魔法学院の階級外魔術師

浅葱 繚

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第11章 クラス対抗魔法球技戦編

魔法球技

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「さぁ、皆さん。いよいよこの時がやってきました!クラス対抗戦です!第1回目となる今回は魔法球技戦です」
担任のリサがそう伝えると、クラスの皆は大いに盛り上がる。

「ねぇ、魔法球技ってどんなの?」
ルーシッドが隣の席のルビアに話しかけると、ルビアは驚いたような顔をした。
「えっ、ルーシィって『魔法球技』知らないの?」
「うん、初めて聞いたよ」
「うそぉ、子供の頃とかにやるでしょ?」
「あぁ、ほら。私、魔法使えないし。多分、魔法球技っていうからには魔法使うんでしょ?
それに子供の頃、友達一人もいなかったし」
「あっ、ご、ごめん…」
ルビアはしまったという感じの顔で謝った。
「ううん。全然気にしてないよ。サリーもそういうのはやらなかったしな」
「でも人気がある球技とかだと、その球技を専門的に行うプロチームがいて、年間トーナメントとかを開催したりしてるよ~」
キリエが話に入ってくる。
「へぇ、そうなんだ。全然知らなかった。エアリーは知ってた?」
「はい。この前の新入生ギルド体験週間のパンフレットでそれらしきものをいくつか見ました。ルールまではわからなかったので、名前から推測するしかありませんが」
「え、そうだった?全然気づかなかったな」
「なんでエアリーが知ってて、あんたが知らないのよ。ほんとルーシィって自分の興味ないことに対しては全然よね」
ルビアがやれやれと言った感じで首を振る。

「ルーシッドさんは初めてなようなので、詳しく説明していきますね」
リサがその会話を聞いていてそう言ったので、ルーシッドはありがとうございますと言ってお辞儀をした。

「『魔法球技』というのは、魔法を使って行う競技の中でも球状のものを使用して行う競技のことです。マイナーなものも含めればたくさんありますが、今回の魔法球技戦で行われるものは、『三大魔法球技』と言われているもので、『エリアボール』『バトルボール』『ストライクボール』の3つです。さっきエアリーさんが言っていたように、この3つに関してはこの学院にもギルドがあります」

リサは魔法球技のルールを説明していく。

「まず魔法球技全般に関するルールですが、試合中の攻防は全て魔法で行います。魔法具の使用も許可されています。相手への魔法による直接的な攻撃は認められていません。魔法の使用は、球技で使用されるボールへの付与魔法エンチャントマジック、および防御魔法ディフェンスマジック、また自分の体に対してかける魔装インテグレーションなどに限られます」

そして、3つの魔法球技を順番に説明していく。
「『エリアボール』は、向かい合ったチームがそれぞれの陣地をボールによって奪い合うゲームです。それぞれの陣地は16のエリアに区切られており、相手の陣地にボールを投げ込み、そのエリアのうちのどこかにボールが当たると、そこは自分の陣地となります。再度そこにボールを当てると、1ポイントが加算されます。ポイントを多く取るか、もしくは相手陣地を全て自分の陣地に変えると勝利となります」

「へぇ~、なかなか戦略的だね」
「興味出てきた?」
ルーシッドがそう反応したので、ルビアは尋ねた。

「次に『バトルボール』ですが、これは非常にシンプルです。ボールをお互いにぶつけ合い、ぶつけた数を競うゲームです。この球技では『砂の造形魔法(土の魔法の下位魔法)』によって作ったボールが使用されます。ボールが相手にぶつかると魔法の効果が切れてただの砂に戻ります。
そして、3つ目の『ストライクボール』ですが、これは的にボールを当てた数を競うゲームです。的は両チームに共通のものになり、的は一度当てると無くなります。それで、できるだけ多くの的を相手よりも早く正確に当てる必要があります。また、相手のボールが的に当たらないように妨害することもできます」

「ふぅん…なるほどね…」
ルーシッドは真剣な顔つきになっていた。ルビアはその様子を見て、ルーシッドはすでに戦略を考えているのだろうと思った。

「クラス対抗魔法球技戦は2週間後になります。それまでにどの競技に誰が出場するかを決めていく必要があります。もうすでに球技を経験したことがある人もいるかも知れませんが、これから2週間はクラスの演習も魔法球技を行っていきます。委員長のシアンさん、その様子を見ながら出場メンバーの選考をしてくれますか?」
「は、はいっ。あの先生…

ルーシィに補佐をお願いしてもいいでしょうか?」

「…えっ?私?
でも、私ルールも今聞いたばっかりで、まだよくわかってないけど?」
「ルーシィ、あなたには作戦を立てる才能、参謀としての才能があるわ。あなたの力が必要なの。私に手を貸して。みんなも良いわよね?」
クラスにはルーシッドの力を疑うものなど1人もいなかった。皆は拍手で答える。
「う、うん…皆がそう言ってくれるなら…」
「じゃあ、シアンさんとルーシッドさん、お願いしますね」

「みんな、私最初に言ったわよね?クラス対抗戦では絶対1番を取るって。
このメンバーなら絶対できるわ!今までの演習を見てきてそう確信したわ!目指すは全種目優勝よ!」
クラスの皆が声を上げて、それに答える。

「アンって意外に熱い性格なんだね」
ルーシッドだけは冷静にそうシアンに話しかけた。
「あなたはどうなの?」
シアンがルーシッドにそう問いかけると、ルーシッドはしばらく考えてからちょっと笑ってこう言った。

「そうだね。やるからには勝ちたい…かな」

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