グランストリアMaledictio

ミナセ ヒカリ

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第6章 【龍の涙】

第6章35 【世界の終焉】

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 アポカリプスがやって来てしまった......

 私の判断ミスのせいで......世界は終わる......。

セリカ「ネイ......りん......」

ネイ「............」

 ツクヨミ様でも、アポカリプスだけはどうにもならない。どうにも出来ない。

 終わってしまうのだ。この世界が......

ヴァル「ネイー!」

ジーク「お嬢ー!」

 空から、火の龍とその背に乗る少年が、ツクヨミ様の元へと降り立つ。

ネイ「............」

ヴァル「おい、ネイ。あれが来ちまったが、どうすんだ?」

ネイ「......私に......聞かないでください」

ヴァル「っ......」

ゼイラ「私の......せいで......」

シドウ「姫のせいではございません。全ては、あの男のせいです。姫が責任を感じる必要はーー」

ゼイラ「そんな綺麗事はいい!私のせいなんです......」

シドウ「............」

 こうしてる間にも、アポカリプスは徐々にこちらに近づいてくる。奴が、羽ばたきをする度に、吹き飛ばされそうになるほどの強風が発生する。

「大会を見に来たんだが、ここは世紀末か何かか?」

 不意に、男の声が後ろの方からした。

ヴァル「クロム?」

 聖王クロム......なぜ、こんな状況下になって?

クロム「久しぶりだなヴァル」

ヴァル「久しぶりじゃねえよ!お前、こんな状態の街によく来れたな!」

クロム「今日から大会ではなかったのか?」

ヴァル「1週間前から始まってるわバカ!そして、今日は決勝と表彰式だったんだよ!」

クロム「......アラン、どういうことだ?」

アラン「どうやら、日付を1週間分間違えていたようです」

クロム「クソっ......しっかりと確認する癖を付けねばと思ってるんだが......」

ヴァル「んなこたァどうでもいい!お前の聖龍で、あれをどうにか出来ねぇのか!?」

クロム「あれが、エクセリアの言っていた世界の厄災か......。流石に、俺1人ではどうにもならんな。エクセリアも、本気を出して戦える状態ではないし......」

アラン「厳しいようです。クロム様でもどうにもならない相手ならば、我々人類に抗う手段はないということです」

ヴァル「ちょっとだけ期待してたけど、無理か......なら、逃げるしかねえな」

ゼイラ「無理です。あれが来てしまった以上、私達に逃げ場などありません」

「「「 ...... 」」」

クロム「なんか、最悪なタイミングで来てしまったようだな」

アラン「ええ。日付を間違えずに来ていれば、我々だけでも逃げられたかもしれませんね」

ヴァル「最悪だな、お前ら」

ジーク「お前ら、グチグチ話してる暇はねえ。奴が咆哮の構えをしてやがる!俺様ごと街を破壊するつもりだ!」

 その言葉を聞いて、動揺する者はいない。皆、諦めにも近いような顔をしている。涙をぐっと堪える魔導士だっている。

 私のせいで......

ネイ「......ジーク、私の中に戻って」

ジーク「......おう。何か、思いついたんだな」

ネイ「大きな賭けに出ます。セリカさん、ベルメルさん、十二級の鍵を全てください」

セリカ「うん。はい私の9本」

ベルメル「お願いします」

ネイ「......皆さん、私の周りから、50mほど離れてくれませんか?」

ヴァル「何するつもりだ?」

ネイ「言えません。ですが、アポカリプスを封じれる最後の手段です」

 ツクヨミ様は、何をするつもりなの?

 十二級の鍵を全て揃えて、恐らくは内側にいる龍達の力を借りて......

ネイ「ヴァル」

ヴァル「なんだ?」

ネイ「私がいなくなっても、寂しがらないでください」

 ツクヨミ様の体に、負のマナがまとわりついていく......

ヴァル「待て!何するつもりだ!」

ネイ「......全てを邪に染める......我が名は邪龍フェノン!」

ヴァル「待て!ネイ!」

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

 十二級の精霊の鍵。そして、五龍王の力によって、私は邪龍となっても制御可能となる。

 アポカリプスに勝つためには、この姿で戦うしかない。

「グアァァァァァァァァッ!」

「オォォォォォォォォォォ!」

 2匹の巨大な龍は、雄叫びを上げるだけで辺りに大きな地響と強風を巻き起こす。

 言葉を発することは出来ない。精霊と龍王だけでは、原子化を完全に行うことは難しいようだ。だが、体は動く。龍としての、この巨大な体を自由に操ることが出来る。

 私はフェノンではあるが、自由に飛びまわることが可能な龍。暴走していたあの頃とは違う。

「グァァァァァ!」

「オォォォォォォォォォォ!」

 咆哮と咆哮のぶつかり合い。それだけで、私達、邪龍を中心として地上に大きな窪みが出来る。

 取っ組み合いの戦い。力は互角。

「グァァァァァ!」

 1つ1つの行動を起こす度に、町は破壊されていく。短期決戦を求める必要があるが、この龍相手に、そんな事は出来ない。無理である。

ジーク(お嬢、早くしねえと地上にいるヤツらが......)

 分かってる。

 ただ、龍の体というのは力加減ができない。どんな攻撃でも、全力で体を動かしてしまう。対するアポカリプスは、必要最低限の動きだけで私の攻撃を受け止める。

 これが、経験の差というやつだろう。

「グァァァァァ!」

 龍王の権限を用いて、下で待機している2体の龍を動かし始める。

 1対1では分が悪い。こんな事なら、他の龍も残しておけば良かったと思うが、それはアポカリプスが来る前提での動き。実際、アポカリプスは来てしまったが、そうすることは出来なかった。

「オォォォォォォォォォォ!」

 アポカリプスは、2体の龍を意図も簡単に滅ぼす。

 これが、不死の力を持った私と、聖なる力を帯びたエクセリアを一撃で倒した力......

 今更ながら、私はこいつ相手に恐怖していた。

 勝てない恐怖、みんなが死んでしまう恐怖、そして、私自身も死んでしまう恐怖......

 でも、こんな事で諦めるわけにはいかない。

 今の私は、昔と違って自由に動けれる。もしかしたら、勝てるかもしれない。淡い期待だけれど、それでも私はやる。

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

ゼイラ「邪龍が......2匹......」

クロム「あいつ、いつの間にあんな力を手にしたんだ?」

ヴァル「少なくとも、俺達に隠れて手に入れた力だな。俺は、あんなの知らねえ」

 それが出来るなら、最初からそうしてろよ、とは思ったが、あいつにも考えがある。邪龍って呼ばれるくらいだ。何かしらのデメリットがあるんだろうな。

 「私がいなくなっても、寂しがらないでください」、か......

 ふざけんな。消えたら承知しねえぞ。何のために努力してきたのかが分からなくなる。

クロム「見てるだけってのも歯痒いな。何か出来ないだろうか」

ヴァル「やめとけ。あんなの、俺達が出れるところじゃねえ」

 あんな、羽ばたきしてるだけで吹き飛ばされそうになるところに、俺達が出て行っていいわけがない。

 それだけ、邪龍ってのは恐ろしい存在。ネイが恐怖していた理由も分かるぜ。

シドウ「姫、ここは危険です。離れましょう」

ゼイラ「......いえ、私は見届けなければなりません。このような事態を引き起こした私が、1人勝手に逃げるわけにはなりません」

クロム「王女の護衛なら、俺とアランでどうにかする。これでも、聖龍の力を引き継いだ者だからな」

シドウ「......クロム王、姫をよろしくお願いします」

クロム「ああ」

 逃げる逃げないって話をしてるが、俺的には逃げた方がいいと思う。ここでネイの戦いを見ていても、俺達には何も出来ないし、巻き添えを喰らう危険性だってある。

 それにしても、邪龍と化したネイであってもアポカリプスに対して優位に立ち回ることが出来ていない。

 攻撃を受け止めるだけで精一杯。俺達に対して、自衛を求めているようにも見える。

セリカ「ヴァル......」

ヴァル「......今は、あいつを信じるしかない」

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

 世界の終焉が訪れ、魔導士達は絶望の淵に瀕している。

 直に、この世界は終わる。全てを破壊する存在、アポカリプスによって......

 それに対抗する、かつての邪龍フェノン。

 でも、その力は、あなたの大切なものを壊すことになるのですよ?それを理解した上で、あなたはその力を使っているのでしょうか?

 昔、魔法を教えた時に、魔法は暴力のために使うものではないと教えましたよね?まあ、そう教えた私自身が暴力のために使っているのだから、説得力は皆無でしょうが......

 世界の終焉......しかし、それは全ての始まりに過ぎない。あなたなら、この絶望をどうにかしてみせることが出来るでしょう。昔と違って、あなたの周りには、たくさんの『仲間』がいるのですから。

『■■、■■■■"■"■■■■"■?』

 おや、もうそんな時間ですか。なら、後はあなたに任せますよ。私の、一番弟子として......

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

「グアァァァァァァァァッ!」

ジーク(お嬢、このままじゃお嬢が殺られちまう!)

 分かってます!

ラナ(こうなったら、異界送りにして封じ込めるしかないね)

 異界送り?

ラナ(異界の門を開き、その中に奴を無理矢理入れ込むんだ。そして、そのまま異界の門を閉じる。これしかない)

 異界に送るって、どこの世界に送るんですか?

ラナ(そんなもの、人も植物も、何も無い無の空間に送るしかないだろう)

 無の空間......確か、1つだけ残ってたっけ?

 そこに送り込むしかないか......

「グアァァァァァァァァッ!」

ラナ(幸い、地上には大量の魔導士がいる。そこから、大量のマナを汲み上げて異界の門を開くんだ)

 分かった。

「グアァァァァァァァァッァァァァァ!」

 マナを地上から汲み上げて、アポカリプスの周囲を取り囲むように配置していく。そして、集まったマナを異界の門へと変換する。

「グアァァァッ!」

 これで終わりにはならない。だけど、一時的に平和をもたらすことは出来る。

 いずれ、倒さなければならない相手だが、倒すのは今ではない。

 しばらくの間、異界で彷徨っていろ、アポカリプス!

「オォォォォォォォォォォ!」

 何かを察したアポカリプスが、脱出を試みるが、もう遅い。

 奴の体は、抵抗虚しく異界の門へと吸い込まれていった。

 ......

 ......

 ......

 終わっ......た......

 ......

 ......

 ......

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

セリカ「消えた......?」

 私達、魔導士の体から、突如としてマナが吸い込まれていった。

 そして、数秒後にアポカリプスの周りにたくさんの門が開いた。

ヴァル「ネイが......やった......のか?」

 ネイりんが、私達の力を吸い取って行った最後の希望。

 見事、アポカリプスを消滅させることに成功した。

 これで、世界が破壊されることはなくなった......はず。

セリカ「終わった......」

ヴァル「......やっぱ、あいつは恐ろしい奴だ」

 安心感と共に、体を張りつめていた緊張が解れ、その場に腰を落とす。

ゼイラ「ツクヨミ......様......」

シドウ「終わったということで......よろしいのでしょうか?」

クロム「アポカリプスの反応は消えたと、エクセリアは言っている。一先ずは、大丈夫だということだ」

 戦いは終わった。だけど、この街の惨状を見ると、勝った気にもならない。

 やっと終わってくれた。

 そういう気持ちしか残らない。

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

レイヴン「やっと......終わったか......」

ノア「そのようです。ですが......」

 俺達龍殺しドラゴンスレイヤーがいたのに、龍の討伐にかなりの時間をかけてしまった。オマケに、最終的にアポカリプスを呼びつけてしまう始末。

 新たに現れた、謎の龍によって、なんとかアポカリプスを退けることは出来たが、奴は死んでいない。そう思う。

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

シオン「終わったか......。はぁ、情けないのう」

レイガ「仕方ないさ。所詮、人間が適う相手じゃなかったってことだ」

 それだけで吹っ切れたら、少しは楽なのじゃがな。

 街は破壊し尽くされ、魔導士の中には、大きな傷を負った者もいる。本来なら、龍殺しドラゴンスレイヤーである我が守ってやらねばならぬ存在であったのに......

シオン「......いつまでも、休んでる暇はないな。瓦礫の下に押し潰されておる者がいる可能性がある。我らで、少しでも多くの者を救うぞ」

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

リアム「あーあ、こんなにも破壊しちまいやがって......。折角の王都が台無しだなこりゃ」

ゼブン「俺達の周りで、死人が出なかっただけマシだとしよう」

リアム「それも、ただ見えてないってだけかもしれないぜ。こうやって、瓦礫の下を漁ってみると、案外死体が転がって来るかもしれないぜ」

ゴア「不謹慎なことを言うな。ーーだが、それには一理ある。俺達で、押し潰されている者がいないか捜索しよう」

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

グリード「チッ、あのお嬢様。1人で全部片付けやがって、畜生ォ」

ミラ「まあまあ、戦いが終わったんだし、それでいいはずでしょう?」

ライオス「まさか、『俺なら奴を倒せれた』とか言うまいな」

グリード「言わねぇよォ。あいつは、俺達、ただの龍殺しが相手にできる代物じゃねェ」

 頭上で行われていた、邪と邪の戦い。俺は、僅かながら震えていた。

 圧倒的なまでの畏怖。俺は、数々の戦場をくぐり抜けてきたが、ここまで死の淵に立っていたのは初めてだ。

 元軍人が、死を恐れる。情けねェ話だァ。だが、元軍人なら、この後どうするべきかは決まっている。

グリード「おい、お前らァ。崩れた建物の下敷きになってるかもしれねェ奴がいるかもしれねェ。点呼と、いなくなった魔導士の捜索を始めるぞォ」

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

 世界は、1人の少女の力によって延命した。だが、その命が尽きるのも、最早時間の問題。

 果たして、あなたは、再び訪れる絶望を回避することが出来ますか?

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

 ......ああ、やってやろうではないか。妾達は、1人ではない。お主と違って、仲間がおる。絆で結ばれた、大切な仲間が......

 歴史の書き換えなど、管理者である妾が許すはずがない。

 逆転の布石は、もう打っておる。お主には抗えぬ希望の渦で攻めてやる。

 なあ?ヴァル。お主なら、それくらいは簡単に出来るよな?
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