グランストリアMaledictio

ミナセ ヒカリ

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第9章 【深海の龍王】

第9章4 【不思議な世界】

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 籠城場所を探し始めてから小一時間。この街は広いが、俺達の理想ーー食料及び物資が豊富で、尚且つ敵からの侵入を受け付けにくい場所ーーに合うような建物はこれといって見つからなかった。

 現状、テッペンに『109』って書いてあるところが1番いいんじゃないかと思ってるが、入口がスカスカすぎて敵に気づかれると大変なことになるかもしれないと、今は保留状態にしている。

 俺はあそこが1番いいと思うけどな。無駄に広いってのがちょっとデメリットだが、それさえ目を瞑れば食いもんは置いてあったし、なんかよく分からねぇ機械がたくさん置いてあったし、何より家具屋なのか寝床もある。しかも、めっちゃフカフカしてるベッドだ。こんなところに来なけりゃ、絶対に体験できねぇ代物だぜ。

 それに、ネイの体力がもう限界に近いし、いつまでも選り好みしてる場合じゃないと思う。ヒカリも、薄々それは感じてるらしいが、余程諦めが悪いのか、中々決められないでいる。

 そうやってウロウロしてたからだろうな。敵さんが気づくには十分な時間だった。

ヴァル「あ......?水?」

 突然、上の方から水が一滴落ちてきた。何かと思って上を見上げてみると、そこにはこれまたデカすぎるシャチがいた。海から出たばかりなのか、全身がぐっしょりと濡れてる。

ヴァル「なぁ、あれなんだと思う?」

ヒカリ「シャチね。ウナギとタコ揃えたら海産物フォームになれるわよ」

 誰もそんなこと聞いてねえよ......

「立ち去れ。人間!」

 シアラのウォーターブラストみたいに、渦巻き状の水砲が俺達を襲ってきた。

ヴェルド「アイスシールド!」

 ヴェルドの盾で防ぎ、俺達は一目散に逃げ出す。

 あのカニ相手に攻撃が通用しなかったんだから、どうせこいつにも通用しねぇ!バカな俺でも、流石に散々注意されて2度目となりゃ学習するわ。

ヒカリ「ヴェルド!殿は任せたわよ!」

ヴェルド「はぁ!?んな事したら俺が死ぬわ!」

ヒカリ「死ぬ気で私達を守りなさい」

ヴェルド「あぁ!もう分かったよ!俺が死んだら、もれなくお前らも道連れだゴルァ!」

ヴァル「ネイ、乗れ!」

ネイ「へぁ......?」

 クソ、最近のこいつやたら素直じゃねぇんだよな。いつもなら、何も言わずにすぐおぶられてくれるのに、今のこいつは謎に拒否反応を示してる。

 だが、寝不足なこいつに抵抗できるほどの力はない。シロップを頭の上に乗せ、お姫様抱っこの形でこいつを担ぎ、俺は走り出す。

ネイ「抱っこなんて......恥ずかしいですよ......」

ヴァル「いいから、お前、もう寝てろ!」

 後ろの方からはシャチだけじゃなく、ウナギとタコーーもちろんデカいーーも追いかけてきていた。スゲー!シャ○タコンボの完成だ!

ヴェルド「おいおいおいおい!流石に防ぎきれねぇぞ!」

ヒカリ「もういいわ!諦めてシブヤ109に駆け込みましょう!」

グリード「おい、今の段階であそこに駆け込むのはまずいんじゃねぇのかァ?」

 そうだそうだ。敵にバレてないならまだしも、敵にバレてる状況で逃げ込めば、もれなく蜂の巣にされるって言ってたじゃねぇか。

ヒカリ「なんとか、上手いことやってみせるわよ!いいから行きなさい!こいつらシャ○タコンボは私が止めてやるから!」

 180度後ろに回転し、ヒカリは3体の魚介類と対峙する。ん?シャチって魚介類だったっけ?まあいいや。

ヒカリ「ワールドメモリーズ起動!」

 あのコードみたいなのを大量に出現させ、あいつの体が光り輝いている。

 ......使えるようになってたんだな。

 ヒカリは2丁の拳銃を構え、魚介類共の目を確実に撃ち抜いていく。魔法とかでダメージを与えることはできねぇが、目潰しで時間稼ぎくらいはできるんだな。これは今後に役立ちそうな情報だ。

ヒカリ「今よ!」

ヴァル「おう!」

 建物の入口に飛び込もうとしたが、なんか透明な板に阻まれて、突入することが出来なかった。

ネイ「痛っ......」

ヴァル「わ、悪ぃ......」

 スカスカだと思ってた入口に、まさか見えねぇ壁があるとは思わないだろ。ごめん、ネイ。

ヒカリ「どきなさい!」

 いつものエネルギー弾じゃなく、実弾で透明な壁を撃ち抜いた。

ヒカリ「えい!」

 撃ち抜いた扉をヒカリが綺麗な足で蹴破り、俺達はすぐさまその中へと突入する。

 ......なんとか、逃げきれた......のか?

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

「ちっ、まさかあの場所に籠城されるとは......」

(すまねぇ。まさか、奴らが魔法以外に武器を持ってるとは思わなかった)

「......まあいいわ。今は彼らの自由にさせておきなさい。どうせ、奴らにこの深海で勝ち目などないのだから」

(了解)

「......誰にも、王子の幸せを邪魔させない」

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

ヴァル「あ゛ー、なんとか逃げきれたー......のか?」

ヒカリ「もう大丈夫よ。敵さんも、なんの情けか引いてくれてるし」

グリード「それって、仲間を引き連れて強行突破を図ろうとしてるだけなんじゃねぇのかァ?」

ヒカリ「さあね。でも、一応結界を張っておいたからしばらくは大丈夫だと思うわ」

 えぇ......なんか信用出来ねぇな......。

ヒカリ「とりあえず、まずは食料の確保からよ。幸い、この建物内には物資が豊富にあるみたいだし、使えそうなものを集めてきましょ」

 というわけで、俺達は各々が使えそうなものを探しに、この巨大な......商店街?の散策を始めた。道中、例のベッドがある場所を再発見したので、そこにネイを寝かせておくことも忘れずに。

 飯に関しては、摩訶不思議なもんしかなかったな。飲食店らしきところには一切の食料が置いてなかったが、食料品を取り扱う店なのかどうかは知らないが、それらしきところにはたくさんの食料が置いてあった。

 変なロゴの文字が印刷された袋の中に、なんだかよく分からねぇ......というか、食えんのか?これ?と思った食べ物がたくさんあったが、案外食えるなと思って何個か手持ちに加えた。あとでヴェルドとかに食わせてみよ。

 そんなこんなで軽い散策を終え、再び1階の広間に集まった。

ヒカリ「あら?ネイはどこに置いてきたのかしら?」

ネイ「途中で手頃なベッドを見つけてな。そこで寝かしてる。シロップもいるし、とりあえず大丈夫だろう」

ヒカリ「ふ~ん?まあいいわ。で、手に持ってる色とりどりのお菓子袋は何?」

 パッと見で菓子袋だって分かるんだな。流石、この世界の存在を知っていただけある。

ヴァル「途中でいい感じの食いもん見つけた。ヴェルド、ちょっと食ってみろよ」

ヴェルド「えぇ......そんな怪しいもん胃袋に入れたくねぇよ」

グリード「......おっ、意外といけんなァ。酒のツマミに丁度いいぜェ」

 ヴェルドが食うより先にグリードが口に運んでいた。

グリード「揚げ芋か......こうやって薄切りにして揚げると、かなり美味くなるんだなァ。こりゃいいもん見つけたなァ」

ヴァル「だろ?」

 グリードは予想以上に気に入ってくれたみたいだ。ヴェルドはずっと怪しげな目をしているが、渋々と口に1口入れてみた。

ヴェルド「ん......これは......意外と美味い!」

 こんな、どう見ても怪しさしかねぇ食い物を、この世界の人間は平気で食ってんだなぁ。やっぱ、住む世界、住む場所によって文化って変わるもんなんだなとしみじみ思う。

ヒカリ「......まあいいわ。食べ物が普通にあるっていうのは籠城するのに適してる場所ってことね。あとは......」

シアラ「何だかここって、服屋さんがよくある場所ですよね~。しかも、色とりどりで派手なものばかり。シアラにあんなの似合いそうにありません」

 それ、今言わなきゃいけない情報か?

ヒカリ「......」

ヴァル「どうした?なんか足りねぇもんでもあるのか?」

ヒカリ「いやね、ここ無駄に広いし、その割には機械類がたくさん置いてある商店が無いのよね......」

ヴァル「それがどうかしたか?」

ヒカリ「いや、ここって深海だから、一応それなりの装備を作ろうと思ったんだけど、選ぶ場所間違えちゃったわね......」

 なるほど。それが、ここを見つけても渋ってた理由か。確かに、こいつが好みそうな機械類の商店は見かけなかったしな。あるのは、9割型服屋......なんだこの変な商店街。そんなに服屋揃えて何になるんだよ......

 まあ、この世界の人間の感覚なんて俺達には分からねぇ。文化の違い。そういう事にしとこう。

ヒカリ「......そういえばエフィは?」

ヴァル「ああ。あいつなら、俺が家具屋見つけるよりも先にあの場所見つけて寝てたな」

ヒカリ「そう......まあいいわ。今日はもう寝て、明日からに備えましょう」

ヴァル「そうだな。俺も若干眠くなってきたわ」

 空はまだまだ明るいが、眠気さえあれば簡単に寝れるだろう。

ヴァル「よし、じゃあ俺の後について来い」

 一歩踏み出しかけたその時、あたりが急に真っ暗になった。

「「「 ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!! 」」」

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

セリカ「......ってて......」

 突然、あたりが光出して、気がつけば青く暗い空間に放り出されていた。というより、ベッドの上に優しく寝かせられていたのかな?

 あたりには誰もいない。私を捕らえたにしては、随分と監視がユルユルだなと思う。しかし、これはチャンス。今のうちに逃げ出してやる。

セリカ「あだっ!」

 と思ったのも束の間、自分の服に引っかかって盛大に転んでしまった。

セリカ「何よこれ......」

 なーんか貴族のお嬢様がよく着てそうなヒラヒラのスカートだなぁ。それに、上の方もゼイラ王女を彷彿とさせるような綺麗な仕上がりのドレス。多分だけど、ネイりんも同じ状況を味わってた気がする。

 久しくこんなドレスを着ていなかったけど、ヒラヒラしたスカートの部分は基本的に破りやすくなっている。というわけでビリビリビリ~......って切れないじゃん!何これ!

「お目覚めですか。プリンセス」

セリカ「ひゃっ!」

 瞬きの間に、忽然と女の龍人が私の前に現れた。

 えーっと、確かレイアだったっけ?

レイア「その服、引きちぎろうとしていましたが、お気に召されませんでしたか?」

セリカ「へっ!......あー、いやー......」

 逃げようと思って引きちぎろうとしたなんて言えないなぁ......

セリカ「う、動きにくいなぁってちょっと動きやすくしようとしただけだよ......」

 うわぁ......めっちゃ睨んでくる。怖っ......

レイア「......分かりました。今すぐにスカートの丈が低いものへと変えます」

セリカ「ひゃっ!」

 体の周りが突然水に包まれ、若干の冷たさを感じたすぐ後には別の服装へと変えられていた。

 スカートの丈は短くなってて、派手な飾りも幾つかは無くなっている。これなら、私が気負う必要もなくなるって違う、そうじゃない。

レイア「お腹は空いていませんか?」

セリカ「え?いや......別に......」

レイア「そうですか。なら、王子がお待ちです。こちらへ」

 レイアが進んだ先の壁が扉へと変わり、一切出口のなかったこの部屋に、別の場所に行くための道が切り開かれる。

レイア「こちらへ」

 逃げ出すなんて到底無理だし、ここは大人しく言うことを聞いた方がいいな。それに、ライトとか言ってた王子に、私が目的の人物とは別人だと証明すれば、もしかしたらここから解放してくれるかもしれないし......可能性は限りなく0に近いけど。

 ダークソウルには連れ去られなかったけど、これはこれで厄介な人達に連れ去られてしまったなと、己の不幸を呪ってしまう。

 はぁ......助けてよ......ヴァル。
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