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第8章 地下迷宮探索編
地下迷宮探索⑧ 休息
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ルーシッド達のクラスは第3階層に到達した。
階段を降りた場所はクラス全員がくつろげるだけの十分なスペースがあったので、今晩はここにキャンプを張って一泊することにした。
「うぅ、地面が硬い、お尻が痛い…クッションか何か持ってくれば良かった」
「野宿にそんなかさばるもの持って行かないでしょ、普通」
フェリカが嘆くと、ルビアがため息をつく。
「今、無色の魔力を加工するからちょっと待って。あ、布かなにかある?」
フェリカから布を受け取ると、ルーシッドは何もないところに布を被せた。
見た目には空中に布が浮かんでいるように見えるが、実際にはその下に無色の魔力のかたまりが存在している。
「はい、座ってみて」
「わぁ、すごいふかふか!」
「無色の魔力の強度を色々変えて試してみたんだよ」
「いいなー、私にもちょうだい?」
「いいよ~」
キリエに言われてルーシッドがもう1つ作っていると、ルビアが恥ずかしそうに言う。
「あの、私にも…」
「ルビィ、野宿にそんなかさばるもの要らないんじゃなかったのー?」
「うっ…いっ、いいじゃない!自分で持ってきたわけじゃないんだから!皆ばっかずるいわよ!」
「はいはい、フェリカも意地悪言わないの、みんな分作るからね」
それぞれのパーティーで必要なものは用意してきたが、足りないものは他のパーティーに相談して、余分にあれば譲ってもらったり、物々交換したりする。
「パンとカルネ(植物性の油が多く含まれており、味も肉のような味がする木の実。焼いて食べると非常にジューシーで美味しい)、それに豆類もあるからスープも作れるね」
「新鮮な野菜があるともっといいんだけどなぁ」
「それこそ野宿で野菜なんて無理でしょ」
「ヘティーならこの場で作れるんじゃないかな?」
「聞いてみる?」
「野菜?まぁもう作ってるけど?」
ヘンリエッタに相談しにいくと、すでに地面には野菜が栽培されていた。
そこにはミニトマトやサニーレタスなどが美味しそうになっていた。
普通であれば食べれるようになるまで時間がかかる野菜でも、改良した専用の種を触媒とした草木の魔法を使うと、数分から数十分で食べれるようになる。
「わぁ、すごい!さすがヘティー!」
「ちょっとちょっと、すごいのはヘティーだけじゃないんだなぁ、これが。この硬くて全く栽培に適さない岩地を植物が根を下ろせるように耕したのは私なんだからね」
オリヴィアが地面をぺしぺしと叩きながらそう言った。
オリヴィアは見た目は派手な感じでノリも少し軽いが、魔法の腕は確かである。
「ははぁ、ヘティー様、オリー様…野菜を譲っていただけねぇでしょうか」
フェリカが頭を下げて、土下座のポーズをする。さながら領主にお願いする農民である。
「いいけど、もちろんタダという訳にはいかんなぁ」
オリヴィアがそれに悪乗りしてそう話す。
「私は別に上げてもいいんだけど…いっぱいできるし」
「ちょっとヘティー!ここは何かこう、ふんぞり返って女王様みたいな感じで!ほら、そんな見た目なんだから!」
「あなたねぇ…私の見た目をちょいちょいいじるわよねぇ?」
「まぁじゃあ、代わりに私のこのクッションを」
そう言ってルーシッドは無色の魔力のクッションを渡して説明する。
「あら、すごく良いわね。これ」
「おぉ、すごい!ふにふにだね~!」
「良かったら、ミスズとソウジもどうぞ?」
「え、僕たちもいいのかい?」
「ありがとう!地面が硬くてお尻が限界だったのよ!」
ルーシッドの無色のクッションは大好評だった。
最初はパーティーごとに分かれていたクラスも、いつの間にかパーティーの垣根を越えてみんなでわいわいと盛り上がっていた。
食事の後は、みんなでルテ(お茶)やお菓子を食べながらくつろぐ。
何人かが楽器を持ってきていた。
魔法界では音楽が非常に盛んである。そもそも魔法の詠唱もメロディーやリズムがあり、魔法具もそうである。魔法使いにとって音楽は日常なのである。
社交的な集まりの場でも音楽が演奏され、皆で歌ったり踊ったりするのが一般的である。
ビリー・ジェンクスはオカリナを持ってきており、演奏もかなりの腕前だった。
『風の魔法』を使う魔法使いが笛などの演奏に長けているのは珍しいことではないが、皆から意外だと言われて、ビリーは心外だと笑っていた。
他にリリアナ・ソルフェリノとクリスティーン・チェスナットもリコーダーを持ってきていた。
どちらも育ちは良さそうではあったが、実際にお嬢様なようだ。他にもフルートやピアノ、ヴァイオリンもできるそうだ。
持ち運びの関係で今回はリコーダーにしたと言っていた。
今の魔法界で流行している音楽や伝統音楽などを演奏し、皆で手拍子をしたり、口ずさんだり、ダンスを踊りながら楽しく夜が更けていった。
「はい、皆さん。そろそろお開きにしましょう。今日は色々あって体は疲れていると思います。しっかり体を休めて明日に備えましょう。明日は日の出の鐘と共に起きて朝食を食べてから戻りますからね」
リサがパンパンと手を叩いてそう言った。
「ですが先生…夜の間にこの迷宮にいるかも知れない侵入者に襲われるという可能性は?」
ルビアがそう意見を述べる。
それは最もな意見でもあり、暗殺者という職業柄ともいえる意見だった。侵入者の思惑は不明だが、もし襲うとしたら夜だ。侵入者は足止めなどをして隠れようとしているとも考えられるが、確かなことはわからない。逃げるために必要な物資を狙って襲ってくるという可能性も捨てきれない。
「えぇ、ルビアさんの言う通りです。襲われる危険の有無に関わらず、外でキャンプを張る場合には交代で見張りをする方が良いです。パーティーだけでキャンプを張る場合は1人ずつ交代で見張りますが、今回はパーティーごとに交代で見張りましょう。恐らく夜明けまでは10時間くらい、1時間交代にしましょう」
そう言うと、リサは砂時計を出した。
「ちょうどこれで10分測れます。これで60分測りましょう」
見張りの順番はパーティーの順番通りとなり、最初はAチームのルーシッド達となった。
他のメンバー達はパーティーごとに集まって眠りにつく。
皆、騒いではいたが疲れていたようで横になるとすぐに眠気が来たようだ。
ルビアが生成している魔法の火をパーティーで囲みながら、ルーシッドは先ほどの事を思い出していた。
実はあの第3階層へ続く階段を封鎖していた魔法陣には、魔法を発動するものと関係がない古代言語が書かれていた。それは間違いなくルーシッドへあてたメッセージだった。
リスヴェルはルーシッドが古代言語を読めることを知っている。そして、この世に古代言語が読める人間など自分を除けばルーシッドだけであることも知っているのだ。
だからあれはリスヴェルとルーシッドにしか読めない、いわば秘密のメッセージだったのだ。
そして、そこにはこう書いてあった。
『第3階層で待つ。皆が寝静まってから2人だけで会おう。再開を楽しみにしているよ』
ルーシッドは自分のパーティーの見張り番が終わったら抜け出そうと思っていた。
再開を楽しみにしているとは、本心なのか、それとも別の思惑があるのかはわからないが。
しかし、ルーシッド自身はリスヴェルにもう一度会いたいと思っていた。
ルーシッドはリスヴェルに興味があった。リスヴェルには何か惹かれるものがある。それが何なのか会って確かめたいと思っていたのだ。騎士団に拘束されてしまいそれも叶いそうにないと考えていたが、思いがけず再会できそうだ。ルーシッドは密かにわくわくしていたのだった。
階段を降りた場所はクラス全員がくつろげるだけの十分なスペースがあったので、今晩はここにキャンプを張って一泊することにした。
「うぅ、地面が硬い、お尻が痛い…クッションか何か持ってくれば良かった」
「野宿にそんなかさばるもの持って行かないでしょ、普通」
フェリカが嘆くと、ルビアがため息をつく。
「今、無色の魔力を加工するからちょっと待って。あ、布かなにかある?」
フェリカから布を受け取ると、ルーシッドは何もないところに布を被せた。
見た目には空中に布が浮かんでいるように見えるが、実際にはその下に無色の魔力のかたまりが存在している。
「はい、座ってみて」
「わぁ、すごいふかふか!」
「無色の魔力の強度を色々変えて試してみたんだよ」
「いいなー、私にもちょうだい?」
「いいよ~」
キリエに言われてルーシッドがもう1つ作っていると、ルビアが恥ずかしそうに言う。
「あの、私にも…」
「ルビィ、野宿にそんなかさばるもの要らないんじゃなかったのー?」
「うっ…いっ、いいじゃない!自分で持ってきたわけじゃないんだから!皆ばっかずるいわよ!」
「はいはい、フェリカも意地悪言わないの、みんな分作るからね」
それぞれのパーティーで必要なものは用意してきたが、足りないものは他のパーティーに相談して、余分にあれば譲ってもらったり、物々交換したりする。
「パンとカルネ(植物性の油が多く含まれており、味も肉のような味がする木の実。焼いて食べると非常にジューシーで美味しい)、それに豆類もあるからスープも作れるね」
「新鮮な野菜があるともっといいんだけどなぁ」
「それこそ野宿で野菜なんて無理でしょ」
「ヘティーならこの場で作れるんじゃないかな?」
「聞いてみる?」
「野菜?まぁもう作ってるけど?」
ヘンリエッタに相談しにいくと、すでに地面には野菜が栽培されていた。
そこにはミニトマトやサニーレタスなどが美味しそうになっていた。
普通であれば食べれるようになるまで時間がかかる野菜でも、改良した専用の種を触媒とした草木の魔法を使うと、数分から数十分で食べれるようになる。
「わぁ、すごい!さすがヘティー!」
「ちょっとちょっと、すごいのはヘティーだけじゃないんだなぁ、これが。この硬くて全く栽培に適さない岩地を植物が根を下ろせるように耕したのは私なんだからね」
オリヴィアが地面をぺしぺしと叩きながらそう言った。
オリヴィアは見た目は派手な感じでノリも少し軽いが、魔法の腕は確かである。
「ははぁ、ヘティー様、オリー様…野菜を譲っていただけねぇでしょうか」
フェリカが頭を下げて、土下座のポーズをする。さながら領主にお願いする農民である。
「いいけど、もちろんタダという訳にはいかんなぁ」
オリヴィアがそれに悪乗りしてそう話す。
「私は別に上げてもいいんだけど…いっぱいできるし」
「ちょっとヘティー!ここは何かこう、ふんぞり返って女王様みたいな感じで!ほら、そんな見た目なんだから!」
「あなたねぇ…私の見た目をちょいちょいいじるわよねぇ?」
「まぁじゃあ、代わりに私のこのクッションを」
そう言ってルーシッドは無色の魔力のクッションを渡して説明する。
「あら、すごく良いわね。これ」
「おぉ、すごい!ふにふにだね~!」
「良かったら、ミスズとソウジもどうぞ?」
「え、僕たちもいいのかい?」
「ありがとう!地面が硬くてお尻が限界だったのよ!」
ルーシッドの無色のクッションは大好評だった。
最初はパーティーごとに分かれていたクラスも、いつの間にかパーティーの垣根を越えてみんなでわいわいと盛り上がっていた。
食事の後は、みんなでルテ(お茶)やお菓子を食べながらくつろぐ。
何人かが楽器を持ってきていた。
魔法界では音楽が非常に盛んである。そもそも魔法の詠唱もメロディーやリズムがあり、魔法具もそうである。魔法使いにとって音楽は日常なのである。
社交的な集まりの場でも音楽が演奏され、皆で歌ったり踊ったりするのが一般的である。
ビリー・ジェンクスはオカリナを持ってきており、演奏もかなりの腕前だった。
『風の魔法』を使う魔法使いが笛などの演奏に長けているのは珍しいことではないが、皆から意外だと言われて、ビリーは心外だと笑っていた。
他にリリアナ・ソルフェリノとクリスティーン・チェスナットもリコーダーを持ってきていた。
どちらも育ちは良さそうではあったが、実際にお嬢様なようだ。他にもフルートやピアノ、ヴァイオリンもできるそうだ。
持ち運びの関係で今回はリコーダーにしたと言っていた。
今の魔法界で流行している音楽や伝統音楽などを演奏し、皆で手拍子をしたり、口ずさんだり、ダンスを踊りながら楽しく夜が更けていった。
「はい、皆さん。そろそろお開きにしましょう。今日は色々あって体は疲れていると思います。しっかり体を休めて明日に備えましょう。明日は日の出の鐘と共に起きて朝食を食べてから戻りますからね」
リサがパンパンと手を叩いてそう言った。
「ですが先生…夜の間にこの迷宮にいるかも知れない侵入者に襲われるという可能性は?」
ルビアがそう意見を述べる。
それは最もな意見でもあり、暗殺者という職業柄ともいえる意見だった。侵入者の思惑は不明だが、もし襲うとしたら夜だ。侵入者は足止めなどをして隠れようとしているとも考えられるが、確かなことはわからない。逃げるために必要な物資を狙って襲ってくるという可能性も捨てきれない。
「えぇ、ルビアさんの言う通りです。襲われる危険の有無に関わらず、外でキャンプを張る場合には交代で見張りをする方が良いです。パーティーだけでキャンプを張る場合は1人ずつ交代で見張りますが、今回はパーティーごとに交代で見張りましょう。恐らく夜明けまでは10時間くらい、1時間交代にしましょう」
そう言うと、リサは砂時計を出した。
「ちょうどこれで10分測れます。これで60分測りましょう」
見張りの順番はパーティーの順番通りとなり、最初はAチームのルーシッド達となった。
他のメンバー達はパーティーごとに集まって眠りにつく。
皆、騒いではいたが疲れていたようで横になるとすぐに眠気が来たようだ。
ルビアが生成している魔法の火をパーティーで囲みながら、ルーシッドは先ほどの事を思い出していた。
実はあの第3階層へ続く階段を封鎖していた魔法陣には、魔法を発動するものと関係がない古代言語が書かれていた。それは間違いなくルーシッドへあてたメッセージだった。
リスヴェルはルーシッドが古代言語を読めることを知っている。そして、この世に古代言語が読める人間など自分を除けばルーシッドだけであることも知っているのだ。
だからあれはリスヴェルとルーシッドにしか読めない、いわば秘密のメッセージだったのだ。
そして、そこにはこう書いてあった。
『第3階層で待つ。皆が寝静まってから2人だけで会おう。再開を楽しみにしているよ』
ルーシッドは自分のパーティーの見張り番が終わったら抜け出そうと思っていた。
再開を楽しみにしているとは、本心なのか、それとも別の思惑があるのかはわからないが。
しかし、ルーシッド自身はリスヴェルにもう一度会いたいと思っていた。
ルーシッドはリスヴェルに興味があった。リスヴェルには何か惹かれるものがある。それが何なのか会って確かめたいと思っていたのだ。騎士団に拘束されてしまいそれも叶いそうにないと考えていたが、思いがけず再会できそうだ。ルーシッドは密かにわくわくしていたのだった。
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