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第10章-Ⅱ 【記憶の旅人】
第10章41 【記憶の物語】
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「なぜだ......有り得ない。有り得るわけがない」
奴が、月下美人の花畑の方を向いてそう呟く。
月下美人の花畑の中心では、涙を流し、壊れたはずのネックレスを握りしめる少女がいる。
「なぜ......なぜだ。あなたが、この状況で復活を遂げるはずがない。そんな未来、どこにも存在しない」
あんなに残虐非道だった男が震えている。でも、私達は、いや、私は涙を流している。
やっと帰ってきてくれた......。やっと助けに来てくれた。それが嬉しくて嬉しくてたまらない。
「......しかし、両足は無く、右腕もない。ならば、その心臓を止めるまで!」
奴が光の刃を作り出し、ネイりんがいる花畑にまで急接近する。しかし、花畑に足を踏み入れようとした瞬間、何かに弾かれ、奴は遠くに吹き飛ばされた。
ネイ「......欲望を抱き、欲望に忠実に生き、欲望のままに動き」
月下美人の花弁が、ネイりんの欠けた両足を型どり、月の光に照らされて元の人間の形を作り出した。
ネイ「欲の赴くままに眠り、欲の赴くままに食べ、欲の赴くままに好きなことを好きなだけする」
再形成された足で立ち上がり、ネイりんはゆっくりと奴が吹き飛んでいった方向に足を進める。その途中、ネイりんが1歩を踏む度に、月下美人の花畑が広がり、その花畑の中に入った人達の傷が癒されていった。それは、死者も例外ではない。アルフレア、デルシアといった、黒月、創真の国王から、その部下達である者も含め、味方となる人々全員が生き返った。皆、己は死んだはず?とばかりにキョトンとしているが、ゆっくりと足を進めるネイりんの姿を見て、全員が息を呑んだ。
ネイ「欲望は人を型どり、欲望は人を生かし、欲望は人と人とを結ぶ」
ネイりんは、歩く道中、放り投げられた剣も回収し、それにも月下美人の花弁をまとわりつかせて再生させる。そして、私達の前にまで歩み出た時、欠けていた右腕を再生させた。付け加えて言うなら、おかしな紋章が右手の甲に刻まれていた。
ネイ「強欲に生き、貪欲に生き、欲しいものは全て己の物とする。それが、強欲である証明」
最後に、手足の切断と共にボロボロになった服装が元に戻り、ネイりんは剣を地面に突き刺して、ゆっくりと顔を上げた。それと同時に頭から角が生え、羽が龍の羽へと変貌し、尻尾を生やして、その様は、どこからどう見ても私達と出会った時のネイそのものであった。
ネイ「私は欲する。今をやり直す時間を」
世界が止まった。
暴れていた赤装束達の動きが完全に止まり、風の流れもなくなった。そして、月下美人の花畑がこの平原一帯に広がり、私やユミ、ヒカリんやヴェルドといった仲間達の傷が全て治され、いや、怪我を負った時間を無かったことにされ、最後に首を切断されたはずのヴァルまでもが生き返った。
ヴァル「ゲホッゲホッ......一体、何が......」
ネイ「私よりお寝坊さんは酷いですよ」
ヴァル「......!ネイ!」
亡霊でも見たかのような目でヴァルがすぐさまネイりんの元へと駆け寄る。
ユミ「......どうやら、やったみてぇじゃねぇか」
セリカ「うん......ネイりんが、帰ってきた」
ネイりんの元に駆け寄ったのはヴァルだけだけど、皆が皆して涙ぐんだ目でネイりんを見ていたのが分かった。それだけ、皆がネイりんに期待を寄せていたのだろう。
ヴァル「ネイ......もう、大丈夫なのか?」
ネイ「見て分かりませんか?」
ヴァル「......いや、そうじゃなくて......」
ネイ「もう大丈夫です。もう、何もかも思い出して、もう、全てを乗り越えましたから。だから、後の事は全部私に任せてください。強欲に生き、貪欲に勝利をもぎ取るのが、今の私です」
ヴァル「............だが」
ネイ「心配性ですね、ヴァルは。でも、本当に大丈夫ですから。全ての時間は私の物。私があいつを倒して、この戦いに終止符を打ちます!」
月下美人の花弁が、ネイりんの右手に長身の塊を作り出した。
ネイ「夜月の剣。それではまた、少し先の時間で」
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
月下美人の花畑が広がり続け、私は、私を奪っていった奴のところにまで歩み寄った。
「やめろ......その目で私を見るな!」
先程までの事は全て知っている。その記憶を辿るに、今のこいつは、こいつらしくない。それほどまでに復活した私が怖いのか。いや、怖いとかそういうのではないのだろう。自分の描いたシナリオから外れる。予測のつかない事態が発生し、奴はどうすればいいのかが分からなくなっている。
未来予知とかいう不完全な能力を使い、ここまで友を傷つけてきたことに私は激怒している。許さない。許してやるもんか。
ネイ「舞え!花達!」
夜月の剣を振り、周りに咲く月下美人の花々が蛇腹剣のような形を作って奴に攻撃を浴びせる。
「っ......ア゛っ!」
最初の一振は奴の両腕を奪った。だけど、千切れたはずの腕はすぐに再生される。不老不死とはよく言ったものだ。こんなの、ただのバケモノじゃないか。私が言えることではないのだけれど。
ゼラ(奴の再生力はフェノンをすら超えています。どうするつもりですか?ネイさん)
私にだけ見えるゼラの亡霊が、私にそう語りかけてくる。
ネイ「そんなもの、決まってる。再生が追いつかないまでに徹底的に攻撃し続ける!」
花々の蛇腹剣を使えば、ここから移動することなく遠距離からちまちま攻撃できる。それだけでも絶大な威力を誇るが故に倒せそうだけど、やっぱりあの再生力は無視できない。
ネイ「......ゼラ、力を貸してくれる?」
ゼラ(もちろんです)
ゼラが私に憑依する。龍王達と違って、意識までもを変えに来るわけじゃない。ただ力を貰うだけ。継承の方が言い方としては合ってるかな?
「くっ......そっ......なぜだ。なぜなんだ!私の計画は完璧だったはず!」
ネイ「完璧すぎたが故に、たった一つの不都合ですら対応できなくなったか......呆れるわい」
「呆れですと......?あなたさえいなければ、全てが都合よく進んだ!お前さえいなければ、私はこの世界諸共消えることが出来た!お前はなんなんだ......なぜ、心の壊れたお前が復活出来た!有り得ない。有り得るわけがない!」
なんともまあ、無様なものだ。私1人が復活したくらいで、よくもまあ、あんなに取り乱れることが出来るものだ。それだけ、奴が私を恐れているということなのであろう。何が原因かは知らんが。
ネイ「私の名前はネイ!強欲の魔女、ネイ・ゼグラニルだ!」
「......強欲の......魔女......だと?」
ネイ「この世にあるもの全ては妾のもの!武器も、財宝も、幸せも、人々から受ける愛だって、全て妾のもの!」
私は強欲に生き、貪欲に勝利をもぎ取る。守りたいと願ったものは全て守る。妥協など許さない。許してやるもんか。私が欲したものは全て私のものとなる。これが強欲。強欲の権限。
ネイ「全てを守りきってやる!神器・強欲の杯!」
この世に存在する神器、そして、物語の中にのみ存在する神器を全て私の本棚の中へと集める。その中には、シンゲンやアルフレアが使っていた神器から、アーサー王伝説に登場するエクスカリバーなど、ありとあらゆる能力を秘めた神器がある。まあ、神器という名前が付いている時点で全て特殊なものなのだが。
夜月の剣を地面に突き刺し、呼び出した神器の1つを手に握る。これは、デルシアが使っていた創世の剣。本来なら、創世の女神専用の装備だったはずのもの。どのようにして手に入れたのかは知っている。私が、この先の未来で何をすればいいのかも知っている。その未来を描くためにも、私はここで負けない。負ける未来は全て排除する。
ネイ「創世の未来・グランコネクト!」
創世の剣の権限を利用し、私は世界の書庫全権限が利用出来る現在へと時間を変える。これにより、ワールドメモリーズを使わなくとも全ての情報を見ながら戦うことができ、更には創界神専用の権限であるグランスキルとグランフィールドの自由展開を可能とさせる。
おまけで、ゼラがずっと傍に居ることを常に自覚させるべく、髪の毛をゼラと同じ金髪に変える。セリカの金髪は、普通の西洋人って感じがしたけど、私が金髪にすると、それとはちょっと違ったイメージを客観的に持てる。言うなれば、"王"と言ったところかな?まあ、私が咲かせている月下美人も、別名夜の女王と呼ばれるくらいだし、今の私にはピッタリすぎる状況だろう。
△▼△▼△▼△▼
「綺麗な花ですねー」
「月下美人じゃな。満月か新月の夜にしか咲かんし、どんなに頑張って育てても、精々年に2回咲くのが限界じゃ」
「へぇー......じゃあ、私って、かなり貴重なもの見てます?」
「そうじゃな。と言っても、月下美人は咲く時期が一瞬ってだけで、誰でも育てることは出来る。まあ、綺麗に咲いてくれるかは、ちと運が必要じゃがな」
「ふーん......。月の花だなんて、正にヨミさんにピッタリですねー」
「......?どういう事じゃ?」
「だって、ヨミさんも満月か新月の日はめちゃくちゃ元気じゃないですかー。私知ってるんですよ?月に2回、ヨミさんが夜な夜な出歩いているのを」
「なっ、お、お主!それはどこで知ったんじゃ!」
「知るも何も、寝てる部屋同じなんですから分かりますよー。はい、これ」
「?なんじゃ、これは」
「今、この花をモデルにして髪飾りを作ってみました。材料はこの世界全ての中から選んだ良質なものです」
「相変わらず便利な能力じゃのう......世の錬金術師が見たら、マジで喉から手が出るほどに欲しい能力じゃな」
「えへへー。で、ヨミさん似合ってますよ、月下美人!」
「......そ、そうか......なら、もう少しだけ着けておくか......」
△▼△▼△▼△▼
......そうだ。あの髪飾りも再生しよう。あれは、ゼラから貰った、たった一つの贈り物だ。それを再生せず、強欲の魔女は名乗れない。
花弁を左前髪に取り付かせ、蕾から開花したかのような動きをしてあの髪飾りが出来上がる。うん、これで良し。
「クソっ!憤怒の呪い!」
ネイ「神器・エクスカリバー!」
エクスカリバーを鞘ごと呼び出し、奴がかけようとした呪いにぶつける。
「なっ......!」
ネイ「エクスカリバーそのものは強い神器ですが、エクスカリバーを収めるための鞘には特殊な力がありましてね。全ての攻撃を受け付けないんですよ。これ、結構有名な話です」
「ならば!」
何をとち狂ったか、奴は光の刃を大量に作り出し、刃と共にこちらに突進してくる。
ネイ「強欲の杯に収まる神器は無限大じゃ!かかれぇ!」
具現化された世界の書庫の本から、ありとあらゆる神器を呼び出して敵の攻撃にぶつける。これぞ百発百中。全てを打ち落とした。
「くっ......」
ネイ「私に近づこうとしても無駄です。ご覧の通り、神器はまだまだありますから。まあ、まだまだと言っても、呼び出したものは全て整理整頓して本棚に戻すので、実質無限なんですけどね。それに比べて、あなたの魔法はどうでしょうか?」
「......私も、世界に恐れられた魔導士だ。お前に近づくまでのマナなら十分に蓄えてある」
ネイ「そうですか。では、強欲の権限を使いましょう」
花弁を辺りへと撒き散らす。
ネイ「この世にある全ての魔法は私のもの。ちょっと世界が大変なことになりますけど、あなたの好きにさせないためにはこれしかないでしょう」
この世界に存在するマナというマナを全て掻き集め、私の手のひらの上で凝縮させる。この世界、特にグランアークなんかはマナに頼りきりの生活をしているから、今この瞬間の世界は大変なことになっているだろう。とかそんな呑気なことを考えつつ、はて?集めたマナをどう使おうかと考える。
よくよく考えれば、これだけ集めたところで、今の私は世界の書庫との常時接続により魔法は使いたい放題。更に、それにプラスして、世界のありとあらゆる神器を使えるし、なんなら時間さえも好き勝手に操れる。どうせ奴に魔法を使わせたところで、私に当たった攻撃は全て無かったことになるんだし、なんで集めたんだろう?まあいいや。集めたのなら集めたので、ちょっと面白いことを試してみようか。
ネイ「強欲の魔法に溺れろ。グランスキル・エデン」
奴が、月下美人の花畑の方を向いてそう呟く。
月下美人の花畑の中心では、涙を流し、壊れたはずのネックレスを握りしめる少女がいる。
「なぜ......なぜだ。あなたが、この状況で復活を遂げるはずがない。そんな未来、どこにも存在しない」
あんなに残虐非道だった男が震えている。でも、私達は、いや、私は涙を流している。
やっと帰ってきてくれた......。やっと助けに来てくれた。それが嬉しくて嬉しくてたまらない。
「......しかし、両足は無く、右腕もない。ならば、その心臓を止めるまで!」
奴が光の刃を作り出し、ネイりんがいる花畑にまで急接近する。しかし、花畑に足を踏み入れようとした瞬間、何かに弾かれ、奴は遠くに吹き飛ばされた。
ネイ「......欲望を抱き、欲望に忠実に生き、欲望のままに動き」
月下美人の花弁が、ネイりんの欠けた両足を型どり、月の光に照らされて元の人間の形を作り出した。
ネイ「欲の赴くままに眠り、欲の赴くままに食べ、欲の赴くままに好きなことを好きなだけする」
再形成された足で立ち上がり、ネイりんはゆっくりと奴が吹き飛んでいった方向に足を進める。その途中、ネイりんが1歩を踏む度に、月下美人の花畑が広がり、その花畑の中に入った人達の傷が癒されていった。それは、死者も例外ではない。アルフレア、デルシアといった、黒月、創真の国王から、その部下達である者も含め、味方となる人々全員が生き返った。皆、己は死んだはず?とばかりにキョトンとしているが、ゆっくりと足を進めるネイりんの姿を見て、全員が息を呑んだ。
ネイ「欲望は人を型どり、欲望は人を生かし、欲望は人と人とを結ぶ」
ネイりんは、歩く道中、放り投げられた剣も回収し、それにも月下美人の花弁をまとわりつかせて再生させる。そして、私達の前にまで歩み出た時、欠けていた右腕を再生させた。付け加えて言うなら、おかしな紋章が右手の甲に刻まれていた。
ネイ「強欲に生き、貪欲に生き、欲しいものは全て己の物とする。それが、強欲である証明」
最後に、手足の切断と共にボロボロになった服装が元に戻り、ネイりんは剣を地面に突き刺して、ゆっくりと顔を上げた。それと同時に頭から角が生え、羽が龍の羽へと変貌し、尻尾を生やして、その様は、どこからどう見ても私達と出会った時のネイそのものであった。
ネイ「私は欲する。今をやり直す時間を」
世界が止まった。
暴れていた赤装束達の動きが完全に止まり、風の流れもなくなった。そして、月下美人の花畑がこの平原一帯に広がり、私やユミ、ヒカリんやヴェルドといった仲間達の傷が全て治され、いや、怪我を負った時間を無かったことにされ、最後に首を切断されたはずのヴァルまでもが生き返った。
ヴァル「ゲホッゲホッ......一体、何が......」
ネイ「私よりお寝坊さんは酷いですよ」
ヴァル「......!ネイ!」
亡霊でも見たかのような目でヴァルがすぐさまネイりんの元へと駆け寄る。
ユミ「......どうやら、やったみてぇじゃねぇか」
セリカ「うん......ネイりんが、帰ってきた」
ネイりんの元に駆け寄ったのはヴァルだけだけど、皆が皆して涙ぐんだ目でネイりんを見ていたのが分かった。それだけ、皆がネイりんに期待を寄せていたのだろう。
ヴァル「ネイ......もう、大丈夫なのか?」
ネイ「見て分かりませんか?」
ヴァル「......いや、そうじゃなくて......」
ネイ「もう大丈夫です。もう、何もかも思い出して、もう、全てを乗り越えましたから。だから、後の事は全部私に任せてください。強欲に生き、貪欲に勝利をもぎ取るのが、今の私です」
ヴァル「............だが」
ネイ「心配性ですね、ヴァルは。でも、本当に大丈夫ですから。全ての時間は私の物。私があいつを倒して、この戦いに終止符を打ちます!」
月下美人の花弁が、ネイりんの右手に長身の塊を作り出した。
ネイ「夜月の剣。それではまた、少し先の時間で」
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
月下美人の花畑が広がり続け、私は、私を奪っていった奴のところにまで歩み寄った。
「やめろ......その目で私を見るな!」
先程までの事は全て知っている。その記憶を辿るに、今のこいつは、こいつらしくない。それほどまでに復活した私が怖いのか。いや、怖いとかそういうのではないのだろう。自分の描いたシナリオから外れる。予測のつかない事態が発生し、奴はどうすればいいのかが分からなくなっている。
未来予知とかいう不完全な能力を使い、ここまで友を傷つけてきたことに私は激怒している。許さない。許してやるもんか。
ネイ「舞え!花達!」
夜月の剣を振り、周りに咲く月下美人の花々が蛇腹剣のような形を作って奴に攻撃を浴びせる。
「っ......ア゛っ!」
最初の一振は奴の両腕を奪った。だけど、千切れたはずの腕はすぐに再生される。不老不死とはよく言ったものだ。こんなの、ただのバケモノじゃないか。私が言えることではないのだけれど。
ゼラ(奴の再生力はフェノンをすら超えています。どうするつもりですか?ネイさん)
私にだけ見えるゼラの亡霊が、私にそう語りかけてくる。
ネイ「そんなもの、決まってる。再生が追いつかないまでに徹底的に攻撃し続ける!」
花々の蛇腹剣を使えば、ここから移動することなく遠距離からちまちま攻撃できる。それだけでも絶大な威力を誇るが故に倒せそうだけど、やっぱりあの再生力は無視できない。
ネイ「......ゼラ、力を貸してくれる?」
ゼラ(もちろんです)
ゼラが私に憑依する。龍王達と違って、意識までもを変えに来るわけじゃない。ただ力を貰うだけ。継承の方が言い方としては合ってるかな?
「くっ......そっ......なぜだ。なぜなんだ!私の計画は完璧だったはず!」
ネイ「完璧すぎたが故に、たった一つの不都合ですら対応できなくなったか......呆れるわい」
「呆れですと......?あなたさえいなければ、全てが都合よく進んだ!お前さえいなければ、私はこの世界諸共消えることが出来た!お前はなんなんだ......なぜ、心の壊れたお前が復活出来た!有り得ない。有り得るわけがない!」
なんともまあ、無様なものだ。私1人が復活したくらいで、よくもまあ、あんなに取り乱れることが出来るものだ。それだけ、奴が私を恐れているということなのであろう。何が原因かは知らんが。
ネイ「私の名前はネイ!強欲の魔女、ネイ・ゼグラニルだ!」
「......強欲の......魔女......だと?」
ネイ「この世にあるもの全ては妾のもの!武器も、財宝も、幸せも、人々から受ける愛だって、全て妾のもの!」
私は強欲に生き、貪欲に勝利をもぎ取る。守りたいと願ったものは全て守る。妥協など許さない。許してやるもんか。私が欲したものは全て私のものとなる。これが強欲。強欲の権限。
ネイ「全てを守りきってやる!神器・強欲の杯!」
この世に存在する神器、そして、物語の中にのみ存在する神器を全て私の本棚の中へと集める。その中には、シンゲンやアルフレアが使っていた神器から、アーサー王伝説に登場するエクスカリバーなど、ありとあらゆる能力を秘めた神器がある。まあ、神器という名前が付いている時点で全て特殊なものなのだが。
夜月の剣を地面に突き刺し、呼び出した神器の1つを手に握る。これは、デルシアが使っていた創世の剣。本来なら、創世の女神専用の装備だったはずのもの。どのようにして手に入れたのかは知っている。私が、この先の未来で何をすればいいのかも知っている。その未来を描くためにも、私はここで負けない。負ける未来は全て排除する。
ネイ「創世の未来・グランコネクト!」
創世の剣の権限を利用し、私は世界の書庫全権限が利用出来る現在へと時間を変える。これにより、ワールドメモリーズを使わなくとも全ての情報を見ながら戦うことができ、更には創界神専用の権限であるグランスキルとグランフィールドの自由展開を可能とさせる。
おまけで、ゼラがずっと傍に居ることを常に自覚させるべく、髪の毛をゼラと同じ金髪に変える。セリカの金髪は、普通の西洋人って感じがしたけど、私が金髪にすると、それとはちょっと違ったイメージを客観的に持てる。言うなれば、"王"と言ったところかな?まあ、私が咲かせている月下美人も、別名夜の女王と呼ばれるくらいだし、今の私にはピッタリすぎる状況だろう。
△▼△▼△▼△▼
「綺麗な花ですねー」
「月下美人じゃな。満月か新月の夜にしか咲かんし、どんなに頑張って育てても、精々年に2回咲くのが限界じゃ」
「へぇー......じゃあ、私って、かなり貴重なもの見てます?」
「そうじゃな。と言っても、月下美人は咲く時期が一瞬ってだけで、誰でも育てることは出来る。まあ、綺麗に咲いてくれるかは、ちと運が必要じゃがな」
「ふーん......。月の花だなんて、正にヨミさんにピッタリですねー」
「......?どういう事じゃ?」
「だって、ヨミさんも満月か新月の日はめちゃくちゃ元気じゃないですかー。私知ってるんですよ?月に2回、ヨミさんが夜な夜な出歩いているのを」
「なっ、お、お主!それはどこで知ったんじゃ!」
「知るも何も、寝てる部屋同じなんですから分かりますよー。はい、これ」
「?なんじゃ、これは」
「今、この花をモデルにして髪飾りを作ってみました。材料はこの世界全ての中から選んだ良質なものです」
「相変わらず便利な能力じゃのう......世の錬金術師が見たら、マジで喉から手が出るほどに欲しい能力じゃな」
「えへへー。で、ヨミさん似合ってますよ、月下美人!」
「......そ、そうか......なら、もう少しだけ着けておくか......」
△▼△▼△▼△▼
......そうだ。あの髪飾りも再生しよう。あれは、ゼラから貰った、たった一つの贈り物だ。それを再生せず、強欲の魔女は名乗れない。
花弁を左前髪に取り付かせ、蕾から開花したかのような動きをしてあの髪飾りが出来上がる。うん、これで良し。
「クソっ!憤怒の呪い!」
ネイ「神器・エクスカリバー!」
エクスカリバーを鞘ごと呼び出し、奴がかけようとした呪いにぶつける。
「なっ......!」
ネイ「エクスカリバーそのものは強い神器ですが、エクスカリバーを収めるための鞘には特殊な力がありましてね。全ての攻撃を受け付けないんですよ。これ、結構有名な話です」
「ならば!」
何をとち狂ったか、奴は光の刃を大量に作り出し、刃と共にこちらに突進してくる。
ネイ「強欲の杯に収まる神器は無限大じゃ!かかれぇ!」
具現化された世界の書庫の本から、ありとあらゆる神器を呼び出して敵の攻撃にぶつける。これぞ百発百中。全てを打ち落とした。
「くっ......」
ネイ「私に近づこうとしても無駄です。ご覧の通り、神器はまだまだありますから。まあ、まだまだと言っても、呼び出したものは全て整理整頓して本棚に戻すので、実質無限なんですけどね。それに比べて、あなたの魔法はどうでしょうか?」
「......私も、世界に恐れられた魔導士だ。お前に近づくまでのマナなら十分に蓄えてある」
ネイ「そうですか。では、強欲の権限を使いましょう」
花弁を辺りへと撒き散らす。
ネイ「この世にある全ての魔法は私のもの。ちょっと世界が大変なことになりますけど、あなたの好きにさせないためにはこれしかないでしょう」
この世界に存在するマナというマナを全て掻き集め、私の手のひらの上で凝縮させる。この世界、特にグランアークなんかはマナに頼りきりの生活をしているから、今この瞬間の世界は大変なことになっているだろう。とかそんな呑気なことを考えつつ、はて?集めたマナをどう使おうかと考える。
よくよく考えれば、これだけ集めたところで、今の私は世界の書庫との常時接続により魔法は使いたい放題。更に、それにプラスして、世界のありとあらゆる神器を使えるし、なんなら時間さえも好き勝手に操れる。どうせ奴に魔法を使わせたところで、私に当たった攻撃は全て無かったことになるんだし、なんで集めたんだろう?まあいいや。集めたのなら集めたので、ちょっと面白いことを試してみようか。
ネイ「強欲の魔法に溺れろ。グランスキル・エデン」
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