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第4章 【時の歯車】
第4章4 【対話の時】
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「よう、ネイ」
「お主、ようその面を提げてここにやってこれたな」
「ああ昨日は悪ぃ。スゲェチャンスだと思ったからついやっちまった」
「衝動的にやるなお主。危うくお主を殺めてしまうところじゃったぞ」
「うん、なんとなくそれは分かってる」
昨晩、ネイの攻撃を喰らった時は本当に死ぬかと思った。でも、普段から鍛えてるおかげでなんとか生き残れた。
「次は妾も容赦せんからな」
「お前、昨日のも容赦はしてなかったろ」
「あんなのまだ序の口じゃ。もっと凄いのが出せるわい」
マジか......あれでまだ序の口とか、本気出されたら本当に死ぬ......
「......それで、今日はなんか面白い話でもあるのか?」
「......!?」
ネイの口から発された言葉に、思わず目を丸くする。
「なんじゃ?そんな阿呆みたいな面して」
「いや、お前の方から話をしてくるなんて、珍しいこともあるもんだなって」
「まだたったの1週間じゃろうが」
「いや、そうだけど......つか、まともに話せるようになったのって今日含めて2日だし......」
「そうじゃったか?まあよい。なんか無駄話でも用意してきとるんじゃろ?」
「まあ、あるにはあるけど......」
「なら話せ」
別に話すのは構わないのだが、ずっと本に目を通しながら話せと言われても、「本当に聞いてる?お前」という感じで話しづらい。
「別に、昨日だってお主の方から無駄話をしてきたんじゃし、同じじゃろう」
それもそう......なのか?
「......まあいいや。昨日、というか今朝の話なんだが、セリカ達に死ぬなってめっちゃ言われた」
「そら、昨晩の話があるんじゃ。当たり前じゃろう」
ネイはこちらを見向きもせずにそう言う。
「そんなに俺って危険なことしてるのかな?」
手持ち無沙汰だったので、近くにあった本を引っ張り出して読み進める。
やっぱり、頭が痛くなるような内容だ。
「妾と対話を望んでおる時点で十分危険じゃ。これがお主ではなくヴェルドあたりじゃったら殺しておるところじゃな」
「やっぱあいつはダメなんだな」
「出会って妾が龍人じゃとわかった途端、腹パンしてきよったからな。普通に接しろと言われても無理がある。その点、奴にまとわりつくシアラは良い奴じゃったな。ちと問題がある奴じゃったが、まあ、悪い奴ではなかったな。妾が龍人だとかあまり気にする様子もなかったし」
「なんだかんだで、うちのギルドにはお前を嫌ってない奴だってたくさんいただろ?セリカもフウロもミラも、あっ、全員女か......」
「この世界の女は大体がそんなことを知らずに育ってきたからな。男と違って歴史とかそんなものを知る必要がないと言われておるからな」
「そうなのか?」
「そうじゃよ。実際、学び舎的なものも、女子を入れるところは少ない。そんなことも知らなかったのか?お主」
「生憎、俺は孤児だったんでね。龍に育てられて今まで生きてきた」
「龍?お主が?」
「ああそうだ。それがどうかしたか?」
「......いや、この世界に龍はもういないはず......。アポカリプスが最後の龍じゃったはずじゃし......」
「アポカリプス?なんだそれ?」
「知らんのか?お主」
ネイがやっとこちらを向いてそう言ってきた。
「知らねえな。エクセリアが最後の龍なんじゃねえかと個人的に思ってるけど......」
「そのエクセリアがなぜ死んでおるのか分かるか?」
「いや、分から......待てよ、龍って確か超長生きだったよな。ジーク達が知らないことから考えると、エクセリアは1000年前には小龍か生まれていない状態だったはず......」
「そうじゃ。エクセリアは1000年前はまだほんの小さな龍じゃった。龍は100年程度で成長が終わる。しかし、それ以降も万年単位で生き続ける」
「つまり、エクセリアは誰かに殺された?でも、邪龍はエクセリアが倒したはず......」
「そこで関わってくるのがアポカリプスじゃ。彼奴は最強の邪龍にして、最強の龍王。全ての龍を滅ぼす存在」
「......そんなやつ、聞いたことねえぞ」
「当たり前じゃ。彼奴は色んな世界を渡り歩き、行く先々の世界の龍を殺しては、その世界の人々の記憶を消す。自分の存在は残らんということじゃ」
「......つまり、俺を育ててたゼグラニルは......」
「魂だけの存在。ジーク、アマツ、ラヴェリアと同じじゃろうな。その、ゼグラニルも龍王じゃったということじゃろう。それで、契約者はお主の母か父じゃろうな」
「そうだったのか......」
思わぬところでゼグラニルのことを知れた。
「ついでにを言うと、フェノンじゃった妾を殺したのもアポカリプスじゃ」
「だから、死ぬことができた?」
「ああそうじゃ。彼奴には感謝しておるよ。殺される時に、記憶も消してくれと頼んだら消してくれた。まあでも、思い出してしまったがな......」
「......そのアポカリプスって、俺達人間に危害を加えることはねえのか?」
「......残念じゃが、危害なんてレベルじゃないな。龍を一体殺すだけで世界の半分は消える。妾とエクセリア。2つの龍を殺したから、この世界は1度やり直してるのじゃ」
「やり直してる?」
「そうじゃ。壊れてしまったのじゃから、直しようがない。『創界神』は諦めて世界を創り直したのじゃ。もちろん、あまりのことじゃったから、それまでに人間が築き上げてきたものは極力再現したな」
「待て、グランウォーカーってなんだ?」
「この世界を創った者。人は、彼奴を神と言う、龍と言う、世界と言う、人と言う。人間では決して届かない領域。創世の者。それが『創界神』固有名を『エクストリーム』という」
「......」
「妾に6兆年の呪いをかけたのも彼奴じゃったな。ーーさて、今日はここまでじゃ。妾は寝るからさっさと出ていけ。もし、妾が寝てる間に何かしようものなら殺すぞ」
きっと、それは冗談ではないだろう。本当に何かしたら殺される。
「話ができて楽しかったよ」
「お主のためではない。妾の独り言じゃ」
「独り言にしては随分と対話形式だったな」
「う、うるさい!出ていけ!」
「言われなくても出ていくさ」
そう言って、俺はーー今日は追い出されることなくーーこの書庫から出ていった。
間違いなく、進歩している。あいつを外に連れ出す最後の問題は、やはり時間の問題なのかもしれない。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
そして翌日。
「ようネイ。今日も来た......ぞ?」
いつもの定位置にネイの姿が無かった。
「おーい、ネイー」
あいつが外に自ら行くとは考えられないし、この書庫はあいつの力なら読みたい本を自動的に持ってこられる。
どこに行ったんだ?
「ネ......イ?」
辺りをウロウロしていると、1つ、本が崩れ落ちている場所を見つけた。
(まさか......)
急いで本の山を崩してネイを探す。
(いた......)
そんなに時間はかからなかった。
ただ、本当に崩れ落ちた本の山の中にネイはいた。
「おい!大丈夫か、ネイ!」
ネイの体を抱えて必死に揺する。
「そ、そんなに振るな。酔うじゃろう......が......」
ネイが目を覚ましてそう言った。
「大丈夫......なのか?」
「このくらい......なんてことも......ない......」
そう言うネイだったが、どう見ても大丈夫そうに見えない。
歩き方は、なんだかフラフラしているし、息遣いも少し荒い。
「おい、ネイ」
また倒れそうだったので、体を支えてやる。
「おい、かなりの熱があるぞ」
ネイの額を軽く触ってみたが、かなり熱くなっていた。
「こ、このくらい......なんてことも......ない。それよりも......早く......本を......片付け......ね......ば......」
ネイが遂に倒れた。
「ネイ!」
倒れたネイを再び抱える。
「やっぱ、お前、風邪かなんかひいてんだよ」
「そ、そんなわけ......なかろう......。妾は......不死の......体......じゃぞ......」
「不死でも、怪我はするし、病気になって苦しむもんだろ。不死なのは驚異的な再生力があるからであって、怪我をしない、病気にもならない体じゃねえだろ」
「そ......そんなものかのう......」
「ああそうだよ。それに、お前は隠してるつもりでも、風邪ひいてる時がよくあったろ。お前は病弱な体だったんだよ。とりあえず、今は休んでろ」
「や、休めと......言われても......」
「いいから休んでろ。どうせ、外には出たくないとか言うんだし、これ以上無理しても悪化するだけだ」
「はぁ......はぁ......。分かった。しばらく休んでおこう。その代わり......、主が傍にいろ......」
「ああ分かったよ」
それを聞いて、ネイがおもむろに本を1冊取り出した。
そして、その本を開いて空いてるところに投げると、ベッドらしきものが現れた。
「記憶の再現......。この世界なら......基本は......なんでも......作り出せ......る......」
「喋る体力もねえなら喋るな」
そう言って、俺はネイを現れたベッドの上に寝かせた。
(そういや、ヨミもこんな感じで寝てたっけ)
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
ネイが横になってから、3時間ほど経った。
ただ傍にいるだけ、と言われても、暇で暇で仕方ない。なので、近くにあった本を取り出しては、頭が痛くなるのでやめるというのを繰り返している。
それでも、唯一読み進められている本は『龍王伝説』だった。
ジークやアマツがいた時代のことが書かれており、丁度あの龍王達のことが知りたいと思っていたので暇潰しにはなった。
「お主、そこで......何を......してお......る......」
ネイがこちらに寝返りを打ってそう言ってきた。
「暇だから本読んでる」
「お主が理解できる内容では......なかろう......」
「ああ。殆ど頭が痛くなるような内容だったな。でも、これだけは読めれた」
そう言って、俺は読んでいた本をネイに見せる。
「龍王伝説......。ジークらの歴史か......」
「そのジーク達も、早くお前のところに戻りたいって言ってんだ。この剣だけでも受け取ってくれないか?」
実を言うと、ネイに渡された日からずっと肌身離さず剣を持ち歩いていた。なので、持っている影響からか龍王達と話をすることができる。
そして、その龍王達は全員ネイのところに戻りたいとのこと。外には出れなくても、剣くらいなら......
「嫌じゃな。例え......龍王だとしても......妾には......受け取ることは......できん......」
「ーーそうか......」
なんとなく分かっていたが、ネイは人だけでなく、龍を始めとした『生き物』と関わりたくないように思える。
「6兆年も生きてりゃ、たくさんの死を見てきたし、当たり前か......」
「それも......そうじゃが......理由はちと違う......」
「他に何かあるのか?」
「妾が......生物と......関わりたくない理由は......妾が......この手で......殺してしまう......からじゃ......」
「それは邪龍の状態での話だろ?」
「いや......そうではない......。妾には......感情を操るのが......難しい......」
「それが生き物を殺すことにどう関わってくるんだよ」
「簡単な話......妾は自分を抑えることができん......。いや、できんようになってしまった......。少しでも、怒りの感情があると......すぐにものに当ってしまう......。そして、その怒りを......いつ感じるのかが......妾には分からん。気づいた時には......周りには死体が転がるようになっておる。それが、邪龍になる、少し前の話じゃ」
確か、ヨミも同じことを言っていた気がする。
「妾は......生きすぎるあまり......ちょっとした障害を患わってしまった......。お主らのところに戻れんのも......それが原因の一つじゃ」
「それが問題ならーー」
「問題なら、俺達が止める......じゃろ?それだけなら、妾もお主の言葉に応じても良いのじゃ。でもな......もう一つ、障害がある......」
「この書庫の管理......とかか?」
「惜しいのう。ちょっとだけ正解じゃ」
「ちょっと?」
「うむ。確かに、ここの書庫の管理もあるが、それはあくまでオマケでしかない。本当の理由はな......、妾はここに縛り付けられてるのじゃ」
「縛り付けられてる?誰に?何の目的で?」
「さっき言った創界神にじゃよ。妾は6兆年前に、ちと問題を起こして、そうなってしまったのじゃ」
「その問題の部分が非常に気になるし、グランウォーカーって何者なんだよ」
「それに関しては......、また、ここに来たら話してやろう。今日は疲れた。お主の言うように、妾もちと疲れておったんじゃな」
「もう、1人で平気か?」
「大丈夫じゃ。元々、妾は1人でも生きていけれるようになっておる」
「そうか......」
俺はゆっくりと立ち上がって、本を元の場所に戻す。結局、半分も読み進められなかったが......
「じゃあ、また明日来るわ」
そう言って、俺はこの場を後にした。
ネイが手を振っているのが、目の端に見えた。
(後もう少し、心の問題はどうにかできる。ただ、新しい障害が見つかっちまった)
グランウォーカーと呼ばれる者をどうにかしない限り、ネイを連れ出すことはできない。
そのグランウォーカーは神様だという。
交渉でどうにかなればいいが......
「お主、ようその面を提げてここにやってこれたな」
「ああ昨日は悪ぃ。スゲェチャンスだと思ったからついやっちまった」
「衝動的にやるなお主。危うくお主を殺めてしまうところじゃったぞ」
「うん、なんとなくそれは分かってる」
昨晩、ネイの攻撃を喰らった時は本当に死ぬかと思った。でも、普段から鍛えてるおかげでなんとか生き残れた。
「次は妾も容赦せんからな」
「お前、昨日のも容赦はしてなかったろ」
「あんなのまだ序の口じゃ。もっと凄いのが出せるわい」
マジか......あれでまだ序の口とか、本気出されたら本当に死ぬ......
「......それで、今日はなんか面白い話でもあるのか?」
「......!?」
ネイの口から発された言葉に、思わず目を丸くする。
「なんじゃ?そんな阿呆みたいな面して」
「いや、お前の方から話をしてくるなんて、珍しいこともあるもんだなって」
「まだたったの1週間じゃろうが」
「いや、そうだけど......つか、まともに話せるようになったのって今日含めて2日だし......」
「そうじゃったか?まあよい。なんか無駄話でも用意してきとるんじゃろ?」
「まあ、あるにはあるけど......」
「なら話せ」
別に話すのは構わないのだが、ずっと本に目を通しながら話せと言われても、「本当に聞いてる?お前」という感じで話しづらい。
「別に、昨日だってお主の方から無駄話をしてきたんじゃし、同じじゃろう」
それもそう......なのか?
「......まあいいや。昨日、というか今朝の話なんだが、セリカ達に死ぬなってめっちゃ言われた」
「そら、昨晩の話があるんじゃ。当たり前じゃろう」
ネイはこちらを見向きもせずにそう言う。
「そんなに俺って危険なことしてるのかな?」
手持ち無沙汰だったので、近くにあった本を引っ張り出して読み進める。
やっぱり、頭が痛くなるような内容だ。
「妾と対話を望んでおる時点で十分危険じゃ。これがお主ではなくヴェルドあたりじゃったら殺しておるところじゃな」
「やっぱあいつはダメなんだな」
「出会って妾が龍人じゃとわかった途端、腹パンしてきよったからな。普通に接しろと言われても無理がある。その点、奴にまとわりつくシアラは良い奴じゃったな。ちと問題がある奴じゃったが、まあ、悪い奴ではなかったな。妾が龍人だとかあまり気にする様子もなかったし」
「なんだかんだで、うちのギルドにはお前を嫌ってない奴だってたくさんいただろ?セリカもフウロもミラも、あっ、全員女か......」
「この世界の女は大体がそんなことを知らずに育ってきたからな。男と違って歴史とかそんなものを知る必要がないと言われておるからな」
「そうなのか?」
「そうじゃよ。実際、学び舎的なものも、女子を入れるところは少ない。そんなことも知らなかったのか?お主」
「生憎、俺は孤児だったんでね。龍に育てられて今まで生きてきた」
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「ああそうだ。それがどうかしたか?」
「......いや、この世界に龍はもういないはず......。アポカリプスが最後の龍じゃったはずじゃし......」
「アポカリプス?なんだそれ?」
「知らんのか?お主」
ネイがやっとこちらを向いてそう言ってきた。
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「いや、分から......待てよ、龍って確か超長生きだったよな。ジーク達が知らないことから考えると、エクセリアは1000年前には小龍か生まれていない状態だったはず......」
「そうじゃ。エクセリアは1000年前はまだほんの小さな龍じゃった。龍は100年程度で成長が終わる。しかし、それ以降も万年単位で生き続ける」
「つまり、エクセリアは誰かに殺された?でも、邪龍はエクセリアが倒したはず......」
「そこで関わってくるのがアポカリプスじゃ。彼奴は最強の邪龍にして、最強の龍王。全ての龍を滅ぼす存在」
「......そんなやつ、聞いたことねえぞ」
「当たり前じゃ。彼奴は色んな世界を渡り歩き、行く先々の世界の龍を殺しては、その世界の人々の記憶を消す。自分の存在は残らんということじゃ」
「......つまり、俺を育ててたゼグラニルは......」
「魂だけの存在。ジーク、アマツ、ラヴェリアと同じじゃろうな。その、ゼグラニルも龍王じゃったということじゃろう。それで、契約者はお主の母か父じゃろうな」
「そうだったのか......」
思わぬところでゼグラニルのことを知れた。
「ついでにを言うと、フェノンじゃった妾を殺したのもアポカリプスじゃ」
「だから、死ぬことができた?」
「ああそうじゃ。彼奴には感謝しておるよ。殺される時に、記憶も消してくれと頼んだら消してくれた。まあでも、思い出してしまったがな......」
「......そのアポカリプスって、俺達人間に危害を加えることはねえのか?」
「......残念じゃが、危害なんてレベルじゃないな。龍を一体殺すだけで世界の半分は消える。妾とエクセリア。2つの龍を殺したから、この世界は1度やり直してるのじゃ」
「やり直してる?」
「そうじゃ。壊れてしまったのじゃから、直しようがない。『創界神』は諦めて世界を創り直したのじゃ。もちろん、あまりのことじゃったから、それまでに人間が築き上げてきたものは極力再現したな」
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「......」
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※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
そして翌日。
「ようネイ。今日も来た......ぞ?」
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あいつが外に自ら行くとは考えられないし、この書庫はあいつの力なら読みたい本を自動的に持ってこられる。
どこに行ったんだ?
「ネ......イ?」
辺りをウロウロしていると、1つ、本が崩れ落ちている場所を見つけた。
(まさか......)
急いで本の山を崩してネイを探す。
(いた......)
そんなに時間はかからなかった。
ただ、本当に崩れ落ちた本の山の中にネイはいた。
「おい!大丈夫か、ネイ!」
ネイの体を抱えて必死に揺する。
「そ、そんなに振るな。酔うじゃろう......が......」
ネイが目を覚ましてそう言った。
「大丈夫......なのか?」
「このくらい......なんてことも......ない......」
そう言うネイだったが、どう見ても大丈夫そうに見えない。
歩き方は、なんだかフラフラしているし、息遣いも少し荒い。
「おい、ネイ」
また倒れそうだったので、体を支えてやる。
「おい、かなりの熱があるぞ」
ネイの額を軽く触ってみたが、かなり熱くなっていた。
「こ、このくらい......なんてことも......ない。それよりも......早く......本を......片付け......ね......ば......」
ネイが遂に倒れた。
「ネイ!」
倒れたネイを再び抱える。
「やっぱ、お前、風邪かなんかひいてんだよ」
「そ、そんなわけ......なかろう......。妾は......不死の......体......じゃぞ......」
「不死でも、怪我はするし、病気になって苦しむもんだろ。不死なのは驚異的な再生力があるからであって、怪我をしない、病気にもならない体じゃねえだろ」
「そ......そんなものかのう......」
「ああそうだよ。それに、お前は隠してるつもりでも、風邪ひいてる時がよくあったろ。お前は病弱な体だったんだよ。とりあえず、今は休んでろ」
「や、休めと......言われても......」
「いいから休んでろ。どうせ、外には出たくないとか言うんだし、これ以上無理しても悪化するだけだ」
「はぁ......はぁ......。分かった。しばらく休んでおこう。その代わり......、主が傍にいろ......」
「ああ分かったよ」
それを聞いて、ネイがおもむろに本を1冊取り出した。
そして、その本を開いて空いてるところに投げると、ベッドらしきものが現れた。
「記憶の再現......。この世界なら......基本は......なんでも......作り出せ......る......」
「喋る体力もねえなら喋るな」
そう言って、俺はネイを現れたベッドの上に寝かせた。
(そういや、ヨミもこんな感じで寝てたっけ)
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
ネイが横になってから、3時間ほど経った。
ただ傍にいるだけ、と言われても、暇で暇で仕方ない。なので、近くにあった本を取り出しては、頭が痛くなるのでやめるというのを繰り返している。
それでも、唯一読み進められている本は『龍王伝説』だった。
ジークやアマツがいた時代のことが書かれており、丁度あの龍王達のことが知りたいと思っていたので暇潰しにはなった。
「お主、そこで......何を......してお......る......」
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「暇だから本読んでる」
「お主が理解できる内容では......なかろう......」
「ああ。殆ど頭が痛くなるような内容だったな。でも、これだけは読めれた」
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「いや......そうではない......。妾には......感情を操るのが......難しい......」
「それが生き物を殺すことにどう関わってくるんだよ」
「簡単な話......妾は自分を抑えることができん......。いや、できんようになってしまった......。少しでも、怒りの感情があると......すぐにものに当ってしまう......。そして、その怒りを......いつ感じるのかが......妾には分からん。気づいた時には......周りには死体が転がるようになっておる。それが、邪龍になる、少し前の話じゃ」
確か、ヨミも同じことを言っていた気がする。
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「それが問題ならーー」
「問題なら、俺達が止める......じゃろ?それだけなら、妾もお主の言葉に応じても良いのじゃ。でもな......もう一つ、障害がある......」
「この書庫の管理......とかか?」
「惜しいのう。ちょっとだけ正解じゃ」
「ちょっと?」
「うむ。確かに、ここの書庫の管理もあるが、それはあくまでオマケでしかない。本当の理由はな......、妾はここに縛り付けられてるのじゃ」
「縛り付けられてる?誰に?何の目的で?」
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「もう、1人で平気か?」
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“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
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