまった…。自分の弱さに…心底、嫌気がさした。


多数のコンプレックスを抱える私に対して、彼の気遣いは優しかった。誰にだって、コンプレックスはあるものだと思う。私は彼の思いを知っていたのに、泣いてしまった。


『私は…なんで泣いたの……優しさを分かっていたのに…』

そう呟いた。今更何を言ったって、泣いてしまった事は変わらない。そう……私は、泣いていた。彼に…【 泣かせた 】と、思わせてしまった。



【 ごめん… 】

声を震わせながら、強さを見せる様に…彼は私にそう呟いた。


『謝らないで。君が謝る事じゃないの…。私が謝らないといけないんだよ。…謝らないで。本当に……ごめんなさい』

そう言った私に、彼は再度謝ってきた…声を震わせ、優しい声で、何度も謝ってきた。





身体の見た目にコンプレックスを抱えていた私。彼は知っていた…受け入れ、何度も求め、言葉にしてくれていた。ただ一回、強さを感じる言葉が…強い音があっただけ。なのに…言葉に、音に過剰に反応して…私はなんて弱い…。


何度も何度も謝った。『本当にごめん…ごめんなさい』……と。

そんな私に…【 大丈夫、謝らないで。毎回…こんな風になってしまって、ごめん 】と言ってくれた。君は…どこまで優しいの。どうして私を責めないの。…彼の優しさが、言葉が刺さった。



【 求めるばかりで…呆れるよな。嫌にもなるよな 】

彼のその言葉に、声に…私の心臓は激しく脈を打ち始め、苦しくなった。



あぁ…私は……私は…。




『私は…君の事が好き。私の抱えるコンプレックスを理解し、受け入れてくれて…。それなのに、少しの強い音に過剰に反応してしまって、ごめんなさい…。でもね、忘れないで。私はどんな姿も見てほしい。色んな姿、表情、声…見たり聞いたりしてほしい、知ってほしい!君の事も知りたい。それくらい私は君の事が…大好き…なんだよ……』

私は私の思いをぶつけた。ぶつけずにはいられなかった。…誤解しないで、勘違いしないで、お願い…自分を責めないで。そんな思いを込めて、下手な言葉だけど、伝えるのが下手だけど、届けたい一心だった。



【 …ありがとう。俺はちゃんと、貴女を見て…聞いて…知りたいです。 】

そう言った彼の声は震えていて、でもとても優しかった。




私は…眼に雫が残るまま、彼に優しく触れた。彼は優しく微笑み、ゆっくりと目を閉じ…私を包んだ。

彼は…とても力強く……それでいて、とても優しかった。



『私は…絶対に離れない。……だから、離れないで…』

思わず出た言葉に、芯のある音で…【 勿論です 】と、彼は言った。



彼から漏れる吐息に、甘く小さな声が混ざる…。時折、激しくなる動きが…愛おしくて、私の身体は小さく反応した。…優しくも激しく抱かれ、私達はゆっくりと…お互いの存在を…気持ちを…確かめ合う様にときを過ごした。




『必ず…これからも支えるから、守っていて。私のそばに居て…。』





END
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

👨一人用声劇台本「寝落ち通話」

樹(いつき)@作品使用時は作者名明記必須
恋愛
彼女のツイートを心配になった彼氏は彼女に電話をする。 続編「遊園地デート」もあり。 ジャンル:恋愛 所要時間:5分以内 男性一人用の声劇台本になります。 ⚠動画・音声投稿サイトにご使用になる場合⚠ ・使用許可は不要ですが、自作発言や転載はもちろん禁止です。著作権は放棄しておりません。必ず作者名の樹(いつき)を記載して下さい。(何度注意しても作者名の記載が無い場合には台本使用を禁止します) ・語尾変更や方言などの多少のアレンジはokですが、大幅なアレンジや台本の世界観をぶち壊すようなアレンジやエフェクトなどはご遠慮願います。 その他の詳細は【作品を使用する際の注意点】をご覧下さい。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

処理中です...