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外伝 【夢幻の道】
外伝7 【時と巫女】
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「......誰だお前」
スサノオと呼ばれる男の前に、白陽の正月着を来た女の子がいる。
「大丈夫か?お前ら」
今度は赤髪の男の子......?
「あなた達は......」
「火傷が酷ぇな。ヒカリー、確かお前、治癒術使えたよな?」
「ええ。使えるわよ」
緑がかった青髪の女の子まで......。
変な夢でも見てるのかな......?この場に似合わぬ3人の姿。味方......でいいのだろうか。
「あまり、過去の人間に関わるなよ。妾達が用のあるのはこいつらだけじゃからな」
「分かってるよ」
「......お前ら、何者だ?」
「妾の名はネイ。先の未来においての創界神じゃ」
「そんなはずがない。この先に未来は続かない」
「そうじゃったかのう?まあええわ。妾が用のあるのはお主でもない。狙いはデルシアじゃ」
......デルシアを狙ってる?
「......話すつもりはない、ということか」
「そもそも、話す事などあるか?」
2人の刃が金属音を立てて辺りに響き渡る。
「なんなんだ、あいつら......痛っ」
「えぇっと、羅刹だったっけ?あんたも大人しくしてなさい」
「お前、誰なんだよ!」
「私はヒカリ。そこの赤髪バカと巫女様バカの仲間よ。そして、一応あんたらの味方。はい、分かった?」
「お、おう......」
あの羅刹を圧倒するとは......。
「......お前らに、任せて大丈夫なのか?」
「多分ね。見えるでしょ、あの巫女様」
「早すぎて見えないのだが......」
スサノオの方はハッキリと見える。だが、ネイと呼ばれる子の姿は、早すぎて剣と剣がぶつかり合う際に出る火花でしか存在を確認出来ない。
「さて、チェックメイトじゃな」
アマテラスと呼ばれる女があれだけ苦戦していた相手を、ものの数秒で倒す。
「ま......さ......か......」
死人は死人らしく消えていった。
「さて、ここからが本命じゃな」
「来といてあれだが、こんな龍相手にどうにか出来んのか?」
「考えてみろ。妾じゃぞ?」
「......ごめん」
「それに、ヒカリちゃん製の素晴らしい武器もあるからな」
「不思議なものねぇ......。先の未来で私がロストテクノロジーバリバリの道具を作るだなんて......」
あの武器......機械!?
機械を組み込んだ武器なんて、作れるわけがない。いや、それもこの不思議3人組には可能なことなのだろうか。
「グァァァ!」
「はいはい。心配せんでもすぐに楽にしてやる」
その武器は、1本だと思ってたものが2本に別れる。
「やっぱ、双剣の方が手に馴染むな。おりゃぁ!」
「その可愛らしい掛け声もどうにかならないもんかねぇ。気が抜けんだよなぁ」
「掛け声なんてどうでもいいでしょ。本人が力を出せたらそれでいいんだから」
叫ぶデルシアに対して、ネイの攻撃は容赦がない。殺しかねない勢いだ。
「おい!そんなにやったら......!」
「安心してろシンゲン。あいつは殺さねえよ」
「......お前らは、何者なんだ?ただの味方ではないだろ」
「......俺達は未来から来た、未来を作るべく戦う存在だ。訳あってこの時代に干渉してんだが」
「ヴァル、それ以上は言わない約束」
「おっと悪ぃ。てなわけで、話せる事も少ねぇんだ」
「後で聞くことは......」
「出来ねえな。まあ、そのうちの未来で会うだろうから、その時に聞けよ」
シンゲンとヴァルが話してる間にも、ネイの攻撃は休まらない。デルシアに1度も反撃させず、相手の動きを格段に落としている。
「よいか。原始化した者を元の人間にする方法はただ一つ。ぶっ飛ばしてしまえばいいのじゃ。殺さない程度にな」
羅刹がやろうとしたことは、あながち間違いじゃなかったのか......。だとしても、殺さない程度にやっていれば、不利になるのはこちらだ。
「グァァァ!」
あ......ネイの剣が、1本壁にまで突き飛ばされる。デルシアのやっとの反撃だ。
「1本取れただけで、楽になると思うなよ」
残った剣が、更に分解されて2本になる。機械によって、幾重もの剣が上手く重なっているのだろう。そのせいか、剣は1本1本の形が違う。
持ち手を覆うようにして刃のある物があれば、大元の大剣のような形の物。
「よいしょっと」
突き飛ばされた剣を回収して、3本構える体勢になる。
2本ならまだしも、3本を同時に扱える剣士なんて見たことがない。
「デルシア、お主の苦しみは、妾にも分かる。かつて、妾もその姿を体験したからな。じゃから、妾は全力でお主を救ってみせる」
ネイ......ネイ?
喋り方も、見た目も、強さも全然違うが、ネイはデルシアの仲間の1人にいた。同じ龍人で、ネイなんて珍しい名前......、今更だがまさか同一人物?
「グァァ、アァ、アァァァァ!」
「バーストライズ・テラドライブ」
剣は、8本にまで分解され、デルシアを囲うようにして配置される。
「剣は、心を映す。フレイム、ウォーター、トルネード、シャイン、ダーク、ブリザード、エレキ、クリスタル。8属性の刃を喰らえ」
剣に、この世界の基本属性と呼ばれるうちの8属性が灯り、それぞれがデルシアの体を斬り刻んでいく。
「流石はヒカリちゃんの剣じゃな。8属性を同時に操るとか、そんな芸当妾でも出来んわ」
「あんたの場合、古代魔法とか使うんでしょ。そっちの方が流石よ」
デルシアの体が、元の人間に戻っていく。本当に、元に戻せたんだ。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
「デルシア!しっかりしなさいよ!」
謎の3人組が現れてから、戦局は大きく変わった。スサノオはあっさりと殺されるし、デルシアは傷だらけの体だが、元の姿に戻った。
「ベルディア、ちょっとそこを退け」
「え、ええ......ってあなた!?」
なんとなくで流したが、話しかけてきたのはネイだった。
「......やはり、慣れてもないのに原始化を使うとこうなるな。早めに治療せんと後遺症が残る。この場合、口周りが動かせれんようになるな」
「だったら今すぐ治療しないと!」
「お主ら素人がどうにか出来るもんではない。妾に任せておけ」
何をどうやってるのかは知らないが、ネイの治癒術は、一瞬にしてデルシアの体中についた傷を消し去った。
「うむ。これで大丈夫じゃな。後は......ネイか......」
嫌々言い続ける方のネイ。これは、魔法でどうにか出来るものではないだろう。
「やはり、過去の妾はここでトラウマを抱えておったか......」
「......過去?」
「いや、なんでもない。これは、記憶を消せばいいじゃろう。なるべく問題がない範囲でな」
「それでいいのかよネイ」
「妾はこうなっておった記憶を持ってない。じゃが、ミイの存在は認知しておった。消す範囲は......目の前に広がる血溜まりと死体の山の部分で良いか。後は、埋める記憶は殺しはダメという気持ちでいいか」
「自分の人格まで決めれるとか、つくづく俺はお前が恐ろしいよ」
「......お前達は、なんなんだ?未来から来たとか言っていたが、俺達にはお前達を理解することが出来ん」
お兄様がそう言う。
「......ここをこうすればいいか......。よし。で、妾達が何者かって話じゃったな」
「あんまり話しすぎんなよ」
「あんたが言う?それ」
「妾達は、未来を作るべく戦う存在。訳あってこの時代に干渉して来たのじゃ」
「......聞かない方が......いいんだな」
「ああ。それに、お主ら全員話す気力はそんなに残っとらんじゃろ。じゃから、聞くだけで分かるように説明してやろう」
よく見れば、この場にいる全員、デルシアの攻撃によって憔悴しきっていた。しばしの休憩時間を取るという名目で話を聞こう。
「うっ......」
「デルシア......!?」
早いお目覚めだ。いつものお寝坊さんはどこに行ったのやら。
「私......すみません......」
「謝らなくていいのよ。全部、あのリエンドとかいう奴が悪いんだから」
「......ベルディア姉さん......」
「時間がないから、お主らの話はお主らで終わらせてくれ」
「分かったわ」
「妾達の未来は、ある組織によって歴史がねじ曲げられておる。その組織について話すことは出来んが、妾達は彼奴らをぶっ飛ばすための神器を追ってこの時代までやってきた。それが、デルシアが持つ終焉の刃じゃ」
「......これ......ですか」
いつの間にかデルシアが持っていた2本目の剣。閻王の刃と同じく、ギザギザとした刃が特徴的な剣だ。
「簡単に言う。それを妾達に寄越せ」
「......でも、これがないとリエンドは倒せない......いや、あなた達は誰なんですか」
意識がはっきりしてきたようだ。だが、それはここで聞くことではない。話が最初の部分に戻ってしまう。
「この人達は未来から来たって言う私達の味方。あなたを龍の姿から救ってくれた人達。話がややこしくなるから今はそれで呑み込んで」
「は、はい......」
「で、その剣をこちらに渡してほしいのじゃが」
「そしたら、リエンドを倒すことが出来なくなります!」
「......そうじゃ。それならこの剣をお主にくれてやる」
そう言ってネイが取り出したのは、真っ直ぐに輝く銀色の剣だった。
「創世の剣。終焉の刃に匹敵する強武器じゃ」
「......」
全員、胡散臭いといった顔でその剣を見ている。
確かに、見た目は古代遺跡にでも飾ってありそうな神器の見た目をしているが、そんなものがポンと出てくるだろうか......?
「この剣は己の未来を創る。お主が何を選ぶかは、お主次第じゃ」
「......分かりました。あなたを信じます」
嘘でしょ......!?
全員がそう思ったが、デルシアならと謎に納得してしまった。
「私が創る未来......」
「それじゃあの。妾達の目的はこれだけじゃからな」
「......リエンドの討伐にも協力してくれないんですか?」
「......確かに、彼奴程度なら妾が余裕で倒せるが、それをやったら歴史が変わる。あれを倒すのは、お主ら白と黒の精鋭じゃ」
そうね。確かに、あれを倒すのに未来の力は借りられないわね。
「最後に1つ。ネイをよろしく頼んだぞ」
そう言って、3人は闇に紛れるように消えていった。
「何だったのでしょうか......」
「そのうちの未来で、あいつらに会うことがあるかもしれん。その時に聞こう」
「そいつらが、まだこの事を知らなかったら意味ないけどな」
一難去った......。後は、リエンドだけか。そう考えると、自然と体に力が湧き出てくる。
ゴールが見えてきた。
「うっ......」
「母さん!」
「すまない。まさか、スサノオが裏切るとは思わなかった」
「相手が上手だっただけだ」
「あれは......?」
「シンゲン達の母親」
「じゃあ、私のお母さん......」
「......」
どう説明してあげるべきだろうか。
デルシアは、龍の間も所々の話は聞けていた様子。だが、自分が本当の家族ではないことは聞いていないっぽい。
......
......
......
「デルシア......」
「姉さん。実は聞こえてたんですよ。龍になっていた間のこと全部」
「......」
「いいんです。私が血の繋がった家族じゃなくても、一緒に暮らした時間は嘘じゃありませんから。私達はずっと家族ですよ。白も黒も関係ない。家族だから、どんな困難だって乗り越えられるんですよ。だから、姉さんやサツキ。イグシロナにガンマ。ネイさんやカイナさん。他にも、皆さんがいて、私がいるんです。血の繋がりなんて、そんなのまやかしですよ。ここにいるみんなが、『家族』なんですから」
......
......
......
ええ。そうね。
スサノオと呼ばれる男の前に、白陽の正月着を来た女の子がいる。
「大丈夫か?お前ら」
今度は赤髪の男の子......?
「あなた達は......」
「火傷が酷ぇな。ヒカリー、確かお前、治癒術使えたよな?」
「ええ。使えるわよ」
緑がかった青髪の女の子まで......。
変な夢でも見てるのかな......?この場に似合わぬ3人の姿。味方......でいいのだろうか。
「あまり、過去の人間に関わるなよ。妾達が用のあるのはこいつらだけじゃからな」
「分かってるよ」
「......お前ら、何者だ?」
「妾の名はネイ。先の未来においての創界神じゃ」
「そんなはずがない。この先に未来は続かない」
「そうじゃったかのう?まあええわ。妾が用のあるのはお主でもない。狙いはデルシアじゃ」
......デルシアを狙ってる?
「......話すつもりはない、ということか」
「そもそも、話す事などあるか?」
2人の刃が金属音を立てて辺りに響き渡る。
「なんなんだ、あいつら......痛っ」
「えぇっと、羅刹だったっけ?あんたも大人しくしてなさい」
「お前、誰なんだよ!」
「私はヒカリ。そこの赤髪バカと巫女様バカの仲間よ。そして、一応あんたらの味方。はい、分かった?」
「お、おう......」
あの羅刹を圧倒するとは......。
「......お前らに、任せて大丈夫なのか?」
「多分ね。見えるでしょ、あの巫女様」
「早すぎて見えないのだが......」
スサノオの方はハッキリと見える。だが、ネイと呼ばれる子の姿は、早すぎて剣と剣がぶつかり合う際に出る火花でしか存在を確認出来ない。
「さて、チェックメイトじゃな」
アマテラスと呼ばれる女があれだけ苦戦していた相手を、ものの数秒で倒す。
「ま......さ......か......」
死人は死人らしく消えていった。
「さて、ここからが本命じゃな」
「来といてあれだが、こんな龍相手にどうにか出来んのか?」
「考えてみろ。妾じゃぞ?」
「......ごめん」
「それに、ヒカリちゃん製の素晴らしい武器もあるからな」
「不思議なものねぇ......。先の未来で私がロストテクノロジーバリバリの道具を作るだなんて......」
あの武器......機械!?
機械を組み込んだ武器なんて、作れるわけがない。いや、それもこの不思議3人組には可能なことなのだろうか。
「グァァァ!」
「はいはい。心配せんでもすぐに楽にしてやる」
その武器は、1本だと思ってたものが2本に別れる。
「やっぱ、双剣の方が手に馴染むな。おりゃぁ!」
「その可愛らしい掛け声もどうにかならないもんかねぇ。気が抜けんだよなぁ」
「掛け声なんてどうでもいいでしょ。本人が力を出せたらそれでいいんだから」
叫ぶデルシアに対して、ネイの攻撃は容赦がない。殺しかねない勢いだ。
「おい!そんなにやったら......!」
「安心してろシンゲン。あいつは殺さねえよ」
「......お前らは、何者なんだ?ただの味方ではないだろ」
「......俺達は未来から来た、未来を作るべく戦う存在だ。訳あってこの時代に干渉してんだが」
「ヴァル、それ以上は言わない約束」
「おっと悪ぃ。てなわけで、話せる事も少ねぇんだ」
「後で聞くことは......」
「出来ねえな。まあ、そのうちの未来で会うだろうから、その時に聞けよ」
シンゲンとヴァルが話してる間にも、ネイの攻撃は休まらない。デルシアに1度も反撃させず、相手の動きを格段に落としている。
「よいか。原始化した者を元の人間にする方法はただ一つ。ぶっ飛ばしてしまえばいいのじゃ。殺さない程度にな」
羅刹がやろうとしたことは、あながち間違いじゃなかったのか......。だとしても、殺さない程度にやっていれば、不利になるのはこちらだ。
「グァァァ!」
あ......ネイの剣が、1本壁にまで突き飛ばされる。デルシアのやっとの反撃だ。
「1本取れただけで、楽になると思うなよ」
残った剣が、更に分解されて2本になる。機械によって、幾重もの剣が上手く重なっているのだろう。そのせいか、剣は1本1本の形が違う。
持ち手を覆うようにして刃のある物があれば、大元の大剣のような形の物。
「よいしょっと」
突き飛ばされた剣を回収して、3本構える体勢になる。
2本ならまだしも、3本を同時に扱える剣士なんて見たことがない。
「デルシア、お主の苦しみは、妾にも分かる。かつて、妾もその姿を体験したからな。じゃから、妾は全力でお主を救ってみせる」
ネイ......ネイ?
喋り方も、見た目も、強さも全然違うが、ネイはデルシアの仲間の1人にいた。同じ龍人で、ネイなんて珍しい名前......、今更だがまさか同一人物?
「グァァ、アァ、アァァァァ!」
「バーストライズ・テラドライブ」
剣は、8本にまで分解され、デルシアを囲うようにして配置される。
「剣は、心を映す。フレイム、ウォーター、トルネード、シャイン、ダーク、ブリザード、エレキ、クリスタル。8属性の刃を喰らえ」
剣に、この世界の基本属性と呼ばれるうちの8属性が灯り、それぞれがデルシアの体を斬り刻んでいく。
「流石はヒカリちゃんの剣じゃな。8属性を同時に操るとか、そんな芸当妾でも出来んわ」
「あんたの場合、古代魔法とか使うんでしょ。そっちの方が流石よ」
デルシアの体が、元の人間に戻っていく。本当に、元に戻せたんだ。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
「デルシア!しっかりしなさいよ!」
謎の3人組が現れてから、戦局は大きく変わった。スサノオはあっさりと殺されるし、デルシアは傷だらけの体だが、元の姿に戻った。
「ベルディア、ちょっとそこを退け」
「え、ええ......ってあなた!?」
なんとなくで流したが、話しかけてきたのはネイだった。
「......やはり、慣れてもないのに原始化を使うとこうなるな。早めに治療せんと後遺症が残る。この場合、口周りが動かせれんようになるな」
「だったら今すぐ治療しないと!」
「お主ら素人がどうにか出来るもんではない。妾に任せておけ」
何をどうやってるのかは知らないが、ネイの治癒術は、一瞬にしてデルシアの体中についた傷を消し去った。
「うむ。これで大丈夫じゃな。後は......ネイか......」
嫌々言い続ける方のネイ。これは、魔法でどうにか出来るものではないだろう。
「やはり、過去の妾はここでトラウマを抱えておったか......」
「......過去?」
「いや、なんでもない。これは、記憶を消せばいいじゃろう。なるべく問題がない範囲でな」
「それでいいのかよネイ」
「妾はこうなっておった記憶を持ってない。じゃが、ミイの存在は認知しておった。消す範囲は......目の前に広がる血溜まりと死体の山の部分で良いか。後は、埋める記憶は殺しはダメという気持ちでいいか」
「自分の人格まで決めれるとか、つくづく俺はお前が恐ろしいよ」
「......お前達は、なんなんだ?未来から来たとか言っていたが、俺達にはお前達を理解することが出来ん」
お兄様がそう言う。
「......ここをこうすればいいか......。よし。で、妾達が何者かって話じゃったな」
「あんまり話しすぎんなよ」
「あんたが言う?それ」
「妾達は、未来を作るべく戦う存在。訳あってこの時代に干渉して来たのじゃ」
「......聞かない方が......いいんだな」
「ああ。それに、お主ら全員話す気力はそんなに残っとらんじゃろ。じゃから、聞くだけで分かるように説明してやろう」
よく見れば、この場にいる全員、デルシアの攻撃によって憔悴しきっていた。しばしの休憩時間を取るという名目で話を聞こう。
「うっ......」
「デルシア......!?」
早いお目覚めだ。いつものお寝坊さんはどこに行ったのやら。
「私......すみません......」
「謝らなくていいのよ。全部、あのリエンドとかいう奴が悪いんだから」
「......ベルディア姉さん......」
「時間がないから、お主らの話はお主らで終わらせてくれ」
「分かったわ」
「妾達の未来は、ある組織によって歴史がねじ曲げられておる。その組織について話すことは出来んが、妾達は彼奴らをぶっ飛ばすための神器を追ってこの時代までやってきた。それが、デルシアが持つ終焉の刃じゃ」
「......これ......ですか」
いつの間にかデルシアが持っていた2本目の剣。閻王の刃と同じく、ギザギザとした刃が特徴的な剣だ。
「簡単に言う。それを妾達に寄越せ」
「......でも、これがないとリエンドは倒せない......いや、あなた達は誰なんですか」
意識がはっきりしてきたようだ。だが、それはここで聞くことではない。話が最初の部分に戻ってしまう。
「この人達は未来から来たって言う私達の味方。あなたを龍の姿から救ってくれた人達。話がややこしくなるから今はそれで呑み込んで」
「は、はい......」
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「......そうじゃ。それならこの剣をお主にくれてやる」
そう言ってネイが取り出したのは、真っ直ぐに輝く銀色の剣だった。
「創世の剣。終焉の刃に匹敵する強武器じゃ」
「......」
全員、胡散臭いといった顔でその剣を見ている。
確かに、見た目は古代遺跡にでも飾ってありそうな神器の見た目をしているが、そんなものがポンと出てくるだろうか......?
「この剣は己の未来を創る。お主が何を選ぶかは、お主次第じゃ」
「......分かりました。あなたを信じます」
嘘でしょ......!?
全員がそう思ったが、デルシアならと謎に納得してしまった。
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「それじゃあの。妾達の目的はこれだけじゃからな」
「......リエンドの討伐にも協力してくれないんですか?」
「......確かに、彼奴程度なら妾が余裕で倒せるが、それをやったら歴史が変わる。あれを倒すのは、お主ら白と黒の精鋭じゃ」
そうね。確かに、あれを倒すのに未来の力は借りられないわね。
「最後に1つ。ネイをよろしく頼んだぞ」
そう言って、3人は闇に紛れるように消えていった。
「何だったのでしょうか......」
「そのうちの未来で、あいつらに会うことがあるかもしれん。その時に聞こう」
「そいつらが、まだこの事を知らなかったら意味ないけどな」
一難去った......。後は、リエンドだけか。そう考えると、自然と体に力が湧き出てくる。
ゴールが見えてきた。
「うっ......」
「母さん!」
「すまない。まさか、スサノオが裏切るとは思わなかった」
「相手が上手だっただけだ」
「あれは......?」
「シンゲン達の母親」
「じゃあ、私のお母さん......」
「......」
どう説明してあげるべきだろうか。
デルシアは、龍の間も所々の話は聞けていた様子。だが、自分が本当の家族ではないことは聞いていないっぽい。
......
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「デルシア......」
「姉さん。実は聞こえてたんですよ。龍になっていた間のこと全部」
「......」
「いいんです。私が血の繋がった家族じゃなくても、一緒に暮らした時間は嘘じゃありませんから。私達はずっと家族ですよ。白も黒も関係ない。家族だから、どんな困難だって乗り越えられるんですよ。だから、姉さんやサツキ。イグシロナにガンマ。ネイさんやカイナさん。他にも、皆さんがいて、私がいるんです。血の繋がりなんて、そんなのまやかしですよ。ここにいるみんなが、『家族』なんですから」
......
......
......
ええ。そうね。
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