2人の話

憑 桜兎 -Yoru Sakuto-

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彼女と海

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―――――――――――――――――――――



『 男性 』♂ …クールな物言いだが、優しく穏やかな性格。どんな時も静かめ。

『 女性 』♀ …ふんわり優しい雰囲気、基本陽気な性格。身体が弱い。



※一二人称・語尾のみ改変有り。
 兼役厳禁。
 台詞内に【 ×× 】とありますが、相手の名前を入れてください。



―――――――――――――――――――――



― 女性 ―
『ねぇねぇ~…』

― 男性 ―
『ん~?どうしたぁ?』

― 女性 ―
『明日……どうする?』

― 男性 ―
『海…』

― 女性 ―
『ん?声小さくて聞こえないよぉ~!』

― 男性 ―
『海…どうだ?』

― 女性 ―
『海かぁ…。じゃぁ…えーと……あ!明日晴れだよ!海で決まりだね!』

― 男性 ―
『晴れだからって、まだ入れないからなぁ~?』

― 女性 ―
『っ!!入ろうだなんて思うわけないでしょ!!』

― 男性 ―
『そうか?【××】なら言いかねないだろ?』

― 女性 ―
『入りたいとは思ったけど…。』

― 男性 ―
『ほら、やっぱりなぁ~笑』


ー男性Mー
俺と【××】は明日、付き合って6回目の記念日を迎える。同棲を始めて2年…お互いに20代も後半になり、婚約をしていて入籍準備…と言うやつを進めている真っ最中。記念日は5月後半…海に入るには、まだ早い時期。けれど、海が大好きな俺と【××】は暖かくなってくると、よく海に行く。





― 女性 ―
『明日の準備も終わったし…早めに寝よぉ~?』

― 男性 ―
『そうだな。熱中症予防にも…睡眠は欠かせないからな!』

― 女性 ―
『そうそう!…おやすみぃ~』

― 男性 ―
『おやすみ』


ー男性Mー
××は人より身体が弱い。その為、外出時はどんな季節であっても色々な対策が必要だ。大変ではあるけれど、楽しそうにする姿が…俺の癒しでもある。





― 男性 ―
『お~い、起きろぉ~!!』

― 女性 ―
『……ぅ…ぅ~ん…ん……』

― 男性 ―
『ったく…。ほら、晴れてるぞ~!海行くんだろ?準備してくださいお嬢さ~ん…』

― 女性 ―
『んん…ぅん……。…ん…?あぁ~…おはよぉ…』

―男性 ―
『はい、おはよう。…起きれる?』

― 女性 ―
『ん、んん…?起きるぅ~……準備…するねぇ…』


― 男性M―
血圧が低く、体温も低めな××は起きるのが苦手で、寝ぼけまなこで準備を始めていた。





― 女性 ―
『準備終わったぁ~!!さぁ行くよぉおぉぉ~!』

― 男性 ―
『完全にお目覚めですね~。元気で何より』

― 女性 ―
『起こしてくれてありがと~。そして…海まで運転も……お願いしますっ!』

― 男性 ―
『はいはい、お任せを!……じゃぁ行くぞ~』

― 女性 ―
『はぁ~い!』





― 女性 ―
『…っんだぁあぁぁ~!海着いたぁ!…運転、ありがとう』

― 男性 ―
『どういたしまして!…にしても、良い感じの天気だなぁ。暑すぎず、風も強すぎず…気持ちがいいなぁ』

― 女性 ―
『だねぇ~。この時期は、こういう日の海が一番気持ちいいよねぇ』

― 男性 ―
『だなぁ…。向こうの砂浜に…シート敷いて休むか。』

― 女性 ―
『そうしよっか!』







― 女性 ―
『海…綺麗だね…』

― 男性 ―
『本当に、俺達って…海大好きだよな。笑』

― 女性 ―
『うん、そうだね。微かに水面すいめんに映る雲の影とか、時折…跳ねる魚とか…きないなぁ…』

― 男性 ―
『そうそう、分かる』

― 女性 ―
『…今年も…んーん……今日、来れると思わなかった。…連れて来てくれて、ありがとう!』

― 男性 ―
『…っ……何…何言ってんだよ、急に。』

― 女性 ―
『……ごめんね。』

― 男性 ―
『やめろ…。やめてくれっ……っ!』

― 女性 ―
『やめないよ。君の為にも…私の為にも…。』

― 男性 ―
『なん…で……。なんで……』

― 女性 ―
『なんでって…。最後に、君と海が見れて…私は凄く嬉しいよ!』

― 男性 ―
『…っ…最後…そんな……』

― 女性 ―
『あの日っ!……去年の今日と同じ日…あんな事が起きて、それでも…私がもっとしっかりした身体だったら……っ…、今…君を泣かせる事も…無かったの…かな…。』

― 男性 ―
『…っ……ぅっ…』

― 女性 ―
『泣きすぎだよぉ~!もぉ、折角せっかくの綺麗な海だよ!!なんて…泣かせてごめんね。でも、でもね…私、本当に嬉しいよ!ねぇ、泣かないで…?…ここに連れて来てくれて…ありがとう。今まで、たくさんの喜びや幸せを…ありがとう。この先の数十年を、思いっきり生きて!君にその時が来たら。また、会おうね!少しだけ早く…先に行って、待ってるからね!!……またねっ!』

― 男性 ―
『まっ……て…待ってくれ…行かな…いでくれ……』




― 男性(M)―
去年のあの日…今日と同じ日に【××】は居なくなった。

あの日は…付き合って5年、同棲して1年の記念日だった。そして…婚約した日。【××】は、プロポーズを泣いて喜び、受けてくれた。今日来ている…今、目の前に広がる海。俺はここでプロポーズをした。今日と同じように気持ちのいい日だった。夜は海の見えるレストランへ行った。そして…その後だったんだ…。食事を終えてレストランを出て駐車場へ向かう道…少し歩いたところでの出来事だった。

歩いていた歩道のすぐ横で、車とバイクが衝突事故を起こした。光景の衝撃が大きく、精神的ショックからか【××】は発作を起こしていた。…と気付いたのもつかの間。衝突したバイクが道路を滑り転がり…【××】をめがけて来た。バイクの勢いは弱まっていた【××】の意識もあった……病院に運ばれるまでは。

けれど……病院に運ばれた時には手遅れだった。…元々血液異常があった為に、通常では助かる量の出血でも、【××】にとっては致命的だった。輸血も間に合わず、【××】は息を引き取った。





― 男性 ―
『……会いに…来てくれたんだな…今日、この日の為に……』

ー 男性M ー
あの日から1年。入籍を予定していた日。

『なに…が…先に待って…る…だよ…。ばか…。……絶対会いに行くからな…目一杯生きて…行くから…っ…っ!』


― 女性 ―
『うん…待ってる…!』


― 男性M ―
【××】の優しい声が聞こえた気がした。

生前、夢だ!と語っていた【××】の思いの通りに…俺はペンダントに入れていた【××】の骨粉こっぷんを、少しだけ海にいた…。

『…またな……。』

少しだけ骨粉が残ったペンダントを握りしめて…俺は海を後にした。






― 女性M ―
目一杯を、精一杯楽しんで…生きてね!また会える日まで…。











END
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