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最終章 【創界の物語】
最終章1 【神々の動乱】
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君達は、この世界に存在する神がただ1人だけだと思っているだろうか?だとしたら、それは勘違いも甚だしいことだ。
まあ、勘違いとは言ったが、あながち間違った話でもない。"この世界"だけに囚われて話をすればね。
この世界に存在する神。それは、僕を含めたネイから生まれた全ての存在が該当する。ユミ、ヒカリ、ラナ、ネイ。そして、ツクヨミだ。そして、君達が知らないところに、別の"神"がいる。
なぜ、僕が今更になってこんな記述を遺したのか。それは、多分ここまでを読み進めてきたのならきっと理解してるのではないだろうか?
そう、ここからが僕が進めなかった先の未来さ。君がどういった記述を遺すのかは分からない。でも、今の君になら、いや、君達になら、この先を描いていけると信じているよ。
ーー親愛なる"君"より。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
「どうしても、無理と言うんじゃな……」
私は、白くて暗い、黒くて明るい、矛盾だらけの空間で、目の前に佇む男、いや、神『ゼウス』にそう投げかける。
ゼウス「何度も話し合ったことだ。お前の世界は危険だ。我らにとって、お前の世界が存在し続けることは、百害あって一利なしだ」
「ちっ……」
……私は、私の世界を守るために他の世界の創界神に和解を求めた。しかし、それは失敗に終わった。
ヒカリ・ラグナロクと名乗った男の存在。それは、私の世界だけに影響を与えた者ではなかった。奴は、どうやったのかは知らんが、先代が管轄していた世界以外に手を伸ばし、神をも恐れぬ所業をしてきた。それに気づいたのは、自分の世界の歴史を正し始めてから900年余りが過ぎ去った時のことだった。
自分でやったことではないが、私の世界に生まれた奴の暴走を止められなかったことは、延いては私の責任という事になる。全く、面倒なことをしてくれたものだ。どうせ暴れるのなら、私の世界だけにしておいてほしい。そんなお願いをするのもおかしな話ではあるが。
ヘラ「責任を取れるってのなら話は別だけどぉ、あなたみたいなただただ長生きしてきただけの神様じゃぁ、そんなの無理でしょぉ?」
可愛らしい声を上げはするが、年齢は私より歳上のヘラがそう言う。ヘラとゼウス。ギリシャ神話を知ってる人なら分かるだろうけど、この2人はそれぞれ別の世界の神であるくせに夫婦である。まあ、自分が管理する世界の住人と結婚した私が言えることではないが。
ブラフマー「……」
アヌ「どうしました?ブラフマー。あなたらしくありませんね」
ブラフマー「……いや。俺は中立の立場で行こう」
ゼウス「珍しいな。お前ともあろう者が、よもや中立か」
ブラフマーはここに集まっている神の中でも、特に好戦的とされている。みんなが疑問を抱くのは当然のことだろう。でも、私からすれば、ブラフマーが引くのは不思議なことではない。なぜかと言うと、ブラフマーは強いが、私に対してだけは歯向かう手段が無いからである。
ここにいる奴らは、神と呼ばれるだけあって、全員が全員ぶっ飛んだ力を持った奴らである。私が時を操り、過去の事象を変えられるようにね。だけど、ブラフマーだけはそういったものがない。純粋な力だけで己の世界を守り続けてきた。その姿勢には感服するし、ここで引いてくれることに感謝はする。もし仮に、いざ攻めてきたのであれば、私は過去の事象を全て塗り替えて、ブラフマーを私の下僕とする。それが分かっているから、ブラフマーはここで引いた。
ただ、過去の事象を塗り替えて、それで有利になれるのはブラフマーが相手の時のみ。それ以外の神にはこの力が通用しない。
アヌ「私は、ゼウスらの意見に賛成です。ヨミさん。あなたの世界は危険です。本来なら、今この瞬間にでも攻め込んでしまいたいというのに、こんな無駄な会議を設けるものですから、無駄な時間を使ってしまうではありませんか」
「妾はお主らと争いたくないから、こうして会議の時間を設けた」
ゼウス「だが、それは何度も言ったように無理な話だ」
ヘラ「話がしたいのならぁ、実力で私達を倒すことね」
「……」
私は黙るしかなかった。下界とは違う。この空間においての私は、圧倒的下の地位に着く。力で従わせようにも、私の力は通用しない。
……歴史を修復しないことには、下界に戻っても矛盾が残ったままとなり不利になる。かといって、あと最短で100年もかかる修復作業を、今すぐに終わらせることは絶対に出来ない。
どうするべきか。対抗しようにも対抗出来ないこの状況が1番辛い。ヴァル達を守るためにも、私が何とかしないと……
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
ユミ「で、お前は諦めちまったと」
「諦めたとか言うな。1歩引いただけじゃ」
ユミ「それを諦めたって言うんだろ」
「ぐぬぬ……」
真っ白でひたすらに本棚が敷き詰められたこの空間。今では私の精神世界として存在しているが、それも一体いつまで持つことやら……
私の愚痴話を右から左へ流すようにして聞いたユミは、神との戦いなんて冗談じゃないといった具合に私の話をバカにしていた。でも、私がこの程度のことに嘘をつくとは思っておらず、僅かな震えを拳を握りしめることによって隠している。
ユミ「で、どうすんだ?本当に諦めちまうのか?」
「諦めるわけなかろう。ここで諦めて、妾達に何のメリットがある?」
ユミ「だよな。でも、相手はお前より格上。そんな奴が何も知らねぇアイツらのところに襲いかかったら……」
考えたくもない話だ。
もし仮に、私達が何の対抗手段も用意せず、このまま起きることをただただ見てるだけになった場合、まあ確実に妾の大事な人達が死ぬ。一瞬で殺されるか、それともネチネチ痛みを感じながら死ぬかは、ゼウス達の考え次第じゃな。
「……」
ユミ「どうするか……はぁー、ゼウス共をぶっ飛ばして無理矢理言う事聞かせられたら楽なんだがなぁ」
何ともユミらしい物騒な考えじゃが、正直なところ私もそれが出来たらと考えている。
「……1つ、策がある」
ユミ「何だ?」
「実は、ラナが残していったグラン・オブ・ストーリー。あれを全部読み終えた」
ユミ「マジで?未来を知ることになるからやめようって2人で決めたのにか?」
「うむ。流石に四の五の言ってられる状況ではないと思ってな」
ユミ「そっか……そうだよな。んで、策って?」
「妾達がここで過ごす100年は、向こうの世界で大体1ヶ月というのは分かっておるじゃろうか?」
ユミ「ああ。正確には83年くらいで1ヶ月だよな」
「……1ヶ月。向こうの世界には何とかして耐えてもらう」
私は、ユミと心を繋げて私が考えている作戦図を伝える。
ユミ「……」
「もちろん、ゼウス共が攻め込んできた際、1ヶ月耐えれるかどうかなんて目に見えて分かっておる話じゃ。じゃから、こちらからも現実を壊しすぎない範囲で妨害をする」
ユミ「……お前が考えてることは分かるが、出来んのか?」
「出来るかどうかなど知らん。やるだけじゃ」
ユミ「……分かった。お前の口車に乗ってやるよ」
「流石は、互いに以心伝心な関係の妾達じゃな」
ユミ「それ、この空間だけの話な」
……1ヶ月。いや、こちらの世界では100年。
私の手腕の見せどころ。私が愛した世界のために、私が好きになった人のために、私は私が持てる力の全てを出し尽くそう。そして、私が必ず世界を守る。
大丈夫。ここにはユミがいる。向こうの世界にはヴァルがいる。そして、ゼラが見守ってくれている気がする。
……
……
……
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
ブラフマー「……良かったのか。お前ら」
ヘラ「良かったってどういう意味かしらぁ?」
黒くて明るい、白くて暗い矛盾した空間から時の創界神が立ち去った。
俺はその背中を見て、ここにいる神共に問いかける。
ブラフマー「アイツを騙そうとすれば、今この空間で容易にできたはずだ。アイツは、俺達に対して常に心理を使っていた。でも、俺を除きお前らはそれを無効化させることができる。その力を利用し、アイツを嵌める事だって容易にできたはずだ。違うか?」
ゼウス「確かにそうかもしれん。心の奥底を隠し、言葉巧みに切羽詰まった創界神を騙すことは、我にとって簡単なこと。いや、お前を除いた全ての神なら余裕だろう」
ブラフマー「……」
ゼウス「だが、それで騙して何の意味がある?奴が安心して対抗手段を放棄するとでもか?そんなわけがない。心を隠した我らの言葉を、奴は信じないだろうな。となれば、大急ぎで準備を進める」
ブラフマー「結果は変わらないから、ということか……」
ゼウス「答えがまだまだ三流だブラフマー。正解は、奴は準備を進めるが、残された時間では何も出来ない。我らの侵攻をただただ受けて、絶望するだけだ」
ヘラ「ブラフマー。あなたもぉ、自分の世界を守りたかったらぁ、大人しく静観しておくかぁ、私達の味方になることね」
ブラフマー「……」
静観……。何とも俺らしくないやり方だ。
俺は、他の神と違い、特殊な力を何一つ持たない。だからこそ、己の拳1つで世界を守り、今日まで維持し続けてきた。
……だが、それももう、潮時なのかもしれない。
俺は何を願い、何のために創界神などという面倒な存在になった?なぜ、力も無い俺が神になれた?
答えを求め続け、ずっと1人で思案してきた。だが、俺はもう気づいているはずだったんだ。無為な時間を過ごしていると思いたくなかったから、気づかないフリをしていた。
ブラフマー「……ゼウス、ヘラ、アヌ。俺はこのまま黙って静観しているつもりはない」
故に、俺は俺が信じた神とやらを演じる。
アヌ「ほう。何をするつもりなのでしょうか?まさか、我々の敵になるとでも?」
流石は、人一倍勘のいい女だ。
ブラフマー「正解だアヌ。俺は時の創界神に着く。お前らのやり方はどうにも気に食わんのでな」
ゼウス「……その判断、後悔するぞ」
ブラフマー「後悔?笑わせるな」
俺は腰に携えた4本の剣を抜き、3人の顔と天に剣先を突きつけて宣言する。
ブラフマー「精々楽しませろよ!クソッタレ共!」
これは戦いなんかじゃない。
……
……
……
1人の女の子を救うためのーー聖戦だ。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
水界暦1149年。
この時、世界はまだ平和だった。
しかし、その平和は突如として崩れ落ちる。
勝つのは世界か、神か。
結果がどうなったのかは、最早記憶の彼方に飛んでしまった。
ただ、悲しい結末を迎えたことだけは覚えている。
私が愛し、私を愛してくれた人はもうどこにもいない。もうーーその人の名前すらも思い出せない。
どうしてこうなったのか。
どうすれば幸せになれたのか。
答えを探し続けて早6万回。
何度も何度も繰り返させ、幸せだった時を延々と流し続ける。それしか私に出来ることは無い。それ以外の方法が見つからなかった。
だから、私は時の番人として想い人の前に立ち塞がる。
ああ、願うことならば、誰か、この無限に続く悲しみを癒しに来てほしい。そう、誰でもいいからーー
まあ、勘違いとは言ったが、あながち間違った話でもない。"この世界"だけに囚われて話をすればね。
この世界に存在する神。それは、僕を含めたネイから生まれた全ての存在が該当する。ユミ、ヒカリ、ラナ、ネイ。そして、ツクヨミだ。そして、君達が知らないところに、別の"神"がいる。
なぜ、僕が今更になってこんな記述を遺したのか。それは、多分ここまでを読み進めてきたのならきっと理解してるのではないだろうか?
そう、ここからが僕が進めなかった先の未来さ。君がどういった記述を遺すのかは分からない。でも、今の君になら、いや、君達になら、この先を描いていけると信じているよ。
ーー親愛なる"君"より。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
「どうしても、無理と言うんじゃな……」
私は、白くて暗い、黒くて明るい、矛盾だらけの空間で、目の前に佇む男、いや、神『ゼウス』にそう投げかける。
ゼウス「何度も話し合ったことだ。お前の世界は危険だ。我らにとって、お前の世界が存在し続けることは、百害あって一利なしだ」
「ちっ……」
……私は、私の世界を守るために他の世界の創界神に和解を求めた。しかし、それは失敗に終わった。
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自分でやったことではないが、私の世界に生まれた奴の暴走を止められなかったことは、延いては私の責任という事になる。全く、面倒なことをしてくれたものだ。どうせ暴れるのなら、私の世界だけにしておいてほしい。そんなお願いをするのもおかしな話ではあるが。
ヘラ「責任を取れるってのなら話は別だけどぉ、あなたみたいなただただ長生きしてきただけの神様じゃぁ、そんなの無理でしょぉ?」
可愛らしい声を上げはするが、年齢は私より歳上のヘラがそう言う。ヘラとゼウス。ギリシャ神話を知ってる人なら分かるだろうけど、この2人はそれぞれ別の世界の神であるくせに夫婦である。まあ、自分が管理する世界の住人と結婚した私が言えることではないが。
ブラフマー「……」
アヌ「どうしました?ブラフマー。あなたらしくありませんね」
ブラフマー「……いや。俺は中立の立場で行こう」
ゼウス「珍しいな。お前ともあろう者が、よもや中立か」
ブラフマーはここに集まっている神の中でも、特に好戦的とされている。みんなが疑問を抱くのは当然のことだろう。でも、私からすれば、ブラフマーが引くのは不思議なことではない。なぜかと言うと、ブラフマーは強いが、私に対してだけは歯向かう手段が無いからである。
ここにいる奴らは、神と呼ばれるだけあって、全員が全員ぶっ飛んだ力を持った奴らである。私が時を操り、過去の事象を変えられるようにね。だけど、ブラフマーだけはそういったものがない。純粋な力だけで己の世界を守り続けてきた。その姿勢には感服するし、ここで引いてくれることに感謝はする。もし仮に、いざ攻めてきたのであれば、私は過去の事象を全て塗り替えて、ブラフマーを私の下僕とする。それが分かっているから、ブラフマーはここで引いた。
ただ、過去の事象を塗り替えて、それで有利になれるのはブラフマーが相手の時のみ。それ以外の神にはこの力が通用しない。
アヌ「私は、ゼウスらの意見に賛成です。ヨミさん。あなたの世界は危険です。本来なら、今この瞬間にでも攻め込んでしまいたいというのに、こんな無駄な会議を設けるものですから、無駄な時間を使ってしまうではありませんか」
「妾はお主らと争いたくないから、こうして会議の時間を設けた」
ゼウス「だが、それは何度も言ったように無理な話だ」
ヘラ「話がしたいのならぁ、実力で私達を倒すことね」
「……」
私は黙るしかなかった。下界とは違う。この空間においての私は、圧倒的下の地位に着く。力で従わせようにも、私の力は通用しない。
……歴史を修復しないことには、下界に戻っても矛盾が残ったままとなり不利になる。かといって、あと最短で100年もかかる修復作業を、今すぐに終わらせることは絶対に出来ない。
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※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
ユミ「で、お前は諦めちまったと」
「諦めたとか言うな。1歩引いただけじゃ」
ユミ「それを諦めたって言うんだろ」
「ぐぬぬ……」
真っ白でひたすらに本棚が敷き詰められたこの空間。今では私の精神世界として存在しているが、それも一体いつまで持つことやら……
私の愚痴話を右から左へ流すようにして聞いたユミは、神との戦いなんて冗談じゃないといった具合に私の話をバカにしていた。でも、私がこの程度のことに嘘をつくとは思っておらず、僅かな震えを拳を握りしめることによって隠している。
ユミ「で、どうすんだ?本当に諦めちまうのか?」
「諦めるわけなかろう。ここで諦めて、妾達に何のメリットがある?」
ユミ「だよな。でも、相手はお前より格上。そんな奴が何も知らねぇアイツらのところに襲いかかったら……」
考えたくもない話だ。
もし仮に、私達が何の対抗手段も用意せず、このまま起きることをただただ見てるだけになった場合、まあ確実に妾の大事な人達が死ぬ。一瞬で殺されるか、それともネチネチ痛みを感じながら死ぬかは、ゼウス達の考え次第じゃな。
「……」
ユミ「どうするか……はぁー、ゼウス共をぶっ飛ばして無理矢理言う事聞かせられたら楽なんだがなぁ」
何ともユミらしい物騒な考えじゃが、正直なところ私もそれが出来たらと考えている。
「……1つ、策がある」
ユミ「何だ?」
「実は、ラナが残していったグラン・オブ・ストーリー。あれを全部読み終えた」
ユミ「マジで?未来を知ることになるからやめようって2人で決めたのにか?」
「うむ。流石に四の五の言ってられる状況ではないと思ってな」
ユミ「そっか……そうだよな。んで、策って?」
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ユミ「ああ。正確には83年くらいで1ヶ月だよな」
「……1ヶ月。向こうの世界には何とかして耐えてもらう」
私は、ユミと心を繋げて私が考えている作戦図を伝える。
ユミ「……」
「もちろん、ゼウス共が攻め込んできた際、1ヶ月耐えれるかどうかなんて目に見えて分かっておる話じゃ。じゃから、こちらからも現実を壊しすぎない範囲で妨害をする」
ユミ「……お前が考えてることは分かるが、出来んのか?」
「出来るかどうかなど知らん。やるだけじゃ」
ユミ「……分かった。お前の口車に乗ってやるよ」
「流石は、互いに以心伝心な関係の妾達じゃな」
ユミ「それ、この空間だけの話な」
……1ヶ月。いや、こちらの世界では100年。
私の手腕の見せどころ。私が愛した世界のために、私が好きになった人のために、私は私が持てる力の全てを出し尽くそう。そして、私が必ず世界を守る。
大丈夫。ここにはユミがいる。向こうの世界にはヴァルがいる。そして、ゼラが見守ってくれている気がする。
……
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※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
ブラフマー「……良かったのか。お前ら」
ヘラ「良かったってどういう意味かしらぁ?」
黒くて明るい、白くて暗い矛盾した空間から時の創界神が立ち去った。
俺はその背中を見て、ここにいる神共に問いかける。
ブラフマー「アイツを騙そうとすれば、今この空間で容易にできたはずだ。アイツは、俺達に対して常に心理を使っていた。でも、俺を除きお前らはそれを無効化させることができる。その力を利用し、アイツを嵌める事だって容易にできたはずだ。違うか?」
ゼウス「確かにそうかもしれん。心の奥底を隠し、言葉巧みに切羽詰まった創界神を騙すことは、我にとって簡単なこと。いや、お前を除いた全ての神なら余裕だろう」
ブラフマー「……」
ゼウス「だが、それで騙して何の意味がある?奴が安心して対抗手段を放棄するとでもか?そんなわけがない。心を隠した我らの言葉を、奴は信じないだろうな。となれば、大急ぎで準備を進める」
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ゼウス「答えがまだまだ三流だブラフマー。正解は、奴は準備を進めるが、残された時間では何も出来ない。我らの侵攻をただただ受けて、絶望するだけだ」
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俺は、他の神と違い、特殊な力を何一つ持たない。だからこそ、己の拳1つで世界を守り、今日まで維持し続けてきた。
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ブラフマー「正解だアヌ。俺は時の創界神に着く。お前らのやり方はどうにも気に食わんのでな」
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俺は腰に携えた4本の剣を抜き、3人の顔と天に剣先を突きつけて宣言する。
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……
……
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ただ、悲しい結末を迎えたことだけは覚えている。
私が愛し、私を愛してくれた人はもうどこにもいない。もうーーその人の名前すらも思い出せない。
どうしてこうなったのか。
どうすれば幸せになれたのか。
答えを探し続けて早6万回。
何度も何度も繰り返させ、幸せだった時を延々と流し続ける。それしか私に出来ることは無い。それ以外の方法が見つからなかった。
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