93 / 153
第11章 クラス対抗魔法球技戦編
魔法球技
しおりを挟む
「さぁ、皆さん。いよいよこの時がやってきました!クラス対抗戦です!第1回目となる今回は魔法球技戦です」
担任のリサがそう伝えると、クラスの皆は大いに盛り上がる。
「ねぇ、魔法球技ってどんなの?」
ルーシッドが隣の席のルビアに話しかけると、ルビアは驚いたような顔をした。
「えっ、ルーシィって『魔法球技』知らないの?」
「うん、初めて聞いたよ」
「うそぉ、子供の頃とかにやるでしょ?」
「あぁ、ほら。私、魔法使えないし。多分、魔法球技っていうからには魔法使うんでしょ?
それに子供の頃、友達一人もいなかったし」
「あっ、ご、ごめん…」
ルビアはしまったという感じの顔で謝った。
「ううん。全然気にしてないよ。サリーもそういうのはやらなかったしな」
「でも人気がある球技とかだと、その球技を専門的に行うプロチームがいて、年間トーナメントとかを開催したりしてるよ~」
キリエが話に入ってくる。
「へぇ、そうなんだ。全然知らなかった。エアリーは知ってた?」
「はい。この前の新入生ギルド体験週間のパンフレットでそれらしきものをいくつか見ました。ルールまではわからなかったので、名前から推測するしかありませんが」
「え、そうだった?全然気づかなかったな」
「なんでエアリーが知ってて、あんたが知らないのよ。ほんとルーシィって自分の興味ないことに対しては全然よね」
ルビアがやれやれと言った感じで首を振る。
「ルーシッドさんは初めてなようなので、詳しく説明していきますね」
リサがその会話を聞いていてそう言ったので、ルーシッドはありがとうございますと言ってお辞儀をした。
「『魔法球技』というのは、魔法を使って行う競技の中でも球状のものを使用して行う競技のことです。マイナーなものも含めればたくさんありますが、今回の魔法球技戦で行われるものは、『三大魔法球技』と言われているもので、『エリアボール』『バトルボール』『ストライクボール』の3つです。さっきエアリーさんが言っていたように、この3つに関してはこの学院にもギルドがあります」
リサは魔法球技のルールを説明していく。
「まず魔法球技全般に関するルールですが、試合中の攻防は全て魔法で行います。魔法具の使用も許可されています。相手への魔法による直接的な攻撃は認められていません。魔法の使用は、球技で使用されるボールへの付与魔法、および防御魔法、また自分の体に対してかける魔装などに限られます」
そして、3つの魔法球技を順番に説明していく。
「『エリアボール』は、向かい合ったチームがそれぞれの陣地をボールによって奪い合うゲームです。それぞれの陣地は16のエリアに区切られており、相手の陣地にボールを投げ込み、そのエリアのうちのどこかにボールが当たると、そこは自分の陣地となります。再度そこにボールを当てると、1ポイントが加算されます。ポイントを多く取るか、もしくは相手陣地を全て自分の陣地に変えると勝利となります」
「へぇ~、なかなか戦略的だね」
「興味出てきた?」
ルーシッドがそう反応したので、ルビアは尋ねた。
「次に『バトルボール』ですが、これは非常にシンプルです。ボールをお互いにぶつけ合い、ぶつけた数を競うゲームです。この球技では『砂の造形魔法(土の魔法の下位魔法)』によって作ったボールが使用されます。ボールが相手にぶつかると魔法の効果が切れてただの砂に戻ります。
そして、3つ目の『ストライクボール』ですが、これは的にボールを当てた数を競うゲームです。的は両チームに共通のものになり、的は一度当てると無くなります。それで、できるだけ多くの的を相手よりも早く正確に当てる必要があります。また、相手のボールが的に当たらないように妨害することもできます」
「ふぅん…なるほどね…」
ルーシッドは真剣な顔つきになっていた。ルビアはその様子を見て、ルーシッドはすでに戦略を考えているのだろうと思った。
「クラス対抗魔法球技戦は2週間後になります。それまでにどの競技に誰が出場するかを決めていく必要があります。もうすでに球技を経験したことがある人もいるかも知れませんが、これから2週間はクラスの演習も魔法球技を行っていきます。委員長のシアンさん、その様子を見ながら出場メンバーの選考をしてくれますか?」
「は、はいっ。あの先生…
ルーシィに補佐をお願いしてもいいでしょうか?」
「…えっ?私?
でも、私ルールも今聞いたばっかりで、まだよくわかってないけど?」
「ルーシィ、あなたには作戦を立てる才能、参謀としての才能があるわ。あなたの力が必要なの。私に手を貸して。みんなも良いわよね?」
クラスにはルーシッドの力を疑うものなど1人もいなかった。皆は拍手で答える。
「う、うん…皆がそう言ってくれるなら…」
「じゃあ、シアンさんとルーシッドさん、お願いしますね」
「みんな、私最初に言ったわよね?クラス対抗戦では絶対1番を取るって。
このメンバーなら絶対できるわ!今までの演習を見てきてそう確信したわ!目指すは全種目優勝よ!」
クラスの皆が声を上げて、それに答える。
「アンって意外に熱い性格なんだね」
ルーシッドだけは冷静にそうシアンに話しかけた。
「あなたはどうなの?」
シアンがルーシッドにそう問いかけると、ルーシッドはしばらく考えてからちょっと笑ってこう言った。
「そうだね。やるからには勝ちたい…かな」
担任のリサがそう伝えると、クラスの皆は大いに盛り上がる。
「ねぇ、魔法球技ってどんなの?」
ルーシッドが隣の席のルビアに話しかけると、ルビアは驚いたような顔をした。
「えっ、ルーシィって『魔法球技』知らないの?」
「うん、初めて聞いたよ」
「うそぉ、子供の頃とかにやるでしょ?」
「あぁ、ほら。私、魔法使えないし。多分、魔法球技っていうからには魔法使うんでしょ?
それに子供の頃、友達一人もいなかったし」
「あっ、ご、ごめん…」
ルビアはしまったという感じの顔で謝った。
「ううん。全然気にしてないよ。サリーもそういうのはやらなかったしな」
「でも人気がある球技とかだと、その球技を専門的に行うプロチームがいて、年間トーナメントとかを開催したりしてるよ~」
キリエが話に入ってくる。
「へぇ、そうなんだ。全然知らなかった。エアリーは知ってた?」
「はい。この前の新入生ギルド体験週間のパンフレットでそれらしきものをいくつか見ました。ルールまではわからなかったので、名前から推測するしかありませんが」
「え、そうだった?全然気づかなかったな」
「なんでエアリーが知ってて、あんたが知らないのよ。ほんとルーシィって自分の興味ないことに対しては全然よね」
ルビアがやれやれと言った感じで首を振る。
「ルーシッドさんは初めてなようなので、詳しく説明していきますね」
リサがその会話を聞いていてそう言ったので、ルーシッドはありがとうございますと言ってお辞儀をした。
「『魔法球技』というのは、魔法を使って行う競技の中でも球状のものを使用して行う競技のことです。マイナーなものも含めればたくさんありますが、今回の魔法球技戦で行われるものは、『三大魔法球技』と言われているもので、『エリアボール』『バトルボール』『ストライクボール』の3つです。さっきエアリーさんが言っていたように、この3つに関してはこの学院にもギルドがあります」
リサは魔法球技のルールを説明していく。
「まず魔法球技全般に関するルールですが、試合中の攻防は全て魔法で行います。魔法具の使用も許可されています。相手への魔法による直接的な攻撃は認められていません。魔法の使用は、球技で使用されるボールへの付与魔法、および防御魔法、また自分の体に対してかける魔装などに限られます」
そして、3つの魔法球技を順番に説明していく。
「『エリアボール』は、向かい合ったチームがそれぞれの陣地をボールによって奪い合うゲームです。それぞれの陣地は16のエリアに区切られており、相手の陣地にボールを投げ込み、そのエリアのうちのどこかにボールが当たると、そこは自分の陣地となります。再度そこにボールを当てると、1ポイントが加算されます。ポイントを多く取るか、もしくは相手陣地を全て自分の陣地に変えると勝利となります」
「へぇ~、なかなか戦略的だね」
「興味出てきた?」
ルーシッドがそう反応したので、ルビアは尋ねた。
「次に『バトルボール』ですが、これは非常にシンプルです。ボールをお互いにぶつけ合い、ぶつけた数を競うゲームです。この球技では『砂の造形魔法(土の魔法の下位魔法)』によって作ったボールが使用されます。ボールが相手にぶつかると魔法の効果が切れてただの砂に戻ります。
そして、3つ目の『ストライクボール』ですが、これは的にボールを当てた数を競うゲームです。的は両チームに共通のものになり、的は一度当てると無くなります。それで、できるだけ多くの的を相手よりも早く正確に当てる必要があります。また、相手のボールが的に当たらないように妨害することもできます」
「ふぅん…なるほどね…」
ルーシッドは真剣な顔つきになっていた。ルビアはその様子を見て、ルーシッドはすでに戦略を考えているのだろうと思った。
「クラス対抗魔法球技戦は2週間後になります。それまでにどの競技に誰が出場するかを決めていく必要があります。もうすでに球技を経験したことがある人もいるかも知れませんが、これから2週間はクラスの演習も魔法球技を行っていきます。委員長のシアンさん、その様子を見ながら出場メンバーの選考をしてくれますか?」
「は、はいっ。あの先生…
ルーシィに補佐をお願いしてもいいでしょうか?」
「…えっ?私?
でも、私ルールも今聞いたばっかりで、まだよくわかってないけど?」
「ルーシィ、あなたには作戦を立てる才能、参謀としての才能があるわ。あなたの力が必要なの。私に手を貸して。みんなも良いわよね?」
クラスにはルーシッドの力を疑うものなど1人もいなかった。皆は拍手で答える。
「う、うん…皆がそう言ってくれるなら…」
「じゃあ、シアンさんとルーシッドさん、お願いしますね」
「みんな、私最初に言ったわよね?クラス対抗戦では絶対1番を取るって。
このメンバーなら絶対できるわ!今までの演習を見てきてそう確信したわ!目指すは全種目優勝よ!」
クラスの皆が声を上げて、それに答える。
「アンって意外に熱い性格なんだね」
ルーシッドだけは冷静にそうシアンに話しかけた。
「あなたはどうなの?」
シアンがルーシッドにそう問いかけると、ルーシッドはしばらく考えてからちょっと笑ってこう言った。
「そうだね。やるからには勝ちたい…かな」
0
あなたにおすすめの小説
【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。
BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。
辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん??
私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?
なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた
下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。
ご都合主義のハッピーエンドのSSです。
でも周りは全くハッピーじゃないです。
小説家になろう様でも投稿しています。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
悪役令嬢はモブ化した
F.conoe
ファンタジー
乙女ゲーム? なにそれ食べ物? な悪役令嬢、普通にシナリオ負けして退場しました。
しかし貴族令嬢としてダメの烙印をおされた卒業パーティーで、彼女は本当の自分を取り戻す!
領地改革にいそしむ充実した日々のその裏で、乙女ゲームは着々と進行していくのである。
「……なんなのこれは。意味がわからないわ」
乙女ゲームのシナリオはこわい。
*注*誰にも前世の記憶はありません。
ざまぁが地味だと思っていましたが、オーバーキルだという意見もあるので、優しい結末を期待してる人は読まない方が良さげ。
性格悪いけど自覚がなくて自分を優しいと思っている乙女ゲームヒロインの心理描写と因果応報がメインテーマ(番外編で登場)なので、叩かれようがざまぁ改変して救う気はない。
作者の趣味100%でダンジョンが出ました。
女神様、もっと早く祝福が欲しかった。
しゃーりん
ファンタジー
アルーサル王国には、女神様からの祝福を授かる者がいる。…ごくたまに。
今回、授かったのは6歳の王女であり、血縁の判定ができる魔力だった。
女神様は国に役立つ魔力を授けてくれる。ということは、血縁が乱れてるってことか?
一人の倫理観が異常な男によって、国中の貴族が混乱するお話です。ご注意下さい。
奥様は聖女♡
喜楽直人
ファンタジー
聖女を裏切った国は崩壊した。そうして国は魔獣が跋扈する魔境と化したのだ。
ある地方都市を襲ったスタンピードから人々を救ったのは一人の冒険者だった。彼女は夫婦者の冒険者であるが、戦うのはいつも彼女だけ。周囲は揶揄い夫を嘲るが、それを追い払うのは妻の役目だった。
今、私は幸せなの。ほっといて
青葉めいこ
ファンタジー
王族特有の色彩を持たない無能な王子をサポートするために婚約した公爵令嬢の私。初対面から王子に悪態を吐かれていたので、いつか必ず婚約を破談にすると決意していた。
卒業式のパーティーで、ある告白(告発?)をし、望み通り婚約は破談となり修道女になった。
そんな私の元に、元婚約者やら弟やらが訪ねてくる。
「今、私は幸せなの。ほっといて」
小説家になろうにも投稿しています。
私ですか?
庭にハニワ
ファンタジー
うわ。
本当にやらかしたよ、あのボンクラ公子。
長年積み上げた婚約者の絆、なんてモノはひとっかけらもなかったようだ。
良く知らんけど。
この婚約、破棄するってコトは……貴族階級は騒ぎになるな。
それによって迷惑被るのは私なんだが。
あ、申し遅れました。
私、今婚約破棄された令嬢の影武者です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる