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第四十四話
ロタ、初めての恋 中編(ロタ視点)
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ヤマト君とセックスをしてから一週間後、ディルトさんがシリウス様用の本を買いに行くと言うので喜んで付いて行った。
本屋の中に入るもヤマト君の姿が見えず、入り口近くにいた背の高い金髪の店員にヤマト君の所まで案内してもらうと、しゃがんで本の整理をしているヤマト君がいて、こちらを見上げた。
か、可愛い……!!
久しぶりに見たヤマト君は前にも増してキラキラして眩しかった。
その後ヤマト君と順調に本を選び、ディルトさんが本をレジへ持って行った。
横で一緒にディルトさんの背中を眺めているヤマト君。
やった、二人きりだ。
俺はコソッと耳元で囁いた。
「……そういえばヤマト君、薬効きやすい体質なんだねぇ。
今日も薬持ってるけどいる?」
するとヤマト君は青ざめ、首を思いっきり横に振った。
う~ん、また薬を飲んで乱れ喘ぐヤマト君が見たかったなぁ。少し残念。
薬を飲んだ時のあのヤマト君を想像していたら、俺が変な顔をしてたのかヤマト君がこちらをチラチラ見始めた。
はぐらかす様にヤマト君のお尻を触ると、ヤマト君の顔がボッと赤くなった。
あれ? いつもと違う反応だ。
俺は、ヤマト君で毎日ヌイてる事と、この前より気持ち良くさせてあげるからまた抱かせてよってお願いしてみた。
これは本当の本当に本心だった。
俺はもうヤマト君じゃないとヌケない体になっていた。
ヤマト君が顔を赤らめたまま俺を見てる。
ん、これは期待していいのか?
俺はそっとヤマト君の肩を寄せ、唇を近づけた。
ヤマト君が抵抗せず俺の顔をジッと見ている。
あと少しでヤマト君とキス……
「何をやっている、ロタ。帰るぞ」
物凄く良い所でレジを済ませたディルトさんが戻って来て邪魔された。
そうだった、ディルトさんもヤマト君の事が好きなんだった……
俺はディルトさんに連れられて渋々店を後にした。
* * * * *
それから更に約一週間後の木曜……俺は騎士団本部で、休暇を取ったディルトさんの代わりに仕事をしていた。
今日は確かディルトさんとヤマト君がデートする日だ。
昨日、夜間の討伐帰りの朝、本屋の前で掃き掃除をしているヤマト君と会い、ディルトさんがデートの約束を取り付けたのだ。
確か、ディルトさん行きつけのお店で食事とか言っていたな。
俺も行くって言ったけどアッサリ却下された。
まぁ俺は今日も仕事だからどっちみち駄目だったんだけどさぁ。
俺もヤマト君と食事したかったな。
その日の夕方、仮眠を挟んで作成した討伐の報告書を提出し終え、夕飯でも食べようかなと一階の廊下を歩いていた。
ふと、廊下の先の方に目をやると遠すぎて顔まで見えないが、三人組のうちの一人が誰かを肩に担いで第五集会室に入って行くのが見えた。あの部屋は今日は使う予定が無いはず……
あの感じだと担がれていた人……騎士団服ではなかったから外部の人かな。
今から皆でコッソリお楽しみタイムってやつか?
夕方だというのにお盛んだねぇ。
いつもならスルーするんだけど、この日は何となく気になって、興味本位で覗きに行ってみた。
ドア右上の小さい窓から中を覗く。
誰かが机の上に押し倒され、大きい男が丁度チンコを挿れてズコズコヤッている最中だった。
その横に下半身出してシゴいてる奴が一人、あと一人はフェラさせて……ん!?
(あ、あれ……まさかヤマト君……!?)
何と机の上で男達に犯されていたのは……ヤマト君だった。
手と足を抑えられ、ヤマト君は涙を流して苦痛の表情を浮かべていた。
明らかに、同意の上ではない。これは強姦だ。
(な……なんで!? ディルトさんは!? 一緒じゃなかったのかよ!!)
目を背けたくなる様な行為に怒りで全身が震えた。顔が怒りで引きつり出した。力任せにドアを開け、殴り殺したい衝動を抑えながら声を絞り出し話し掛けた。全員こっちを向いて絶句している。
「お前らが絶賛強姦中のその子、俺の知り合いなんだよねぇ~。
マジで何してくれてんの?」
ギロッと三人を睨むと、男達は下着とパンツを上げながら逃げる様に部屋を出て行った。
三人共第二騎士団の奴等じゃなかった。
逃げた奴等を追いかけたいが、先にヤマト君の側に行ってあげないと。
奴等の顔をしっかり覚えたから後で必ず探し出し、奴等の団長に報告と厳しい処分を下す様に言ってやる……絶対に……!!
俺は急いでヤマト君の元へ行った。
ヤマト君は上体を起こしずっとこっちを見ていた。
顔は涙や鼻水、唾、口の中で吐き出されたであろう精液にまみれ、胸元は大きくはだけ、下は何も履いてない……
酷い酷い酷い……何でヤマト君がこんな目に?
俺は床に落ちていたヤマト君の下着とパンツを拾い、側に歩み寄って声を掛けた。
「大丈夫? じゃないか……
何でヤマト君がここに」
するとヤマト君は俺は震えながら抱きついてきた。
俺は無言で抱きしめ返してあげた。
* * * * *
ヤマト君が服を着ている間に、近くの給水室から紙コップに水を入れて持ってきた。そして濡れタオルで顔を拭いてあげた。
クソッ、こんな綺麗な顔を汚しやがって。マジで腹が立つ。
ヤマト君は俺が拭いている間ずっと目を伏せて悲しそうな顔をしていた。
胸がズキッと痛んだ。
椅子に腰掛け、水を飲むとヤマト君は落ち着いた様だ。
頃合いをみて、ヤマト君に何故ここにいるのか聞いてみたら「ここって……どこ……?」と驚愕の答えが返ってきた。マジで!?
俺はここは騎士団本部兼宿舎という事を丁寧に教えてあげたが、まだ不思議そうな顔をしていた。
ふと、ヤマト君の格好を見たら、時々ここに派遣されてくるソッチ系処理専門の人の格好に少しだけ似ていた。
もしかしてさっきの奴等に専門の人と間違われて襲われたんじゃないかなぁ、と付け足して説明したらやっと納得できた様だった。
そういえばディルトさんは一緒じゃなかったんだろうか。
ヤマト君に聞いたら、馬車の中で寝て起きたらキスをされ、ディルトさんに再度交際を申し込まれた上押し倒されたのでここに逃げて来たらしい。
俺は堪えきれず声を上げて笑ってしまった。
「あ、でも~そのおかげで俺、ヤマト君とまたこうして会えて助ける事が出来たから、ディルトさんには感謝しなくちゃねぇ。
ヤマト君、どうどう? 俺に惚れ直した?」
「なっ……!」
嬉しくてつい、ヤマト君の頭を撫でながら言うと、ヤマト君は耳まで真っ赤になった。可愛いなぁ。
「……惚れ直してくれると嬉しいなぁ。
俺、ホントにヤマト君の事好きなんだよ」
俺はヤマト君の艶々した髪を指でクルクルしながら、黒くて綺麗な目を見つめ、キスしようと思って顔を近づけた。
ヤマト君は真っ赤っ赤な顔のまま、目をギュッと閉じた。
(うわっ……何この表情!! かっ、可愛い!!)
俺は心を射抜かれた様な感覚に陥った。
心臓がバクバク鳴り始め、体が熱い。
口にキスをするハズが、表情が可愛すぎてつい、おでこの方へとキスをした。
「……可愛いなぁ、もう。そんな顔されたら何もできないじゃん。
さ、一緒にディルトさん探そっか」
俺今、耳まで真っ赤になってる。恥ずかしい。
ヤマト君に見られない様に、素早く立ち上がりドアの方へ移動した。
その後、一階の廊下でディルトさんと会い、これまでの経緯を説明してディルトさんがヤマト君に謝罪し終わった後、俺が責任持って奴等の所属する団の団長へ報告をする事になった。
命ぜられなくても、勿論するつもりだったが。
「さぁ、ヤマト君、私が送っていこう」
ディルトさんがヤマト君の手を引っ張り、歩き出した。
「あ……ヤマト君……」
ヤマト君が俺の側から離れていく。
俺はつい、ヤマト君のもう片方の手を引っ張ったので二人は立ち止まった。
「何だ、ロタ。お前はヤマト君を襲った犯人達を早く探し出せ。頼んだぞ」
ディルトさんにそう言われハッと気付き、唇を噛んで手を離した。
そうだ、ヤマト君に酷い事をした奴等を早く探さないと。
ヤマト君の側に寄り添っていたかったが別れを告げ、最後にヤマト君の頭を撫で、ヤマト君達とは逆方向へ向いて歩いた。
その後部屋で隠れていた三人全員を見つけ出し、三人を連れて奴等の所属する騎士団の団長、副長にきっちりと今回の件について報告をし、厳しい処分を求めた。
その日の晩、街道と街道先の森と村の見回りをしながら、ヤマト君がちゃんと眠れているのか心配になった。
昼間に襲われた事を思い出し、恐怖で震えてないだろうか?
朝になり、本屋の横の倉庫内を片付けているヤマト君を見つけたので背後から肩を軽く叩いた。
「いらっしゃいま……」
「やぁ、ヤマト君、おはよ」
挨拶しながら振り向いたヤマト君は……いつも通りの可愛いヤマト君だった。顔色も良い。
俺はヤマト君の手を握り、ちゃんと眠れたかを聞いた。
「う、うん……俺はもう大丈夫、ちゃんと眠れたし」
良かった、安心した。俺はホッとし、ヤマト君を襲った奴等を捕まえてちゃんと報告した事を告げた。
ヤマトも安心した様で頷き、
「ありがとう、ロタ」
と、俺を見上げながらお礼を言ってくれた。
その顔が……破壊力がありすぎて、またもや顔が赤くなってしまった。
オカシイ……俺、今まで顔は赤くなった事がほとんど無かったのになぁ。
俺はあたふたし、誤魔化すように前からヤマト君にしてもらいたかった【いってらっしゃいのチュー】をお願いしてみた。
すると、少し間を置いてからヤマト君は、俺の頬に軽くキスをし
「……いってらっしゃい……」
と、少し頬を染めて呟いた。
(うおぉぉぉぉ!! イイ!! これイイ!! ヤマト君が少し照れてる感じサイコー!!)
興奮しすぎて俺はもう耳まで真っ赤っ赤になるわ、涙目になるわ……ニヤケるのを必至に堪えながらヤマト君にお礼を言った。
「……アッ……ハハ……これヤベーわ……
ありがとう、ヤマト君……今日一日頑張れそう……」
酷く動揺しているのか、うまくお礼が言えなかった。
んー、ヤマト君が辛そうな様子だったら励まして元気になってもらおうと思いここに寄ったはずが、逆に俺がヤマト君に元気をもらってどうするんだって話だなぁ。
俺はニヤニヤが止まらなくなってしまった顔を手で押さえながら、馬車で帰路に着いた。
本屋の中に入るもヤマト君の姿が見えず、入り口近くにいた背の高い金髪の店員にヤマト君の所まで案内してもらうと、しゃがんで本の整理をしているヤマト君がいて、こちらを見上げた。
か、可愛い……!!
久しぶりに見たヤマト君は前にも増してキラキラして眩しかった。
その後ヤマト君と順調に本を選び、ディルトさんが本をレジへ持って行った。
横で一緒にディルトさんの背中を眺めているヤマト君。
やった、二人きりだ。
俺はコソッと耳元で囁いた。
「……そういえばヤマト君、薬効きやすい体質なんだねぇ。
今日も薬持ってるけどいる?」
するとヤマト君は青ざめ、首を思いっきり横に振った。
う~ん、また薬を飲んで乱れ喘ぐヤマト君が見たかったなぁ。少し残念。
薬を飲んだ時のあのヤマト君を想像していたら、俺が変な顔をしてたのかヤマト君がこちらをチラチラ見始めた。
はぐらかす様にヤマト君のお尻を触ると、ヤマト君の顔がボッと赤くなった。
あれ? いつもと違う反応だ。
俺は、ヤマト君で毎日ヌイてる事と、この前より気持ち良くさせてあげるからまた抱かせてよってお願いしてみた。
これは本当の本当に本心だった。
俺はもうヤマト君じゃないとヌケない体になっていた。
ヤマト君が顔を赤らめたまま俺を見てる。
ん、これは期待していいのか?
俺はそっとヤマト君の肩を寄せ、唇を近づけた。
ヤマト君が抵抗せず俺の顔をジッと見ている。
あと少しでヤマト君とキス……
「何をやっている、ロタ。帰るぞ」
物凄く良い所でレジを済ませたディルトさんが戻って来て邪魔された。
そうだった、ディルトさんもヤマト君の事が好きなんだった……
俺はディルトさんに連れられて渋々店を後にした。
* * * * *
それから更に約一週間後の木曜……俺は騎士団本部で、休暇を取ったディルトさんの代わりに仕事をしていた。
今日は確かディルトさんとヤマト君がデートする日だ。
昨日、夜間の討伐帰りの朝、本屋の前で掃き掃除をしているヤマト君と会い、ディルトさんがデートの約束を取り付けたのだ。
確か、ディルトさん行きつけのお店で食事とか言っていたな。
俺も行くって言ったけどアッサリ却下された。
まぁ俺は今日も仕事だからどっちみち駄目だったんだけどさぁ。
俺もヤマト君と食事したかったな。
その日の夕方、仮眠を挟んで作成した討伐の報告書を提出し終え、夕飯でも食べようかなと一階の廊下を歩いていた。
ふと、廊下の先の方に目をやると遠すぎて顔まで見えないが、三人組のうちの一人が誰かを肩に担いで第五集会室に入って行くのが見えた。あの部屋は今日は使う予定が無いはず……
あの感じだと担がれていた人……騎士団服ではなかったから外部の人かな。
今から皆でコッソリお楽しみタイムってやつか?
夕方だというのにお盛んだねぇ。
いつもならスルーするんだけど、この日は何となく気になって、興味本位で覗きに行ってみた。
ドア右上の小さい窓から中を覗く。
誰かが机の上に押し倒され、大きい男が丁度チンコを挿れてズコズコヤッている最中だった。
その横に下半身出してシゴいてる奴が一人、あと一人はフェラさせて……ん!?
(あ、あれ……まさかヤマト君……!?)
何と机の上で男達に犯されていたのは……ヤマト君だった。
手と足を抑えられ、ヤマト君は涙を流して苦痛の表情を浮かべていた。
明らかに、同意の上ではない。これは強姦だ。
(な……なんで!? ディルトさんは!? 一緒じゃなかったのかよ!!)
目を背けたくなる様な行為に怒りで全身が震えた。顔が怒りで引きつり出した。力任せにドアを開け、殴り殺したい衝動を抑えながら声を絞り出し話し掛けた。全員こっちを向いて絶句している。
「お前らが絶賛強姦中のその子、俺の知り合いなんだよねぇ~。
マジで何してくれてんの?」
ギロッと三人を睨むと、男達は下着とパンツを上げながら逃げる様に部屋を出て行った。
三人共第二騎士団の奴等じゃなかった。
逃げた奴等を追いかけたいが、先にヤマト君の側に行ってあげないと。
奴等の顔をしっかり覚えたから後で必ず探し出し、奴等の団長に報告と厳しい処分を下す様に言ってやる……絶対に……!!
俺は急いでヤマト君の元へ行った。
ヤマト君は上体を起こしずっとこっちを見ていた。
顔は涙や鼻水、唾、口の中で吐き出されたであろう精液にまみれ、胸元は大きくはだけ、下は何も履いてない……
酷い酷い酷い……何でヤマト君がこんな目に?
俺は床に落ちていたヤマト君の下着とパンツを拾い、側に歩み寄って声を掛けた。
「大丈夫? じゃないか……
何でヤマト君がここに」
するとヤマト君は俺は震えながら抱きついてきた。
俺は無言で抱きしめ返してあげた。
* * * * *
ヤマト君が服を着ている間に、近くの給水室から紙コップに水を入れて持ってきた。そして濡れタオルで顔を拭いてあげた。
クソッ、こんな綺麗な顔を汚しやがって。マジで腹が立つ。
ヤマト君は俺が拭いている間ずっと目を伏せて悲しそうな顔をしていた。
胸がズキッと痛んだ。
椅子に腰掛け、水を飲むとヤマト君は落ち着いた様だ。
頃合いをみて、ヤマト君に何故ここにいるのか聞いてみたら「ここって……どこ……?」と驚愕の答えが返ってきた。マジで!?
俺はここは騎士団本部兼宿舎という事を丁寧に教えてあげたが、まだ不思議そうな顔をしていた。
ふと、ヤマト君の格好を見たら、時々ここに派遣されてくるソッチ系処理専門の人の格好に少しだけ似ていた。
もしかしてさっきの奴等に専門の人と間違われて襲われたんじゃないかなぁ、と付け足して説明したらやっと納得できた様だった。
そういえばディルトさんは一緒じゃなかったんだろうか。
ヤマト君に聞いたら、馬車の中で寝て起きたらキスをされ、ディルトさんに再度交際を申し込まれた上押し倒されたのでここに逃げて来たらしい。
俺は堪えきれず声を上げて笑ってしまった。
「あ、でも~そのおかげで俺、ヤマト君とまたこうして会えて助ける事が出来たから、ディルトさんには感謝しなくちゃねぇ。
ヤマト君、どうどう? 俺に惚れ直した?」
「なっ……!」
嬉しくてつい、ヤマト君の頭を撫でながら言うと、ヤマト君は耳まで真っ赤になった。可愛いなぁ。
「……惚れ直してくれると嬉しいなぁ。
俺、ホントにヤマト君の事好きなんだよ」
俺はヤマト君の艶々した髪を指でクルクルしながら、黒くて綺麗な目を見つめ、キスしようと思って顔を近づけた。
ヤマト君は真っ赤っ赤な顔のまま、目をギュッと閉じた。
(うわっ……何この表情!! かっ、可愛い!!)
俺は心を射抜かれた様な感覚に陥った。
心臓がバクバク鳴り始め、体が熱い。
口にキスをするハズが、表情が可愛すぎてつい、おでこの方へとキスをした。
「……可愛いなぁ、もう。そんな顔されたら何もできないじゃん。
さ、一緒にディルトさん探そっか」
俺今、耳まで真っ赤になってる。恥ずかしい。
ヤマト君に見られない様に、素早く立ち上がりドアの方へ移動した。
その後、一階の廊下でディルトさんと会い、これまでの経緯を説明してディルトさんがヤマト君に謝罪し終わった後、俺が責任持って奴等の所属する団の団長へ報告をする事になった。
命ぜられなくても、勿論するつもりだったが。
「さぁ、ヤマト君、私が送っていこう」
ディルトさんがヤマト君の手を引っ張り、歩き出した。
「あ……ヤマト君……」
ヤマト君が俺の側から離れていく。
俺はつい、ヤマト君のもう片方の手を引っ張ったので二人は立ち止まった。
「何だ、ロタ。お前はヤマト君を襲った犯人達を早く探し出せ。頼んだぞ」
ディルトさんにそう言われハッと気付き、唇を噛んで手を離した。
そうだ、ヤマト君に酷い事をした奴等を早く探さないと。
ヤマト君の側に寄り添っていたかったが別れを告げ、最後にヤマト君の頭を撫で、ヤマト君達とは逆方向へ向いて歩いた。
その後部屋で隠れていた三人全員を見つけ出し、三人を連れて奴等の所属する騎士団の団長、副長にきっちりと今回の件について報告をし、厳しい処分を求めた。
その日の晩、街道と街道先の森と村の見回りをしながら、ヤマト君がちゃんと眠れているのか心配になった。
昼間に襲われた事を思い出し、恐怖で震えてないだろうか?
朝になり、本屋の横の倉庫内を片付けているヤマト君を見つけたので背後から肩を軽く叩いた。
「いらっしゃいま……」
「やぁ、ヤマト君、おはよ」
挨拶しながら振り向いたヤマト君は……いつも通りの可愛いヤマト君だった。顔色も良い。
俺はヤマト君の手を握り、ちゃんと眠れたかを聞いた。
「う、うん……俺はもう大丈夫、ちゃんと眠れたし」
良かった、安心した。俺はホッとし、ヤマト君を襲った奴等を捕まえてちゃんと報告した事を告げた。
ヤマトも安心した様で頷き、
「ありがとう、ロタ」
と、俺を見上げながらお礼を言ってくれた。
その顔が……破壊力がありすぎて、またもや顔が赤くなってしまった。
オカシイ……俺、今まで顔は赤くなった事がほとんど無かったのになぁ。
俺はあたふたし、誤魔化すように前からヤマト君にしてもらいたかった【いってらっしゃいのチュー】をお願いしてみた。
すると、少し間を置いてからヤマト君は、俺の頬に軽くキスをし
「……いってらっしゃい……」
と、少し頬を染めて呟いた。
(うおぉぉぉぉ!! イイ!! これイイ!! ヤマト君が少し照れてる感じサイコー!!)
興奮しすぎて俺はもう耳まで真っ赤っ赤になるわ、涙目になるわ……ニヤケるのを必至に堪えながらヤマト君にお礼を言った。
「……アッ……ハハ……これヤベーわ……
ありがとう、ヤマト君……今日一日頑張れそう……」
酷く動揺しているのか、うまくお礼が言えなかった。
んー、ヤマト君が辛そうな様子だったら励まして元気になってもらおうと思いここに寄ったはずが、逆に俺がヤマト君に元気をもらってどうするんだって話だなぁ。
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