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一章 再会
39 面倒は勘弁
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「逆に前島は、そういうのでボコられねぇの?」
今度は戸山が不思議そうに聞いてきたのに、僕は「ないねぇ」と答える。
「たまに冗談が過ぎて殺されそうな目で睨まれることはあるけどさ。ベタつくのを拒否られたことないし、セックスだって誘うのと誘われるので半々だよ?」
「おぉ……。明け透けねぇのな、前島って」
「よく香坂からも『羞恥心!』って言われるかな」
今頃香坂は上でくしゃみしているかもね。
それにしてもさ、僕らは再会初日から即セックスで抱き合ったままの爆睡だぞ? すげぇ全身で密着状態じゃんかね? それでまさか触られるのが怖いとか思わないじゃん。マジで香坂は僕に特化したみたいにフェロモンの相性が狭く突き抜けているんだな。
そんな風に考える僕に、戸山がクッと口の端を上げる。
「香坂はそんなヤツだったから、俺ぁ正直アイツにセックスとか一生無理なんだろうって思ってた」
「あ~、スキンシップの究極だもんね、セックスって」
こっちも明け透けな言い方に、僕は苦笑するしかない。
戸山が僕のことで驚いたのって、恋人がどうの以前に「お前、ヤレるの!?」ってことだったのか。それにそういう香坂の事情を知れば、あの最初のセックスをヤる気になったのが奇跡だな。ヒートが始まっていて思考が性欲で溶けてなかったら、まずOKしなかっただろう。最初の時に誤魔化した言い方だったけれど、香坂が童貞処女だったのはそういう理由か。
「そっそ、だから前島クンが現れた時、怜には最初で最後のチャンスだと思って、この俺がお節介を焼いたわけだ!」
そこに従兄さんがカラカラと笑いながら話す。あぁ、めっちゃ強引だったもんな、あの時。
そんな僕らのセックス事情はともかくとして、話は今日の話に戻る。
「にしても今日のは、よく蹴りの一発で済ませられたな?」
戸山が尋ねるのに、「まぁね」と僕は頷く。
「人目があったから、面倒事からはサッサと退散したよ。警察呼ばれたら嫌じゃん?」
バイクのナンバーから面が割れたら、結果バイクを貸してくれた従兄さんに迷惑をかけては申し訳ないもんね。
「それをさせられた前島がスゲェよ、よく素直に退散したな香坂のヤツ」
感心した戸山の横で、従兄さんはなんとなくわかった風な顔をしている。フェロモンで落ち着かせて誘導したもんね。興奮状態である方が、フェロモン誘導はよく効くんだよ。
「けどそんな風に凶暴でも、妙な輩を惹き付けるんだよなぁ、香坂って」
そう言う戸山がしかめっ面に変わる。
「あ~、今日会った野村クンみたいな?」
「ソレな。香坂は俺らみたいなの以外からも人気あったじゃん?」
まあね、喧嘩が強い上に男らしいけれど、キレイ系な見た目でもある香坂は、不良から一般生徒まで憧れている生徒が男女ともに多かった。本当に仲良くなれはしないだろうけれど、高根の花として憧れるってヤツね。その見た目からも、香坂はα疑惑が強かったんだよな。
「それにさ、香坂が厳ついゴリゴリのマッチョじゃない分、余計変なのを湧かせてて。強い香坂に勝っていい気分に浸りたいというか、言うことを聞かせたいとか、あ~、そういうのなんて言うんだっけな?」
「支配欲とか征服欲とか、そう言う感じ?」
言葉が出てこないらしい戸山に、僕は助けを出す。
「そうそう、ソレ! そんなんだから、喧嘩を売られることもすげぇ多かったんだけどな。香坂は喧嘩が強いからって、バトルジャンキーでもないワケよ。第一、いつもいつも喧嘩してっと疲れるじゃん?」
確かに、気が休まらないだろうっていうのは想像できる。
今度は戸山が不思議そうに聞いてきたのに、僕は「ないねぇ」と答える。
「たまに冗談が過ぎて殺されそうな目で睨まれることはあるけどさ。ベタつくのを拒否られたことないし、セックスだって誘うのと誘われるので半々だよ?」
「おぉ……。明け透けねぇのな、前島って」
「よく香坂からも『羞恥心!』って言われるかな」
今頃香坂は上でくしゃみしているかもね。
それにしてもさ、僕らは再会初日から即セックスで抱き合ったままの爆睡だぞ? すげぇ全身で密着状態じゃんかね? それでまさか触られるのが怖いとか思わないじゃん。マジで香坂は僕に特化したみたいにフェロモンの相性が狭く突き抜けているんだな。
そんな風に考える僕に、戸山がクッと口の端を上げる。
「香坂はそんなヤツだったから、俺ぁ正直アイツにセックスとか一生無理なんだろうって思ってた」
「あ~、スキンシップの究極だもんね、セックスって」
こっちも明け透けな言い方に、僕は苦笑するしかない。
戸山が僕のことで驚いたのって、恋人がどうの以前に「お前、ヤレるの!?」ってことだったのか。それにそういう香坂の事情を知れば、あの最初のセックスをヤる気になったのが奇跡だな。ヒートが始まっていて思考が性欲で溶けてなかったら、まずOKしなかっただろう。最初の時に誤魔化した言い方だったけれど、香坂が童貞処女だったのはそういう理由か。
「そっそ、だから前島クンが現れた時、怜には最初で最後のチャンスだと思って、この俺がお節介を焼いたわけだ!」
そこに従兄さんがカラカラと笑いながら話す。あぁ、めっちゃ強引だったもんな、あの時。
そんな僕らのセックス事情はともかくとして、話は今日の話に戻る。
「にしても今日のは、よく蹴りの一発で済ませられたな?」
戸山が尋ねるのに、「まぁね」と僕は頷く。
「人目があったから、面倒事からはサッサと退散したよ。警察呼ばれたら嫌じゃん?」
バイクのナンバーから面が割れたら、結果バイクを貸してくれた従兄さんに迷惑をかけては申し訳ないもんね。
「それをさせられた前島がスゲェよ、よく素直に退散したな香坂のヤツ」
感心した戸山の横で、従兄さんはなんとなくわかった風な顔をしている。フェロモンで落ち着かせて誘導したもんね。興奮状態である方が、フェロモン誘導はよく効くんだよ。
「けどそんな風に凶暴でも、妙な輩を惹き付けるんだよなぁ、香坂って」
そう言う戸山がしかめっ面に変わる。
「あ~、今日会った野村クンみたいな?」
「ソレな。香坂は俺らみたいなの以外からも人気あったじゃん?」
まあね、喧嘩が強い上に男らしいけれど、キレイ系な見た目でもある香坂は、不良から一般生徒まで憧れている生徒が男女ともに多かった。本当に仲良くなれはしないだろうけれど、高根の花として憧れるってヤツね。その見た目からも、香坂はα疑惑が強かったんだよな。
「それにさ、香坂が厳ついゴリゴリのマッチョじゃない分、余計変なのを湧かせてて。強い香坂に勝っていい気分に浸りたいというか、言うことを聞かせたいとか、あ~、そういうのなんて言うんだっけな?」
「支配欲とか征服欲とか、そう言う感じ?」
言葉が出てこないらしい戸山に、僕は助けを出す。
「そうそう、ソレ! そんなんだから、喧嘩を売られることもすげぇ多かったんだけどな。香坂は喧嘩が強いからって、バトルジャンキーでもないワケよ。第一、いつもいつも喧嘩してっと疲れるじゃん?」
確かに、気が休まらないだろうっていうのは想像できる。
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