おまわりさんΩ、猛犬系ワンコに懐かれる

らんね

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9 案外お似合い?

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その後に三度ほど達して、中を裕也くんの精液でたっぷりと満たされた俺がしばし余韻に浸っていると、裕也くんが水と俺の薬を持ってくる。

「ピル、どうぞ」
「ん」

普通に水と薬を貰えれば自分で飲めるのだが、口移しをされてしまう。
 というか、安易に生でしないでコンドームをしろと警察官としては指導するべきところだが、快楽に負けてしまったわけだ。それにたぶん、俺に自分の匂いを付けているんだろう。これはαのパートナーへの衝動だから、仕方ない。
 それからシャワーを借りて汗やらなにやらを流してさっぱりしたら、先にシャワーを浴びた裕也くんがソファに座ってテレビを見ていた。腰にタオルを巻きつけただけの裕也くんの、肉体美がすごい。

「裕也くん、いい身体してるね」
「そ? ありがとう。高瀬さんこそ鍛えているじゃん」

裕也くんに手招きされて、俺はソファの隣に座る。

「俺はΩだから、体質的にすぐに落ちる。たぶんこの発情期で痩せたな」

腹周りを触って筋肉を確かめていると、裕也くんがギュッと抱き着いてきた。

「俺、セックスの途中で逃げられなかったの、初めてだ。やっぱり高瀬さんは俺のためのΩだよ」
「……あのしつこさだと、逃げるだろうな」

俺はあの二日間にどれだけイッても萎えなかった裕也を思い出し、遠い目になる。さすがの俺も悲鳴を上げたし、マジでセックスで殺されるかと思ったぞ?

「あっちから自信満々で誘っておいて、化け物呼ばわりとか、酷いじゃん?」

化け物予備は論外だが、裕也くんが常軌を逸した絶倫ぶりであるのは間違いないので、なんとも言えない。けど、やはりお誘いは数多あるらしい裕也くんは、選り好みができるはずなのに。

「裕也くんは本当に、俺みたいなΩでいいのか?」

不安と申し訳なさと、ちょっとの期待が混じってしまう問いに、裕也くんがギュッと抱きしめてきた。

「好きだよ。普段は凛々しいおまわりさんなのに、俺だけに可愛くてエロい、最高のΩだ」

俺の方が断然年上なのに、甘やかすようにあちこちにキスをしかけてくる裕也くんが、ふと思い出したように言った。

「あのさ、薬の袋にチョーカーがあったけど」
「あぁ、医者から首をガードした方がいいと言われて」

そう言えばそんなものを貰ったんだったと、裕也くんに言われて思い出す。
 昔、Ωはαに首を噛まれないとパートナーだと認められなかった時代があった。Ωは一度αに噛まれると、一生をそのαに束縛されてしまうので、事故を防ぐために首を守る防具が必須だったのだ。
 昨今ではそのようなことは時代錯誤だし、そこまでするαはそうそういない。Ωでもチョーカーをせずタートルネックのシャツで済ませたり、俺のように症状が軽くて気付かれないようなら襟付きのシャツで十分な場合もある。けれど今回の検査の数値では、Ωであると周囲に露呈してしまうので、悪戯に噛まれないためにチョーカーは必須だと言われてしまった。今日、とりあえず病院から支給されたものを貰っていたのだが、また着けてはいない。
 やっぱり、首輪みたいで好きじゃあないんだよな。

「ね、今度俺がチョーカー選ぶから、ソレ着ける?」

俺が若干嫌そうなのを感じたんだろう、裕也くんがそう提案してきた。贈り物なら、支給品よりは首輪感が薄れる……のか?

「その、貰えたら嬉しい、かも」

なんだか贈り物をねだるような言い方になってしまって、気恥ずかしくて俯くと、うなじをペロリと舐められた。

「ひゃっ!」

すると痺れるような刺激が走り、自分でもびっくりするくらいに甲高い悲鳴が出てしまう。肌が粟立っているのは、未知の快感に対しての恐怖だろうか?
 これまでだってチョーカーこそ着けていなかったが、別段首を露出する服装をしていたわけではなく、人前では襟があるシャツを着るようにしていた。けれど、自身の首がこんなにも性感帯なのだと感じたことはない。そう言えば、記憶がある範囲では、裕也くんはセックス中に首に触れようとはしなかったかもしれない。俺が首への刺激に慣れていないと、察していたのだろうか?
 なんだろう、今すごく首を晒しているのが恥ずかしくなってきた――!

「じゃあ、早めに買ってくる。着けてやるよ」

裕也くんがそんな俺を見て、ククッと笑った。
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