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第十七章「死を告げる者」
死を告げる悪魔
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「ちょ、ザク…レイは悪い奴じゃな…」
『ルトは黙っていろ!!!』
「ーっ!」
今までにない真剣な顔でザクに怒鳴られ、体が竦んでしまう。
「っ…ざ、ざく…?」
『!!』
俺の怯える様子をみて、ザクが一瞬怯むように口を閉じた。そのショックで暴走が少し弱まり、黒い靄も消えている。何か声をかけようとしたが、ザクはすぐにレイの方に向き直ってしまった。
「ともかく、早く姿を消せレイス!てめえの顔なんて一秒たりとも見ていたくねえ!!」
「それほど…大事か」
「…っ!!」
レイの言葉にザクが瞳を揺らす。
それを見たレイが珍しく口角を上げた。無表情のまま、口角を上げたレイは不気味で、でもとても言い様のない迫力があった。
「…そうか、ならば言ってやろう」
「やめろ!!やめてくれ…ッ!!」
俺の体を掴むザクの手が震えている。
(ザクが、怖がっている…?)
何を?何をそんなに恐れているんだ?あの傍若無人で俺様な悪魔が震えるほど恐れる事なんてあるのか。
「ざ、ザク…大丈夫?」
「クソッ!ルト、逃げるぞ!こいつから早く離れるんだっ!」
「え?あっー」
腕を引かれ、出入り口に引っ張られていく。
(逃げる?ザクが逃げるって言うなんて…初めてじゃないか?そんなにレイは怖いものなのか…?)
ザクの動揺の意味がわからず、いまいち従いにくい。しかし、次の瞬間、俺はザクの焦りの意味をやっと理解できた。
『ルト、お前は近いうちに死ぬ』
レイが宣告するようにそう告げた。
その言葉を聞いた瞬間。
まるでその言葉が形を持った物体のように、俺の体にしみこんでくる気がした。
ゾクリと、体が震える。
「ーっ…!?」
「俺の言葉は絶対だ、覆らない」
「え…れ、レイ…?」
レイの言葉についつい振り返ってしまうと
「レイスっ、てめええっっ!!」
今度こそ怒りに染まったザクがレイに掴みかかった。
「よくもっ…ルト、を…!そんな…嘘だろ…!!!!」
「…嘘をつけていたら、こんなに苦労していない」
自嘲するように笑うレイ。その目は俺の方にじっと向けられていた。状況に追い付けず放心状態のまま座り込んでしまった俺を、食い入るように見てくる。
「俺に掴みかかるよりも…お前は他にやることがあるはず…」
「うるせえ!!わかってるよ!!!!」
ドンッと強くレイを押し返し、ザクが俺に近づいてきた。今までにないザクの焦り様に、俺は言葉を失い見上げることしかできなかった。
ぐいっ
ザクは何も言わず俺を抱き上げ、そのまま迷わず温泉の窓の方に向かう。
「ちょっ、どこに行く気だよ…!?ザク!」
「ここから離れる。カラドリオスの教会、いや…だめだ、俺様の縄張りに戻った方がいいか…」
ぶつぶつとザクは独り言を言いながら窓の外に出た。
ビュウウウッ
いくら温泉の中が暖かくても、外は雪一色で、寒いなんていう可愛いレベルではない。急に吹き付けてきた風に、本能的な震えが走った。生死の危険を感じる寒さだ。くしゃみも止まらない。
「馬鹿!さ、寒いって!中に戻って、ザク!へっくしゅんっ!」
「くそっ、服…」
ぱちんっと指を鳴らし、俺の体に黒い服を包ませた。おかげでいくらか寒さは和らいだが、濡れた体で雪山なんて越えられるわけがない。そもそもずっと混乱しっぱなしだ。一体何が起きているのか。
(だめだ、ザクとちゃんと話をしないと!)
ザクの腕から逃げようと俺は暴れた。
「ザクっ、おろせっ!」
「だめだ。おろしたらお前は宿に戻るだろ」
「当たり前だろ!明日も仕事があるんだぞ!?ここで俺たちが消えたら怪しまれるし、街に…カラドリオスに戻れなくなるかもしれない!そんなの…俺は絶対嫌だからな!」
「だめだ…お前を死なせるわけにはいかない」
「はあ?さっきの死ぬってやつ?レイのイタズラだろ、あんな言葉!」
「違う!!」
叫ぶように、俺の言葉を遮った。
(ザクが…取り乱して、る…?叫ぶなんて…)
俺はとうとう訳がわからなくなって、ザクの頭を震える手で抱き込んで囁いた。
「ざ、ザク…落ち着けよ。さっきから意味わかんないんだけど、何をそんなに怯えてるんだ…?」
「違うんだ…!!」
最後は吐き出すように、苦しそうにザクは呟いた。
「あいつはレイス、死を告げる悪魔だ…!」
俺を抱く腕が、
ずっと震えていたことに
その時やっと俺は気付いた。
『ルトは黙っていろ!!!』
「ーっ!」
今までにない真剣な顔でザクに怒鳴られ、体が竦んでしまう。
「っ…ざ、ざく…?」
『!!』
俺の怯える様子をみて、ザクが一瞬怯むように口を閉じた。そのショックで暴走が少し弱まり、黒い靄も消えている。何か声をかけようとしたが、ザクはすぐにレイの方に向き直ってしまった。
「ともかく、早く姿を消せレイス!てめえの顔なんて一秒たりとも見ていたくねえ!!」
「それほど…大事か」
「…っ!!」
レイの言葉にザクが瞳を揺らす。
それを見たレイが珍しく口角を上げた。無表情のまま、口角を上げたレイは不気味で、でもとても言い様のない迫力があった。
「…そうか、ならば言ってやろう」
「やめろ!!やめてくれ…ッ!!」
俺の体を掴むザクの手が震えている。
(ザクが、怖がっている…?)
何を?何をそんなに恐れているんだ?あの傍若無人で俺様な悪魔が震えるほど恐れる事なんてあるのか。
「ざ、ザク…大丈夫?」
「クソッ!ルト、逃げるぞ!こいつから早く離れるんだっ!」
「え?あっー」
腕を引かれ、出入り口に引っ張られていく。
(逃げる?ザクが逃げるって言うなんて…初めてじゃないか?そんなにレイは怖いものなのか…?)
ザクの動揺の意味がわからず、いまいち従いにくい。しかし、次の瞬間、俺はザクの焦りの意味をやっと理解できた。
『ルト、お前は近いうちに死ぬ』
レイが宣告するようにそう告げた。
その言葉を聞いた瞬間。
まるでその言葉が形を持った物体のように、俺の体にしみこんでくる気がした。
ゾクリと、体が震える。
「ーっ…!?」
「俺の言葉は絶対だ、覆らない」
「え…れ、レイ…?」
レイの言葉についつい振り返ってしまうと
「レイスっ、てめええっっ!!」
今度こそ怒りに染まったザクがレイに掴みかかった。
「よくもっ…ルト、を…!そんな…嘘だろ…!!!!」
「…嘘をつけていたら、こんなに苦労していない」
自嘲するように笑うレイ。その目は俺の方にじっと向けられていた。状況に追い付けず放心状態のまま座り込んでしまった俺を、食い入るように見てくる。
「俺に掴みかかるよりも…お前は他にやることがあるはず…」
「うるせえ!!わかってるよ!!!!」
ドンッと強くレイを押し返し、ザクが俺に近づいてきた。今までにないザクの焦り様に、俺は言葉を失い見上げることしかできなかった。
ぐいっ
ザクは何も言わず俺を抱き上げ、そのまま迷わず温泉の窓の方に向かう。
「ちょっ、どこに行く気だよ…!?ザク!」
「ここから離れる。カラドリオスの教会、いや…だめだ、俺様の縄張りに戻った方がいいか…」
ぶつぶつとザクは独り言を言いながら窓の外に出た。
ビュウウウッ
いくら温泉の中が暖かくても、外は雪一色で、寒いなんていう可愛いレベルではない。急に吹き付けてきた風に、本能的な震えが走った。生死の危険を感じる寒さだ。くしゃみも止まらない。
「馬鹿!さ、寒いって!中に戻って、ザク!へっくしゅんっ!」
「くそっ、服…」
ぱちんっと指を鳴らし、俺の体に黒い服を包ませた。おかげでいくらか寒さは和らいだが、濡れた体で雪山なんて越えられるわけがない。そもそもずっと混乱しっぱなしだ。一体何が起きているのか。
(だめだ、ザクとちゃんと話をしないと!)
ザクの腕から逃げようと俺は暴れた。
「ザクっ、おろせっ!」
「だめだ。おろしたらお前は宿に戻るだろ」
「当たり前だろ!明日も仕事があるんだぞ!?ここで俺たちが消えたら怪しまれるし、街に…カラドリオスに戻れなくなるかもしれない!そんなの…俺は絶対嫌だからな!」
「だめだ…お前を死なせるわけにはいかない」
「はあ?さっきの死ぬってやつ?レイのイタズラだろ、あんな言葉!」
「違う!!」
叫ぶように、俺の言葉を遮った。
(ザクが…取り乱して、る…?叫ぶなんて…)
俺はとうとう訳がわからなくなって、ザクの頭を震える手で抱き込んで囁いた。
「ざ、ザク…落ち着けよ。さっきから意味わかんないんだけど、何をそんなに怯えてるんだ…?」
「違うんだ…!!」
最後は吐き出すように、苦しそうにザクは呟いた。
「あいつはレイス、死を告げる悪魔だ…!」
俺を抱く腕が、
ずっと震えていたことに
その時やっと俺は気付いた。
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