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第二十六話
腐男子、押し倒される
しおりを挟む「ヤマト君、キミに頼んで良かった。きっと殿下もお気に召して頂けると思う」
ディルトさんはそう言うと、五冊の恋愛小説本を大事そうに抱え、ノインさんがいるレジへと持って行った。
どの本も純愛モノなので大丈夫なはずだ。
ディルトさんの背中を横で一緒に眺めていたロタが、ニヤニヤしながらコソッと耳元で囁いてきた。
「……そういえばヤマト君、薬効きやすい体質なんだねぇ。
今日も薬持ってるけどいる?」
俺は青ざめ、首を思いっきり横に振ると、
「ちぇーっ。今日はあの金髪君誘って3Pやろ~と思ってたのにぃ」
などと言った。アホかぁぁぁ! キールを巻き込むんじゃねぇぇ!!
ってかロタとキールだったら、自動的に俺が受けになってしまってお尻が大変な事になるじゃないか。勘弁して欲しい。
ロタが俺の気持ちを知ってか知らずか、横でアハハと口を開けて笑っていた。
今日も赤いミディアムヘアーを無造作にオールバックにしている。
細めで上がり気味の眉、少し垂れた切れ長の赤い瞳、口元のホクロ。妙に色気があるイケメンといった感じか。
ロタといい、ディルトさんといい、キールといい、どうして俺に言い寄ってくる男は皆、高身長のイケメンばかりなんだ。
いや、いっその事俺がいない方が絵になるんじゃない?
真面目エリート眼鏡のディルトさんが、部下の遊び人ロタに告白されて組み敷かれて~、その現場をキールに見られて、口封じ的な展開とか。
うん、凄くイイ、悶える。
是非、俺抜きで燃え上がって欲しい。
あ、そう言えばロタは攻め専? リバ可?
俺、ロタの事一度も鑑定してなかったな。
ディルトさんを待っている間に、コッソリと鑑定してみた。
【名前 ロタ】
【年齢 22歳】
【身長 177センチ】
【体重 65キロ】
【種別 人族】
【職業・役職 セイルーン王都第二騎士団副長 一級盾士】
【趣味 馬術・弓道】
【好きなタイプ 可愛い人・体の相性が良い人】
【性行為時立場 攻め】
【好きな体位 後背位(バック)】
【局部の長さ 18センチ】
【初体験年齢 14歳(ルームメイト二人と3P)】
【性的嗜好 過剰愛好・閉所愛好】
んー、なんか凄いな、色々と……
俺、こんな人とヤッちゃったのか……
でも22歳で騎士団副長、一級盾士、趣味は馬術に弓道とか、実はかなりデキる人なのかな。
性に対しての意欲や肉欲が強すぎるだけで。
ロタを見ながら鑑定していたら、ロタがその視線に気付き、俺のお尻を触りながらとんでもない事を抜かした。
「何なに? 俺見ててムラムラしちゃった? 二人でトイレ行こっか?」
「ち、違う!! 絶対行かない!!」
この人は盛りのついた猫か!?
お尻をいやらしい手つきで揉まれ続け、俺はロタとヤッてしまった時の事を思い出し、つい顔がボッと赤くなった。
「そお? でも顔が赤くなってるよ?
ホントはこの前みたいにさ、また滅茶苦茶に突いて欲しいんでしょ?」
ロタは俺のお尻の穴辺りに指を立てて、服越しにツンツン突いてきた。
「……!! やめ……」
「俺さぁ、あの日から毎日、ヤマト君でヌイてんの。
ヤマト君のあの時の顔を思い出す度にさ~、ゾクゾクしてフル勃起しちゃうんだよねぇ。
この前より気持ち良くさせてあげるからさ、また抱かせてよ、ね?」
ロタがそう言いながら肩を寄せ、唇を近づけてきた。
体が固まって動かない……ロタにキスされる……!!
「何をやっている、ロタ。帰るぞ」
間一髪の所でレジを済ませたディルトさんがこっちに戻って来た……助かった。
「ディルトさん、空気読んで下さいよぉ、イイ所だったのにい」
「ちゃんと空気を読んで止めに入ったぞ。
忘れたのか? 私もヤマト君が好きな事を」
ディルトさんは眼鏡を中指でクイッとしながら、頬を赤らめた。
そうだった、ディルトさんも俺の事が好きなんだった……
「それじゃあヤマト君、今日はありがとう。また来るよ。
今度はデートのお誘いでね」
ディルトさんは爽やかな笑みを浮かべて俺の頭を撫でた後、ロタを連れて店を出て行った。
ディルトさん……紳士だ。
いや、ロタがグイグイき過ぎなのか。
でも良かった、何事も無く終わった……と思ったらキールに呼び止められた。
しまった、キールに不審がられてたの忘れてた!
「ヤマト、ちょっと今から倉庫で手伝って貰いたいんだけどいい?」
「えっと……それ後からじゃ駄目……?」
「ううん、今すぐ来て」
キールちょっとキレてるじゃん……
俺は少し切れ気味のキールに手を引っ張られ、二階の倉庫まで連れて来られた。
俺、またキレたキールに何かされるんじゃ……と思っていたら、キールは手前に積み重なっているダンボールを次々に開け、
「この新刊出すの、手伝ってくれる?」
と言った。
あれ? 本当にただの手伝いか。
俺はキールの隣に座り、ダンボールの中に入っている本をせっせと出し、売り場に運ぶカートに乗せていった。
* * * * *
数十分後、最後のダンボール分の本をカートに乗せ終え、背伸びをして腰を叩いているとキールが話しかけてきた。
「ね、ヤマト……さっきの副長さんとのやり取りは何?」
イキナリ直球で聞いてきたーー!!
「あの副長に何かされた? 副長さんが本買いに来た後位からヤマトの様子、おかしくなったよね」
キールはそう言って、俺の手首を掴んできた。
キール鋭いな……俺の事、よく見てる……そして顔が近い。近すぎて思わず顔が赤くなる。
「……ほら、すぐに顔が赤くなる……前は客から触られると青ざめてたのに、最近は逆に赤くなってるよね?」
う。確かに、キールの言う通りだ。
前にも言ったが、ロタに犯されてから……誰かに体を触られると体が敏感になったのか、ビクッと反応し疼いてしまう様になった。
以前は気持ち悪いとしか思えなかったのに……男同士の気持ち良さに目覚めたってやつなのだろうか?
体がこの前の様な快感を欲しているのか?
「あの副長さんと何があったのか、ヤマトが言いたくなかったら無理に言わなくてもいい。
どうせ、あの副長さんにも好意を持たれて色々触られたりしたんでしょ?」
いや……ゴメン、それ以上の事されたよ……
心の中で懺悔をしている俺に、キールは続けて喋った。
「でも……副長さんの事も気になるけど、それ以上に最近の……誰かに触られる度に赤くなってモジモジしているヤマトが可愛すぎて……色っぽくって……
俺、仕事中にずっとムラムラするようになって……ほら、今も」
掴まれていた手首をグイッと動かされ、キールの股間の上へと置かれた。た、勃ってる……
「だからヤマト、責任とって……」
「え!?」
キールは荒い息遣いをしながら俺を押し倒し、突然ディープキスをしてきた。
「んぅー!! んんっ……んっ……!」
キールの熱い舌が、俺の口の中にヌルッと入ってきて俺の舌と絡まり、卑猥な唾の音が倉庫内に響いた。
「んっ……あっ、あ……」
キールにディープキスをされているうちに背筋がゾクゾクし、心臓がドクドク鳴り出した。
な、何だこれ……気持ちイイ……
俺、キールにキスされて感じてる……?
「ッ……ハァッ、ヤマト、可愛い、可愛い……」
キールはそう言いながら、エプロンをめくり、ブラウスのボタンを外しだしたのでハッと我に返る。
「ま、待って……ここ、倉庫……!!」
「ヤマト、好き、大好き」
駄目だ、キール、完全に理性失ってる……!!
前の風呂場の時と一緒だ……!!
俺はキールに再び濃厚なディープキスをされた。
だ、駄目だ……変な気持ちになってきた……
俺は何も考えられなくなり、時間停止能力を使う事も忘れ、キールにされるがままの状態になっていたのだった。
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