グランストリアMaledictio

ミナセ ヒカリ

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第0章 【グラン・ゼロ・ストーリー】

第0章10 【これが出会い】

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 基本的にどこの家にもあって、頑固なものを落としてくれるもの、これな~んだ。

 そう、たわしです!

 はい、いきなりのなぞなぞで読者様からの華麗なるツッコミを頂いたところで、今回訪れるのは和を尊ぶ国、『白愛しろまな』王国です。というわけで、早速港に接岸し、この国の空気を思いっきり吸い込みます。

 流石は和の国なのでしょう。木の匂いがよくしてきます。

ラウス「じゃ、早速兵隊を貸してくれるってところを探すか」

 と、私がこの国を味わっているというところに、ラウスが早速仕事にとりかかろうとします。もうちょっとゆっくりしてたっていいのに(自分がそうしたいだけ)。

 まあ、結果的にゆっくりとしてしまうことになるんですけどね。なぜかというと......

ラウス「クッソ、この街どうなってやがんだ!」

モルガン「まさか、こうも複雑な造りになっているとはな」

シャウト「話に聞くところ、この街だけに関わらず、この国全体が迷路みたいなつくりの街になっているらしい」

 という風に、あまりにも複雑な街になっているため、私たちは一向に兵隊を貸してくれるというところにたどり着けず、なんかさっき通った気がするような......と思うようなことを連発した挙句に男3人が根を上げてしまいました。

ラウス「ったく、なんだってこんな造りにする必要があるんだ」

シャウト「碁盤目状と呼ばれる、この国独特のつくりらしい。どうやら、上から見下ろせば縦横縦横と綺麗に道ができているらしいぞ」

 シャウトがたまたま近くにあった案内板を見て、ご丁寧にそう解説してくれます。私もついさっきそれを見たばっかなんですけど、何やら見たことのない文字だらけで全然読めなかったんですよね。

ラウス「へー、じゃあ、なんで同じ道ばっか辿るようになってんだよ......」

シャウト「どうやら、敵からの侵攻を防ぐための造りらしい。上から見下ろせば、確かにシンプルに見えるかもしれんが、それはあくまで上から見下ろした時の話」

モルガン「もしや、俺達が歩いていた時のように、進んでも進んでも左右と真っ直ぐで道が分岐しているのが、敵を惑わす原因になるのか?」

シャウト「その通りだ。地図でも持っていない限り、あまり適当に歩き回るのはダメみたいだ」

ラウス「それを先に気付けよ......」

 相変わらずバカな集団ですね。それくらい、この街に入るときにこの看板と同じものはあったんですから見ておきましょうよ。

ラウス「とりあえず、この看板の位置から兵所の場所までの道順記憶して、真っ直ぐに行こうぜ、真っ直ぐに」

モルガン「賛成だ」

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

ラウス「はあ!?無理だと!?」

 鼓膜を破ってきそうなくらいに大きな声を出すラウス。それにはちゃんと理由があります。

 回り道をしてしまったものの、私たちは無事に目的地にまで辿り着くことが出来ました。しかし、ここで問題発生。なんと、兵隊を貸してくれると聞いていたはずなのに、今は兵がいなくて、貸せるのは早くても1か月後だということ。ここに来てちょっとした誤算。いえ、1か月は誤算じゃなく大誤算ですね。

ラウス「どうするよ......」

 流石に、ないものをねだったってしょうがないので、私たちは一旦外に出て作戦会議をします。

シャウト「ここにないだけで、他を当たればあるかもしれん」

ラウス「それもそうか」

 と、いうわけで、白愛の港から少し奥へと進んだ街。

ラウス「はぁ!?」

 なんと、ここも兵が今は出尽くしているというのです。

 で、諦めるわけにもいかず、次の街へ。しかし、そこでも......

ラウス「嘘だろ!?」

 なんとここもダメ。こんなタイミングよくどこの街も兵がいないなんてことあるんですかね?

 そして、日を跨いで次の日。

 今日こそはと意気込みを入れて、早速兵所へと向かった私たちですが......

ラウス「ここもだめかよ......」

 なんと、ここでも兵がいないという問題発生。いやー、これ偶然ですよね。

 そんなこんなでまた何件かを回った私たちですが、一向に兵を借りれないでいます。唯一、兵が出払っていないところがあったのですが......

「ところで、どこに行くつもりなんだ?あんたら」

ラウス「あ?ステイネスの影ってとこに喧嘩売りに行くつもりだが」

《バタン!!》

 と、私たちが目的を話すとすぐに店仕舞いをしてしまいました。

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

ラウス「ったく、どうすんだ?この状況」

モルガン「あっちに行ってもこっちに行っても兵はすっからかん。オマケに、唯一見つけた場所では、目的が影だと分かるとすぐに引きこもる始末。いやぁ、愉快だな!」

ラウス「笑い事じゃねぇだろ」

 てな具合に、私たちは宿で作戦会議をしています。

 もうこの国に入って4日。すぐにでも目処が立つと思っていたのに、とんだ遠回りをしています。

 やはり、私たちが相手にしようとしている組織が影響しているのでしょうね。まあ、私が気づかないうちに島に近づいてグランストーンを盗み出してしまうくらいですから、相当強い力をお持ちなのでしょう。……となると。

「……あの、ただ兵隊さんを借りるだけじゃダメなのでは?」

シャウト「どういうことだ?」

「影がどういった組織なのかは知りませんが、相手は私が気づかないうちにグランストーンを盗めるような、その、魔法みたいな力を持った人です。そして、内乱の中心になっているとなると……」

モルガン「あれか。戦闘系の魔法を習得しているというわけか。しかし、戦闘系の魔法なんぞ……」

シャウト「普通は無理だ。それこそ、産まれた時から魔法に強い適性がない限りはな。普通の人間は、精々俺たちのように局所的に役に立つようなものしか習得できん」

ラウス「じゃあさ。相手ってもしかしなくともヤベー奴らなんじゃね?」

「「「 …… 」」」

 これは……どうやら適当に兵を借りるだけではダメそうですね。仮にの話ですけど、相手が交渉に応じてくれるような人たちなのであれば、私の交渉術でどうにかしてみせるんですけど。

ラウス「とりあえず、この街にはまだ兵所っつーか、何でも屋ってところがあるらしいから、そこで考えようぜ」

モルガン「そうだな」

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

 そして翌日。

ラウス「やっぱダメかぁ……」

 何でも屋と呼ばれる場所で、ラウスが1人交渉をしてから10分。もう分かりきっていたことですが、結局ダメでした。

ラウス「本当、どうすんだよこの状況……」

 もう歩き回る気にもなれず、近くにあった団子屋でみんなで適当に休憩……ん?このお団子美味しいですね!

ラウス「どうする?もう、ババアにでも泣きつくか?」

シャウト「……頼れるところには頼ってみるか」

モルガン「四の五の言ってられないしな」

 3人は重い頭を抱えて悩み事をしていますが、私は特に悩んでいません。なぜかっていうと、別にグランストーンなんてどうでもいいからです。

 こうして、世界中を歩き回って、その土地にある美味しいものを食べる。それだけで幸せだからです。でも、彼らはそれが幸せだとは感じておらず、ずーっと仕事の話ばかり。大人になるって残酷なことなんですかね?

 と、そんなくだらないことを考えながらお団子を頬張っている時でした。

「ど、泥棒ー!」

 女の人の悲痛な叫び声がした後、すぐさま目の前を袴を着た男の人が走っていくのが見えました。小脇に何かを抱えています。ここからじゃよく見えないんですけど。

ラウス「喧しいな……」

 私たちは寸劇でも見てるかのような気分で、泥棒を止めようとかそんな事を一切考えず、お団子をまた1口、口に入れました。

 と、呑気に見ている時でした。私は気づいてしまいました。男が小脇に抱えているのは、盗んだものと思われる風呂敷と、それに隠れるようにしてある刃物でした。そして、運が悪いといっていいのか、なんにも気づいていなさそうな女の子が男の行く先に現れました。

「どけー!」

 男は容赦なく刃物を突き出し、進行方向にいる女の子を突き刺してでも突破しようとしています。咄嗟に体が動いて、助けに向かおうとしますがこの距離では男が突き刺してしまうのが先です。どうしたら......

 ……と、私が必死に考えている時。

「お主、相手を間違えたな」

 ……なんということでしょう。たった一瞬。瞬きできるかどうかも分からない時間で、女の子が男の両手を縛り上げ、刀で風呂敷を吊るしていました。

「人間ならば人間らしく、人間のマナーを守れ。このボンクラが」

 女の子は男を一瞥すると、叫び声の主である女の人のもとに向かって

「ほれ。次からは盗まれるでないぞ」

 とだけを言い残し、ブラブラと歩き去っていきました。

「……はっ、追いかけなきゃ!」

ラウス「待て!ゼラ!どこ行くんだ!」

「当てが見つかりましたー!」

 見失う前に、と私は女の子の背を追いかけ、「待ってくださーい!」と声をかけようとした時……

「あっ……!」

 地面の出っ張りにつまづいてしまい、思いっきり前の方、そう、女の子の方へと転んでしまいました。

「ギャフンっ!」
「いやぁっ!」

 あちゃー。綺麗な和服を汚してしまいましたー。怒られちゃいますね。

「な、なんじゃお主!藪から棒に飛びついてきおって......!」

「す、すみませんってそうじゃなくて......」
  
 私は慌てて立ち上がり、女の子の方を一度よく見てからこう切り出します。

「あの、私たちに協力してくれませんか?」

 ......そう、これが、私と彼女との初めての出会いとなるのです。
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