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第6章 【龍の涙】
第6章8 【トワイライトソーディアン】
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「さあ!第1回戦、バトルロワイヤルの開幕だァー!今回は、解説にケビンさんと、ゲストに王国議会副議長、キリアさんです!」
「午前中に引き続き、午後もよろしく頼むぞ」
「よろしくお願いします」
モニターに映し出される実況解説の人達。
もうすぐ戦いの鐘が鳴る。
「第1回戦はバトルロワイヤル形式。各チームから選出された自信のある魔導士達が実力を競い合います!バトルフィールドは王都の予選で使われた然属性エリア!ただ、街の至る所に罠が仕掛けられているため、予選よりも知力を巡らせる戦いとなります!」
仕掛けられた罠の幾つかはもう見つけておいた。有効に使えそうなものもあったため、敵を誘い出す策も考えている。とは言っても、大体はネイが考案したテンプレに当てはめているだけなのだが。
「さて、まもなく戦闘開始の鐘が鳴ります!会場のみなさんも一緒に、3!」
「「「 2! 」」」
「「「 1! 」」」
「開始です!」
鐘が鳴った。
「疾風!風神の舞!」
「かかったなアホがァ!」
ソアラに奇襲をしかけたが、それは意味なしになる。
「殺意の視線はなるべく隠した方がいいよー?」
「なっ......」
利用しようと思っていた罠に、私が嵌ってしまった。
ヌルヌルとした液体が足元にまとわりつき、動きを制御しにくくなる。
「ハハハ!足元ヌルヌルだねー!」
「これしきのこと、何ともない。豪炎!」
所詮は液体、ヴァルのように燃やして蒸発させる。
「おぉ」
「爆炎剣!」
「よっと、あんたが剣で来るなら、私もそれでいこうか」
空に描かれた魔法陣から剣が1本飛び出してくる。
「よいしょ!」
「ふんっ!」
見た目の割に、この剣は重たい。
「疾風!」
足元に風の勢いをつけて押し上げる。
「空中戦か。面白いね」
剣の形が変わり、槍の形へと変わる。
「もう分かってると思うけど、私の魔法は物の形を自由に変える魔法だよ。人からは錬金術の下位互換って言われてるんだけど、錬成陣を書かなくていいだけ上位互換だと私は思うな」
「......そうだな。戦い方を自由に変えられる魔法は強いな。だが、私の剣も舐めるなよ。形は変えられなくとも、属性だけは自信がある」
「へぇー......」
「桜吹雪!」
「うぇっ!ペッペッ......何これ」
「神木剣!」
「ふぎゃっ!」
本気では飛ばしていない。見つけた罠の場所へと飛ばす。
「うぇっ......なんだこれ......」
あの罠から発動したのは、蜘蛛の巣の罠。体を締め付けるようにしてまとわりついている。
「あ、アハハ。これ、解いてくれない?」
「爆炎剣!」
「ブギャァ!!!」
「おおっと!ここでトゥインクルアスタロトのソアラダウン!1人目の脱落者だぁ!」
「思った以上にやりますな」
「一応、グランメモリーズ最強の剣士と聞いていますよ。まあ、ソアラの方の活躍はたくさん聞いてるんですけどね。実力負けですね」
「ええ!ええ!これは大きな盛り上がりを見せてきたぞー!ヒャッフー!」
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
ヴァル「お!フウロが勝った!」
ヴェルド「やったな!」
モニターに映し出されたフウロとソアラの対決。勝者はフウロ。最下位スタートだけは免れたようじゃな。
ネイ「運が良かった。それと、実力もフウロの方が上じゃったな」
ヴァル「あったりめぇだろ!フウロは強いんだからさー!」
ネイ「そうじゃな。でなけりゃ大会には出とらんしな」
エレノア「フウロさん凄いですねー。はぁ、憧れますー」
ヴェルド「あんまりそこから乗り出すなよ。落ちるぞ」
ヴァル「分かってるって。よく見てみたいだけだ!」
......。他のモニターに目をやると、そろそろ色んなところで戦いが始まっている頃だった。フウロが戦い出すのが早すぎたわけじゃな。普通なら相手の出方を伺うものじゃが、あえて、そうして開幕直ぐに動かない奴を狙えと言っておいた。余計な体力を消費せずに勝てたフウロは有利な状態でいる。
もう1つのグラメモ代表ミラは、マジックアルケミストのトーリヤとぶつかっている。
他は、ハイドロオーシャンズのデラとコールドミラーのカルマ。戦況はカルマが有利といったところか。流石は最強のギルドと呼ばれるだけある。
シェミスターライトのレクトとダークソウルのフセイ......の戦いは、フセイの圧勝。見つけられた瞬間にレクトが負けた。モニターに映るほどの魔法も見えなかった。
「おおっと!気づかないうちにダークソウルのフセイがシェミスターライトのレイガを落としたぁ!本当にいつの間にぃ!」
恐らく、黒魔法の類か。
あの魔法なら、モニターに映ることもなく敵を倒すことが出来る。厄介な相手が紛れ込んでおるな。フウロは勝てるじゃろうか。
ネイ「......」
ヴァル「......?どこ行くんだ?ネイ」
ネイ「いや、ちょっと気になることがあってな。ついて来るか?」
ヴァル「じゃあ、ついて行く。お前、どうせ迷子になるだろうから」
ネイ「な、なんじゃその言い分は!」
ヴェルド「しっかりお守りをしてやれよヴァル」
ヴァル「おう、任せとけ」
なんでヴェルドがそんなことを言うのじゃろうか......。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
「セヤァッ!」
「ふんっ!」
「腕を上げたな。トーリヤ。まさか、あのミラを倒すとは」
「強くなってるのはお前らだけじゃないんだよ!それに、お前の方こそソアラを倒したらしいじゃねえか。しかも、秒殺で」
「......そんなに有名なやつなのか?」
「王都より西側では有名だな。百装のソアラ。知らねえやつはいねえな」
「そうなのか」
世界はまだまだ広いな。そんな強い奴がまだいたとは。機会があれば、正々堂々と戦ってみよう。
「豪炎!輝水の剣!」
「戦い方も随分と変わってるじゃねえか。そんな魔法の連携なんて出来たか?」
「鍛えてもらった。それにしても、お前はそんな硬かったか?」
「こっちも、体、鍛えてんだよ。ミラちゃん程度の攻撃は効かなくなったな」
厄介な強さを持ったもんだ。火力重視の私を意識してきたな。
「硬さだけが俺の強さじゃないぜ。錬成!かぁらぁのぉ、豪雨!」
土壁で周りを囲い、そこに集中豪雨で生き埋めか。こりゃ、ミラじゃ敵わないわけだ。
「神木!雨水の調べ!」
「ほう。天候も操れるようになったか」
「それだけじゃない。雷鳴!雷神の舞!」
「何!?」
「水は雷に弱い。私も、お前対策に習得した技だ」
「クソッ......強く、なったじゃねえか......」
「グランメモリーズを舐めるな」
1番厄介だと思っていたトーリヤを倒した。残る敵は......
モニターに映し出される名前は、私とカルマ、フセイ。この3人が残っている状態だ。
フセイ......聞いたことのない名前だ。最近できたギルドと言えど、大会に出るほどなのだからそれなりの活躍を聞いててもいいはず。
いや、そんなことを考える必要はないか。邪念は剣を鈍らせる。集中、集中!
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
「なあ、気になることって何なんだ?」
「うーん......どう表現したら良いですかね......」
「なんでもいいけどよ、マジでその格好暑くないの?」
会場に来てからずっとヨミの姿。服だってワールドアーカイブで見た事のあるあいつと同じだし。着物って、冬に着るもんだから暑そうなんだけどな。
「冷気を出しとるって言ったじゃろうが。服の中は快適な温度に保たれておる。なんなら、その手を入れて確かめてみるか?」
「やめとくよ。そこまで変態じゃねえし」
「そうか。そこまで遠慮せんでもええのに」
「遠慮してねえよ。それと、なんだその喋り方は。直せって言っただろ」
「この格好の時はこうしか話せれんのじゃ。しっくりこないんじゃよ」
なんだその理論は......
「まあ、いつものあっちの姿になれば、口調も元に戻るから」
「気分かよ!」
相変わらずよく分からねえやつだ。もうどうでもいいや。
「ん?なんだありゃ?」
人気のない場所なのに、空き缶のゴミが落ちてある。
「全く、人間というのはマナーのなってない奴らの集まりじゃな」
本当だな。俺もポイ捨てはよくないと思う。
「仕方ない。捨てといてやるか」
「そうじゃな。で、ゴミ箱はどこじゃったかのう」
そこら辺歩いてたら見つかるだろ。その時に捨てておけば......
「なあ?なんかそれ、煙が出てないか?」
「......?......!こ、これは」
ネイが投げ捨てると、煙があたりにどんどん拡散されていく。
「ゲホッゲホッ。なんなんだこれは!おい、ネイ!」
まずい。ネイの姿が見当たらなくなった。
「今だ!捕まえろ!」
何!?誰かいるのか!
「おい!お前ら何してんだ!」
「大人しくしろ!」
「グハッ!」
誰かから後ろ頭を押さえつけられる。
硬い地面に顎が当たって痛い。いや、今はそれどころじゃない。
「......!ネイをどこに連れて行くつもりだ!」
煙の中から、ネイを連れ去る騎士共の姿が見えた。
「グハッ!」
急に腹を蹴られて、体が動かなくなった。
「ネイ......」
思い出した。この煙は、対龍人用の麻酔弾とか、そんなことをネイに説明されたことがあった。現代にはもう残ってない技術だと聞いていたのに......
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
「さぁーて!いよいよ第1回戦も大詰め!残るはコールドミラーのカルマ!グランメモリーズBのフウロ!そして、未だ戦い方が分からぬダークソウルのフセイだぁー!」
「意外な組み合わせになったのう。コールドミラーのカルマは分かっていた事として、グランメモリーズのフウロに、ダークソウルのフセイか......」
「面白そうな戦いになりそうですね」
「ええ!ええ!1回戦から凄まじい盛り上がりですよー!」
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
「全く、毎年変わらずうるさい解説だ」
「それもいいんじゃないか。会場の盛り上がりがこちらにまで伝わってくる」
「そうかい。グランの剣士も変わったやつだな」
「そうか。まあいいか。それで、フセイと言ったか。お前はどう思う」
「......」
「黙りか。まあいいや。お前ら潰せば俺の勝ち。これ以上ないシンプルな戦いだ」
「そうだな」
ここには罠が仕掛けられている場所もない。本当に、正々堂々とした勝負だ。そして、これに勝てば1位スタート。仲間の士気を確実に上げることができる。
「......」
「......」
「......」
これまで以上の緊張感......
「セヤァッ!」
「ハッ!」
「......」
カルマはヴェルドと同じような魔法の雷属性版。雷を、龍とか剣とかの形にして襲いかかってくる。当たったら感電ものだ。一方フセイは、一瞬だけ見えた闇の斧。
ヴェルドと同じような魔法なら、対処のしようはいくらでもある。だが、フセイの方は一瞬しか見えなかった。どう対処していくべきか。
「雷雨!」
ライオスに教えてもらった技。全体に攻撃することによって、敵の戦い方を見極める。
「雷か」
カルマは雷を素手で抑える。
そして、フセイの方は、雷が勝手に避けていく。
「雷属性持ちか」
「正しくは、体に貼った氷から地面に流してるだけだけどね」
そんな器用なことが出来るやつがいるとは。まあいい。それならそうと、戦い方を考えるだけだ。
「......」
「黙りだな。まあいいか。戦い方の分かる奴よりも、分からねえ方からぶっ飛ばすか」
カルマはフセイから倒すことに決めたようだ。
戦い方の分からない奴から倒すか......。確かに、不安材料は残しておきたくないしな。私も、フセイから倒すことにしようか。ついでに、カルマも倒すことが出来れば上出来だ。
「サンドラクリエイト・ツインボール」
「桜花・桜の舞!」
「......」
合わせたわけではないが、2人の攻撃はいい感じの距離でフセイに直面する。だが、フセイは何をしたのか私達の魔法を無力化する。
「黒魔法......お前、どこでその魔法を!」
黒魔法......?確か、全ての魔法の原種であり、全ての魔法を無力化する力を持った魔法。習得方法は様々だが、普通の人間では習得出来ない。いや、私以上の魔導士、ヴァハトであっても習得するのは難しい魔法だったはず。
それこそ、ネイくらいの超越した存在でなければできない話だ。
「......」
この者......一体何者だ!?
「爆炎!」
「......」
間違いない。カルマの言う通り、これは黒魔法だ。
「なんでお前みたいなやつが、そんな強固な魔法を習得できちゃってるのかなぁ。ダークソウルってそういう意味だったの?まあいいや。雷氷・フリーズボルト」
「止せ!」
「反転」
「グァッ!」
「うぁぁぁぁぁ!」
「暗黒の魂」
あれは......
......
......
......
「しょ、勝者!ダークソウル!」
そう実況の声が聞こえた。
「え、えぇっと、2位はコールドミラーとグランメモリーズとなります......」
2位か......悪くはない出来だ。だが、黒魔法を操る者か......
悔しいと思うのも久しぶりだ。
「負けた......か......」
「なんて力だ......すみません。マスターシルヴ」
いつの間にか、ダークソウルの奴の姿は消え去っていた。
何者だったんだ......
「午前中に引き続き、午後もよろしく頼むぞ」
「よろしくお願いします」
モニターに映し出される実況解説の人達。
もうすぐ戦いの鐘が鳴る。
「第1回戦はバトルロワイヤル形式。各チームから選出された自信のある魔導士達が実力を競い合います!バトルフィールドは王都の予選で使われた然属性エリア!ただ、街の至る所に罠が仕掛けられているため、予選よりも知力を巡らせる戦いとなります!」
仕掛けられた罠の幾つかはもう見つけておいた。有効に使えそうなものもあったため、敵を誘い出す策も考えている。とは言っても、大体はネイが考案したテンプレに当てはめているだけなのだが。
「さて、まもなく戦闘開始の鐘が鳴ります!会場のみなさんも一緒に、3!」
「「「 2! 」」」
「「「 1! 」」」
「開始です!」
鐘が鳴った。
「疾風!風神の舞!」
「かかったなアホがァ!」
ソアラに奇襲をしかけたが、それは意味なしになる。
「殺意の視線はなるべく隠した方がいいよー?」
「なっ......」
利用しようと思っていた罠に、私が嵌ってしまった。
ヌルヌルとした液体が足元にまとわりつき、動きを制御しにくくなる。
「ハハハ!足元ヌルヌルだねー!」
「これしきのこと、何ともない。豪炎!」
所詮は液体、ヴァルのように燃やして蒸発させる。
「おぉ」
「爆炎剣!」
「よっと、あんたが剣で来るなら、私もそれでいこうか」
空に描かれた魔法陣から剣が1本飛び出してくる。
「よいしょ!」
「ふんっ!」
見た目の割に、この剣は重たい。
「疾風!」
足元に風の勢いをつけて押し上げる。
「空中戦か。面白いね」
剣の形が変わり、槍の形へと変わる。
「もう分かってると思うけど、私の魔法は物の形を自由に変える魔法だよ。人からは錬金術の下位互換って言われてるんだけど、錬成陣を書かなくていいだけ上位互換だと私は思うな」
「......そうだな。戦い方を自由に変えられる魔法は強いな。だが、私の剣も舐めるなよ。形は変えられなくとも、属性だけは自信がある」
「へぇー......」
「桜吹雪!」
「うぇっ!ペッペッ......何これ」
「神木剣!」
「ふぎゃっ!」
本気では飛ばしていない。見つけた罠の場所へと飛ばす。
「うぇっ......なんだこれ......」
あの罠から発動したのは、蜘蛛の巣の罠。体を締め付けるようにしてまとわりついている。
「あ、アハハ。これ、解いてくれない?」
「爆炎剣!」
「ブギャァ!!!」
「おおっと!ここでトゥインクルアスタロトのソアラダウン!1人目の脱落者だぁ!」
「思った以上にやりますな」
「一応、グランメモリーズ最強の剣士と聞いていますよ。まあ、ソアラの方の活躍はたくさん聞いてるんですけどね。実力負けですね」
「ええ!ええ!これは大きな盛り上がりを見せてきたぞー!ヒャッフー!」
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
ヴァル「お!フウロが勝った!」
ヴェルド「やったな!」
モニターに映し出されたフウロとソアラの対決。勝者はフウロ。最下位スタートだけは免れたようじゃな。
ネイ「運が良かった。それと、実力もフウロの方が上じゃったな」
ヴァル「あったりめぇだろ!フウロは強いんだからさー!」
ネイ「そうじゃな。でなけりゃ大会には出とらんしな」
エレノア「フウロさん凄いですねー。はぁ、憧れますー」
ヴェルド「あんまりそこから乗り出すなよ。落ちるぞ」
ヴァル「分かってるって。よく見てみたいだけだ!」
......。他のモニターに目をやると、そろそろ色んなところで戦いが始まっている頃だった。フウロが戦い出すのが早すぎたわけじゃな。普通なら相手の出方を伺うものじゃが、あえて、そうして開幕直ぐに動かない奴を狙えと言っておいた。余計な体力を消費せずに勝てたフウロは有利な状態でいる。
もう1つのグラメモ代表ミラは、マジックアルケミストのトーリヤとぶつかっている。
他は、ハイドロオーシャンズのデラとコールドミラーのカルマ。戦況はカルマが有利といったところか。流石は最強のギルドと呼ばれるだけある。
シェミスターライトのレクトとダークソウルのフセイ......の戦いは、フセイの圧勝。見つけられた瞬間にレクトが負けた。モニターに映るほどの魔法も見えなかった。
「おおっと!気づかないうちにダークソウルのフセイがシェミスターライトのレイガを落としたぁ!本当にいつの間にぃ!」
恐らく、黒魔法の類か。
あの魔法なら、モニターに映ることもなく敵を倒すことが出来る。厄介な相手が紛れ込んでおるな。フウロは勝てるじゃろうか。
ネイ「......」
ヴァル「......?どこ行くんだ?ネイ」
ネイ「いや、ちょっと気になることがあってな。ついて来るか?」
ヴァル「じゃあ、ついて行く。お前、どうせ迷子になるだろうから」
ネイ「な、なんじゃその言い分は!」
ヴェルド「しっかりお守りをしてやれよヴァル」
ヴァル「おう、任せとけ」
なんでヴェルドがそんなことを言うのじゃろうか......。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
「セヤァッ!」
「ふんっ!」
「腕を上げたな。トーリヤ。まさか、あのミラを倒すとは」
「強くなってるのはお前らだけじゃないんだよ!それに、お前の方こそソアラを倒したらしいじゃねえか。しかも、秒殺で」
「......そんなに有名なやつなのか?」
「王都より西側では有名だな。百装のソアラ。知らねえやつはいねえな」
「そうなのか」
世界はまだまだ広いな。そんな強い奴がまだいたとは。機会があれば、正々堂々と戦ってみよう。
「豪炎!輝水の剣!」
「戦い方も随分と変わってるじゃねえか。そんな魔法の連携なんて出来たか?」
「鍛えてもらった。それにしても、お前はそんな硬かったか?」
「こっちも、体、鍛えてんだよ。ミラちゃん程度の攻撃は効かなくなったな」
厄介な強さを持ったもんだ。火力重視の私を意識してきたな。
「硬さだけが俺の強さじゃないぜ。錬成!かぁらぁのぉ、豪雨!」
土壁で周りを囲い、そこに集中豪雨で生き埋めか。こりゃ、ミラじゃ敵わないわけだ。
「神木!雨水の調べ!」
「ほう。天候も操れるようになったか」
「それだけじゃない。雷鳴!雷神の舞!」
「何!?」
「水は雷に弱い。私も、お前対策に習得した技だ」
「クソッ......強く、なったじゃねえか......」
「グランメモリーズを舐めるな」
1番厄介だと思っていたトーリヤを倒した。残る敵は......
モニターに映し出される名前は、私とカルマ、フセイ。この3人が残っている状態だ。
フセイ......聞いたことのない名前だ。最近できたギルドと言えど、大会に出るほどなのだからそれなりの活躍を聞いててもいいはず。
いや、そんなことを考える必要はないか。邪念は剣を鈍らせる。集中、集中!
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
「なあ、気になることって何なんだ?」
「うーん......どう表現したら良いですかね......」
「なんでもいいけどよ、マジでその格好暑くないの?」
会場に来てからずっとヨミの姿。服だってワールドアーカイブで見た事のあるあいつと同じだし。着物って、冬に着るもんだから暑そうなんだけどな。
「冷気を出しとるって言ったじゃろうが。服の中は快適な温度に保たれておる。なんなら、その手を入れて確かめてみるか?」
「やめとくよ。そこまで変態じゃねえし」
「そうか。そこまで遠慮せんでもええのに」
「遠慮してねえよ。それと、なんだその喋り方は。直せって言っただろ」
「この格好の時はこうしか話せれんのじゃ。しっくりこないんじゃよ」
なんだその理論は......
「まあ、いつものあっちの姿になれば、口調も元に戻るから」
「気分かよ!」
相変わらずよく分からねえやつだ。もうどうでもいいや。
「ん?なんだありゃ?」
人気のない場所なのに、空き缶のゴミが落ちてある。
「全く、人間というのはマナーのなってない奴らの集まりじゃな」
本当だな。俺もポイ捨てはよくないと思う。
「仕方ない。捨てといてやるか」
「そうじゃな。で、ゴミ箱はどこじゃったかのう」
そこら辺歩いてたら見つかるだろ。その時に捨てておけば......
「なあ?なんかそれ、煙が出てないか?」
「......?......!こ、これは」
ネイが投げ捨てると、煙があたりにどんどん拡散されていく。
「ゲホッゲホッ。なんなんだこれは!おい、ネイ!」
まずい。ネイの姿が見当たらなくなった。
「今だ!捕まえろ!」
何!?誰かいるのか!
「おい!お前ら何してんだ!」
「大人しくしろ!」
「グハッ!」
誰かから後ろ頭を押さえつけられる。
硬い地面に顎が当たって痛い。いや、今はそれどころじゃない。
「......!ネイをどこに連れて行くつもりだ!」
煙の中から、ネイを連れ去る騎士共の姿が見えた。
「グハッ!」
急に腹を蹴られて、体が動かなくなった。
「ネイ......」
思い出した。この煙は、対龍人用の麻酔弾とか、そんなことをネイに説明されたことがあった。現代にはもう残ってない技術だと聞いていたのに......
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
「さぁーて!いよいよ第1回戦も大詰め!残るはコールドミラーのカルマ!グランメモリーズBのフウロ!そして、未だ戦い方が分からぬダークソウルのフセイだぁー!」
「意外な組み合わせになったのう。コールドミラーのカルマは分かっていた事として、グランメモリーズのフウロに、ダークソウルのフセイか......」
「面白そうな戦いになりそうですね」
「ええ!ええ!1回戦から凄まじい盛り上がりですよー!」
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
「全く、毎年変わらずうるさい解説だ」
「それもいいんじゃないか。会場の盛り上がりがこちらにまで伝わってくる」
「そうかい。グランの剣士も変わったやつだな」
「そうか。まあいいか。それで、フセイと言ったか。お前はどう思う」
「......」
「黙りか。まあいいや。お前ら潰せば俺の勝ち。これ以上ないシンプルな戦いだ」
「そうだな」
ここには罠が仕掛けられている場所もない。本当に、正々堂々とした勝負だ。そして、これに勝てば1位スタート。仲間の士気を確実に上げることができる。
「......」
「......」
「......」
これまで以上の緊張感......
「セヤァッ!」
「ハッ!」
「......」
カルマはヴェルドと同じような魔法の雷属性版。雷を、龍とか剣とかの形にして襲いかかってくる。当たったら感電ものだ。一方フセイは、一瞬だけ見えた闇の斧。
ヴェルドと同じような魔法なら、対処のしようはいくらでもある。だが、フセイの方は一瞬しか見えなかった。どう対処していくべきか。
「雷雨!」
ライオスに教えてもらった技。全体に攻撃することによって、敵の戦い方を見極める。
「雷か」
カルマは雷を素手で抑える。
そして、フセイの方は、雷が勝手に避けていく。
「雷属性持ちか」
「正しくは、体に貼った氷から地面に流してるだけだけどね」
そんな器用なことが出来るやつがいるとは。まあいい。それならそうと、戦い方を考えるだけだ。
「......」
「黙りだな。まあいいか。戦い方の分かる奴よりも、分からねえ方からぶっ飛ばすか」
カルマはフセイから倒すことに決めたようだ。
戦い方の分からない奴から倒すか......。確かに、不安材料は残しておきたくないしな。私も、フセイから倒すことにしようか。ついでに、カルマも倒すことが出来れば上出来だ。
「サンドラクリエイト・ツインボール」
「桜花・桜の舞!」
「......」
合わせたわけではないが、2人の攻撃はいい感じの距離でフセイに直面する。だが、フセイは何をしたのか私達の魔法を無力化する。
「黒魔法......お前、どこでその魔法を!」
黒魔法......?確か、全ての魔法の原種であり、全ての魔法を無力化する力を持った魔法。習得方法は様々だが、普通の人間では習得出来ない。いや、私以上の魔導士、ヴァハトであっても習得するのは難しい魔法だったはず。
それこそ、ネイくらいの超越した存在でなければできない話だ。
「......」
この者......一体何者だ!?
「爆炎!」
「......」
間違いない。カルマの言う通り、これは黒魔法だ。
「なんでお前みたいなやつが、そんな強固な魔法を習得できちゃってるのかなぁ。ダークソウルってそういう意味だったの?まあいいや。雷氷・フリーズボルト」
「止せ!」
「反転」
「グァッ!」
「うぁぁぁぁぁ!」
「暗黒の魂」
あれは......
......
......
......
「しょ、勝者!ダークソウル!」
そう実況の声が聞こえた。
「え、えぇっと、2位はコールドミラーとグランメモリーズとなります......」
2位か......悪くはない出来だ。だが、黒魔法を操る者か......
悔しいと思うのも久しぶりだ。
「負けた......か......」
「なんて力だ......すみません。マスターシルヴ」
いつの間にか、ダークソウルの奴の姿は消え去っていた。
何者だったんだ......
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断罪まで、あと10分。
処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。
なぜなら彼女は――
前世で“トップインフルエンサー”だったから。
処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。
空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。
処刑台は舞台へ。
断罪はエンタメへ。
悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。
これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
2度死んだ王子は今度こそ生き残りたい
緑緑緑
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王太子ロイは、かつて二度の革命によって祖国を崩壊させてしまった過去を持つ。命を落とすたび、彼はある時点へと巻き戻される。そして今、三度目の人生が静かに幕を開けようとしていた。
――自分は民を理解しているつもりだった。
だが実際には、その表面しか見えていなかったのだ。
その痛烈な自覚から、物語は動き始める。
革命を回避するために必要なのは、制度でも権力でもない。「人を知る」ことこそが鍵だと、ロイは気付く。
彼はエコール学園での生活を通じ、身分も立場も異なる様々な人間と深く関わっていく。
そこで出会う一人ひとりの想いと現実が、やがて国の未来を大きく左右していくことになるとは、この時のロイはまだ知らない。
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