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第2章 【異世界からの侵略者】
第2章3 【グランメモリとの再開】
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ヴァル「ふぅ、こいつら大したことなかったな」
ヴァルが最後の1匹を倒した。
ヴェルド「やっぱ、この間のあれで俺らだいぶ鍛えられてんじゃねえか?」
ヴェルドが自分の腕の筋肉を確かめるように触りながら言う。
ヒカリ「あの、この間のあれってなんですか?」
ヒカリが当然の疑問を尋ねてきた。
「そういえば、何も話してなかったね。この間のあれってのは魔獣騒ぎを解決するために私達が......」
ヒカリ「あ、あれ」
説明しようとするセリカを無視してヒカリが何かを見つけたらしくさっきまで魔獣が居た方向に指を指している。
ヴァル「なんだありゃ?」
ヴェルド「瘴気団......なのか?」
ヴァルとヴェルドがヒカリが指さした方を見ながら言う。そこには、忌々しい形をした瘴気団があった。
エフィ「あの、あまりこんなこと言いたくないんですが......あの瘴気団『丸く』ないですか?」
みんなが口には出して言わなかったことを、エフィが代表するかのようにして言った。
みんなの目に同じように映っているのなら、あれは間違いなく嫌な記憶を掘り返してくるものだ。本当勘弁してください。前回大きな獣に掴まれたことが若干トラウマになってるんです。
ヴァル「んなわけねえだろ。あれは俺達が解決した......はず......」
ヴァルは必死に否定しようとしたが、瘴気団の近くに行って言葉を失ったようだ。
ヴァル「なあ、あの事件は確かに終わらせたはずだよな?」
ヴァルが静かに、そう問いかけてくる。
ヴェルド「絶対終わらせたはずだ。それなのに、なんでだ?」
丸い瘴気団。それは前回の事件でディランが人工的に作っていたことが分かり、そのディランを倒すことで解決したはずだ。
ーーしかし、目の前にある瘴気団はあの時と同じようにとても、綺麗な円形を作っていた。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
ヴァル「なあ、ヒカリ。これがなんだか分かったか?」
ヴァルが腕組をしながら尋ねる。
ヒカリ「どう見てもただの瘴気団。形がおかしいところだけ除けば」
ヒカリは瘴気団に謎の機械を着けていたが、それを外してこちらにやって来た。
ヒカリ「ヴァル達が言う、『グランメモリ』ってのでこんなのを作ってるのだとしたら、誰かやった人がいるはずだけど......」
ヴェルド「そんなはずねえ、って言いたいところだが......」
ヴェルドは記憶を遡るように頭を抱えている。
それはセリカも同じことだった。
もし、これが『グランメモリ』によるものだとしたら、事件はまだ終わっていないということになる。
そう考えただけで背筋がゾッとする。
ヴァル「とりあえず、これ消すことって出来ねえのかな?」
ヴァルが言う。
エフィ「私にはできません」
エフィが分かり切っていることを言う。
ヴェルド「俺も瘴気団までは凍らせれねえな」
ヴェルドも同じことを首を振りながら言う。
ヴァル
「なあ、セリカ。これ精霊の力でなんとか出来ないのか?」
ヴァルが私の方を向いて尋ねてくる。
「ごめんけど、瘴気団を消せるような精霊はいないかな」
むしろ、いるのなら前回の事件の時に使ってたし……
「ーーヒカリ、それなんだ?」
突然、ヴァルがヒカリの方を向いて言う。
「ああ、これ?」
ヒカリは手に持っていた小さな箱のようなものを持ち上げた。
ーーあれって……
「なんか、そこら辺に落ちてなのよねー。なんなんだろ?」
ヒカリはそれを見つめながら言う。
「落ちてたってどこに?」
ヴァルの顔がみるみる険しいものに変わっていく。私も、もしかしたら顔に出てるかもしれないくらいに心臓がバクバクと高鳴っている。
ヒカリ「そこの瘴気団の近くよ」
ヒカリはすぐそこの瘴気団を指さし言う。お気楽に答えているところから、事態の重要さが分かっていないようだ。
ヴァル「バカ、お前、それがなんなのか知ってるのか!」
ヴァルが怒声にも近いような声で言う。
ヒカリ「な、何よ急に......」
流石のヒカリも面食らったような表情をしている。
ヴァル「なあ、ヴェルド。お前はあれに見覚えがあるよな?」
ヴェルド「嫌な記憶でならあるぞ」
ヴェルドが静かに答えた。
2人がここまでの反応を見せるということは、やはり、あれは......
ヴァル「それ、グランメモリだろ」
私が考えていたことと同じことをヴァルが言った。
ヒカリ「え?そうなの?」
ヒカリは特に焦る様子もなく、ただ、持っていたグランメモリを凝視するだけだった。
ヒカリ「へぇーこれがグランメモリかー」
ヴァル「何、悠長に構えてんだ。それは...」
ヒカリ「知ってるわよ。とんでもない力が眠っている凶器なんでしょ?」
焦るヴァルを置いてヒカリは呑気に答える。
ヴァル「だったら、なんでそんな悠長に構えてられんだよ」
ヒカリ「主観の問題ね」
ヴァル「あぁ?」
ヒカリ「ヴァル達の話を聞く限り、そのディランとか言う奴がこれを悪用してたんでしょ?だったら、これ自体にはなんの罪も無いわけじゃない。むしろ、私は研究材料としての魅力を感じるわ」
確かにヒカリの言っていることは正論なのだが、どうにも、腑に落ちない。
ヒカリ「それに、これを研究していけば、この瘴気団の発生理由とか消し方なんてものが分かるんじゃない?今すぐに壊すっていうのはあまり得策じゃないと思うわ」
ヴァル「……はぁ、分かったよ」
ヴァルは諦め、脱力したように寝そべった。
ヒカリ「そうそう」
ヒカリが突然何かを思い出したかのように話を始めた。
ヒカリ「瘴気団の消し方だったら私知ってるよ。あれに効くかどうかは知らないけど」
「「「 え、えぇー!? 」」」
4人の声が盛大にハモった。
ヒカリ「そ、そんなに驚くこと?」
ヒカリが若干引いたような口調で言う。
ヴェルド「当たり前だろ!誰も消すことが出来ない奴だぞ!つか、さっき消せるかどうかの話してたじゃねぇか!」
ヴェルドが呼吸を荒くして言う。
ヒカリ「消し方なんて簡単なことよ。あれはマナが汚染されてるんだからそれを正常なものに戻せばいいのよ」
ヴァル「あぁ、あ?それをどうやるんだよ?」
ヒカリ「これを使うの」
そう言ってヒカリはローブから薬草のようなものを出した。
ヒカリ「これは、クリアラって言ってね」
エフィ「あ、知ってます。確か、マナ汚染による感染症を治すのに使われるんですよね」
へー、そんな薬草あるんだ。忘れてた。
ヒカリ「そう、正解」
ヒカリは満足そうに微笑んだ。
「でも、それを使って瘴気団を消すってのは何年か前に騎士団の人達がやって失敗してた気がするけど......」
私は僅かな記憶を掘り出し、ヒカリがやろうとしていることを察して言う。
ヒカリ「それは、この薬草をそのまま使おうとするから失敗するのよ」
ヴァル「じゃあ、どう使うんだ?」
ヒカリ「弾丸にして、瘴気団の中央に向かって撃ち込むの」
そう言ってヒカリはローブの中から拳銃よりも少し大きめな特殊な形をした銃を取り出した。これって、確かガイルにトラウマを植え付けたやつ……
ヴェルド「弾丸にして撃ち込むってお前なぁ。ガラス窓じゃねえんだぞ」
ヴェルドはそう言うが、ヒカリは構わず薬草を弾丸の形に整えている。凄い慣れた手つきだ。軍師とか言ってたし、やっぱり戦場での経験が多いのかな?
……っとなると、ヒカリって私達より歳上?
ヒカリ「まあ、見てなさいって」
そう言ってヒカリは瘴気団に標準を合わせ引き金を引く。
《バキューン!》
銃声が森に響き渡る。
そして、その弾丸は見事瘴気団を貫き、その形を跡形も無くしてしまった。
ヴェルド「嘘だろ!?」
ヴェルドが驚愕の表情で言う。
それは、驚きのあまり声には出せなかった私達も同じことだった。
ヒカリ「ね?言ったでしょ」
ヒカリがしてやったという顔で言う。
ヴァル「は、スゲー......」
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
ヴァル「なあ、ヒカリなんか分かったか?」
馬車に揺られて数時間、ずっとヒカリがさっき拾ったグランメモリを見つめているので、ヴァルが痺れを切らせて問いかけた。エフィの酔い止め魔法凄いな。
ヒカリ「詳しいことは......帰ってから調べてみて......分かるかな?」
ヒカリにしては自信がなさそうだ。
ヴェルド「いつも策を考えるみたいにバッと出来ないの?」
ヒカリ「策と違って調べようにもどう調べたらいいか分からない状況だからねー」
そう言ってヒカリはグランメモリをローブの中に仕舞う。
「それ、王国騎士団辺りに預けた方がいいんじゃないの?」
ヒカリ「なんで?」
「なんでって、そりゃ......」
一応前回の事件で敵が持っていた物の形を残した状態だからだ。
ヒカリ「あんな奴らに渡したところでろくに調べも出来ないわよ。それなら私が持ってた方が有効的じゃない?」
私が言うより早く、ヒカリがそう言った。
「ねえ、1回聞いておきたかったんだけどさー、ヒカりんってうちに来る前はどこで働いてたの?」
私はずっと気になっていたことを言う。あとついでに、ずっと呼びたかったあだ名で。
ヒカリ「ヒカりんって......、まあ、今はあだ名に関してはほっとくわ。ーー前に働いてた場所ねぇ...」
そして、ヒカリは思い出そうとするように腕組をして考え始めた。
ヒカリ「確か、前はイーリアスの自警団で軍師をやっていたかな?」
「イーリアスのって隣国の?」
ヒカリ「それ以外どこがあるのよ?」
「それもそうか。ーーそれにしてもイーリアスの自警団か......あそこなら普通に仕事あったでしょ?」
イーリアスはそれ程豊かではないが、今はラグナロクと冷戦状態にあり、山賊がちらほらやって来る国だ。軍師ならいくらでも仕事があるだろう。
ヒカリ「ダメね。まずあそこは住むには状態が悪過ぎるのよ」
「そりゃ、山賊はよくやって来るって聞くけど......」
ヒカリ「そうじゃなくて、人の問題よ。あの自警団男しかいないから肩身狭いし、野営だとか言って熊肉は食わせられるしさ......まあ、別に食べられなくはないんだけど」
どうやら、問題があったのはヒカリの方だった。
ヒカリ「何よ、その目」
ヒカリが凄い目付きで睨んでくる。
ーーおぉ、怖っ。
ヒカリ「まあ、そんなこんなで、あそこは働くにも住むにしても最悪な条件なのよ。一体、あの軍の何人が私をちゃんと女として見てたのかしら......」
後半は独り言なのだろうか声が小さかった。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
ヴァル「帰ったぞー」
ヴァルは勢い良く扉を開けてギルドの中に入る。
レラ「おかえりなさーい」
出迎えてくれたのはやはり、ミラ……と言いたいところだったがレラだった。
「ただいまーレラ」
レラ「おかえりなさい、セリカ」
レラが応対することなんて、初めてのことだ。ミラはどうしたのだろう?
「あの、ミラさんは?」
私は問いかけた。
レラ「あ、お姉ちゃんならライオスさんとフウロさんと一緒にお仕事に行ったけど......」
「そうなんだ」
ミラさんが直接仕事なんて珍しいな。
レラ「あの、お姉ちゃんに何か御用でもあった?」
「いや、別に。ただ、レラが応対するなんて久しぶりのことだったからさ」
レラ「ああ、そういうこと。普段はお姉ちゃんがやってるからね」
そう言うと、レラはカウンターに行き、棚からカップを3つ程出すと、コーヒーを入れた。
レラ「はい、どうぞ」
「ありがとう、レラ」
そう言ってセリカはコーヒーを1口、口に含んだ。
ヴァルとヴェルドも出されたコーヒーを飲んでいる。
レラ「あの、ヒカリさんとエフィさんは?」
レラがヒカリとエフィがいないことを尋ねてきた。
「ああ、あの二人なら図書館に言ったよ。しかも王都にある方の」
レラ「そんな遠くまで!?」
レラが大きな声で言う。
「うん、なんか二人共調べたいことがあるからって。図書館ならすぐそこにある所を使えばいいのに......」
レラ「うーん。でも王都にあるのが1番大きな所だからなー。余程大きな事でも調べようとしてるのかなー?」
「どうだろう?」
セリカは丸い瘴気団とグランメモリに関しては黙っていた。
ヒカリから誰にも言うなと言われたからであるし、無駄な不安感を与えたくなかったからだ。
レラ「まあ、お二人は勉強が好きですから、あそこの図書館じゃ満足できなくなっただけでしょ」
レラがどうでもいいというふうに言う。
「アハハ、そうだよね」
私は自慢じゃないが嘘が得意ではない。このまま、話が終わってくれることをただただ、祈っていた。
レラ「そう言えば、最近、通り魔が現れるらしいよ」
レラが突拍子もない話に話題を切り替えた。
「通り魔......か......。世の中には迷惑な人もいたもんだね......」
レラ「普通の通り魔だったら、私が話題にあげないよ」
「その言い方、まるで、普通じゃないって言ってるようなもんだけど」
レラ「その通り魔、襲った相手には何一つ外傷を与えないんだけど、襲われた人は部分的な『記憶』を失ってるそうなの」
「記憶を奪う通り魔ってことかな?」
何ともまあ、不思議な通り魔だ。不思議な通り魔って何?
レラ「さあ、それはどうかな?私も人から聞いた話だから定かじゃないんだけど」
「まあ、いるいないに関してはどうとも言えないけど、もし居るんだとしたら帰りは気をつけないとね」
レラ「セリカは美人だから気をつけてくださいね」
レラが茶化すように笑いながら言ってきた。
「もう、茶化さないでよ」
レラ「アハハ」
レラは笑いながらカウンターの方に戻って行った。
『通り魔』......か......。いないとは思うけど、気をつけないとな。
その通り魔がどういう存在でどういった人物なのか、そして、この通り魔が1つの事件の始まりに過ぎないことをこの時のセリカには知る由もなかった。
ヴァルが最後の1匹を倒した。
ヴェルド「やっぱ、この間のあれで俺らだいぶ鍛えられてんじゃねえか?」
ヴェルドが自分の腕の筋肉を確かめるように触りながら言う。
ヒカリ「あの、この間のあれってなんですか?」
ヒカリが当然の疑問を尋ねてきた。
「そういえば、何も話してなかったね。この間のあれってのは魔獣騒ぎを解決するために私達が......」
ヒカリ「あ、あれ」
説明しようとするセリカを無視してヒカリが何かを見つけたらしくさっきまで魔獣が居た方向に指を指している。
ヴァル「なんだありゃ?」
ヴェルド「瘴気団......なのか?」
ヴァルとヴェルドがヒカリが指さした方を見ながら言う。そこには、忌々しい形をした瘴気団があった。
エフィ「あの、あまりこんなこと言いたくないんですが......あの瘴気団『丸く』ないですか?」
みんなが口には出して言わなかったことを、エフィが代表するかのようにして言った。
みんなの目に同じように映っているのなら、あれは間違いなく嫌な記憶を掘り返してくるものだ。本当勘弁してください。前回大きな獣に掴まれたことが若干トラウマになってるんです。
ヴァル「んなわけねえだろ。あれは俺達が解決した......はず......」
ヴァルは必死に否定しようとしたが、瘴気団の近くに行って言葉を失ったようだ。
ヴァル「なあ、あの事件は確かに終わらせたはずだよな?」
ヴァルが静かに、そう問いかけてくる。
ヴェルド「絶対終わらせたはずだ。それなのに、なんでだ?」
丸い瘴気団。それは前回の事件でディランが人工的に作っていたことが分かり、そのディランを倒すことで解決したはずだ。
ーーしかし、目の前にある瘴気団はあの時と同じようにとても、綺麗な円形を作っていた。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
ヴァル「なあ、ヒカリ。これがなんだか分かったか?」
ヴァルが腕組をしながら尋ねる。
ヒカリ「どう見てもただの瘴気団。形がおかしいところだけ除けば」
ヒカリは瘴気団に謎の機械を着けていたが、それを外してこちらにやって来た。
ヒカリ「ヴァル達が言う、『グランメモリ』ってのでこんなのを作ってるのだとしたら、誰かやった人がいるはずだけど......」
ヴェルド「そんなはずねえ、って言いたいところだが......」
ヴェルドは記憶を遡るように頭を抱えている。
それはセリカも同じことだった。
もし、これが『グランメモリ』によるものだとしたら、事件はまだ終わっていないということになる。
そう考えただけで背筋がゾッとする。
ヴァル「とりあえず、これ消すことって出来ねえのかな?」
ヴァルが言う。
エフィ「私にはできません」
エフィが分かり切っていることを言う。
ヴェルド「俺も瘴気団までは凍らせれねえな」
ヴェルドも同じことを首を振りながら言う。
ヴァル
「なあ、セリカ。これ精霊の力でなんとか出来ないのか?」
ヴァルが私の方を向いて尋ねてくる。
「ごめんけど、瘴気団を消せるような精霊はいないかな」
むしろ、いるのなら前回の事件の時に使ってたし……
「ーーヒカリ、それなんだ?」
突然、ヴァルがヒカリの方を向いて言う。
「ああ、これ?」
ヒカリは手に持っていた小さな箱のようなものを持ち上げた。
ーーあれって……
「なんか、そこら辺に落ちてなのよねー。なんなんだろ?」
ヒカリはそれを見つめながら言う。
「落ちてたってどこに?」
ヴァルの顔がみるみる険しいものに変わっていく。私も、もしかしたら顔に出てるかもしれないくらいに心臓がバクバクと高鳴っている。
ヒカリ「そこの瘴気団の近くよ」
ヒカリはすぐそこの瘴気団を指さし言う。お気楽に答えているところから、事態の重要さが分かっていないようだ。
ヴァル「バカ、お前、それがなんなのか知ってるのか!」
ヴァルが怒声にも近いような声で言う。
ヒカリ「な、何よ急に......」
流石のヒカリも面食らったような表情をしている。
ヴァル「なあ、ヴェルド。お前はあれに見覚えがあるよな?」
ヴェルド「嫌な記憶でならあるぞ」
ヴェルドが静かに答えた。
2人がここまでの反応を見せるということは、やはり、あれは......
ヴァル「それ、グランメモリだろ」
私が考えていたことと同じことをヴァルが言った。
ヒカリ「え?そうなの?」
ヒカリは特に焦る様子もなく、ただ、持っていたグランメモリを凝視するだけだった。
ヒカリ「へぇーこれがグランメモリかー」
ヴァル「何、悠長に構えてんだ。それは...」
ヒカリ「知ってるわよ。とんでもない力が眠っている凶器なんでしょ?」
焦るヴァルを置いてヒカリは呑気に答える。
ヴァル「だったら、なんでそんな悠長に構えてられんだよ」
ヒカリ「主観の問題ね」
ヴァル「あぁ?」
ヒカリ「ヴァル達の話を聞く限り、そのディランとか言う奴がこれを悪用してたんでしょ?だったら、これ自体にはなんの罪も無いわけじゃない。むしろ、私は研究材料としての魅力を感じるわ」
確かにヒカリの言っていることは正論なのだが、どうにも、腑に落ちない。
ヒカリ「それに、これを研究していけば、この瘴気団の発生理由とか消し方なんてものが分かるんじゃない?今すぐに壊すっていうのはあまり得策じゃないと思うわ」
ヴァル「……はぁ、分かったよ」
ヴァルは諦め、脱力したように寝そべった。
ヒカリ「そうそう」
ヒカリが突然何かを思い出したかのように話を始めた。
ヒカリ「瘴気団の消し方だったら私知ってるよ。あれに効くかどうかは知らないけど」
「「「 え、えぇー!? 」」」
4人の声が盛大にハモった。
ヒカリ「そ、そんなに驚くこと?」
ヒカリが若干引いたような口調で言う。
ヴェルド「当たり前だろ!誰も消すことが出来ない奴だぞ!つか、さっき消せるかどうかの話してたじゃねぇか!」
ヴェルドが呼吸を荒くして言う。
ヒカリ「消し方なんて簡単なことよ。あれはマナが汚染されてるんだからそれを正常なものに戻せばいいのよ」
ヴァル「あぁ、あ?それをどうやるんだよ?」
ヒカリ「これを使うの」
そう言ってヒカリはローブから薬草のようなものを出した。
ヒカリ「これは、クリアラって言ってね」
エフィ「あ、知ってます。確か、マナ汚染による感染症を治すのに使われるんですよね」
へー、そんな薬草あるんだ。忘れてた。
ヒカリ「そう、正解」
ヒカリは満足そうに微笑んだ。
「でも、それを使って瘴気団を消すってのは何年か前に騎士団の人達がやって失敗してた気がするけど......」
私は僅かな記憶を掘り出し、ヒカリがやろうとしていることを察して言う。
ヒカリ「それは、この薬草をそのまま使おうとするから失敗するのよ」
ヴァル「じゃあ、どう使うんだ?」
ヒカリ「弾丸にして、瘴気団の中央に向かって撃ち込むの」
そう言ってヒカリはローブの中から拳銃よりも少し大きめな特殊な形をした銃を取り出した。これって、確かガイルにトラウマを植え付けたやつ……
ヴェルド「弾丸にして撃ち込むってお前なぁ。ガラス窓じゃねえんだぞ」
ヴェルドはそう言うが、ヒカリは構わず薬草を弾丸の形に整えている。凄い慣れた手つきだ。軍師とか言ってたし、やっぱり戦場での経験が多いのかな?
……っとなると、ヒカリって私達より歳上?
ヒカリ「まあ、見てなさいって」
そう言ってヒカリは瘴気団に標準を合わせ引き金を引く。
《バキューン!》
銃声が森に響き渡る。
そして、その弾丸は見事瘴気団を貫き、その形を跡形も無くしてしまった。
ヴェルド「嘘だろ!?」
ヴェルドが驚愕の表情で言う。
それは、驚きのあまり声には出せなかった私達も同じことだった。
ヒカリ「ね?言ったでしょ」
ヒカリがしてやったという顔で言う。
ヴァル「は、スゲー......」
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
ヴァル「なあ、ヒカリなんか分かったか?」
馬車に揺られて数時間、ずっとヒカリがさっき拾ったグランメモリを見つめているので、ヴァルが痺れを切らせて問いかけた。エフィの酔い止め魔法凄いな。
ヒカリ「詳しいことは......帰ってから調べてみて......分かるかな?」
ヒカリにしては自信がなさそうだ。
ヴェルド「いつも策を考えるみたいにバッと出来ないの?」
ヒカリ「策と違って調べようにもどう調べたらいいか分からない状況だからねー」
そう言ってヒカリはグランメモリをローブの中に仕舞う。
「それ、王国騎士団辺りに預けた方がいいんじゃないの?」
ヒカリ「なんで?」
「なんでって、そりゃ......」
一応前回の事件で敵が持っていた物の形を残した状態だからだ。
ヒカリ「あんな奴らに渡したところでろくに調べも出来ないわよ。それなら私が持ってた方が有効的じゃない?」
私が言うより早く、ヒカリがそう言った。
「ねえ、1回聞いておきたかったんだけどさー、ヒカりんってうちに来る前はどこで働いてたの?」
私はずっと気になっていたことを言う。あとついでに、ずっと呼びたかったあだ名で。
ヒカリ「ヒカりんって......、まあ、今はあだ名に関してはほっとくわ。ーー前に働いてた場所ねぇ...」
そして、ヒカリは思い出そうとするように腕組をして考え始めた。
ヒカリ「確か、前はイーリアスの自警団で軍師をやっていたかな?」
「イーリアスのって隣国の?」
ヒカリ「それ以外どこがあるのよ?」
「それもそうか。ーーそれにしてもイーリアスの自警団か......あそこなら普通に仕事あったでしょ?」
イーリアスはそれ程豊かではないが、今はラグナロクと冷戦状態にあり、山賊がちらほらやって来る国だ。軍師ならいくらでも仕事があるだろう。
ヒカリ「ダメね。まずあそこは住むには状態が悪過ぎるのよ」
「そりゃ、山賊はよくやって来るって聞くけど......」
ヒカリ「そうじゃなくて、人の問題よ。あの自警団男しかいないから肩身狭いし、野営だとか言って熊肉は食わせられるしさ......まあ、別に食べられなくはないんだけど」
どうやら、問題があったのはヒカリの方だった。
ヒカリ「何よ、その目」
ヒカリが凄い目付きで睨んでくる。
ーーおぉ、怖っ。
ヒカリ「まあ、そんなこんなで、あそこは働くにも住むにしても最悪な条件なのよ。一体、あの軍の何人が私をちゃんと女として見てたのかしら......」
後半は独り言なのだろうか声が小さかった。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
ヴァル「帰ったぞー」
ヴァルは勢い良く扉を開けてギルドの中に入る。
レラ「おかえりなさーい」
出迎えてくれたのはやはり、ミラ……と言いたいところだったがレラだった。
「ただいまーレラ」
レラ「おかえりなさい、セリカ」
レラが応対することなんて、初めてのことだ。ミラはどうしたのだろう?
「あの、ミラさんは?」
私は問いかけた。
レラ「あ、お姉ちゃんならライオスさんとフウロさんと一緒にお仕事に行ったけど......」
「そうなんだ」
ミラさんが直接仕事なんて珍しいな。
レラ「あの、お姉ちゃんに何か御用でもあった?」
「いや、別に。ただ、レラが応対するなんて久しぶりのことだったからさ」
レラ「ああ、そういうこと。普段はお姉ちゃんがやってるからね」
そう言うと、レラはカウンターに行き、棚からカップを3つ程出すと、コーヒーを入れた。
レラ「はい、どうぞ」
「ありがとう、レラ」
そう言ってセリカはコーヒーを1口、口に含んだ。
ヴァルとヴェルドも出されたコーヒーを飲んでいる。
レラ「あの、ヒカリさんとエフィさんは?」
レラがヒカリとエフィがいないことを尋ねてきた。
「ああ、あの二人なら図書館に言ったよ。しかも王都にある方の」
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レラ「うーん。でも王都にあるのが1番大きな所だからなー。余程大きな事でも調べようとしてるのかなー?」
「どうだろう?」
セリカは丸い瘴気団とグランメモリに関しては黙っていた。
ヒカリから誰にも言うなと言われたからであるし、無駄な不安感を与えたくなかったからだ。
レラ「まあ、お二人は勉強が好きですから、あそこの図書館じゃ満足できなくなっただけでしょ」
レラがどうでもいいというふうに言う。
「アハハ、そうだよね」
私は自慢じゃないが嘘が得意ではない。このまま、話が終わってくれることをただただ、祈っていた。
レラ「そう言えば、最近、通り魔が現れるらしいよ」
レラが突拍子もない話に話題を切り替えた。
「通り魔......か......。世の中には迷惑な人もいたもんだね......」
レラ「普通の通り魔だったら、私が話題にあげないよ」
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レラ「その通り魔、襲った相手には何一つ外傷を与えないんだけど、襲われた人は部分的な『記憶』を失ってるそうなの」
「記憶を奪う通り魔ってことかな?」
何ともまあ、不思議な通り魔だ。不思議な通り魔って何?
レラ「さあ、それはどうかな?私も人から聞いた話だから定かじゃないんだけど」
「まあ、いるいないに関してはどうとも言えないけど、もし居るんだとしたら帰りは気をつけないとね」
レラ「セリカは美人だから気をつけてくださいね」
レラが茶化すように笑いながら言ってきた。
「もう、茶化さないでよ」
レラ「アハハ」
レラは笑いながらカウンターの方に戻って行った。
『通り魔』......か......。いないとは思うけど、気をつけないとな。
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処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。
なぜなら彼女は――
前世で“トップインフルエンサー”だったから。
処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。
空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。
処刑台は舞台へ。
断罪はエンタメへ。
悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。
これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
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加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
2度死んだ王子は今度こそ生き残りたい
緑緑緑
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王太子ロイは、かつて二度の革命によって祖国を崩壊させてしまった過去を持つ。命を落とすたび、彼はある時点へと巻き戻される。そして今、三度目の人生が静かに幕を開けようとしていた。
――自分は民を理解しているつもりだった。
だが実際には、その表面しか見えていなかったのだ。
その痛烈な自覚から、物語は動き始める。
革命を回避するために必要なのは、制度でも権力でもない。「人を知る」ことこそが鍵だと、ロイは気付く。
彼はエコール学園での生活を通じ、身分も立場も異なる様々な人間と深く関わっていく。
そこで出会う一人ひとりの想いと現実が、やがて国の未来を大きく左右していくことになるとは、この時のロイはまだ知らない。
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