グランストリアMaledictio

ミナセ ヒカリ

文字の大きさ
169 / 434
第6章 【龍の涙】

第6章30 【龍の復活】

しおりを挟む
セリカ&ネイ「「 閉門・十二級の光 」」

 召喚陣をまた1つ潰した。これで4個目。

 今、復活している龍は、全部で8体。元々12体が召喚されるはずだったから、この4つ目で区切りをつけることになる。

セリカ「龍が......8体......」

ネイ「......もう、これ以上は無理そうですね。復活してしまった龍は討伐してしまいましょう」

セリカ「ネイりん大丈夫?凄い、息が荒いけど......」

ネイ「これくらいで......へばることは出来ません......セリカさんは、ヴァル達と合流......」

セリカ「ネイりんは?」

ネイ「私は......上の方で......優雅に空を飛んでいる......"あれ"を倒します」

 私の見立てでは、空を舞っている龍、その上に『ヒカリ』と呼ばれる人物がいると思っている。

 復活した龍は、街の破壊活動を行っている。アポカリプスの討伐なんてただの嘘っぱちだ。元から、この世界を破壊する予定だったんだ。

ネイ「セリカさん......ヴァル達に......龍殺しドラゴンスレイヤーを、復活した龍1体につき、1人を配置するようお願いします」

セリカ「でも、龍殺しドラゴンスレイヤーの力を持ってる人って、5人しかいなかったよね?ネイりんを含めるとしても、残りの2体はどうするの?」

ネイ「3体くらい、私1人でどうにかしますよ。分かったら、早くヴァル達のところに行ってきてください」

セリカ「わ、分かった......」

 ようやく納得してくれたのか、セリカは走り出して行く。

ジーク(お嬢、あんな見栄張ってるけどよ、どうやって3体も討伐すんだよ。俺達の力じゃどうにもならねえぞ?)

ネイ「正確には2体ですけどね。上にいるドラゴンと、下にいる適当なドラゴン1体。それらだけです」

ジーク(はあ?言ってる意味が分からねえよ。それに、どうやって上まで行くんだよ。飛んでいくのか?)

ネイ「私1人で行くつもりはありません。丁度そこに、都合のいいものがあるじゃないですか」

ジーク(......あいつは......)

ラナ(ジーク君の体だね。そう言えば、この地にはジーク君の遺骨があったね)

ジーク(お嬢、まさか......)

ネイ「あれに龍石投げますから、無理矢理憑依してください」

ジーク(憑依って、お嬢にするのとは訳が違うんだぞ?出来るわけが......)

ネイ「無理矢理やってください。これは、契約者としての命令です」

ジーク(......ああもう分かったよ!やりゃぁいいんだろやりゃぁ。どうなっても知らねえぞ)

 ジークからの承認を得られたので、数十メートル先に構えているジークの体に向かって、赤色の龍石を投げる。

 出来るかどうかじゃない。やれ。

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

ゼイラ「龍が......8体......」

シドウ「それも、アポカリプスを討伐するためではなく、街の破壊活動を行っている。やはり、ヒカリは敵だったようですね」

ゼイラ「......私の判断ミスです」

ヴァル「どうでもいいから、あいつらどうするつもりだ?討伐すんだろ。なら、俺達、龍殺しドラゴンスレイヤーの力が必要だろ」

 ドラゴンに会うのは久しぶりだ。昔、ゼグラニルが消えて以来の出会い。探し求めてたものじゃなかったけどな。

ヴァル「ここで使わなくて、いつ滅龍の力を使うんだろうなぁ」

ゼイラ「......お願いします」

 この国の王女様が、俺に向かって頭を垂れている。悪い気はしないな。

ヴァル「任せとけ。ドラゴン倒すのは、俺達5人の龍殺しドラゴンスレイヤーの仕事だ」

ゼイラ「ですが、ドラゴンは8体います。1体につき1人を当てるにしても、残りの3体はどうするつもりですか?」

 それは......なんか、こう、誰かが上手いことやってくれんだろ。俺がやっても問題ねえ。つか、そのつもりだし。

セリカ「ヴァルー!」

 あれは、セリカか?一緒にいたはずのネイがいねえな。

セリカ「ネイりんから伝言。龍殺しの人を1体につき1人ーー」

ヴァル「それはもう決めてる事だ。んな事より、ネイはどうした」

セリカ「ネイりんは、1人で3体を相手にするって。無茶だと思ったんだけど......」

ヴァル「あいつならやりかねねえな。なら、ここで無駄話すんのはやめてさっさとドラゴンのところに行くか」

 選り好みしてる場合じゃねえけど、戦うなら有利に立ち回れるドラゴンがいいな。

 地、然、氷、光、闇、無。地上にいるのはこの6体か......。んで、上にいるのが火と雷の2体......あれ?あの火の奴に誰か乗ってねえか?

ヴァル「ありゃぁ......ネイか?」

セリカ「ネイりん?」

ヴァル「ほら、あの火のドラゴンの背中に誰か乗ってるだろ」

 指をさして教えてやるが、誰も見えていない様子だ。

ゼイラ「ツクヨミ様......」

ヴァル「......あのドラゴン、ネイが操ってるっぽいな」

セリカ「ええ!?」

 あいつの中にいる龍王のうちの誰かを憑依させたか。

 んで、上にいるもう1体のドラゴンを倒しに行っている。そういう事だな。

ヴァル「よし、俺は、あっちにいる然属性のドラゴンを相手にしてくる」

セリカ「私もサポートする!」

ゼイラ「気をつけてください。ドラゴンは、基本的に魔法が効きませんから。私は、他の魔導士達にこの状況を知らせに行きます」

シドウ「姫、私が護衛致します」

ゼイラ「ええ。よろしくお願いします」

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

ネイ「ジーク!もっとスピードを上げてください!あいつに逃げられます!」

ジーク「これがマックススピードだよ!全力でやってんだから文句言うな!」

 あいつ、私が追っていることに気づいている。

 下の方では、龍達による破壊活動と、龍殺しドラゴンスレイヤーによる掃討作戦が行われている。

ジーク「よし!その尻尾捕まえた!」

 ジークが、やっとの思いであのドラゴンの尻尾を掴んでくれた。私は、ジークの腕を伝ってあっちのドラゴンの背に乗り移る。

「おや、もう追いつかれてしまいましたか」

ネイ「あなた、城で時間を止めてた人ですね」

「ほう、もうそこまで気づいているのですね。流石は、昔の私が見込んでいただけありますね」

 昔?

ネイ「私の過去を知っているんですか!」

「おっと、これは話してはいけないことでしたね。まあ、1つだけ教えてあげますよ。私は、あなたの過去を知っている。聞きたければ、アポカリプスをここに呼ぶことですね」

ネイ「そんな事はさせない」

「できますか?全力を出せないあなたに」

 こいつ、私の事を知っている......それも、誰にも話したことのない、私の力まで。

 なんで、なんでこんな奴が......

ネイ「シズ、行くよ」

 まずはシズで様子見。相手の戦い方を見て、他の3体のどれかに切り替えようと思うが、多分、この男は色んな戦い方をすることが出来る。全てに対応しなければならない。なぜかそんな気がする。

シズ「我が騎士道に掛けて、参る」

「ほう。様子見、ですね。残念ですが、私相手に様子見は意味ありませんよ」

シズ「なっ......」

 シズが無理矢理胸の内に入れられて、私が引きずり出された。

ネイ「なんで......」

「戦うのなら、最初から龍王の力を借りないことですね」

ネイ「......ニルヴァーナ!」

 ヒョイっと、その男は魔法を、顔を逸らしただけでかわす。

「魔法の使い方は、昔教えたはずですけどね」

ネイ「っ......!」

 一瞬で後ろに回り込まれた。

ネイ「う"っ......」

 ただ、一突きされただけなのに、チョップを当てられた首周りが痛い。痛すぎる......。

 魔法は使っていない。人間としての力。なのに、この威力はなんなんだ?

「昔から、首のあたりと、後、ここが弱かったですね」

ネイ「う"っ......」

 腹部に強烈な痛み......

「早くに私の目論見に気づき、4つの召喚陣を封じたことは褒めましょう。ですが、アポカリプスを呼ぶだけなら、4体いれば十分なんですよ」

ネイ「......」

 辛うじて意識は残っている。だが、体に力が入らない。口も、震えていて動かすことが出来ない。

「なんで私があなたの事に詳しいのかって顔をしていますね。今話すことは出来ませんが、いずれそのうち分かりますよ」

ネイ「......」

「世界の終焉まであともう少し。あなたは、この状況をどうにかしてみせることができますか?」

ネイ「......やって......みせ......る」

「喋る力はあるようですね。まあいいです。今は、下で戦うお仲間のところに行きなさい」

 抵抗できないままに、私はここから蹴り落とされた。

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

「我、然を操りし龍。名をリライズヴラムと呼ぶ」

ヴァル「わざわざ挨拶ご苦労さん。そして、俺の炎の前に跪け」

「我、人間には興味は無い。だが、龍王の命令とあらば、汝らも我が敵と認識する」

 俺が知ってるドラゴンは、ゼグラニルだけ。この、リライズヴラムは、ゼグラニルに比べて少し小さめ。だが、横には太い。四足歩行型のドラゴンだ。

 オマケに、自分から然属性のドラゴンだと言ってくれた。炎を操る俺にとって、相性のいい相手だ。それに、セリカ以外にたまたま現場に居合わせていた仲間達もいる。

 エフィ、エレノア、フウロ、ヴェルド、シアラ。

 サポートとしては、バランスの取れたチーム編成だと思える。

フウロ「ヴァル、龍相手に私達の魔法が効かないのは理解している。だが、お前のサポートくらいは余裕でこなしてみせる。だから、お前は気にせず全力で戦え」

 元からそのつもりだ。

ヴァル「行くぜ!りら、りらいむ、りらいず......」

「リライズヴラムだ!我が言うのもなんだが、覚えやすい名前だ!」

ヴァル「そうそう、リライズヴラムだったな。ってなわけで地獄龍の鉄砕!」

 然属性のドラゴンの皮膚は、思った以上に"皮膚"って感じがした。見た目は、草木が生い茂っている植物融合型のドラゴンなのに、触った感じは案外普通。まあどうでもいいか。

 技を1発当てたが、このドラゴンが怯む様子はない。それに、草木に俺の炎が燃え移っている感じもない。やはり、ドラゴンはそう簡単に死なないか。

「炎の龍殺しドラゴンスレイヤーか。懐かしい匂いがするな。だが、それは関係ない。然龍の咆哮」

 動きは遅い。だが、そのせいか攻撃範囲は広い。

シアラ「ウォーターバリア!」
ヴェルド「アイスシールド!」

ヴァル「ナイスだ!水系夫婦!」

ヴェルド「誰が夫婦じゃ!もう守らねえぞ!」

ヴァル「悪ぃ。冗談だって」

 ったく、そんな真に受けんなって。みんな理解してるからさ。

「なるほど。水で植物を跳ね返すか。ならば、然龍の翼撃」

 そんな図体でどうやって翼撃すんだ?と思ったが、やり方は案外シンプルなものだった。

 少し中に浮かんで、そこから羽を羽ばたかせて強い風を浴びせてくる。翼撃ってそんなんだったっけ?羽で攻撃したら全部翼撃扱いなの?

 くだらないことで頭を悩ませたが、着地直後のあいつは隙だらけだ。

ヴァル「滅龍奥義!獄炎龍波!」

「......っ!!......火の龍殺しドラゴンスレイヤーの実力は、これほどか?」

 嘘だろ......!?龍を殺すための奥義が、まるで効いてねえ......

ヴェルド「あいつ、あの草木が炎を散らしてるんじゃねえか?」

 んなわけねえだろ。普通は燃えるって。

 そうなると、怪しいのは皮膚の方だな。脂肪満点で、弾力あり。その脂肪が、俺の炎を散らしてるんだろうな。

 有利な相手だと思ったら、案外そうでもない。こんな状況を予想出来なかった俺のミスだ。

ヴェルド「なんでもいいから、次の攻撃に行くぞ。サポートは任せとけ」

ヴァル「......ああ、頼む」

 まだ戦いは始まったばかり。こんなところで絶望してる場合ではない。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました

放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。 だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。 「彼女は可哀想なんだ」 「この子を跡取りにする」 そして人前で、平然と言い放つ。 ――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」 その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。 「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」

勝手にサインしろと仰いましたので、廃嫡書類に国璽を押して差し上げました

鷹 綾
恋愛
「確認? 面倒だ。適当にサインして国璽を押しておけ」 そう言ったのは、王太子アレス。 そう言われたのは、公爵令嬢レイナ・アルヴェルト。 外交も財政も軍備も―― すべてを裏で処理してきたのは彼女だった。 けれど功績はすべて王太子のもの。 感謝も敬意も、ただの一度もない。 そして迎えた舞踏会の夜。 「便利だったが、飾りには向かん」 公開婚約破棄。 それならば、とレイナは微笑む。 「では業務も終了でよろしいですね?」 王太子が望んだ通り、 彼女は“確認”をやめた。 保証を外し、責任を返し、 そして最後に―― 「ご確認を」と差し出した書類に、 彼は何も読まずに署名した。 国は契約で成り立っている。 確認しない者に、王の資格はない。 働きたくない公爵令嬢と、 責任を理解しなかった王太子。 静かな契約ざまぁ劇、開幕。 ---

お爺様の贈り物

豆狸
ファンタジー
お爺様、素晴らしい贈り物を本当にありがとうございました。

[完結]7回も人生やってたら無双になるって

紅月
恋愛
「またですか」 アリッサは望まないのに7回目の人生の巻き戻りにため息を吐いた。 驚く事に今までの人生で身に付けた技術、知識はそのままだから有能だけど、いつ巻き戻るか分からないから結婚とかはすっかり諦めていた。 だけど今回は違う。 強力な仲間が居る。 アリッサは今度こそ自分の人生をまっとうしようと前を向く事にした。

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

2度死んだ王子は今度こそ生き残りたい

緑緑緑
ファンタジー
王太子ロイは、かつて二度の革命によって祖国を崩壊させてしまった過去を持つ。命を落とすたび、彼はある時点へと巻き戻される。そして今、三度目の人生が静かに幕を開けようとしていた。 ――自分は民を理解しているつもりだった。 だが実際には、その表面しか見えていなかったのだ。 その痛烈な自覚から、物語は動き始める。 革命を回避するために必要なのは、制度でも権力でもない。「人を知る」ことこそが鍵だと、ロイは気付く。 彼はエコール学園での生活を通じ、身分も立場も異なる様々な人間と深く関わっていく。 そこで出会う一人ひとりの想いと現実が、やがて国の未来を大きく左右していくことになるとは、この時のロイはまだ知らない。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

処理中です...