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第3章 【記憶の結晶】
第3章20 【5体と1人の物語】
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「うるせえ!もう誰も傷つけずに、なんて無理だよ!」
「承諾シタ。今ヨリ我ハ汝改メネイノ契約龍トナル」
「全く、心配をかけさせないでくれ」
「貴殿に我が剣を授けよう」
「私に任せろ。そなたの敵は私が全て討ち取る」
どこか、懐かしいような5つの声が聞こえてくる。
「マサカ、我ノ事ヲ忘レタノカ?」
そんなわけない。ーーは勝手に切り替えれるとか言いながら、あまり私に迷惑をかけてこなかった。ただ、毎日のようにーーと喧嘩してたけど......
「僕の事を忘れられるなんて、物凄く嫌なのだが」
あなたの事も覚えてる。ーーは勝手に切り替えて夜な夜な街を散策して私の体にしっかりとした疲労を与えてくれた。でも、あなたといて楽しかった。
「我が主は、我の事など......」
ーーの事も覚えてる。凄く勇敢でたくましくて、他の龍王達よりかは権限が低いせいであまり表に出れないけれど、いざという時は必ず力になってくれた。
「私は......そなたの事を......」
ーー。心配しなくても大丈夫。あなたの事も覚えてる。邪龍教徒との戦いで凄まじい力を見せてくれたよね。ツンデレなのも可愛かった。
「なあ、お嬢。俺と過ごした日々を覚えているか......?俺だけじゃない。他の龍王と過ごした日々を......覚えているか?」
「覚えてるよ。ジーク。いや、正しくは思い出したって形だけど......」
「そうか。なら、良か......なんで、お嬢との繋がりが切れていないんだ?」
そんな理由、決まってる。
「ジーク、アマツ、ラナ、シズ、ラヴェリア......私とあなた達の繋がりは、ただの契約なんかじゃない」
「「「 ...... 」」」
「私達は契約なんかより、もっと強い『絆』で結ばれている」
「「「 ...... 」」」
「全部、思い出した。あなた達の事も、外で戦っているみんなの事も......」
そう言った途端、暗かった視界が晴れ、目の前に5体の契約龍が見える。
「俺達はただの契約龍、契約者関係じゃなかったってことか......」
龍人状態のジークがそう言う。
「我ラノ絆ガ結ビ付キ」
「僕達は新たなスタートを切れる」
「例え、契約が切れようとも」
「私達が積み上げてきたものは崩れ去らない」
「なぜなら」
「俺達は」
「我ラハ」
「僕達は」
「我が者達は」
「私達は」
「私とあなた達は」
「「「 強い『絆』で結ばれているから 」」」
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
「ネイーーーー!」
遠くでヴァルが叫ぶ声が聞こえる。
そうか、私は邪龍教徒達に囲まれて......
「さて、遠くのうるさい人は無視して運びますか。我らの悲願のために」
周りで教徒達が私の体を運ぼうとしている様子が分かる。
(あんな奴らに、負けるわけにはいかねえよな?)
当たり前だ。私は邪龍になんかならない。
(今コソ我ラノ力ノ見セ所)
(今なら、できそうな気がするね)
(1人では無理でも)
(6人ならできるさ)
「5体と1人で......」
((( 行こう )))
「みんな、力を合わせて」
体に5体の龍王が憑依してくるのが分かる。普段は1体だけしか憑依できないのを、5体が同時に憑依する。
普段なら統制が取れずに全員追い出されてしまうところだが、今回は違う。
みんなの意思が統一されている今なら。
「何をしようとしてるのです?」
「「「 私達はお前らなどにやられない! 」」」
髪色が赤色、水色、黄緑色、金色、黒色、葡萄染色に別れている。
体の各部位もそれぞれの龍王を象徴するかのような形に変わる。
「「「 5体と1人。我らに敵無し! 」」」
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
空に手を掲げる。
そこに、壊された剣の破片が集まり、1つの剣を再生する。
「バカな。そんなはず、あるわけがない!」
「「「 お前は俺達を侮った。俺達の絆を舐めていた。俺達はただの契約関係なんかじゃない! 」」」
6人の息が揃う。
「「「 龍雷園・輝きの風雷剣!」」」
ジークとラナとシズの合わせ技。
炎、風、雷の三属性による攻撃で周りにいた教徒を焼き払う。
「大司教様からは大人しくさせるなら傷つけても構わないと出ています。あなた達、是が非でも邪龍様を捕らえなさい!」
「「「 残念だ。他の奴らは全員今ので死んだよ 」」」
「そんなはずが、彼らは不死身の兵。例え、あなた様の攻撃でも......」
そんなことを言われても、死んだものは死んだ。燃え尽きた残骸はその辺に転がっている。
「「「 そんなに信じられねぇなら、自分で確かめてみればいいじゃねえか 」」」
そう言い、近くにあった教徒の残骸を男に向かって投げつける。
「う"......バカな。そんなはずが......」
当たる時に、上手くキャッチできなかったせいで男が唸りを上げるが、男は気にせず教徒の体を調べる。
「素晴らしい......なんて力だ......これだけの力があれば、邪龍様の器に相応しい......いや、更にその上をいける......」
あーあ、ダメな方向に働いちまったか......まあ、倒せば問題無しか。
「「「 改めて言っておくが、私達は貴様の思い通りには動かん。貴様はここで死ぬ 」」」
「ふっ、こんなところで私が死ぬわけにはいかない。ここは、逃げさせてもらいますよ」
「「「 逃ガスモノカ、七元氷魔・大罪の剣 」」」
七つの大罪を有した剣が真っ直ぐに男に突き刺さる。
「「「 幻雷園・戦禍万象の夢 」」」
トドメとばかりに、ラナ、シズ、ラヴェリアの合わせ技を撃つ。
「グハッ......私は......邪龍様のために......」
男が倒れた。確認する必要もない。奴は死んだ。
「おいおいおいおい、俺様を忘れてもらっちゃ困るぜ」
突然、ラストがこちらに雷を撃ってくる。
「「「 効かん 」」」
その攻撃は剣で軽くはじき返す。
「ラスト!貴様の相手はこの俺だ!」
クロムが後ろからラストに攻撃するが、ラストは剣を後ろに回してそれを防ぐ。
「おめえの相手は飽きたんだよ。あの娘とやらせろや」
「そんなことはさせるか!」
「なあ、王子様。お前はこの戦いに意味を持っているのか?」
「意味だと?そんなもの、平和のために決まっている!」
「そうか。俺はただただ強ぇ奴と戦いたいから帝国軍に身を落としている。お前さんがもっと強くなったらまた相手してやるよ。俺様は今、あの娘と戦いたい!」
そこまで言うのなら、相手をしてやろう。
「いくぜ、小娘。俺様の剣をーー」
「「「 輝導羅戦幻彩・絆の記憶! 」」」
6色の光が剣先に灯り、ラストに襲いかかる。
「雷剣・防雷の陣」
ラストが雷で守りを固めるが、そんなものは無意味だ。
「ヒッ......」
ラストの鼻先に剣先を突きつける。
そのまま突き刺しても良かったのだが、こいつには聞きたいことがたくさんある。
「「「 クロム、捕虜にしておけ 」」」
「ーー分かった」
クロムが縄を持ってラストの体を縛り付ける。
この男は理解が早い。普通、村一個潰されたとなると怒り狂ってもおかしくはないのだが......
「ふぅ......」
憑依が解けた途端、体に物凄い疲労を感じる。
《バタッ》
その場に倒れて眠ってしまった。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
「だーかーらーよっ!俺様は国の内情なんか知らねえんだよ!」
椅子に括り付けられたラストが何度目か分からない否定の言葉を言う。
「何度も言うが、軍の大将をやっているような奴が何も知らないなんてことは有り得ない。さっさと知ってることを全部話せ!」
「何度言われても俺様は知らねえよ!剣の腕を買われて帝国についてただけなんだ!」
話にならんな。ネイが起きてくれれば心理で見てもらえるのだが......
ネイは村を取り戻してからずっと寝ている。
セリカの話によると、元々貧弱体力だったらしく、その体であんなに暴れ回ったら、そらぶっ倒れる、とのことらしい。
「なあ、クロム。多分だが、こいつの言ってることは本当だと思うぞ」
隣にやって来たヴァルがそう言う。
「嘘をつく奴はこんなに強く否定しねえよ。自分の言ってることが嘘だから強く否定できない。逆に自分の言ってることが全部本当のことなら心にやましいこともない。堂々と自分の言葉を突き通せれるんだ、って誰かが言ってた」
誰が言ったのかが気になるところだが、それもそうだな。
ラストの目は嘘偽りなど無い目をしている。
「じゃあ、別のことを聞こう」
「知らねえものは知らねえからな」
「分かってる。ーーお前は帝国に雇われたと言っていたな?」
「ああそうだ」
「なら、雇われる時に何か上手い話とかされたんじゃないのか?」
「ああされたよ。と言っても、ただ『お前が望む、強い相手と戦わせてやろう』って言ってきただけだ。俺様は強い奴と戦いてえからそれに乗ったんだよ」
「そうか。なら、他に何か話をされてなかったか?」
「さあね。俺様は大将って地位を与えられたが、帝国じゃぁ大将なんて下っ端と同じようなもんさ。あそこは邪龍教徒が上の大部分を占めている......そういや、ボソッと皇帝が言ってた話が1つあったな」
「なんだ?それは」
「ハッキリと聞こえたわけじゃねえんだけど、『器は揃った。が、代わりに聖王の血が必要になった』って言ってたような......」
器は揃った。つまり、ネイはもう要らないということか?
「いや待て。ラスト、その皇帝が言ってたことをもう一度言ってくれ!」
「あ、ああ。『器は揃った。が、代わりに聖王の血が必要になった』だ」
「聖王の血......」
「確か、お前ら王族のことだったよな?それで、『聖王』ってことは......」
耳鳴りがする。頭が揺れているようで、視界がぼやける。
「うちに聖王は1人しかおらん。姉さんだけだ......」
代々、聖王は正式な儀式を行うことにより継承される。姉さんも聖龍の血を得て聖王となった。
「お前の姉ちゃん......ひょっとしたらヤバいんじゃねえか?」
ラストの言う通り、やばい。早く、姉さんに知らせないと......
「く、クロム様!」
突然、扉が開かれ赤色の髪をした女性が入ってくる。
「どうした......フェリシア......」
フェリシアの顔の半分が血に覆われ、体のあちこちに傷が目立つ。
「申し訳ございません、クロム様!」
嫌な予感がする。そして、その予感は命中するだろう。
「王国領へ戻る最中、帝国軍に襲われ天馬騎士隊が壊滅、セレナ様が攫われてしまいました!」
フェリシアが目にいっぱいの涙を浮かべ、そう告げる。
「承諾シタ。今ヨリ我ハ汝改メネイノ契約龍トナル」
「全く、心配をかけさせないでくれ」
「貴殿に我が剣を授けよう」
「私に任せろ。そなたの敵は私が全て討ち取る」
どこか、懐かしいような5つの声が聞こえてくる。
「マサカ、我ノ事ヲ忘レタノカ?」
そんなわけない。ーーは勝手に切り替えれるとか言いながら、あまり私に迷惑をかけてこなかった。ただ、毎日のようにーーと喧嘩してたけど......
「僕の事を忘れられるなんて、物凄く嫌なのだが」
あなたの事も覚えてる。ーーは勝手に切り替えて夜な夜な街を散策して私の体にしっかりとした疲労を与えてくれた。でも、あなたといて楽しかった。
「我が主は、我の事など......」
ーーの事も覚えてる。凄く勇敢でたくましくて、他の龍王達よりかは権限が低いせいであまり表に出れないけれど、いざという時は必ず力になってくれた。
「私は......そなたの事を......」
ーー。心配しなくても大丈夫。あなたの事も覚えてる。邪龍教徒との戦いで凄まじい力を見せてくれたよね。ツンデレなのも可愛かった。
「なあ、お嬢。俺と過ごした日々を覚えているか......?俺だけじゃない。他の龍王と過ごした日々を......覚えているか?」
「覚えてるよ。ジーク。いや、正しくは思い出したって形だけど......」
「そうか。なら、良か......なんで、お嬢との繋がりが切れていないんだ?」
そんな理由、決まってる。
「ジーク、アマツ、ラナ、シズ、ラヴェリア......私とあなた達の繋がりは、ただの契約なんかじゃない」
「「「 ...... 」」」
「私達は契約なんかより、もっと強い『絆』で結ばれている」
「「「 ...... 」」」
「全部、思い出した。あなた達の事も、外で戦っているみんなの事も......」
そう言った途端、暗かった視界が晴れ、目の前に5体の契約龍が見える。
「俺達はただの契約龍、契約者関係じゃなかったってことか......」
龍人状態のジークがそう言う。
「我ラノ絆ガ結ビ付キ」
「僕達は新たなスタートを切れる」
「例え、契約が切れようとも」
「私達が積み上げてきたものは崩れ去らない」
「なぜなら」
「俺達は」
「我ラハ」
「僕達は」
「我が者達は」
「私達は」
「私とあなた達は」
「「「 強い『絆』で結ばれているから 」」」
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「ネイーーーー!」
遠くでヴァルが叫ぶ声が聞こえる。
そうか、私は邪龍教徒達に囲まれて......
「さて、遠くのうるさい人は無視して運びますか。我らの悲願のために」
周りで教徒達が私の体を運ぼうとしている様子が分かる。
(あんな奴らに、負けるわけにはいかねえよな?)
当たり前だ。私は邪龍になんかならない。
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(6人ならできるさ)
「5体と1人で......」
((( 行こう )))
「みんな、力を合わせて」
体に5体の龍王が憑依してくるのが分かる。普段は1体だけしか憑依できないのを、5体が同時に憑依する。
普段なら統制が取れずに全員追い出されてしまうところだが、今回は違う。
みんなの意思が統一されている今なら。
「何をしようとしてるのです?」
「「「 私達はお前らなどにやられない! 」」」
髪色が赤色、水色、黄緑色、金色、黒色、葡萄染色に別れている。
体の各部位もそれぞれの龍王を象徴するかのような形に変わる。
「「「 5体と1人。我らに敵無し! 」」」
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空に手を掲げる。
そこに、壊された剣の破片が集まり、1つの剣を再生する。
「バカな。そんなはず、あるわけがない!」
「「「 お前は俺達を侮った。俺達の絆を舐めていた。俺達はただの契約関係なんかじゃない! 」」」
6人の息が揃う。
「「「 龍雷園・輝きの風雷剣!」」」
ジークとラナとシズの合わせ技。
炎、風、雷の三属性による攻撃で周りにいた教徒を焼き払う。
「大司教様からは大人しくさせるなら傷つけても構わないと出ています。あなた達、是が非でも邪龍様を捕らえなさい!」
「「「 残念だ。他の奴らは全員今ので死んだよ 」」」
「そんなはずが、彼らは不死身の兵。例え、あなた様の攻撃でも......」
そんなことを言われても、死んだものは死んだ。燃え尽きた残骸はその辺に転がっている。
「「「 そんなに信じられねぇなら、自分で確かめてみればいいじゃねえか 」」」
そう言い、近くにあった教徒の残骸を男に向かって投げつける。
「う"......バカな。そんなはずが......」
当たる時に、上手くキャッチできなかったせいで男が唸りを上げるが、男は気にせず教徒の体を調べる。
「素晴らしい......なんて力だ......これだけの力があれば、邪龍様の器に相応しい......いや、更にその上をいける......」
あーあ、ダメな方向に働いちまったか......まあ、倒せば問題無しか。
「「「 改めて言っておくが、私達は貴様の思い通りには動かん。貴様はここで死ぬ 」」」
「ふっ、こんなところで私が死ぬわけにはいかない。ここは、逃げさせてもらいますよ」
「「「 逃ガスモノカ、七元氷魔・大罪の剣 」」」
七つの大罪を有した剣が真っ直ぐに男に突き刺さる。
「「「 幻雷園・戦禍万象の夢 」」」
トドメとばかりに、ラナ、シズ、ラヴェリアの合わせ技を撃つ。
「グハッ......私は......邪龍様のために......」
男が倒れた。確認する必要もない。奴は死んだ。
「おいおいおいおい、俺様を忘れてもらっちゃ困るぜ」
突然、ラストがこちらに雷を撃ってくる。
「「「 効かん 」」」
その攻撃は剣で軽くはじき返す。
「ラスト!貴様の相手はこの俺だ!」
クロムが後ろからラストに攻撃するが、ラストは剣を後ろに回してそれを防ぐ。
「おめえの相手は飽きたんだよ。あの娘とやらせろや」
「そんなことはさせるか!」
「なあ、王子様。お前はこの戦いに意味を持っているのか?」
「意味だと?そんなもの、平和のために決まっている!」
「そうか。俺はただただ強ぇ奴と戦いたいから帝国軍に身を落としている。お前さんがもっと強くなったらまた相手してやるよ。俺様は今、あの娘と戦いたい!」
そこまで言うのなら、相手をしてやろう。
「いくぜ、小娘。俺様の剣をーー」
「「「 輝導羅戦幻彩・絆の記憶! 」」」
6色の光が剣先に灯り、ラストに襲いかかる。
「雷剣・防雷の陣」
ラストが雷で守りを固めるが、そんなものは無意味だ。
「ヒッ......」
ラストの鼻先に剣先を突きつける。
そのまま突き刺しても良かったのだが、こいつには聞きたいことがたくさんある。
「「「 クロム、捕虜にしておけ 」」」
「ーー分かった」
クロムが縄を持ってラストの体を縛り付ける。
この男は理解が早い。普通、村一個潰されたとなると怒り狂ってもおかしくはないのだが......
「ふぅ......」
憑依が解けた途端、体に物凄い疲労を感じる。
《バタッ》
その場に倒れて眠ってしまった。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
「だーかーらーよっ!俺様は国の内情なんか知らねえんだよ!」
椅子に括り付けられたラストが何度目か分からない否定の言葉を言う。
「何度も言うが、軍の大将をやっているような奴が何も知らないなんてことは有り得ない。さっさと知ってることを全部話せ!」
「何度言われても俺様は知らねえよ!剣の腕を買われて帝国についてただけなんだ!」
話にならんな。ネイが起きてくれれば心理で見てもらえるのだが......
ネイは村を取り戻してからずっと寝ている。
セリカの話によると、元々貧弱体力だったらしく、その体であんなに暴れ回ったら、そらぶっ倒れる、とのことらしい。
「なあ、クロム。多分だが、こいつの言ってることは本当だと思うぞ」
隣にやって来たヴァルがそう言う。
「嘘をつく奴はこんなに強く否定しねえよ。自分の言ってることが嘘だから強く否定できない。逆に自分の言ってることが全部本当のことなら心にやましいこともない。堂々と自分の言葉を突き通せれるんだ、って誰かが言ってた」
誰が言ったのかが気になるところだが、それもそうだな。
ラストの目は嘘偽りなど無い目をしている。
「じゃあ、別のことを聞こう」
「知らねえものは知らねえからな」
「分かってる。ーーお前は帝国に雇われたと言っていたな?」
「ああそうだ」
「なら、雇われる時に何か上手い話とかされたんじゃないのか?」
「ああされたよ。と言っても、ただ『お前が望む、強い相手と戦わせてやろう』って言ってきただけだ。俺様は強い奴と戦いてえからそれに乗ったんだよ」
「そうか。なら、他に何か話をされてなかったか?」
「さあね。俺様は大将って地位を与えられたが、帝国じゃぁ大将なんて下っ端と同じようなもんさ。あそこは邪龍教徒が上の大部分を占めている......そういや、ボソッと皇帝が言ってた話が1つあったな」
「なんだ?それは」
「ハッキリと聞こえたわけじゃねえんだけど、『器は揃った。が、代わりに聖王の血が必要になった』って言ってたような......」
器は揃った。つまり、ネイはもう要らないということか?
「いや待て。ラスト、その皇帝が言ってたことをもう一度言ってくれ!」
「あ、ああ。『器は揃った。が、代わりに聖王の血が必要になった』だ」
「聖王の血......」
「確か、お前ら王族のことだったよな?それで、『聖王』ってことは......」
耳鳴りがする。頭が揺れているようで、視界がぼやける。
「うちに聖王は1人しかおらん。姉さんだけだ......」
代々、聖王は正式な儀式を行うことにより継承される。姉さんも聖龍の血を得て聖王となった。
「お前の姉ちゃん......ひょっとしたらヤバいんじゃねえか?」
ラストの言う通り、やばい。早く、姉さんに知らせないと......
「く、クロム様!」
突然、扉が開かれ赤色の髪をした女性が入ってくる。
「どうした......フェリシア......」
フェリシアの顔の半分が血に覆われ、体のあちこちに傷が目立つ。
「申し訳ございません、クロム様!」
嫌な予感がする。そして、その予感は命中するだろう。
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