225 / 434
第9章 【深海の龍王】
第9章4 【不思議な世界】
しおりを挟む
籠城場所を探し始めてから小一時間。この街は広いが、俺達の理想ーー食料及び物資が豊富で、尚且つ敵からの侵入を受け付けにくい場所ーーに合うような建物はこれといって見つからなかった。
現状、テッペンに『109』って書いてあるところが1番いいんじゃないかと思ってるが、入口がスカスカすぎて敵に気づかれると大変なことになるかもしれないと、今は保留状態にしている。
俺はあそこが1番いいと思うけどな。無駄に広いってのがちょっとデメリットだが、それさえ目を瞑れば食いもんは置いてあったし、なんかよく分からねぇ機械がたくさん置いてあったし、何より家具屋なのか寝床もある。しかも、めっちゃフカフカしてるベッドだ。こんなところに来なけりゃ、絶対に体験できねぇ代物だぜ。
それに、ネイの体力がもう限界に近いし、いつまでも選り好みしてる場合じゃないと思う。ヒカリも、薄々それは感じてるらしいが、余程諦めが悪いのか、中々決められないでいる。
そうやってウロウロしてたからだろうな。敵さんが気づくには十分な時間だった。
ヴァル「あ......?水?」
突然、上の方から水が一滴落ちてきた。何かと思って上を見上げてみると、そこにはこれまたデカすぎるシャチがいた。海から出たばかりなのか、全身がぐっしょりと濡れてる。
ヴァル「なぁ、あれなんだと思う?」
ヒカリ「シャチね。ウナギとタコ揃えたら海産物フォームになれるわよ」
誰もそんなこと聞いてねえよ......
「立ち去れ。人間!」
シアラのウォーターブラストみたいに、渦巻き状の水砲が俺達を襲ってきた。
ヴェルド「アイスシールド!」
ヴェルドの盾で防ぎ、俺達は一目散に逃げ出す。
あのカニ相手に攻撃が通用しなかったんだから、どうせこいつにも通用しねぇ!バカな俺でも、流石に散々注意されて2度目となりゃ学習するわ。
ヒカリ「ヴェルド!殿は任せたわよ!」
ヴェルド「はぁ!?んな事したら俺が死ぬわ!」
ヒカリ「死ぬ気で私達を守りなさい」
ヴェルド「あぁ!もう分かったよ!俺が死んだら、もれなくお前らも道連れだゴルァ!」
ヴァル「ネイ、乗れ!」
ネイ「へぁ......?」
クソ、最近のこいつやたら素直じゃねぇんだよな。いつもなら、何も言わずにすぐおぶられてくれるのに、今のこいつは謎に拒否反応を示してる。
だが、寝不足なこいつに抵抗できるほどの力はない。シロップを頭の上に乗せ、お姫様抱っこの形でこいつを担ぎ、俺は走り出す。
ネイ「抱っこなんて......恥ずかしいですよ......」
ヴァル「いいから、お前、もう寝てろ!」
後ろの方からはシャチだけじゃなく、ウナギとタコーーもちろんデカいーーも追いかけてきていた。スゲー!シャ○タコンボの完成だ!
ヴェルド「おいおいおいおい!流石に防ぎきれねぇぞ!」
ヒカリ「もういいわ!諦めてシブヤ109に駆け込みましょう!」
グリード「おい、今の段階であそこに駆け込むのはまずいんじゃねぇのかァ?」
そうだそうだ。敵にバレてないならまだしも、敵にバレてる状況で逃げ込めば、もれなく蜂の巣にされるって言ってたじゃねぇか。
ヒカリ「なんとか、上手いことやってみせるわよ!いいから行きなさい!こいつらシャ○タコンボは私が止めてやるから!」
180度後ろに回転し、ヒカリは3体の魚介類と対峙する。ん?シャチって魚介類だったっけ?まあいいや。
ヒカリ「ワールドメモリーズ起動!」
あのコードみたいなのを大量に出現させ、あいつの体が光り輝いている。
......使えるようになってたんだな。
ヒカリは2丁の拳銃を構え、魚介類共の目を確実に撃ち抜いていく。魔法とかでダメージを与えることはできねぇが、目潰しで時間稼ぎくらいはできるんだな。これは今後に役立ちそうな情報だ。
ヒカリ「今よ!」
ヴァル「おう!」
建物の入口に飛び込もうとしたが、なんか透明な板に阻まれて、突入することが出来なかった。
ネイ「痛っ......」
ヴァル「わ、悪ぃ......」
スカスカだと思ってた入口に、まさか見えねぇ壁があるとは思わないだろ。ごめん、ネイ。
ヒカリ「どきなさい!」
いつものエネルギー弾じゃなく、実弾で透明な壁を撃ち抜いた。
ヒカリ「えい!」
撃ち抜いた扉をヒカリが綺麗な足で蹴破り、俺達はすぐさまその中へと突入する。
......なんとか、逃げきれた......のか?
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
「ちっ、まさかあの場所に籠城されるとは......」
(すまねぇ。まさか、奴らが魔法以外に武器を持ってるとは思わなかった)
「......まあいいわ。今は彼らの自由にさせておきなさい。どうせ、奴らにこの深海で勝ち目などないのだから」
(了解)
「......誰にも、王子の幸せを邪魔させない」
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
ヴァル「あ゛ー、なんとか逃げきれたー......のか?」
ヒカリ「もう大丈夫よ。敵さんも、なんの情けか引いてくれてるし」
グリード「それって、仲間を引き連れて強行突破を図ろうとしてるだけなんじゃねぇのかァ?」
ヒカリ「さあね。でも、一応結界を張っておいたからしばらくは大丈夫だと思うわ」
えぇ......なんか信用出来ねぇな......。
ヒカリ「とりあえず、まずは食料の確保からよ。幸い、この建物内には物資が豊富にあるみたいだし、使えそうなものを集めてきましょ」
というわけで、俺達は各々が使えそうなものを探しに、この巨大な......商店街?の散策を始めた。道中、例のベッドがある場所を再発見したので、そこにネイを寝かせておくことも忘れずに。
飯に関しては、摩訶不思議なもんしかなかったな。飲食店らしきところには一切の食料が置いてなかったが、食料品を取り扱う店なのかどうかは知らないが、それらしきところにはたくさんの食料が置いてあった。
変なロゴの文字が印刷された袋の中に、なんだかよく分からねぇ......というか、食えんのか?これ?と思った食べ物がたくさんあったが、案外食えるなと思って何個か手持ちに加えた。あとでヴェルドとかに食わせてみよ。
そんなこんなで軽い散策を終え、再び1階の広間に集まった。
ヒカリ「あら?ネイはどこに置いてきたのかしら?」
ネイ「途中で手頃なベッドを見つけてな。そこで寝かしてる。シロップもいるし、とりあえず大丈夫だろう」
ヒカリ「ふ~ん?まあいいわ。で、手に持ってる色とりどりのお菓子袋は何?」
パッと見で菓子袋だって分かるんだな。流石、この世界の存在を知っていただけある。
ヴァル「途中でいい感じの食いもん見つけた。ヴェルド、ちょっと食ってみろよ」
ヴェルド「えぇ......そんな怪しいもん胃袋に入れたくねぇよ」
グリード「......おっ、意外といけんなァ。酒のツマミに丁度いいぜェ」
ヴェルドが食うより先にグリードが口に運んでいた。
グリード「揚げ芋か......こうやって薄切りにして揚げると、かなり美味くなるんだなァ。こりゃいいもん見つけたなァ」
ヴァル「だろ?」
グリードは予想以上に気に入ってくれたみたいだ。ヴェルドはずっと怪しげな目をしているが、渋々と口に1口入れてみた。
ヴェルド「ん......これは......意外と美味い!」
こんな、どう見ても怪しさしかねぇ食い物を、この世界の人間は平気で食ってんだなぁ。やっぱ、住む世界、住む場所によって文化って変わるもんなんだなとしみじみ思う。
ヒカリ「......まあいいわ。食べ物が普通にあるっていうのは籠城するのに適してる場所ってことね。あとは......」
シアラ「何だかここって、服屋さんがよくある場所ですよね~。しかも、色とりどりで派手なものばかり。シアラにあんなの似合いそうにありません」
それ、今言わなきゃいけない情報か?
ヒカリ「......」
ヴァル「どうした?なんか足りねぇもんでもあるのか?」
ヒカリ「いやね、ここ無駄に広いし、その割には機械類がたくさん置いてある商店が無いのよね......」
ヴァル「それがどうかしたか?」
ヒカリ「いや、ここって深海だから、一応それなりの装備を作ろうと思ったんだけど、選ぶ場所間違えちゃったわね......」
なるほど。それが、ここを見つけても渋ってた理由か。確かに、こいつが好みそうな機械類の商店は見かけなかったしな。あるのは、9割型服屋......なんだこの変な商店街。そんなに服屋揃えて何になるんだよ......
まあ、この世界の人間の感覚なんて俺達には分からねぇ。文化の違い。そういう事にしとこう。
ヒカリ「......そういえばエフィは?」
ヴァル「ああ。あいつなら、俺が家具屋見つけるよりも先にあの場所見つけて寝てたな」
ヒカリ「そう......まあいいわ。今日はもう寝て、明日からに備えましょう」
ヴァル「そうだな。俺も若干眠くなってきたわ」
空はまだまだ明るいが、眠気さえあれば簡単に寝れるだろう。
ヴァル「よし、じゃあ俺の後について来い」
一歩踏み出しかけたその時、あたりが急に真っ暗になった。
「「「 ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!! 」」」
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
セリカ「......ってて......」
突然、あたりが光出して、気がつけば青く暗い空間に放り出されていた。というより、ベッドの上に優しく寝かせられていたのかな?
あたりには誰もいない。私を捕らえたにしては、随分と監視がユルユルだなと思う。しかし、これはチャンス。今のうちに逃げ出してやる。
セリカ「あだっ!」
と思ったのも束の間、自分の服に引っかかって盛大に転んでしまった。
セリカ「何よこれ......」
なーんか貴族のお嬢様がよく着てそうなヒラヒラのスカートだなぁ。それに、上の方もゼイラ王女を彷彿とさせるような綺麗な仕上がりのドレス。多分だけど、ネイりんも同じ状況を味わってた気がする。
久しくこんなドレスを着ていなかったけど、ヒラヒラしたスカートの部分は基本的に破りやすくなっている。というわけでビリビリビリ~......って切れないじゃん!何これ!
「お目覚めですか。プリンセス」
セリカ「ひゃっ!」
瞬きの間に、忽然と女の龍人が私の前に現れた。
えーっと、確かレイアだったっけ?
レイア「その服、引きちぎろうとしていましたが、お気に召されませんでしたか?」
セリカ「へっ!......あー、いやー......」
逃げようと思って引きちぎろうとしたなんて言えないなぁ......
セリカ「う、動きにくいなぁってちょっと動きやすくしようとしただけだよ......」
うわぁ......めっちゃ睨んでくる。怖っ......
レイア「......分かりました。今すぐにスカートの丈が低いものへと変えます」
セリカ「ひゃっ!」
体の周りが突然水に包まれ、若干の冷たさを感じたすぐ後には別の服装へと変えられていた。
スカートの丈は短くなってて、派手な飾りも幾つかは無くなっている。これなら、私が気負う必要もなくなるって違う、そうじゃない。
レイア「お腹は空いていませんか?」
セリカ「え?いや......別に......」
レイア「そうですか。なら、王子がお待ちです。こちらへ」
レイアが進んだ先の壁が扉へと変わり、一切出口のなかったこの部屋に、別の場所に行くための道が切り開かれる。
レイア「こちらへ」
逃げ出すなんて到底無理だし、ここは大人しく言うことを聞いた方がいいな。それに、ライトとか言ってた王子に、私が目的の人物とは別人だと証明すれば、もしかしたらここから解放してくれるかもしれないし......可能性は限りなく0に近いけど。
ダークソウルには連れ去られなかったけど、これはこれで厄介な人達に連れ去られてしまったなと、己の不幸を呪ってしまう。
はぁ......助けてよ......ヴァル。
現状、テッペンに『109』って書いてあるところが1番いいんじゃないかと思ってるが、入口がスカスカすぎて敵に気づかれると大変なことになるかもしれないと、今は保留状態にしている。
俺はあそこが1番いいと思うけどな。無駄に広いってのがちょっとデメリットだが、それさえ目を瞑れば食いもんは置いてあったし、なんかよく分からねぇ機械がたくさん置いてあったし、何より家具屋なのか寝床もある。しかも、めっちゃフカフカしてるベッドだ。こんなところに来なけりゃ、絶対に体験できねぇ代物だぜ。
それに、ネイの体力がもう限界に近いし、いつまでも選り好みしてる場合じゃないと思う。ヒカリも、薄々それは感じてるらしいが、余程諦めが悪いのか、中々決められないでいる。
そうやってウロウロしてたからだろうな。敵さんが気づくには十分な時間だった。
ヴァル「あ......?水?」
突然、上の方から水が一滴落ちてきた。何かと思って上を見上げてみると、そこにはこれまたデカすぎるシャチがいた。海から出たばかりなのか、全身がぐっしょりと濡れてる。
ヴァル「なぁ、あれなんだと思う?」
ヒカリ「シャチね。ウナギとタコ揃えたら海産物フォームになれるわよ」
誰もそんなこと聞いてねえよ......
「立ち去れ。人間!」
シアラのウォーターブラストみたいに、渦巻き状の水砲が俺達を襲ってきた。
ヴェルド「アイスシールド!」
ヴェルドの盾で防ぎ、俺達は一目散に逃げ出す。
あのカニ相手に攻撃が通用しなかったんだから、どうせこいつにも通用しねぇ!バカな俺でも、流石に散々注意されて2度目となりゃ学習するわ。
ヒカリ「ヴェルド!殿は任せたわよ!」
ヴェルド「はぁ!?んな事したら俺が死ぬわ!」
ヒカリ「死ぬ気で私達を守りなさい」
ヴェルド「あぁ!もう分かったよ!俺が死んだら、もれなくお前らも道連れだゴルァ!」
ヴァル「ネイ、乗れ!」
ネイ「へぁ......?」
クソ、最近のこいつやたら素直じゃねぇんだよな。いつもなら、何も言わずにすぐおぶられてくれるのに、今のこいつは謎に拒否反応を示してる。
だが、寝不足なこいつに抵抗できるほどの力はない。シロップを頭の上に乗せ、お姫様抱っこの形でこいつを担ぎ、俺は走り出す。
ネイ「抱っこなんて......恥ずかしいですよ......」
ヴァル「いいから、お前、もう寝てろ!」
後ろの方からはシャチだけじゃなく、ウナギとタコーーもちろんデカいーーも追いかけてきていた。スゲー!シャ○タコンボの完成だ!
ヴェルド「おいおいおいおい!流石に防ぎきれねぇぞ!」
ヒカリ「もういいわ!諦めてシブヤ109に駆け込みましょう!」
グリード「おい、今の段階であそこに駆け込むのはまずいんじゃねぇのかァ?」
そうだそうだ。敵にバレてないならまだしも、敵にバレてる状況で逃げ込めば、もれなく蜂の巣にされるって言ってたじゃねぇか。
ヒカリ「なんとか、上手いことやってみせるわよ!いいから行きなさい!こいつらシャ○タコンボは私が止めてやるから!」
180度後ろに回転し、ヒカリは3体の魚介類と対峙する。ん?シャチって魚介類だったっけ?まあいいや。
ヒカリ「ワールドメモリーズ起動!」
あのコードみたいなのを大量に出現させ、あいつの体が光り輝いている。
......使えるようになってたんだな。
ヒカリは2丁の拳銃を構え、魚介類共の目を確実に撃ち抜いていく。魔法とかでダメージを与えることはできねぇが、目潰しで時間稼ぎくらいはできるんだな。これは今後に役立ちそうな情報だ。
ヒカリ「今よ!」
ヴァル「おう!」
建物の入口に飛び込もうとしたが、なんか透明な板に阻まれて、突入することが出来なかった。
ネイ「痛っ......」
ヴァル「わ、悪ぃ......」
スカスカだと思ってた入口に、まさか見えねぇ壁があるとは思わないだろ。ごめん、ネイ。
ヒカリ「どきなさい!」
いつものエネルギー弾じゃなく、実弾で透明な壁を撃ち抜いた。
ヒカリ「えい!」
撃ち抜いた扉をヒカリが綺麗な足で蹴破り、俺達はすぐさまその中へと突入する。
......なんとか、逃げきれた......のか?
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
「ちっ、まさかあの場所に籠城されるとは......」
(すまねぇ。まさか、奴らが魔法以外に武器を持ってるとは思わなかった)
「......まあいいわ。今は彼らの自由にさせておきなさい。どうせ、奴らにこの深海で勝ち目などないのだから」
(了解)
「......誰にも、王子の幸せを邪魔させない」
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
ヴァル「あ゛ー、なんとか逃げきれたー......のか?」
ヒカリ「もう大丈夫よ。敵さんも、なんの情けか引いてくれてるし」
グリード「それって、仲間を引き連れて強行突破を図ろうとしてるだけなんじゃねぇのかァ?」
ヒカリ「さあね。でも、一応結界を張っておいたからしばらくは大丈夫だと思うわ」
えぇ......なんか信用出来ねぇな......。
ヒカリ「とりあえず、まずは食料の確保からよ。幸い、この建物内には物資が豊富にあるみたいだし、使えそうなものを集めてきましょ」
というわけで、俺達は各々が使えそうなものを探しに、この巨大な......商店街?の散策を始めた。道中、例のベッドがある場所を再発見したので、そこにネイを寝かせておくことも忘れずに。
飯に関しては、摩訶不思議なもんしかなかったな。飲食店らしきところには一切の食料が置いてなかったが、食料品を取り扱う店なのかどうかは知らないが、それらしきところにはたくさんの食料が置いてあった。
変なロゴの文字が印刷された袋の中に、なんだかよく分からねぇ......というか、食えんのか?これ?と思った食べ物がたくさんあったが、案外食えるなと思って何個か手持ちに加えた。あとでヴェルドとかに食わせてみよ。
そんなこんなで軽い散策を終え、再び1階の広間に集まった。
ヒカリ「あら?ネイはどこに置いてきたのかしら?」
ネイ「途中で手頃なベッドを見つけてな。そこで寝かしてる。シロップもいるし、とりあえず大丈夫だろう」
ヒカリ「ふ~ん?まあいいわ。で、手に持ってる色とりどりのお菓子袋は何?」
パッと見で菓子袋だって分かるんだな。流石、この世界の存在を知っていただけある。
ヴァル「途中でいい感じの食いもん見つけた。ヴェルド、ちょっと食ってみろよ」
ヴェルド「えぇ......そんな怪しいもん胃袋に入れたくねぇよ」
グリード「......おっ、意外といけんなァ。酒のツマミに丁度いいぜェ」
ヴェルドが食うより先にグリードが口に運んでいた。
グリード「揚げ芋か......こうやって薄切りにして揚げると、かなり美味くなるんだなァ。こりゃいいもん見つけたなァ」
ヴァル「だろ?」
グリードは予想以上に気に入ってくれたみたいだ。ヴェルドはずっと怪しげな目をしているが、渋々と口に1口入れてみた。
ヴェルド「ん......これは......意外と美味い!」
こんな、どう見ても怪しさしかねぇ食い物を、この世界の人間は平気で食ってんだなぁ。やっぱ、住む世界、住む場所によって文化って変わるもんなんだなとしみじみ思う。
ヒカリ「......まあいいわ。食べ物が普通にあるっていうのは籠城するのに適してる場所ってことね。あとは......」
シアラ「何だかここって、服屋さんがよくある場所ですよね~。しかも、色とりどりで派手なものばかり。シアラにあんなの似合いそうにありません」
それ、今言わなきゃいけない情報か?
ヒカリ「......」
ヴァル「どうした?なんか足りねぇもんでもあるのか?」
ヒカリ「いやね、ここ無駄に広いし、その割には機械類がたくさん置いてある商店が無いのよね......」
ヴァル「それがどうかしたか?」
ヒカリ「いや、ここって深海だから、一応それなりの装備を作ろうと思ったんだけど、選ぶ場所間違えちゃったわね......」
なるほど。それが、ここを見つけても渋ってた理由か。確かに、こいつが好みそうな機械類の商店は見かけなかったしな。あるのは、9割型服屋......なんだこの変な商店街。そんなに服屋揃えて何になるんだよ......
まあ、この世界の人間の感覚なんて俺達には分からねぇ。文化の違い。そういう事にしとこう。
ヒカリ「......そういえばエフィは?」
ヴァル「ああ。あいつなら、俺が家具屋見つけるよりも先にあの場所見つけて寝てたな」
ヒカリ「そう......まあいいわ。今日はもう寝て、明日からに備えましょう」
ヴァル「そうだな。俺も若干眠くなってきたわ」
空はまだまだ明るいが、眠気さえあれば簡単に寝れるだろう。
ヴァル「よし、じゃあ俺の後について来い」
一歩踏み出しかけたその時、あたりが急に真っ暗になった。
「「「 ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!! 」」」
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
セリカ「......ってて......」
突然、あたりが光出して、気がつけば青く暗い空間に放り出されていた。というより、ベッドの上に優しく寝かせられていたのかな?
あたりには誰もいない。私を捕らえたにしては、随分と監視がユルユルだなと思う。しかし、これはチャンス。今のうちに逃げ出してやる。
セリカ「あだっ!」
と思ったのも束の間、自分の服に引っかかって盛大に転んでしまった。
セリカ「何よこれ......」
なーんか貴族のお嬢様がよく着てそうなヒラヒラのスカートだなぁ。それに、上の方もゼイラ王女を彷彿とさせるような綺麗な仕上がりのドレス。多分だけど、ネイりんも同じ状況を味わってた気がする。
久しくこんなドレスを着ていなかったけど、ヒラヒラしたスカートの部分は基本的に破りやすくなっている。というわけでビリビリビリ~......って切れないじゃん!何これ!
「お目覚めですか。プリンセス」
セリカ「ひゃっ!」
瞬きの間に、忽然と女の龍人が私の前に現れた。
えーっと、確かレイアだったっけ?
レイア「その服、引きちぎろうとしていましたが、お気に召されませんでしたか?」
セリカ「へっ!......あー、いやー......」
逃げようと思って引きちぎろうとしたなんて言えないなぁ......
セリカ「う、動きにくいなぁってちょっと動きやすくしようとしただけだよ......」
うわぁ......めっちゃ睨んでくる。怖っ......
レイア「......分かりました。今すぐにスカートの丈が低いものへと変えます」
セリカ「ひゃっ!」
体の周りが突然水に包まれ、若干の冷たさを感じたすぐ後には別の服装へと変えられていた。
スカートの丈は短くなってて、派手な飾りも幾つかは無くなっている。これなら、私が気負う必要もなくなるって違う、そうじゃない。
レイア「お腹は空いていませんか?」
セリカ「え?いや......別に......」
レイア「そうですか。なら、王子がお待ちです。こちらへ」
レイアが進んだ先の壁が扉へと変わり、一切出口のなかったこの部屋に、別の場所に行くための道が切り開かれる。
レイア「こちらへ」
逃げ出すなんて到底無理だし、ここは大人しく言うことを聞いた方がいいな。それに、ライトとか言ってた王子に、私が目的の人物とは別人だと証明すれば、もしかしたらここから解放してくれるかもしれないし......可能性は限りなく0に近いけど。
ダークソウルには連れ去られなかったけど、これはこれで厄介な人達に連れ去られてしまったなと、己の不幸を呪ってしまう。
はぁ......助けてよ......ヴァル。
0
あなたにおすすめの小説
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました
放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。
だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。
「彼女は可哀想なんだ」
「この子を跡取りにする」
そして人前で、平然と言い放つ。
――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」
その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。
「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」
勝手にサインしろと仰いましたので、廃嫡書類に国璽を押して差し上げました
鷹 綾
恋愛
「確認? 面倒だ。適当にサインして国璽を押しておけ」
そう言ったのは、王太子アレス。
そう言われたのは、公爵令嬢レイナ・アルヴェルト。
外交も財政も軍備も――
すべてを裏で処理してきたのは彼女だった。
けれど功績はすべて王太子のもの。
感謝も敬意も、ただの一度もない。
そして迎えた舞踏会の夜。
「便利だったが、飾りには向かん」
公開婚約破棄。
それならば、とレイナは微笑む。
「では業務も終了でよろしいですね?」
王太子が望んだ通り、
彼女は“確認”をやめた。
保証を外し、責任を返し、
そして最後に――
「ご確認を」と差し出した書類に、
彼は何も読まずに署名した。
国は契約で成り立っている。
確認しない者に、王の資格はない。
働きたくない公爵令嬢と、
責任を理解しなかった王太子。
静かな契約ざまぁ劇、開幕。
---
[完結]7回も人生やってたら無双になるって
紅月
恋愛
「またですか」
アリッサは望まないのに7回目の人生の巻き戻りにため息を吐いた。
驚く事に今までの人生で身に付けた技術、知識はそのままだから有能だけど、いつ巻き戻るか分からないから結婚とかはすっかり諦めていた。
だけど今回は違う。
強力な仲間が居る。
アリッサは今度こそ自分の人生をまっとうしようと前を向く事にした。
断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜
深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。
処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。
なぜなら彼女は――
前世で“トップインフルエンサー”だったから。
処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。
空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。
処刑台は舞台へ。
断罪はエンタメへ。
悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。
これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
2度死んだ王子は今度こそ生き残りたい
緑緑緑
ファンタジー
王太子ロイは、かつて二度の革命によって祖国を崩壊させてしまった過去を持つ。命を落とすたび、彼はある時点へと巻き戻される。そして今、三度目の人生が静かに幕を開けようとしていた。
――自分は民を理解しているつもりだった。
だが実際には、その表面しか見えていなかったのだ。
その痛烈な自覚から、物語は動き始める。
革命を回避するために必要なのは、制度でも権力でもない。「人を知る」ことこそが鍵だと、ロイは気付く。
彼はエコール学園での生活を通じ、身分も立場も異なる様々な人間と深く関わっていく。
そこで出会う一人ひとりの想いと現実が、やがて国の未来を大きく左右していくことになるとは、この時のロイはまだ知らない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる