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第5章 【黒の心】
第5章1 【明けの一節】
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気づけばクリスマスが終わり、日本も世界も年越しムード(一部キリストの国はクリスマスの方が大事です)。
グランストリアことグラスト。1年くらいで様々な話を書きましたが、正直なんかビミョーだな、と思う話は多々ありました。ま、書いてしまったものはもうそのままなので、これからもっともっと面白い話を書けばいいんですけどね。
ちなみに、この話の投稿日は1月1日ですが、書いてる時期が時期なので年越しムードとかこの作者は言ってます(バカだね。ちゃんとそれ用の言葉を使えばいいのに)。
それでは、今年もなんか色々とあるんじゃないかとは思いますが、皆様、新年あけましておめでとうございます。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
「あ"ぁ"、あ"ぁ"ぁ"......」
瞼が重い。昨日何してたっけ?心なしか、胃がもたれて気分が悪い。
薄らと瞼を開けて、辺りを見渡す。
そこは、見慣れた自室ではなく、広いがかなり散らかっている部屋。それに、人がたくさんいる。
「......頭、硬いな」
今気づいたことだが、どうやら俺は床で寝ているらしい。頭の痛さは、半分それが原因だろう。
えーっと、少しだけ記憶を掘り返してみよう。
確か、俺達は結構過酷な戦いを乗り越えた末、誰か大切な人を助け出せれたような気がする。誰だっけ?まあ、いいや。そんで、何だかんだあったのか、みんなで鍋パやってた気がする。多分。でないと、この散らかり具合と倒れている人の説明はつかないだろう。血とかがそこら中の壁とかに付着していたのだとしたら話は別だが。
というか、なぜ俺は記憶がなくなるほどにまでなっているのだ。そう思って再び辺りを見渡す。
「ウォッカ......」
なるほど。全てに合点がいった。
つまりは、みんなでレッツ鍋パをしていたら、誰が買ってきたのか知らない酒に全員やられてしまったというわけだ。なるほど。
「......痛て」
そろそろ起きようかと思って、上半身を上げてみるが、腰にかなりの痛みが。まあ、床に寝そべっていたのだから当たり前っちゃ当たり前なのだが。
「......男しかいねぇ」
俺の記憶に余程の狂いが無ければ、このギルドには女もいるはず。そして、昨日のことを考えると、女も酒にやられていたやつが数人はいるはず。なのに、目に入るのはむさ苦しい男ども。
あれ?そういや、助け出した大切な人って、なんかスゲー俺にべっとりだったような......、なわけないか。
そんなシアラみたいなやつが俺にまとわりつくわけがない。
《ガチャ......》
ドアノブを回す音がして、一人の女の子が入ってきた。
「あ、おはよう」
《バタッ......》
何かを察した俺は、すぐさまその場に倒れた。
「なんで今倒れたし!」
間違いなくセリカだ。
ここで、なぜ俺が倒れたのかを説明しよう。なんか気まづくなるような気がしただけだ。
「全く、このギルドの男という男はたるんどるな」
これは見なくても分かる。
狂気者のフウロだ。
*正しくは輝剣士です。
「全員起きろ!滅多斬りにされたい奴はそのまま寝てろ」
《ガチャ......》
フウロが抜剣する音が聞こえた。
「「「 はい!ただ今起きました! 」」」
綺麗なくらい全員が同時に起き上がる。俺もその中の1人なのだが。つか、全員起きてたな。
「全く、男という生き物は。全員片付けの時間だ!朝飯とかほざく奴は私から直々に朝練をやろう」
「「「 誠心誠意もって取り組みます! 」」」
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
「はぁー、やっと片付いたー」
俺達は、フウロ達女性陣の言われるがままに片付けを行った。一体、どんな暴れ方をしたのか気になるくらい散らかっていたため、余裕で1時間はかかった。
「お疲れ様です。ヴァル」
天使のような声で、俺の傍にやってくるのは、愛しの契約龍ネイ。
つい数分前までは記憶が曖昧だったが、こいつの顔を一目見て全てを思い出した。そうだ、俺の周りにもシアラみたいなやつがいた。ただ、シアラとは少し違って、害悪さは少ない。多分、ヴェルドと違って俺自身もこいつを好きだと思っているからだろう。
「ネイ、もう大丈夫なのか?」
「それそっくりそのままヴァルに返しますよ」
それもそうだ。なんせ、俺達全員酒にやられてしまったからな。記憶がなくなるほどに。酒ってそんなにやべーもんだったっけ?
《ギュルルルル......》
なんか、一息ついたら腹が減ってきた。昨日あれだけ食ったのにだ。
「ミラ、悪いがなんか飯はねえのか」
ヴェルドも同じらしく、そう頼むが肝心のミラがいない。そして、珍しいことにシアラもだ。
「ミラならセリカ達と一緒にどっか行ったぞ、オェ」
グリードが口に手を当ててそう言う。
「どっかってどこだよ」
「知らね、オェ......。ちょっくら便所行ってくるわ」
おう、気をつけてな。吐かないように。
心の中でそれだけ言っておいた。
「なあネイ。あいつらどこに行ったか知ってる?」
「あぇーっと、ま、そのうちやって来ますよ。彼女達がやって来たら、全力で私を守ってください」
「?どういうことだ?」
「そ・の・う・ち分かります」
一体、何があるんだ?ネイを守れ?何から?
数々の疑問が頭に浮かび上がるが、その答えはすぐに明らかとなった。
「おっ待たせー!」
女性陣の筆頭、セリカが晴れやかな着物を着てやって来た。
「あぁ、そういうことか」
あれは、白陽で正月に着られると言われている正月着。確か、セリカが前にあれを着てみたいとか言ってた気がする。
「どう?似合ってる?」
セリカがモデルのようなポーズを取って俺に尋ねてくる。
「あぁ、似合ってるよ。うん」
「そう?良かったー。というわけで、ネイりん。行こうか」
「ヒィィィ!」
何となくそうなんじゃないかと思っていたが、やっぱりそうだったか。
「ヴァル、私を守って」
セリカとネイが俺を挟んで対になっている。セリカが左を追いかければネイは捕まえられないように逃げる。セリカが右を追いかければ、ネイはまたしても逃げる。要するに、俺の周りでグルグル回っている状態だ。
「ヴァル、ネイりんを捕まえて」
「ヴァル、私を守ってください」
双方から別々の依頼を出される。しかも、どっちかをやるとどっちかが必ず出来なくなる選択肢付きだ。
「ヴェっルド様ぁー!」
セリカ達とは関係ないが、シアラが晴れやかな着物そのままにヴェルドに飛びつく。
「よっと」
「おぁ!」
ヴェルドが咄嗟に後ろの方へと避けたせいで、シアラは顔面からかったい床へとダイブした。
「シアラ、丁度いいところに。ネイを捕まえるのを手伝って!」
「今ヴェルド様に避けられて、シアラの心はズタボロなのですがぁ~」
分かりやすい嘘泣きでシアラがそう言う。
「捕まえたら、今度は私がヴェルドをホールドするのを手伝ってあげるから!」
「シアラ・マギナス誠心誠意もって取り組ませて頂きたいと思います」
「嘘でしょ!?」
シアラのあまりの態度の豹変ぶりに、流石のネイも驚きを顕にしてしまった。
「さぁネイりん。私と一緒に行こうかー。大丈夫。悪いようにはしないから」
「ヴェっルド様ぁー」
2人に連れられて、ネイがどこかへと行った。
「ヴァ、ヴァルぅー!?」
「頑張っておいで」
ネイにちょっとだけ同情して、軽く手を振ってやった。
「ヴァル!てめぇ、どうしてくれんだ!あぁもうこの後!......考えるのやめよ」
「この間殴られた仕返しだと思いやがれ」
「あれは結果的に良い方向に傾いたんだから関係ねぇだろ!」
「ハッ殴られたもんは殴られたもんだ。例え、その後どうなろうが関係ねぇ」
「クソてめぇ!」
「やめんか貴様ら!」
見た目とは裏腹な声を出す女が俺とヴェルドの間に割って入る。
「よ、ようフウロ。結構似合ってふじゃねえか」
ヴェルド、噛んでるぞ!
「貴様らに言われても、なんの嬉しみもないな」
いや、ちょっとは喜べよ。似合ってるって言ってんだからさ。
「......綺麗に片付いたようだな。そこだけは評価してやる」
「「 ど、どうも 」」
「他の男どもはどうした」
「外に出ていったが......」
「......帰ってきたら叩きのめす」
うわ、逃げなくてよかった。つか、フウロ勘が良すぎだろ。あいつらが逃げた理由を全て察してる顔をしてやがる。
「はぁ......。しばらく寝る。あいつらが戻ってきたら起こせ」
「「 お、おう 」」
フウロは、近くにあった椅子に座り、そのまま寝てしまった。
(どうする?ヴァル)
(どうするもこうするも、もう売るしかねぇだろ)
(それしかねぇよなぁ。すまんみんな。これも、俺達が生き残るためなんだ)
ところで、なんでフウロが若干キレてて、みんながどっかに逃げ出したのかというと、かなり長くなるので、怒られるようなことをしたとだけ言っておこう。特にグリードあたりは危険だ。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
「こらネイりん、大人しくしてる!まともに着せられないでしょ!」
「なんで私がこんなことに巻き込まれなきゃいけないんですか!」
「いいじゃん!ネイりんの分もレンタルしてきたんだからさ!ほら、ビシッとする!」
拐われて数分。なぜか今、私は着付けをしてもらってます。
セリカの女子力は低いと思っていたが、着付けだけは上手くこなしている。ただ、悲しいかな?帯の付け方だけ間違ってる。全員セリカに教えてもらったのか、見事に全員間違えている。
訂正してやりたいところだが、そんなことを口に出して言えばどうなることやら。やめておこう。
「ところでネイりんさぁ。できればなんだけど、帯の正しい結び方って知ってる?」
自分でも分かっていたのか。
しょうがない。ここは私直々に教えてあげるしかーー
「ネイが知ってるわけないでしょ。この嫌がりようを見る限り、絶対知らないって。着物を着るのだって初めてでしょ」
レラがそう言う。
なんかムッと来た。いいじゃん。直々に教えてやろう。
「さっきから黙って聞いておれば、お主ら好き勝手言いよって。いいじゃろう。妾が直々に着付けの仕方を教えてやるとしよう。感謝せい」
「「「 ??? 」」」
「そうじゃなぁ......、まずは全員脱げ。一々直す方が面倒じゃ」
「あ、あの、ネイりん。別に帯の付け方だけ教えてくれればーー」
「素人は黙っとれ!」
「す、すみません」
「はぁ、そういや、さっきフウロとすれ違ったが、あれ黒色じゃったよな?」
「う、うん。フウロがそれがいいって言うから」
「あやつ結婚しとるのか?」
「いや、独身だったと思うけど」
「ブフッ!」
それが本当なら、腹を抱えて笑うしかない。
「なんか問題があったの?」
「お主ら何も知らんのか?」
「「「 ??? 」」」
「黒色はな、基本的に既婚者が着る最上級のものじゃ。まさか、あやつ自分が頂点だとでも思っておるのか?それとも見栄でも張っとるのかのぅ」
「あぁ、そういうことか。ブフッ」
セリカにも意味が分かったらしい。
「どうやってフウロさんに説明するんですか?」
1人笑いを堪えているエフィがそう尋ねてくる。
「......黙っといてやればええじゃろ。どうせこの国には着物なんて文化は浸透しとらんのじゃ。誰も気にはせん」
「それもそうか。で、ネイりん帯の付け方を......」
「あぁ、そうじゃったな。ところで、お主ら寒くないんか?」
全員振り袖だが、この後どこかに行くのだとしたら、若干肌寒いのではないだろうか。
「いや、寒くはないけど」
「そうか、この後どこかに行くんじゃったら、何かしらの対策はしといた方がええぞ。なんせ、今日は大寒波が押し寄せてきとるからな」
「嘘でしょ!?」
「修行には丁度ええんと違うか?」
「いや、修行とかそんなの考えてないし。というか、私寒いの苦手なんだけどって、ネイりんくすぐったい」
「黙れ!大人しくしろ!それで、どっか行くんじゃったら自分らでどうにかせえよ」
「はぁーい。ま、大丈夫でしょ」
本当にか?あの、雪山の遺跡の時はかなり寒がっていたというのに。まあ、今回はそこそこの厚着じゃし、多少は平気な方かーー
ーーそして数十分後。
「まさか本当に脱がされるとは思わなかった」
レラがなぜか若干頬を赤らめてそう言う。
別に妾男じゃねぇし。
「ネイって凄いね。こんな難しい着物を簡単に着れちゃうなんて」
ミラが感心したようにそう言う。
「ま、まあな。昔はこれが普段着じゃったし」
「一体、どこの国生まれよ」
「多分、今は白陽になっとるあたりかのう。つっても、世界は妾の知る限り1度はリセットされとるんじゃがな」
「ふーん。じゃあさ、白陽の白英雄って知ってる?」
「いや、知らんな。妾が知っとる人間は魔女くらいじゃからな」
「そう」
「あの、セリカさん。そろそろヴェルド様を......」
「あ、そうだった。じゃシアラの願いを叶えに行ってくる」
「おう、頑張ってな」
「ネイりんも手伝って!強制!」
「はい!?」
こうして、またしてもセリカに連れ去られてしまった。
グランストリアことグラスト。1年くらいで様々な話を書きましたが、正直なんかビミョーだな、と思う話は多々ありました。ま、書いてしまったものはもうそのままなので、これからもっともっと面白い話を書けばいいんですけどね。
ちなみに、この話の投稿日は1月1日ですが、書いてる時期が時期なので年越しムードとかこの作者は言ってます(バカだね。ちゃんとそれ用の言葉を使えばいいのに)。
それでは、今年もなんか色々とあるんじゃないかとは思いますが、皆様、新年あけましておめでとうございます。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
「あ"ぁ"、あ"ぁ"ぁ"......」
瞼が重い。昨日何してたっけ?心なしか、胃がもたれて気分が悪い。
薄らと瞼を開けて、辺りを見渡す。
そこは、見慣れた自室ではなく、広いがかなり散らかっている部屋。それに、人がたくさんいる。
「......頭、硬いな」
今気づいたことだが、どうやら俺は床で寝ているらしい。頭の痛さは、半分それが原因だろう。
えーっと、少しだけ記憶を掘り返してみよう。
確か、俺達は結構過酷な戦いを乗り越えた末、誰か大切な人を助け出せれたような気がする。誰だっけ?まあ、いいや。そんで、何だかんだあったのか、みんなで鍋パやってた気がする。多分。でないと、この散らかり具合と倒れている人の説明はつかないだろう。血とかがそこら中の壁とかに付着していたのだとしたら話は別だが。
というか、なぜ俺は記憶がなくなるほどにまでなっているのだ。そう思って再び辺りを見渡す。
「ウォッカ......」
なるほど。全てに合点がいった。
つまりは、みんなでレッツ鍋パをしていたら、誰が買ってきたのか知らない酒に全員やられてしまったというわけだ。なるほど。
「......痛て」
そろそろ起きようかと思って、上半身を上げてみるが、腰にかなりの痛みが。まあ、床に寝そべっていたのだから当たり前っちゃ当たり前なのだが。
「......男しかいねぇ」
俺の記憶に余程の狂いが無ければ、このギルドには女もいるはず。そして、昨日のことを考えると、女も酒にやられていたやつが数人はいるはず。なのに、目に入るのはむさ苦しい男ども。
あれ?そういや、助け出した大切な人って、なんかスゲー俺にべっとりだったような......、なわけないか。
そんなシアラみたいなやつが俺にまとわりつくわけがない。
《ガチャ......》
ドアノブを回す音がして、一人の女の子が入ってきた。
「あ、おはよう」
《バタッ......》
何かを察した俺は、すぐさまその場に倒れた。
「なんで今倒れたし!」
間違いなくセリカだ。
ここで、なぜ俺が倒れたのかを説明しよう。なんか気まづくなるような気がしただけだ。
「全く、このギルドの男という男はたるんどるな」
これは見なくても分かる。
狂気者のフウロだ。
*正しくは輝剣士です。
「全員起きろ!滅多斬りにされたい奴はそのまま寝てろ」
《ガチャ......》
フウロが抜剣する音が聞こえた。
「「「 はい!ただ今起きました! 」」」
綺麗なくらい全員が同時に起き上がる。俺もその中の1人なのだが。つか、全員起きてたな。
「全く、男という生き物は。全員片付けの時間だ!朝飯とかほざく奴は私から直々に朝練をやろう」
「「「 誠心誠意もって取り組みます! 」」」
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
「はぁー、やっと片付いたー」
俺達は、フウロ達女性陣の言われるがままに片付けを行った。一体、どんな暴れ方をしたのか気になるくらい散らかっていたため、余裕で1時間はかかった。
「お疲れ様です。ヴァル」
天使のような声で、俺の傍にやってくるのは、愛しの契約龍ネイ。
つい数分前までは記憶が曖昧だったが、こいつの顔を一目見て全てを思い出した。そうだ、俺の周りにもシアラみたいなやつがいた。ただ、シアラとは少し違って、害悪さは少ない。多分、ヴェルドと違って俺自身もこいつを好きだと思っているからだろう。
「ネイ、もう大丈夫なのか?」
「それそっくりそのままヴァルに返しますよ」
それもそうだ。なんせ、俺達全員酒にやられてしまったからな。記憶がなくなるほどに。酒ってそんなにやべーもんだったっけ?
《ギュルルルル......》
なんか、一息ついたら腹が減ってきた。昨日あれだけ食ったのにだ。
「ミラ、悪いがなんか飯はねえのか」
ヴェルドも同じらしく、そう頼むが肝心のミラがいない。そして、珍しいことにシアラもだ。
「ミラならセリカ達と一緒にどっか行ったぞ、オェ」
グリードが口に手を当ててそう言う。
「どっかってどこだよ」
「知らね、オェ......。ちょっくら便所行ってくるわ」
おう、気をつけてな。吐かないように。
心の中でそれだけ言っておいた。
「なあネイ。あいつらどこに行ったか知ってる?」
「あぇーっと、ま、そのうちやって来ますよ。彼女達がやって来たら、全力で私を守ってください」
「?どういうことだ?」
「そ・の・う・ち分かります」
一体、何があるんだ?ネイを守れ?何から?
数々の疑問が頭に浮かび上がるが、その答えはすぐに明らかとなった。
「おっ待たせー!」
女性陣の筆頭、セリカが晴れやかな着物を着てやって来た。
「あぁ、そういうことか」
あれは、白陽で正月に着られると言われている正月着。確か、セリカが前にあれを着てみたいとか言ってた気がする。
「どう?似合ってる?」
セリカがモデルのようなポーズを取って俺に尋ねてくる。
「あぁ、似合ってるよ。うん」
「そう?良かったー。というわけで、ネイりん。行こうか」
「ヒィィィ!」
何となくそうなんじゃないかと思っていたが、やっぱりそうだったか。
「ヴァル、私を守って」
セリカとネイが俺を挟んで対になっている。セリカが左を追いかければネイは捕まえられないように逃げる。セリカが右を追いかければ、ネイはまたしても逃げる。要するに、俺の周りでグルグル回っている状態だ。
「ヴァル、ネイりんを捕まえて」
「ヴァル、私を守ってください」
双方から別々の依頼を出される。しかも、どっちかをやるとどっちかが必ず出来なくなる選択肢付きだ。
「ヴェっルド様ぁー!」
セリカ達とは関係ないが、シアラが晴れやかな着物そのままにヴェルドに飛びつく。
「よっと」
「おぁ!」
ヴェルドが咄嗟に後ろの方へと避けたせいで、シアラは顔面からかったい床へとダイブした。
「シアラ、丁度いいところに。ネイを捕まえるのを手伝って!」
「今ヴェルド様に避けられて、シアラの心はズタボロなのですがぁ~」
分かりやすい嘘泣きでシアラがそう言う。
「捕まえたら、今度は私がヴェルドをホールドするのを手伝ってあげるから!」
「シアラ・マギナス誠心誠意もって取り組ませて頂きたいと思います」
「嘘でしょ!?」
シアラのあまりの態度の豹変ぶりに、流石のネイも驚きを顕にしてしまった。
「さぁネイりん。私と一緒に行こうかー。大丈夫。悪いようにはしないから」
「ヴェっルド様ぁー」
2人に連れられて、ネイがどこかへと行った。
「ヴァ、ヴァルぅー!?」
「頑張っておいで」
ネイにちょっとだけ同情して、軽く手を振ってやった。
「ヴァル!てめぇ、どうしてくれんだ!あぁもうこの後!......考えるのやめよ」
「この間殴られた仕返しだと思いやがれ」
「あれは結果的に良い方向に傾いたんだから関係ねぇだろ!」
「ハッ殴られたもんは殴られたもんだ。例え、その後どうなろうが関係ねぇ」
「クソてめぇ!」
「やめんか貴様ら!」
見た目とは裏腹な声を出す女が俺とヴェルドの間に割って入る。
「よ、ようフウロ。結構似合ってふじゃねえか」
ヴェルド、噛んでるぞ!
「貴様らに言われても、なんの嬉しみもないな」
いや、ちょっとは喜べよ。似合ってるって言ってんだからさ。
「......綺麗に片付いたようだな。そこだけは評価してやる」
「「 ど、どうも 」」
「他の男どもはどうした」
「外に出ていったが......」
「......帰ってきたら叩きのめす」
うわ、逃げなくてよかった。つか、フウロ勘が良すぎだろ。あいつらが逃げた理由を全て察してる顔をしてやがる。
「はぁ......。しばらく寝る。あいつらが戻ってきたら起こせ」
「「 お、おう 」」
フウロは、近くにあった椅子に座り、そのまま寝てしまった。
(どうする?ヴァル)
(どうするもこうするも、もう売るしかねぇだろ)
(それしかねぇよなぁ。すまんみんな。これも、俺達が生き残るためなんだ)
ところで、なんでフウロが若干キレてて、みんながどっかに逃げ出したのかというと、かなり長くなるので、怒られるようなことをしたとだけ言っておこう。特にグリードあたりは危険だ。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
「こらネイりん、大人しくしてる!まともに着せられないでしょ!」
「なんで私がこんなことに巻き込まれなきゃいけないんですか!」
「いいじゃん!ネイりんの分もレンタルしてきたんだからさ!ほら、ビシッとする!」
拐われて数分。なぜか今、私は着付けをしてもらってます。
セリカの女子力は低いと思っていたが、着付けだけは上手くこなしている。ただ、悲しいかな?帯の付け方だけ間違ってる。全員セリカに教えてもらったのか、見事に全員間違えている。
訂正してやりたいところだが、そんなことを口に出して言えばどうなることやら。やめておこう。
「ところでネイりんさぁ。できればなんだけど、帯の正しい結び方って知ってる?」
自分でも分かっていたのか。
しょうがない。ここは私直々に教えてあげるしかーー
「ネイが知ってるわけないでしょ。この嫌がりようを見る限り、絶対知らないって。着物を着るのだって初めてでしょ」
レラがそう言う。
なんかムッと来た。いいじゃん。直々に教えてやろう。
「さっきから黙って聞いておれば、お主ら好き勝手言いよって。いいじゃろう。妾が直々に着付けの仕方を教えてやるとしよう。感謝せい」
「「「 ??? 」」」
「そうじゃなぁ......、まずは全員脱げ。一々直す方が面倒じゃ」
「あ、あの、ネイりん。別に帯の付け方だけ教えてくれればーー」
「素人は黙っとれ!」
「す、すみません」
「はぁ、そういや、さっきフウロとすれ違ったが、あれ黒色じゃったよな?」
「う、うん。フウロがそれがいいって言うから」
「あやつ結婚しとるのか?」
「いや、独身だったと思うけど」
「ブフッ!」
それが本当なら、腹を抱えて笑うしかない。
「なんか問題があったの?」
「お主ら何も知らんのか?」
「「「 ??? 」」」
「黒色はな、基本的に既婚者が着る最上級のものじゃ。まさか、あやつ自分が頂点だとでも思っておるのか?それとも見栄でも張っとるのかのぅ」
「あぁ、そういうことか。ブフッ」
セリカにも意味が分かったらしい。
「どうやってフウロさんに説明するんですか?」
1人笑いを堪えているエフィがそう尋ねてくる。
「......黙っといてやればええじゃろ。どうせこの国には着物なんて文化は浸透しとらんのじゃ。誰も気にはせん」
「それもそうか。で、ネイりん帯の付け方を......」
「あぁ、そうじゃったな。ところで、お主ら寒くないんか?」
全員振り袖だが、この後どこかに行くのだとしたら、若干肌寒いのではないだろうか。
「いや、寒くはないけど」
「そうか、この後どこかに行くんじゃったら、何かしらの対策はしといた方がええぞ。なんせ、今日は大寒波が押し寄せてきとるからな」
「嘘でしょ!?」
「修行には丁度ええんと違うか?」
「いや、修行とかそんなの考えてないし。というか、私寒いの苦手なんだけどって、ネイりんくすぐったい」
「黙れ!大人しくしろ!それで、どっか行くんじゃったら自分らでどうにかせえよ」
「はぁーい。ま、大丈夫でしょ」
本当にか?あの、雪山の遺跡の時はかなり寒がっていたというのに。まあ、今回はそこそこの厚着じゃし、多少は平気な方かーー
ーーそして数十分後。
「まさか本当に脱がされるとは思わなかった」
レラがなぜか若干頬を赤らめてそう言う。
別に妾男じゃねぇし。
「ネイって凄いね。こんな難しい着物を簡単に着れちゃうなんて」
ミラが感心したようにそう言う。
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「一体、どこの国生まれよ」
「多分、今は白陽になっとるあたりかのう。つっても、世界は妾の知る限り1度はリセットされとるんじゃがな」
「ふーん。じゃあさ、白陽の白英雄って知ってる?」
「いや、知らんな。妾が知っとる人間は魔女くらいじゃからな」
「そう」
「あの、セリカさん。そろそろヴェルド様を......」
「あ、そうだった。じゃシアラの願いを叶えに行ってくる」
「おう、頑張ってな」
「ネイりんも手伝って!強制!」
「はい!?」
こうして、またしてもセリカに連れ去られてしまった。
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しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
2度死んだ王子は今度こそ生き残りたい
緑緑緑
ファンタジー
王太子ロイは、かつて二度の革命によって祖国を崩壊させてしまった過去を持つ。命を落とすたび、彼はある時点へと巻き戻される。そして今、三度目の人生が静かに幕を開けようとしていた。
――自分は民を理解しているつもりだった。
だが実際には、その表面しか見えていなかったのだ。
その痛烈な自覚から、物語は動き始める。
革命を回避するために必要なのは、制度でも権力でもない。「人を知る」ことこそが鍵だと、ロイは気付く。
彼はエコール学園での生活を通じ、身分も立場も異なる様々な人間と深く関わっていく。
そこで出会う一人ひとりの想いと現実が、やがて国の未来を大きく左右していくことになるとは、この時のロイはまだ知らない。
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