424 / 434
Maledictio4章 【物語の罰】
Maledictio4章5 【未来を変えるために】
しおりを挟む
さて、無事にみんなと共に戦う決意を固めたところで、次に決めるべき話題がある。それはーー
セリカ「戦うって言っても具体的にどうするの?」
代表してるわけじゃないんだが、セリカがみんなが思っている言葉を口にする。
確かにそうだ。戦う戦うとは言ってるが、具体的に何と戦えばいいのか。俺たちは何をしなくてはならないのか。一応大雑把な目標としてネイの奪還があるのだが、その為にどうすればいいのかを決めなくてはならない。
「まず一旦の目標としてネイと再会する必要がある。いくら緻密な計画書を用意されたところで、まだ分かんねぇ事だらけだし、あいつがいなくならなくてもいい方法がきっとあるはずなんだ。話し合うためにもまずはあいつを見つけ出す」
ヴェルド「いけ好かねぇ野郎だが、まあお前が余っ程信じてる相手ってんだから仕方ねぇか」
ライオス「しかし、あのヴェリアというものに拐われて以来行方が不明だ」
エレノア「単純に考えればヴェリアの本拠地?みたいなところにいると思うんですけど……」
レラ「そもそもどこから来てるのかも分かんない相手だしねぇ……」
みんながうんうんと唸る。ヴェリアの正体が掴めない以上早速手詰まりとなってしまう辺り、本当に何も教えてねぇみたいだな。
「あいつが残していった本には、ヴェリアの正体も書かれてる。ヴェリアは滅んだ世界の残穢で出来た物らしくて、言うなれば世界そのもの。それがどういう訳か精霊界を通じてこっちの世界に干渉してきてるってのがヴェリアの正体らしい」
シアラ「世界そのもの?うん?」
ヴェルド「それ勝ち目なくねぇか?」
「まあな。残穢つっても、世界全体の残りカスなんだから普通の魔導士じゃ太刀打ち出来ない。けど、ネイならあいつが持ってる世界殺しの力でぶった切ってるらしいんだ」
セリカ「……えーっと、ヴァルたちが持ってる龍殺しの世界版?」
「概ねそんな感じだ」
サテラ「あ、なるほど!だからあの時ヴァルさんの魔法でヴェリアを燃やし尽くしたと!」
ヴェルド「何がなるほどなんだよ……」
サテラ「え、だって今の言い方的に、ヴァルさんもそのワールドスレイヤーとやらの力を持ってるんじゃないんですか!?」
ヴェルド「いや、ヴァルは……4年もあったらそんな力持ってるってか?」
「まあな。つっても、人からの貰いもんみてぇなもんだけど」
これは推測でしかないが、恐らくネイが死ぬ直前、アヌを焼き払う為に俺にくれた力だと思ってる。実際どのタイミングでくれたのかについては本人に聞かなきゃ分からんが、多分タイミング的にはあの時で間違いない。
「現状あいつらを倒せるのは俺だけになってる。あとはアリスも小さい方だったら封印とかいうゴリ押しでやっちまうみてぇだけど、ちゃんと倒せるのは多分俺だけ」
ヴェルド「他に世界殺し持ちがいれば話が変わったんだろうな」
レラ「書き方的にそんなおっそろしい力持ってる人うじゃうじゃいてほしくないけどね」
ヴェルド「そりゃそうだ」
ライオス「そうなると、ヴェリアを倒そうにも戦力が足りなさすぎるな。ヴァルとアリスだけでは手が回り切らん」
デン「一応俺たちみたいな弱い方の魔導士でも、抵抗くらいなら出来るんですけどね」
レイ「バカね。抵抗出来るだけじゃ消耗戦になって私たちの負けでしょ」
ギーグ「でもそれくらいしか出来ねぇしなぁ」
みんなの悩みは分かる。このギルド内じゃ比較的強い方のフウロとグリードが呆気なくやられたんだ。そりゃ、2人より弱いと思ってる自己評価低めな奴は足がすくむだろう。けど、何も1人で戦えなんて言ってるわけじゃない。
「現状俺たちの戦力はまだまだ足りない。ヴェリアが本腰入れてきた以上、黙ってても各個撃破されてこの世界が無かったことにならざるを得ない日が近くなる。だからーー」
頭の中に思い浮かべるのはいつも俺の隣にいてくれたネイの姿。そして、俺の後ろや、前で、必死に戦い続けた戦友たち。
「この国、いや、世界中の仲間たちに協力してもらうんだ。拒否されたって構わない。1人でも多く戦力を手に入れてーー」
クロム、ラスト、まだ俺との関わりはないデルシア、それ以外にも多くの出会いが俺の物語には刻まれていた。
みんな、どうしようもないくらいいい奴らで、多分言えばすぐに協力してくれるだろう。
本来巻き込むべきではない奴ら。でも、もう巻き込むしかないだろ。だって、俺があいつらの傍にいたように、ネイもあいつらの傍にいて、そこには確かに俺たちの物語が存在したのだから。
「精霊界に殴り込みをかける!ネイはそこにいるはずだ!」
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
サテラ「うーん、本当素晴らしい演説!一見まとまりの無さそうに見えたあのギルドを、こうも簡単にまとめあげてしまうとは!流石英雄!私もパクりたいくらいです!……で、なんで私があなたとペアなんですか?」
道すがら、よくそんなに喋る話題に尽きないなと感心しつつ、珍しく俺に話を振ってきたのでサテラの疑問に答えてやる。
「これから行くギルドがな、まー、すっげー俺たちと仲悪いギルドなんだよ。特にこの世界線だと想像以上にな」
何でそうなったのかって聞かれたら、多分色々と昔にあったんだろうけど、それを大会中に消化し切れてないというまさかの問題が発生していた。
いやまあ、別に無理に説得することも無いんだろうけど、あいつらが俺たちのギルドより遥かに強いってのは身を持って知っている。だからこそ、出来れば仲間になってほしいとこなんだが。
「他の奴らに任せたら確実に喧嘩になるだろ?だから、事情を特に知らなそうなお前と一応冷静なつもりでいる俺がって考えたんだ」
サテラ「挑発したらすぐ喧嘩になりそうですけどね」
「それは言わないでくれよ。一応王様だったんだからそれなりの落ち着きはあるはずだって」
多分、と自分に言い聞かせ、俺は目的地であるギルドの扉を押し開ける。
今回俺が担当することになったのはコールドミラーの面々。こればっかりは本当に他の奴らには任せられないと言ったはいいものの、いざこうしてこのギルドに訪れてみると、なんか上手くやれるのかどうか不安になってくる。
まあ、不安に思ってても仕方ない。前進あるのみだ!
「邪魔するぜー!……っと」
勢い良く中へ踏み込むと、そこはお通夜?とでも聞きたくなるような暗い雰囲気が漂っていた。
いくら王国最強ったって、ここまで暗いか?と疑問に感じたのも束の間、俺はなぜこんなにも暗い雰囲気になっているのかをすぐに悟った。
「……おい、リアム。今日は1人か?」
リアム「……」
てっきり出会い頭に殴られでもするんじゃないかって予想してたんだが、そんなことはなく、それどころかリアムはこちらを見上げるなり「ああ、お前か……」とギリギリ聞き取れるか?くらいの声でそう言ってきた。
リアム「……1人……な。1人か……。っはは」
「おい、何があったんだよ……」
リアム「……もうずっと1人だよ。俺以外みんな死んじまったからな……」
絞りカスみたいな声でリアムはそう言う。
何があったのかは分からない。しかし、リアムの態度からして、先程の発言が虚言の類ではないことを容易に察した。
リアム「なあ、聞いてくれよ。嘘みてぇな話だと思ったんだけどさ、一昨日ここによく分からねぇ化け物がやってきたんだ」
化け物……ヴェリアか。
リアム「いきなりのことでさ、まず最初に不意打ち喰らった何人かが瞬殺された。……その後、必死に応戦したんだけどよ、攻撃がなんも効かなくて、1人、また1人と殺されたんだよ……」
途中、その時のことを思い出したのか言葉に感情が籠っていたが、すぐに弱々しい声になって、最後の方はやはり聞き取れるかどうか程度にまで落ちていた。
リアム「確か、お前ら言ってたっけか?異形の怪物が空を飛び回る。俺たちの攻撃は一切効かない。んな、バカみてぇな話があるかよって思ってたよ」
リアムは暗く沈んだ瞳をこちらに向け、一際ドスの効いた声で語る。
リアム「嘘じゃなかったんだな」
「……ああ。嘘じゃない。現実にあいつらはいる」
リアム「……」
ーーそこからは、お互いに当たり障りない会話をするだけだった。とてもじゃないが、精霊界に向けての仲間になってほしいとは言える雰囲気じゃなかった。
流石のサテラも、あの手この手で励まそうとしてみたものの、その全てが空振りに終わり意気消沈していた。
「なあ、リアム。こんな時にこんなことを言うのはあれかもしれねぇけど……」
ただそれでも、ここまで来て無駄足で帰るわけにはいかない。例え断られると分かっていても、言うだけ言って、ダメなら諦める。それくらいはしなくては。
「俺たちは今、1人でも多くの仲間を必要としてる。今のお前にこんなこと伝えんのも気が引けんだけど……」
リアム「俺に、ついて来て欲しい……ってか?」
察したように言うリアムに対し、俺は軽く首を縦に振る。
リアム「……。悪ぃ。まだしばらく1人にしてくれねぇか」
「……分かった」
多分、短期間で立ち直るのは無理だろうなと悟り、俺は最後に一言だけ、「気が向いたらグランメモリーズのギルドに来い」とだけ伝えてその場を去った。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
ーーその後、俺たちは王城に出向いた後、この世界線ではまだ交流が無いが、話くらいは通じるだろうと創真の城にも行ってみたのだが、どちらも暗いお通夜みたいな雰囲気が漂っており、共通して言ってたのが、「煙の化け物にやられた」だった。
サテラ「まさか、我々の行く手を読んで先回りしているとは……。こりゃ、本格的に手を出させないつもりじゃないんですかね」
「ああ、まさかここまでとは思わなかったな」
この調子だと、他のメンバーに任せた随所も、似たような感じで襲撃にあった後だろう。完全に後手に回らされた感じだが、それだけで諦める程俺たちは弱くはない。
「現状、来るかもしれねぇのはデルシアくらいか……」
サテラ「大分気分は落ち込んでましたけどね……」
「それでも他と比べたらまだ戦う気はあるみてぇだったし……んまぁ、本当可能性はあるってくらいだが」
期待はしない方がいいだろうな。
これまでに起きたことのない展開。ヴェリアによる、俺たちと縁のある面々への襲撃。
俺一人でどうにか出来れば楽なんだけど、そうもいかねぇのが現実か。俺も、ネイくらいぶっ飛んだ力を持ってたらって思うが、そんな無いものねだりしてる暇あったら他にやることあるしな。
サテラ「あ、ヴァルさん!ドーナツ屋がありますよ!ちょっと息抜きに寄っていきましょうよ!」
ーーと、考え事をしていたらサテラが袖を引っ張ってそう言ってくる。
そんなことしてる暇は……とも考えたが、別にドーナツ食ったくらいで世界が滅ぶわけじゃないしな、と考えサテラの提案通り、息抜きをする。
偉い人はなんか言ってたよな。ずっと考え事してるより、適度にガス抜きした方がいい案が浮かんでくるって。
「そういや、あいつの好物ドーナツだったっけか?」
懐かしい記憶が蘇ってくる。本人が特にそう言ってたわけじゃないが、気付けばいつも片手に持ってたような気がする。記憶を無くしたあいつも、見てるこっちが不安になってくる手つきで菓子作りをしてたし、今となっちゃ懐かしい思い出だな。
サテラ「よく分からない人ですけど、そのネイさんって人、余っ程大事な人だったんですね~」
「まあ、嫁だからな」
サテラ「嫁ってだけでここまで本気でやる人もいないと思いますけどね~」
「ん?何でだ?」
サテラ「だって、嫁って言っても所詮他人じゃないですか~。それに面倒臭い言い回しで結局助けてくれって、なら最初からそう言えよってなりますよ」
「まあ、そうだけど」
でも、そういうめんどくせぇ感じなのがあいつだしな。もう慣れ切ってるから今更どうとは思わねぇんだけど。
サテラ「あと、計画とやらに自分が消えることで完成するって書いてあるんなら、もうその通りにやっちゃえばいいじゃないですか」
「いや、だからそれは……」
サテラ「だってそうでしょ。ヴァルさんにとっては大切な人でも、その他大勢にとってはどうでもいい人ってことでしょう?消えることで世界が救われるなら、じゃあ消えてくださいって、私含めて多くの人はそういうと思いますよ」
「……まあ、それは客観的に見たらって話だな」
サテラ「ヴァルさんは優しすぎるんですよ。世界を救う!って勇者みたいなことを言うんだったら、時には冷酷に、鉄血の心を持って立ち向かわないと!現実はフィクションのように上手くは行かないんですから!」
「……」
確かに、サテラの言うことは最もだと思う。
この世界が物語のように何もかも都合よく進めば、なんてみんながそう願うのは当たり前のことだと思う。でも、世の中がそんな都合よくできてないことを俺は身をもって知っている。
みんな死んだ。ネイも死んだ。そんな現実が受け入れられなくて、1度はアルトが作り出した偽りの現実を受け入れそうになった。それは、紛れもない事実だった。
「確かに、現実はそう上手くはいかねぇよ。助けたいと思ったやつは助けられないし、未来を知ってても変えられねぇもんは変えられねぇ。でもよーー」
1度失敗した。だが、それがどうしたというのだ?
確かにあれは現実だったが、それは全て無かったことにされた。あの世界でも、必死に生きていた奴はたくさんいたが、それも全て無かったことになった。
その事実を俺は嘆けばいいのか?
「違うだろ。俺は変えたいと願ってたはずなんだ」
だから必死に頑張った。
失ったものの代わりを求めて、あれこれ頑張った。でも、結局無駄になっちまった。……全部ってわけじゃないけどな。
あの世界で俺が頑張ったこと、頑張ろうとしたこと。その全てとは言わないが、俺の努力は、未だ絶望に染まりきってないこの世界できっと役に立てるはずなんだ。
「都合よく行かねぇのが現実だなんて言われて、はいそうですかって流れに身を任せるわけねぇだろ。あんな未来、もう二度と来させねぇよ。全部、俺がまとめて都合のいい方に進めてやるんだよ」
それが、この時代に戻ってきた俺の役目なんだろうと思う。みんなを救って、幸せな未来を目指す。フウロもグリードも、他のみんなも、どうにかして救う。救う方法はこれから考えるが、やろうと思えばなんでも出来るはずだ。
サテラ「……そうですか。そりゃまあ、大層ご立派な目標なことで」
サテラはそう言うと、砂糖の着いた指をなめ、帽子を被り直して立ち上がる。
サテラ「全部、上手く行くといいですね」
そして、可もなく不可もなくな無難な返答をしてくるのだった。
「……そういや、今更だけどお前なんで俺らに付き合ってくれてんだ?正直なとこ、良いことなんて1つもねぇだろ」
ここで、俺は本当に今更な疑問をサテラに投げかけてみる。
サテラ「本当に今更ですね」
「だってそうだろ。最初の依頼にあった形見を探すってのは、多分もう無理になっちまったし、これから俺たち結構やべぇのとやり合うんだぞ?関係ねぇうちに逃げるのも手だろ」
サテラ「まあ、それもそうですけど、色々聞いちゃった後ですしね~。いわゆる、乗りかかった船的な?それに、今現在のこの世界の状況見ちゃったら、ヴェリアに対抗出来るヴァルさんたちの近くにいるのが余っ程安全ですし」
「まあそれもそうか」
サテラ「私は泥船かタイタニックに乗ったくらいの気分でヴァルさんたちの手伝いを頑張りますよ!」
「……せめて小船くらいの沈まなさそうなやつにしてくれよ」
サテラの頑張る理由についてはイマイチだったが、これもまたいないよりかはマシ。むしろ言霊の魔法とやらが少しでも対抗手段になる今、サテラがいてくれるのはとても心強かった。
さてさてと、2人で店を後にし、この後はどうしようかと相談する。結果、一旦ギルドに戻ってみんなの報告を待とうということになり、帰路に着くことになった。
サテラ「さっきの話の続きになりますけど、確かにヴェリアとやり合うのはとっても危険ですよ。本当は戦わなくていい方法があるならそれがいいくらいです」
「……でも、戦ってくれるんだろ?」
サテラ「ええそうです。だって私はーー」
そこでサテラは妖しげな笑みを浮かべてこちらに振り返り、予想だにしなかった言葉を吐き出す。
サテラ「この世界が、好きで大好きだからです」
セリカ「戦うって言っても具体的にどうするの?」
代表してるわけじゃないんだが、セリカがみんなが思っている言葉を口にする。
確かにそうだ。戦う戦うとは言ってるが、具体的に何と戦えばいいのか。俺たちは何をしなくてはならないのか。一応大雑把な目標としてネイの奪還があるのだが、その為にどうすればいいのかを決めなくてはならない。
「まず一旦の目標としてネイと再会する必要がある。いくら緻密な計画書を用意されたところで、まだ分かんねぇ事だらけだし、あいつがいなくならなくてもいい方法がきっとあるはずなんだ。話し合うためにもまずはあいつを見つけ出す」
ヴェルド「いけ好かねぇ野郎だが、まあお前が余っ程信じてる相手ってんだから仕方ねぇか」
ライオス「しかし、あのヴェリアというものに拐われて以来行方が不明だ」
エレノア「単純に考えればヴェリアの本拠地?みたいなところにいると思うんですけど……」
レラ「そもそもどこから来てるのかも分かんない相手だしねぇ……」
みんながうんうんと唸る。ヴェリアの正体が掴めない以上早速手詰まりとなってしまう辺り、本当に何も教えてねぇみたいだな。
「あいつが残していった本には、ヴェリアの正体も書かれてる。ヴェリアは滅んだ世界の残穢で出来た物らしくて、言うなれば世界そのもの。それがどういう訳か精霊界を通じてこっちの世界に干渉してきてるってのがヴェリアの正体らしい」
シアラ「世界そのもの?うん?」
ヴェルド「それ勝ち目なくねぇか?」
「まあな。残穢つっても、世界全体の残りカスなんだから普通の魔導士じゃ太刀打ち出来ない。けど、ネイならあいつが持ってる世界殺しの力でぶった切ってるらしいんだ」
セリカ「……えーっと、ヴァルたちが持ってる龍殺しの世界版?」
「概ねそんな感じだ」
サテラ「あ、なるほど!だからあの時ヴァルさんの魔法でヴェリアを燃やし尽くしたと!」
ヴェルド「何がなるほどなんだよ……」
サテラ「え、だって今の言い方的に、ヴァルさんもそのワールドスレイヤーとやらの力を持ってるんじゃないんですか!?」
ヴェルド「いや、ヴァルは……4年もあったらそんな力持ってるってか?」
「まあな。つっても、人からの貰いもんみてぇなもんだけど」
これは推測でしかないが、恐らくネイが死ぬ直前、アヌを焼き払う為に俺にくれた力だと思ってる。実際どのタイミングでくれたのかについては本人に聞かなきゃ分からんが、多分タイミング的にはあの時で間違いない。
「現状あいつらを倒せるのは俺だけになってる。あとはアリスも小さい方だったら封印とかいうゴリ押しでやっちまうみてぇだけど、ちゃんと倒せるのは多分俺だけ」
ヴェルド「他に世界殺し持ちがいれば話が変わったんだろうな」
レラ「書き方的にそんなおっそろしい力持ってる人うじゃうじゃいてほしくないけどね」
ヴェルド「そりゃそうだ」
ライオス「そうなると、ヴェリアを倒そうにも戦力が足りなさすぎるな。ヴァルとアリスだけでは手が回り切らん」
デン「一応俺たちみたいな弱い方の魔導士でも、抵抗くらいなら出来るんですけどね」
レイ「バカね。抵抗出来るだけじゃ消耗戦になって私たちの負けでしょ」
ギーグ「でもそれくらいしか出来ねぇしなぁ」
みんなの悩みは分かる。このギルド内じゃ比較的強い方のフウロとグリードが呆気なくやられたんだ。そりゃ、2人より弱いと思ってる自己評価低めな奴は足がすくむだろう。けど、何も1人で戦えなんて言ってるわけじゃない。
「現状俺たちの戦力はまだまだ足りない。ヴェリアが本腰入れてきた以上、黙ってても各個撃破されてこの世界が無かったことにならざるを得ない日が近くなる。だからーー」
頭の中に思い浮かべるのはいつも俺の隣にいてくれたネイの姿。そして、俺の後ろや、前で、必死に戦い続けた戦友たち。
「この国、いや、世界中の仲間たちに協力してもらうんだ。拒否されたって構わない。1人でも多く戦力を手に入れてーー」
クロム、ラスト、まだ俺との関わりはないデルシア、それ以外にも多くの出会いが俺の物語には刻まれていた。
みんな、どうしようもないくらいいい奴らで、多分言えばすぐに協力してくれるだろう。
本来巻き込むべきではない奴ら。でも、もう巻き込むしかないだろ。だって、俺があいつらの傍にいたように、ネイもあいつらの傍にいて、そこには確かに俺たちの物語が存在したのだから。
「精霊界に殴り込みをかける!ネイはそこにいるはずだ!」
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
サテラ「うーん、本当素晴らしい演説!一見まとまりの無さそうに見えたあのギルドを、こうも簡単にまとめあげてしまうとは!流石英雄!私もパクりたいくらいです!……で、なんで私があなたとペアなんですか?」
道すがら、よくそんなに喋る話題に尽きないなと感心しつつ、珍しく俺に話を振ってきたのでサテラの疑問に答えてやる。
「これから行くギルドがな、まー、すっげー俺たちと仲悪いギルドなんだよ。特にこの世界線だと想像以上にな」
何でそうなったのかって聞かれたら、多分色々と昔にあったんだろうけど、それを大会中に消化し切れてないというまさかの問題が発生していた。
いやまあ、別に無理に説得することも無いんだろうけど、あいつらが俺たちのギルドより遥かに強いってのは身を持って知っている。だからこそ、出来れば仲間になってほしいとこなんだが。
「他の奴らに任せたら確実に喧嘩になるだろ?だから、事情を特に知らなそうなお前と一応冷静なつもりでいる俺がって考えたんだ」
サテラ「挑発したらすぐ喧嘩になりそうですけどね」
「それは言わないでくれよ。一応王様だったんだからそれなりの落ち着きはあるはずだって」
多分、と自分に言い聞かせ、俺は目的地であるギルドの扉を押し開ける。
今回俺が担当することになったのはコールドミラーの面々。こればっかりは本当に他の奴らには任せられないと言ったはいいものの、いざこうしてこのギルドに訪れてみると、なんか上手くやれるのかどうか不安になってくる。
まあ、不安に思ってても仕方ない。前進あるのみだ!
「邪魔するぜー!……っと」
勢い良く中へ踏み込むと、そこはお通夜?とでも聞きたくなるような暗い雰囲気が漂っていた。
いくら王国最強ったって、ここまで暗いか?と疑問に感じたのも束の間、俺はなぜこんなにも暗い雰囲気になっているのかをすぐに悟った。
「……おい、リアム。今日は1人か?」
リアム「……」
てっきり出会い頭に殴られでもするんじゃないかって予想してたんだが、そんなことはなく、それどころかリアムはこちらを見上げるなり「ああ、お前か……」とギリギリ聞き取れるか?くらいの声でそう言ってきた。
リアム「……1人……な。1人か……。っはは」
「おい、何があったんだよ……」
リアム「……もうずっと1人だよ。俺以外みんな死んじまったからな……」
絞りカスみたいな声でリアムはそう言う。
何があったのかは分からない。しかし、リアムの態度からして、先程の発言が虚言の類ではないことを容易に察した。
リアム「なあ、聞いてくれよ。嘘みてぇな話だと思ったんだけどさ、一昨日ここによく分からねぇ化け物がやってきたんだ」
化け物……ヴェリアか。
リアム「いきなりのことでさ、まず最初に不意打ち喰らった何人かが瞬殺された。……その後、必死に応戦したんだけどよ、攻撃がなんも効かなくて、1人、また1人と殺されたんだよ……」
途中、その時のことを思い出したのか言葉に感情が籠っていたが、すぐに弱々しい声になって、最後の方はやはり聞き取れるかどうか程度にまで落ちていた。
リアム「確か、お前ら言ってたっけか?異形の怪物が空を飛び回る。俺たちの攻撃は一切効かない。んな、バカみてぇな話があるかよって思ってたよ」
リアムは暗く沈んだ瞳をこちらに向け、一際ドスの効いた声で語る。
リアム「嘘じゃなかったんだな」
「……ああ。嘘じゃない。現実にあいつらはいる」
リアム「……」
ーーそこからは、お互いに当たり障りない会話をするだけだった。とてもじゃないが、精霊界に向けての仲間になってほしいとは言える雰囲気じゃなかった。
流石のサテラも、あの手この手で励まそうとしてみたものの、その全てが空振りに終わり意気消沈していた。
「なあ、リアム。こんな時にこんなことを言うのはあれかもしれねぇけど……」
ただそれでも、ここまで来て無駄足で帰るわけにはいかない。例え断られると分かっていても、言うだけ言って、ダメなら諦める。それくらいはしなくては。
「俺たちは今、1人でも多くの仲間を必要としてる。今のお前にこんなこと伝えんのも気が引けんだけど……」
リアム「俺に、ついて来て欲しい……ってか?」
察したように言うリアムに対し、俺は軽く首を縦に振る。
リアム「……。悪ぃ。まだしばらく1人にしてくれねぇか」
「……分かった」
多分、短期間で立ち直るのは無理だろうなと悟り、俺は最後に一言だけ、「気が向いたらグランメモリーズのギルドに来い」とだけ伝えてその場を去った。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
ーーその後、俺たちは王城に出向いた後、この世界線ではまだ交流が無いが、話くらいは通じるだろうと創真の城にも行ってみたのだが、どちらも暗いお通夜みたいな雰囲気が漂っており、共通して言ってたのが、「煙の化け物にやられた」だった。
サテラ「まさか、我々の行く手を読んで先回りしているとは……。こりゃ、本格的に手を出させないつもりじゃないんですかね」
「ああ、まさかここまでとは思わなかったな」
この調子だと、他のメンバーに任せた随所も、似たような感じで襲撃にあった後だろう。完全に後手に回らされた感じだが、それだけで諦める程俺たちは弱くはない。
「現状、来るかもしれねぇのはデルシアくらいか……」
サテラ「大分気分は落ち込んでましたけどね……」
「それでも他と比べたらまだ戦う気はあるみてぇだったし……んまぁ、本当可能性はあるってくらいだが」
期待はしない方がいいだろうな。
これまでに起きたことのない展開。ヴェリアによる、俺たちと縁のある面々への襲撃。
俺一人でどうにか出来れば楽なんだけど、そうもいかねぇのが現実か。俺も、ネイくらいぶっ飛んだ力を持ってたらって思うが、そんな無いものねだりしてる暇あったら他にやることあるしな。
サテラ「あ、ヴァルさん!ドーナツ屋がありますよ!ちょっと息抜きに寄っていきましょうよ!」
ーーと、考え事をしていたらサテラが袖を引っ張ってそう言ってくる。
そんなことしてる暇は……とも考えたが、別にドーナツ食ったくらいで世界が滅ぶわけじゃないしな、と考えサテラの提案通り、息抜きをする。
偉い人はなんか言ってたよな。ずっと考え事してるより、適度にガス抜きした方がいい案が浮かんでくるって。
「そういや、あいつの好物ドーナツだったっけか?」
懐かしい記憶が蘇ってくる。本人が特にそう言ってたわけじゃないが、気付けばいつも片手に持ってたような気がする。記憶を無くしたあいつも、見てるこっちが不安になってくる手つきで菓子作りをしてたし、今となっちゃ懐かしい思い出だな。
サテラ「よく分からない人ですけど、そのネイさんって人、余っ程大事な人だったんですね~」
「まあ、嫁だからな」
サテラ「嫁ってだけでここまで本気でやる人もいないと思いますけどね~」
「ん?何でだ?」
サテラ「だって、嫁って言っても所詮他人じゃないですか~。それに面倒臭い言い回しで結局助けてくれって、なら最初からそう言えよってなりますよ」
「まあ、そうだけど」
でも、そういうめんどくせぇ感じなのがあいつだしな。もう慣れ切ってるから今更どうとは思わねぇんだけど。
サテラ「あと、計画とやらに自分が消えることで完成するって書いてあるんなら、もうその通りにやっちゃえばいいじゃないですか」
「いや、だからそれは……」
サテラ「だってそうでしょ。ヴァルさんにとっては大切な人でも、その他大勢にとってはどうでもいい人ってことでしょう?消えることで世界が救われるなら、じゃあ消えてくださいって、私含めて多くの人はそういうと思いますよ」
「……まあ、それは客観的に見たらって話だな」
サテラ「ヴァルさんは優しすぎるんですよ。世界を救う!って勇者みたいなことを言うんだったら、時には冷酷に、鉄血の心を持って立ち向かわないと!現実はフィクションのように上手くは行かないんですから!」
「……」
確かに、サテラの言うことは最もだと思う。
この世界が物語のように何もかも都合よく進めば、なんてみんながそう願うのは当たり前のことだと思う。でも、世の中がそんな都合よくできてないことを俺は身をもって知っている。
みんな死んだ。ネイも死んだ。そんな現実が受け入れられなくて、1度はアルトが作り出した偽りの現実を受け入れそうになった。それは、紛れもない事実だった。
「確かに、現実はそう上手くはいかねぇよ。助けたいと思ったやつは助けられないし、未来を知ってても変えられねぇもんは変えられねぇ。でもよーー」
1度失敗した。だが、それがどうしたというのだ?
確かにあれは現実だったが、それは全て無かったことにされた。あの世界でも、必死に生きていた奴はたくさんいたが、それも全て無かったことになった。
その事実を俺は嘆けばいいのか?
「違うだろ。俺は変えたいと願ってたはずなんだ」
だから必死に頑張った。
失ったものの代わりを求めて、あれこれ頑張った。でも、結局無駄になっちまった。……全部ってわけじゃないけどな。
あの世界で俺が頑張ったこと、頑張ろうとしたこと。その全てとは言わないが、俺の努力は、未だ絶望に染まりきってないこの世界できっと役に立てるはずなんだ。
「都合よく行かねぇのが現実だなんて言われて、はいそうですかって流れに身を任せるわけねぇだろ。あんな未来、もう二度と来させねぇよ。全部、俺がまとめて都合のいい方に進めてやるんだよ」
それが、この時代に戻ってきた俺の役目なんだろうと思う。みんなを救って、幸せな未来を目指す。フウロもグリードも、他のみんなも、どうにかして救う。救う方法はこれから考えるが、やろうと思えばなんでも出来るはずだ。
サテラ「……そうですか。そりゃまあ、大層ご立派な目標なことで」
サテラはそう言うと、砂糖の着いた指をなめ、帽子を被り直して立ち上がる。
サテラ「全部、上手く行くといいですね」
そして、可もなく不可もなくな無難な返答をしてくるのだった。
「……そういや、今更だけどお前なんで俺らに付き合ってくれてんだ?正直なとこ、良いことなんて1つもねぇだろ」
ここで、俺は本当に今更な疑問をサテラに投げかけてみる。
サテラ「本当に今更ですね」
「だってそうだろ。最初の依頼にあった形見を探すってのは、多分もう無理になっちまったし、これから俺たち結構やべぇのとやり合うんだぞ?関係ねぇうちに逃げるのも手だろ」
サテラ「まあ、それもそうですけど、色々聞いちゃった後ですしね~。いわゆる、乗りかかった船的な?それに、今現在のこの世界の状況見ちゃったら、ヴェリアに対抗出来るヴァルさんたちの近くにいるのが余っ程安全ですし」
「まあそれもそうか」
サテラ「私は泥船かタイタニックに乗ったくらいの気分でヴァルさんたちの手伝いを頑張りますよ!」
「……せめて小船くらいの沈まなさそうなやつにしてくれよ」
サテラの頑張る理由についてはイマイチだったが、これもまたいないよりかはマシ。むしろ言霊の魔法とやらが少しでも対抗手段になる今、サテラがいてくれるのはとても心強かった。
さてさてと、2人で店を後にし、この後はどうしようかと相談する。結果、一旦ギルドに戻ってみんなの報告を待とうということになり、帰路に着くことになった。
サテラ「さっきの話の続きになりますけど、確かにヴェリアとやり合うのはとっても危険ですよ。本当は戦わなくていい方法があるならそれがいいくらいです」
「……でも、戦ってくれるんだろ?」
サテラ「ええそうです。だって私はーー」
そこでサテラは妖しげな笑みを浮かべてこちらに振り返り、予想だにしなかった言葉を吐き出す。
サテラ「この世界が、好きで大好きだからです」
0
あなたにおすすめの小説
奥様は聖女♡
喜楽直人
ファンタジー
聖女を裏切った国は崩壊した。そうして国は魔獣が跋扈する魔境と化したのだ。
ある地方都市を襲ったスタンピードから人々を救ったのは一人の冒険者だった。彼女は夫婦者の冒険者であるが、戦うのはいつも彼女だけ。周囲は揶揄い夫を嘲るが、それを追い払うのは妻の役目だった。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
なぜか男爵令嬢に親切な公爵令嬢の話
あんど もあ
ファンタジー
田舎から出てきて王立学園の寮暮らしの男爵令嬢ルシア。そんなルシアに突然何の関わりも無い上級生の公爵令嬢エレクトラが訪ねて来た。
「私、何かしました?」
「あなたに感謝しているのです」
果たしてエレクトラの本意は……。
スキル【収納】が実は無限チートだった件 ~追放されたけど、俺だけのダンジョンで伝説のアイテムを作りまくります~
みぃた
ファンタジー
地味なスキル**【収納】**しか持たないと馬鹿にされ、勇者パーティーを追放された主人公。しかし、その【収納】スキルは、ただのアイテム保管庫ではなかった!
無限にアイテムを保管できるだけでなく、内部の時間操作、さらには指定した素材から自動でアイテムを生成する機能まで備わった、規格外の無限チートスキルだったのだ。
追放された主人公は、このチートスキルを駆使し、収納空間の中に自分だけの理想のダンジョンを創造。そこで伝説級のアイテムを量産し、いずれ世界を驚かせる存在となる。そして、かつて自分を蔑み、追放した者たちへの爽快なざまぁが始まる。
薬師だからってポイ捨てされました~異世界の薬師なめんなよ。神様の弟子は無双する~
黄色いひよこ
ファンタジー
薬師のロベルト・シルベスタは偉大な師匠(神様)の教えを終えて自領に戻ろうとした所、異世界勇者召喚に巻き込まれて、周りにいた数人の男女と共に、何処とも知れない世界に落とされた。
─── からの~数年後 ────
俺が此処に来て幾日が過ぎただろう。
ここは俺が生まれ育った場所とは全く違う、環境が全然違った世界だった。
「ロブ、申し訳無いがお前、明日から来なくていいから。急な事で済まねえが、俺もちっせえパーティーの長だ。より良きパーティーの運営の為、泣く泣くお前を切らなきゃならなくなった。ただ、俺も薄情な奴じゃねぇつもりだ。今日までの給料に、迷惑料としてちと上乗せして払っておくから、穏便に頼む。断れば上乗せは無しでクビにする」
そう言われて俺に何が言えよう、これで何回目か?
まぁ、薬師の扱いなどこんなものかもな。
この世界の薬師は、ただポーションを造るだけの職業。
多岐に亘った薬を作るが、僧侶とは違い瞬時に体を癒す事は出来ない。
普通は……。
異世界勇者巻き込まれ召喚から数年、ロベルトはこの異世界で逞しく生きていた。
勇者?そんな物ロベルトには関係無い。
魔王が居ようが居まいが、世界は変わらず巡っている。
とんでもなく普通じゃないお師匠様に薬師の業を仕込まれた弟子ロベルトの、危難、災難、巻き込まれ痛快世直し異世界道中。
はてさて一体どうなるの?
と、言う話。ここに開幕!
● ロベルトの独り言の多い作品です。ご了承お願いします。
● 世界観はひよこの想像力全開の世界です。
ユニークスキルの名前が禍々しいという理由で国外追放になった侯爵家の嫡男は世界を破壊して創り直します
かにくくり
ファンタジー
エバートン侯爵家の嫡男として生まれたルシフェルトは王国の守護神から【破壊の後の創造】という禍々しい名前のスキルを授かったという理由で王国から危険視され国外追放を言い渡されてしまう。
追放された先は王国と魔界との境にある魔獣の谷。
恐ろしい魔獣が闊歩するこの地に足を踏み入れて無事に帰った者はおらず、事実上の危険分子の排除であった。
それでもルシフェルトはスキル【破壊の後の創造】を駆使して生き延び、その過程で救った魔族の親子に誘われて小さな集落で暮らす事になる。
やがて彼の持つ力に気付いた魔王やエルフ、そして王国の思惑が複雑に絡み大戦乱へと発展していく。
鬱陶しいのでみんなぶっ壊して創り直してやります。
※小説家になろうにも投稿しています。
【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜
KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。
~あらすじ~
世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。
そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。
しかし、その恩恵は平等ではなかった。
富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。
そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。
彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。
あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。
妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。
希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。
英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。
これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。
彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。
テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。
SF味が増してくるのは結構先の予定です。
スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。
良かったら読んでください!
「君の代わりはいくらでもいる」と言われたので、聖女をやめました。それで国が大変なことになっているようですが、私には関係ありません。
木山楽斗
恋愛
聖女であるルルメアは、王国に辟易としていた。
国王も王子達も、部下を道具としか思っておらず、自国を発展させるために苛烈な業務を強いてくる王国に、彼女は疲れ果てていたのだ。
ある時、ルルメアは自身の直接の上司である第三王子に抗議することにした。
しかし、王子から返って来たのは、「嫌ならやめてもらっていい。君の代わりはいくらでもいる」という返答だけだ。
その言葉を聞いた時、ルルメアの中で何かの糸が切れた。
「それなら、やめさせてもらいます」それだけいって、彼女は王城を後にしたのだ。
その後、ルルメアは王国を出て行くことにした。これ以上、この悪辣な国にいても無駄だと思ったからだ。
こうして、ルルメアは隣国に移るのだった。
ルルメアが隣国に移ってからしばらくして、彼女の元にある知らせが届いた。
それは、彼の王国が自分がいなくなったことで、大変なことになっているという知らせである。
しかし、そんな知らせを受けても、彼女の心は動かなかった。自分には、関係がない。ルルメアは、そう結論付けるのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる