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第7章 魔法学院の授業風景編
授業④ チーム演習② ヘンリエッタ・オートロープ
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「ソウジー!見てみてー!登ったよー?どう?あたしすごいー?」
登りきったミスズは頂上から下にいるソウジに叫んだ。
「あぁ、見てたよー!よくやったねー!僕らも行くからちょっとそこで待っててねー!」
「わかったー!早く来てよねー!」
「さてと、そうは言ったけど、僕にはあんな芸当できませんし…お2人に頼るしかないのですが」
「まぁまぁ、ソウちゃん、そこのお姉さんに任しときなって」
「私、同い年なんだけど……
先生?魔法に『触媒』を使うのは構いませんわよねぇ?」
「構いませんよ。あなたは『草木の魔法』が専門ですものね?」
ヘンリエッタの問いに、担任のリサはそう答えた。
「オリー、いつものように『土の魔法』をお願いね」
「うん、任せて~」
そう言うと、オリヴィアは『土の魔法』の詠唱を始める。
"oPen the fiAry GATE.
(開け、妖精界の門)
in-g,rE,DIeNT = yell-OW.
(食材は黄色の魔力)
re:ciPE = DO-NUT.
(調理法は穴の開いた揚げ菓子)
1 OF the ele:MenTs, GNOME.
(四大の一つ、土の精ノームよ)
pLEAse L-END Me UR POW-ER.
(我に汝の力を貸し与えたまえ)
SOIL-OPERATION."
(土の操作魔法)
唱えたのはごく単純な『土の操作魔法』だ。だが、その魔法により踏み固められた闘技場の土が掘り返され柔らかくなった。それは一重にオリヴィアの操作魔法の腕だろう。
「ばっちり耕したよ」
「うん、いい感じ。さすがね」
ヘンリエッタは土を少し手に取り、その感触を確かめる。そして、持っていたポーチから取り出した小さな粒のようなものをその土に撒いた。
そして、その妖艶な声で詠唱する。
"oPen the fiAry GATE.
(開け、妖精界の門)
in-g,rE,DIeNT = B-Lue.
(食材は青色の魔力)
re:ciPE = can-DY.
(調理法は飴玉)
1 OF the ele:MenTs, UN-DINE.
(四大の一つ、水の精ウンディーネよ)
brING FRuitFuL RAIN ↓ THE g-ROUND.
(大地に実りの雨を降らせ)
MAGIC-RAIN."
(魔法の雨)
唱えたのは『水の魔法』の中でも『雨の魔法』だ。
すると、周りはよく晴れているのに、土の部分には穏やかな雨が降り注いだ。するとすぐに土から芽が出てきた。普通ではありえない速度の発芽である。そして、ヘンリエッタが追加の詠唱をすると芽は柱に巻き付くようにしてみるみる成長していった。そして、それはちょうど柱の頂上まで届く螺旋階段のようになった。つたが絡み合うことで、上手く段差が形成され、丁寧に手すりも作られていた。
「さ、登りましょ?」
「これはすごいねー!」
「でしょ?ヘティーは魔法植物の知識とか、草木の魔法に関してはホントすごいからね~!」
『草木の魔法』は『水系統操作魔法』ではあるが、魔法の行使に『触媒』を必要とする特殊な魔法である。『草木の魔法』は植物の成長を促したり、植物を動かしたりすることができる操作魔法である。
植物の操作には、植物が根から吸い取った水を使用しているので『水の魔法』に分類される。何もないところから急に植物を生え出させるというようなことはできない。草木の魔法を使用するためには、魔法の触媒となる『種』を用意する必要がある。草木の魔法で操れる植物は、自分が生成した水を吸収した植物に限定されるので、草木の魔法を使うためには水の魔法が使用できることが絶対条件となる。
また、普通ではありえない速度で成長する植物などが、魔法植物の品種改良などによって作られていて、これは魔法生物学や魔法化学などの分野である。このように草木の魔法は今なお盛んに研究が行われている魔法であり、その最先端がヘンリエッタの母国、ウェストニア公国であった。
実はヘンリエッタは、魔法調薬ギルドのギルド長、ピセア・スプルースの母校でもあるウェストニア公立魔法学院からその才能を買われ、全授業料免除の特待生としての推薦での合格が決まっていたのにも関わらずその話を蹴って、このディナカレア魔法学院を受験し入学したという経歴の持ち主だった。
その原因は、幼馴染のオリヴィア・アライオンにあった。ウェストニア公国は自然豊かで非常に良い国ではあるが、言ってしまえば全体的には田舎である。都会にあこがれていたオリヴィアは地元の魔法学院ではなく、都会のセントレアにあるこのディナカレア魔法学院に一緒に入学することを強く望んだのだった。
「じゃあ、あなた1人で行けば?」と言ってしまえば済みそうなものだがそうはせず、推薦を蹴ってまで共に来たということは、オリヴィアに対して、一方ならぬ感情を持っているということの表れなのかも知れない。
そんなことヘンリエッタ本人は絶対に認めないだろうが。
こうしてヘンリエッタのチームは演習をクリアしたのだった。
登りきったミスズは頂上から下にいるソウジに叫んだ。
「あぁ、見てたよー!よくやったねー!僕らも行くからちょっとそこで待っててねー!」
「わかったー!早く来てよねー!」
「さてと、そうは言ったけど、僕にはあんな芸当できませんし…お2人に頼るしかないのですが」
「まぁまぁ、ソウちゃん、そこのお姉さんに任しときなって」
「私、同い年なんだけど……
先生?魔法に『触媒』を使うのは構いませんわよねぇ?」
「構いませんよ。あなたは『草木の魔法』が専門ですものね?」
ヘンリエッタの問いに、担任のリサはそう答えた。
「オリー、いつものように『土の魔法』をお願いね」
「うん、任せて~」
そう言うと、オリヴィアは『土の魔法』の詠唱を始める。
"oPen the fiAry GATE.
(開け、妖精界の門)
in-g,rE,DIeNT = yell-OW.
(食材は黄色の魔力)
re:ciPE = DO-NUT.
(調理法は穴の開いた揚げ菓子)
1 OF the ele:MenTs, GNOME.
(四大の一つ、土の精ノームよ)
pLEAse L-END Me UR POW-ER.
(我に汝の力を貸し与えたまえ)
SOIL-OPERATION."
(土の操作魔法)
唱えたのはごく単純な『土の操作魔法』だ。だが、その魔法により踏み固められた闘技場の土が掘り返され柔らかくなった。それは一重にオリヴィアの操作魔法の腕だろう。
「ばっちり耕したよ」
「うん、いい感じ。さすがね」
ヘンリエッタは土を少し手に取り、その感触を確かめる。そして、持っていたポーチから取り出した小さな粒のようなものをその土に撒いた。
そして、その妖艶な声で詠唱する。
"oPen the fiAry GATE.
(開け、妖精界の門)
in-g,rE,DIeNT = B-Lue.
(食材は青色の魔力)
re:ciPE = can-DY.
(調理法は飴玉)
1 OF the ele:MenTs, UN-DINE.
(四大の一つ、水の精ウンディーネよ)
brING FRuitFuL RAIN ↓ THE g-ROUND.
(大地に実りの雨を降らせ)
MAGIC-RAIN."
(魔法の雨)
唱えたのは『水の魔法』の中でも『雨の魔法』だ。
すると、周りはよく晴れているのに、土の部分には穏やかな雨が降り注いだ。するとすぐに土から芽が出てきた。普通ではありえない速度の発芽である。そして、ヘンリエッタが追加の詠唱をすると芽は柱に巻き付くようにしてみるみる成長していった。そして、それはちょうど柱の頂上まで届く螺旋階段のようになった。つたが絡み合うことで、上手く段差が形成され、丁寧に手すりも作られていた。
「さ、登りましょ?」
「これはすごいねー!」
「でしょ?ヘティーは魔法植物の知識とか、草木の魔法に関してはホントすごいからね~!」
『草木の魔法』は『水系統操作魔法』ではあるが、魔法の行使に『触媒』を必要とする特殊な魔法である。『草木の魔法』は植物の成長を促したり、植物を動かしたりすることができる操作魔法である。
植物の操作には、植物が根から吸い取った水を使用しているので『水の魔法』に分類される。何もないところから急に植物を生え出させるというようなことはできない。草木の魔法を使用するためには、魔法の触媒となる『種』を用意する必要がある。草木の魔法で操れる植物は、自分が生成した水を吸収した植物に限定されるので、草木の魔法を使うためには水の魔法が使用できることが絶対条件となる。
また、普通ではありえない速度で成長する植物などが、魔法植物の品種改良などによって作られていて、これは魔法生物学や魔法化学などの分野である。このように草木の魔法は今なお盛んに研究が行われている魔法であり、その最先端がヘンリエッタの母国、ウェストニア公国であった。
実はヘンリエッタは、魔法調薬ギルドのギルド長、ピセア・スプルースの母校でもあるウェストニア公立魔法学院からその才能を買われ、全授業料免除の特待生としての推薦での合格が決まっていたのにも関わらずその話を蹴って、このディナカレア魔法学院を受験し入学したという経歴の持ち主だった。
その原因は、幼馴染のオリヴィア・アライオンにあった。ウェストニア公国は自然豊かで非常に良い国ではあるが、言ってしまえば全体的には田舎である。都会にあこがれていたオリヴィアは地元の魔法学院ではなく、都会のセントレアにあるこのディナカレア魔法学院に一緒に入学することを強く望んだのだった。
「じゃあ、あなた1人で行けば?」と言ってしまえば済みそうなものだがそうはせず、推薦を蹴ってまで共に来たということは、オリヴィアに対して、一方ならぬ感情を持っているということの表れなのかも知れない。
そんなことヘンリエッタ本人は絶対に認めないだろうが。
こうしてヘンリエッタのチームは演習をクリアしたのだった。
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