グランストリアMaledictio

ミナセ ヒカリ

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第6章 【龍の涙】

第6章33 【逆転の物語】

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リアム「光龍の斬撃!」

「闇龍の斬撃」

リアム「グァッ......」

 ダメだ。何度やっても、この『闇龍・シアンノヴァ』に攻撃することが出来ない。

 全て、同じような技で一方的に跳ね返される。

リアム「ガッ......」

「光龍、お前の力じゃどうにもならないようだな。大人しく、負けを認めろ」

リアム「......嫌だ。こんなところで、俺は諦めない」

「態度だけはしっかりとしたガキだな。この、負けは知らないといった顔をしてやがるな」

リアム「......いや、負けなら2度も味わったさ」

「ほう......。なら、その目はなんだと言うのだ」

 負け知らずの最強ギルド、コールドミラー。だが、俺達は今回、嫌というほど負けを思い知らされた。それでも、なんであいつらよりもずっとずっと強い本物の龍相手に、『負けない』と思えんだろうな。

 分からない。だが、これが、『気持ち』というやつなのだろう。2度の敗北から、俺は自分が最強であるなどという自惚れを捨てた。そして、その代わりに、俺は『次は負けない』という気持ちと、『誰かのために』という気持ちを手に入れた。

「まあ良い。これで終わりだ、光龍の龍殺しドラゴンスレイヤー

 闇の咆哮......レイヴンが本気を出した時のより弱い。なら、止めることが出来る。

リアム「光龍の咆哮!」

 ......分かってるさ。今の俺の力が押し切れるもんじゃないってことは。

 でもさ、こんなところで、負けるわけにはいかねえんだよ!3度目の正直を見せてくれよ!

ゼブン&ゴア「「 水地然氷 」」

 なんだ?あの龍の咆哮に向けて、横から魔法がぶち当たった。

デラ「虚無の光」

スー「風魔激」

ジン「闇炎激おんえんげき

「......!?」

 なんとか......押し切った......?

ゼブン「1人で龍を相手にするのは辛いだろう。俺達、ハイドロオーシャンズが味方する」

ゴア「それとも、お前らコールドミラーより弱いギルドに手助けされるのは嫌か?」

リアム「......んなこたァねえよ。助かるぜ」

ゼブン「ふっ......。コールドミラーの魔導士でも、素直になれるんだな」

 確かに、ちょっと前までの俺なら、「手出しすんな」とか言ってただろうな。だが、今の俺は違う。

 勝つためなら誰の手だって借りる。もう負けないためにも、俺は1人で戦い続けはしない。

 誰かの手を借りて、誰かの手を取って、俺は最強への道を進み続ける。

リアム「ハイドロオーシャンズ、手を貸せ。この龍を、俺がぶっ殺す」

ゴア「承知」

 さあ、後半戦と行こうか!

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

グリード「地龍の咆哮!」

「氷龍の息吹」

 クソっ......まだ足りねぇか......

ライオス「雷神の共鳴!」

レイ「砂風!」
ギーグ「結界展開」
デン「操石!」

ミラ「サタンブレス!」
レラ「ホーリースピア!」

 全員でやって、やっと互角といったところか......。この状況をどうにかしねぇとな。

 こんな龍相手に、いかなる策をもってしても対抗できない。純粋に、力でねじ伏せるしかねぇが、その力も足りねぇ。

 足りねぇものだらけの戦いで、どうやって勝てってんだ。出来るもんならやってみろ!俺が見てやるからさァ!

「氷砕」

グリード「全員避けろ!地龍の地脈!」

 地面から出てきた氷の塊を、地面を引き裂いて下に落とす。攻撃の対処法なら、ある程度は掴んだが、そんなんで楽になれたら良い話だよなってことだ。

 実際、攻撃をかわすだけで精一杯。それ以上のことは望めねェ。

グリード「チッ......こんな奴、ヴァルの野郎が相手した方が良いじゃねェかァ」

ライオス「そんな事を言っても仕方ない。俺達は俺達でやるだけだ」

レイ「とは言っても、グリードの力で押し切れないんでしょ?だったら、どうするって言うのよ」

ギーグ「グチグチ言ってても仕方ない。喋るよりも手を動かすことだ」

デン「そうは言っても、作戦を決めねえとジリ貧だぞ?」

 あぁー、もううるせぇなァ。いいから手ェ動かせよォ。

グリード「地龍の咆哮!」

「氷龍の息吹」

グリード「グアッ......」

 ダメだな。こっちから仕掛けても、返り討ちに遭うだけだ。かといって、向こうがずっと攻撃しねぇわけがねえし、時間が経てば、召喚の効果も切れると思ってるが、その前にアポカリプスが来たらジ・エンド。

 滅龍の力使ってんのに、その力がまるで効いてねェってのは歯痒いもんだなァ。全員、俺だけが頼りって状況なのに、俺自身が、ダメだと分かってしまっている。

グリード「クソっ......」

「終わりか。人間」

 清々しい顔してやがんなァ。余裕ってよりも、ハエをしばき倒してるに過ぎねぇんだろうなァ。舐めやがって......

 どうする?俺。

 このままやってもジリ貧。かといって、逆転の兆しが見えるわけでもない。見えるのは、ほんの数秒先の敗北。もしかしたら、それは死かもしれない。

 だからって、逃げることも出来ない。逃げれば、もれなく世界の終わりがやってくる。逃げられる場所なんてなくなるんだ。

ライオス「グリード、お前でも厳しいのは分かるが、体を動かせ。頭だけ働かせるな。お前がやらねば、俺達が死ぬ」

グリード「自分が生き残りてェからって、俺ばっかに任せてんじゃねえよォ!」

ライオス「俺達が、精一杯サポートしてるだろ?」

 クソっ......お前らのサポートなんてサポートになってねェんだよ。せめて、お前らがあいつに攻撃できるようになったら、立派なサポートって呼べるんだけどなァ。

「終わりだ、人間」

 ダメだ。考えてる暇はねぇ。手を動かさねぇと......

「......?」

グリード「あぁ......?」

 急に、空が光り出した。神様でも降ってくる前兆か?ありゃァ。

「......」

グリード「......」

 何も起きず、その光は消え去った。

 何だったんだ?

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

「グランフィールド・無魔」

 私は、死を覚悟した。

 だけれど、攻撃は当たらず、ましてや辺りを破壊することもなかった。

 何が......起きたの?

「......貴様、まだ戦えるではないか」

「まさか、ここまでの力があるとはな。何をした?」

「何もしとらん。ただ、この空間を滅龍法禁止区域に設定しただけじゃ」

 ネイ......りん?

 ネイが、神々しい光を放って、龍達の前に立ちはだかっていた。

「滅龍法を禁止にしたか......だが、それでは貴様も我らを倒すことはできん。どうするつもりだ?」

「そうか......ならば......。グランフィールド・効龍」

「......何も起こらんぞ」

「今、この街全域におる魔導士は、全ての魔法が龍に効くようになる。これの意味、分かるか?」

 私達の魔法が、龍に効くようになる!?

「いつまでボケェっと座っておる?折角、妾がお主らに力を与えたというのに」

セリカ「ネイ......りん?」

「ネイ......ではないな。妾の名はツクヨミ。かつての記憶だけの存在」

セリカ「......?」

ツクヨミ「話しても分からんじゃろ?妾は、ネイであってネイではない。記憶上に存在する、ツクヨミの存在が覚醒しただけじゃ」

 確かに、話されても分からない。

ツクヨミ「ネイの想いに応え、一時的に記憶から蘇った。安心しろ。ちゃんとお主らの味方じゃから」

 確かに、振り向いて微笑んでくるネイりんの顔は、ネイりんそのものだった。私が間違いないと思ってるのだから、敵ではない。

「神か......ならば、我の技でーー」

ツクヨミ「おっと、この空間は、滅龍法を禁止しておるぞ?」

「っ......!」

ツクヨミ「さて、始めるか?妾達の逆転劇を......」

「気にするなシエル。滅龍法を使わなくとも、我らの素の力でねじ伏せてやればいい」

「......そうだな」

ツクヨミ「果たして、お主らの力でねじ伏せられるかのう?」

「っ......喰らえ」

セリカ「ネイりん!」

 シエルの攻撃で、ネイりんの体が押し潰された......。

「なっ......」

ツクヨミ「大したことないな。人間1人潰すことすら出来ぬではないか」

 大丈夫だった......。ただ、ネイりんが片手でシエルの、何トンもある拳を受け止めていた......

「何をやっている?シエル」

「黙れ、我は、これしきでーー」

ツクヨミ「終わりじゃ。グランスキル・龍の終焉ドラゴンエンド

 ......

 ......

 ......

「っ......っ......」

「..................」

ツクヨミ「龍の世に、終止符を......」

 2体の龍が......消えた......

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

「............」

 不思議な夢を見ていた。私が、龍を2体倒す夢。それも、かつての神としての力を使って......

セリカ「ネイりん......!」

ネイ「セリ......カ......?」

セリカ「やったよ!ネイりん!龍が2体消えたよ!」

 夢じゃ......なかったのか......

ネイ「まだ......6体残ってる......」

 体が動かない。この体で、神の力を使うのは無謀だったか......

ベルメル「セリカ様......!」

セリカ「ベルメル?」

ベルメル「セリカ様!龍達を封印する方法が見つかりました......!」

セリカ「封印!?もう復活してるのに!?」

ベルメル「はい......!」

 復活した龍を封印......?そんな方法、あったっけ?

ベルメル「セリカ様、精霊の鍵は全て持っていますか......!」

セリカ「うん、一応12本全部あるけど......」

ベルメル「なら、それを使って龍の封印に行きます。セリカ様とネイ様が使った閉門と違って、これは時間を巻き戻す技です」

セリカ「時間を?」

ベルメル「はい。それで、ツクヨミだとゼイラ様に言われている、ネイ様の力もお借りしたいのですが......」

 ダメだ。私の体が動いてくれない。

エフィ「ま、待っててください......今から急いで動けるようにしますからっ」

 エフィの治癒術......私の疲労感を回復してくれる。

エフィ「ふぅ......」

セリカ「エフィ!?」

エフィ「すみません......ネイさんの疲労を取るのに......私の体力を使い切ってしまいました......」

 私のために......そこまでしなくても......

セリカ「......エフィ、今はゆっくり休んでて。私達で、この状況をどうにかしてみせるから」

ベルメル「セリカ様、ネイ様、行きましょう」

セリカ「うん!ネイりん、肩なら貸すよ」

ネイ「......お願い......します」

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

「グアァッ......。なぜだ、なぜ技が使えん!なぜ、貴様らの技が我に効いている?」

ノア「どういう事でしょうか?私達の魔法が、急に効くようになっています......」

レイヴン「分からん。だが、これは好機だ!全員、サポートだけでなく、自らで攻撃しろ!」

「「「 了解! 」」」

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

ブラッド「技が効くようになった......?」

シオン「闇龍の咆哮!」

「光龍の咆哮」

ピアナ「シオンが一瞬で押し切った!?」

シオン「いや、光龍が技を放ってこなかっただけのようじゃ」

レイガ「何が起きてるんだ......?」

シオン「分からん。だが、好機!一気にカタをつける!」

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

ゼブン&ゴア「「 水地然氷! 」」

「グアァッ」

リアム「......滅龍以外の魔法が効いた......?」

デラ「......好機!皆、一気に攻めるよ!」

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

グリード「何が何だか知らねえが、魔法が面白ェくらいに効くぞ!」

「っ......!なぜだ」

グリード「知らねえよ!だが、これを逃す手はねェなァ!ライオス、三バカ!変身姉妹!行くぞ!」

ライオス「任せておけ!滅神奥義!雷牙迅雷!」

レイ&ギーグ&デン「「「 操・結・地!三種の神器! 」」」

ミラ&レラ「「 ヘブンヘルズノヴァ! 」」

「グ、アァァァァ!」



 1147年8月9日午前2時44分。人類の、逆転が始まった。
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