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第11章 クラス対抗魔法球技戦編
生徒会室にて
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「今年もいよいよクラス対抗戦が始まるわね~。今年の1年生はどんな戦いをするのか楽しみだわ~」
生徒会のギルドホームでは、生徒会定例会議が行われていた。
ここ最近の生徒会は、いよいよ来週に迫ったクラス対抗戦に向けて忙しく会議をしたり、実務をしたりしていた。
「アザリーさんもマリンさんも頑張ってね~」
そう、生徒会長のフリージア・ウィステリアから話しかけられたのは、1年生で今年から生徒会に加わった、アザレア・ディライトとマリン・デレクタブルだ。
「はい。生徒会の名に恥じないように精いっぱい頑張ります」
そう言ったのは今年の首席入学のアザレア・ディライト。準決勝でルビアに敗れて3位とはなったが、魔力ランクはA。いつもにこにこしていて、非常に明るい印象の女生徒で、その笑顔にはうっすらと桃色に染まった短めの髪型がよく映える。
「私は、ルビア・スカーレットに借りを返したいと思いますわ」
少し大人びた印象を受けるこちらの生徒がマリン・デレクタブル。入学試験の摸擬戦でルビアの断章詠法を使用した、遅延発動魔法によって敗れた生徒だ。マリンは魔力ランクAAで、青系統の魔力を持ち、水の魔法を得意としていた。マリンは短い青みがかった髪で片側の耳を出すようにしていた。目は大きくおっとりとしているが、その奥の瞳は何かを見透かしているように鋭い。
「まぁ、2人ともそう気負わずに、初めての全校行事を楽しんでください」
副会長の1人ヴァン・ブレンダークが、少しだけ微笑みながら2人にそう言った。
「そうそう、ヴァンちゃんの言う通りなのだ~。それにルビアと同じ競技に当たるとも限んないしね~。借りを返すにも当たんないとどうしようもないよね、あはは」
そう笑いながら言ったのが、もう1人の副会長、ミクリナ・フェンサーだ。ミクリナは身長がかなり小さいらしく、会議室の机が高すぎて、顔しか見えていなかった。そして、制服の寸法が合わないのか、袖はダボダボだった。
ちなみに生徒会長のフリージアは4年生で、副会長のヴァンとミクリナは3年生である。
「あはは、そらそやな。まぁ、ルビィはオールマイティーやからな。どの競技でも通用しそうやし、どれに出るかはわからんなぁ。まぁその点ではサリーとおんなじやな?」
独特のなまりでそれに答えたのは、3年生で会計のシヴァ・フィースクル。このなまりはクシダラ国の一地方のなまりだと本人は言っているが、シヴァ意外に使っている人を見たことがないので、真偽のほどは定かではない。
シヴァの目はいわゆる糸目で、ほとんど目を開けていないように見える。ウェーブがかかったショートヘアーの片側を髪留めでまとめていた。
「えっと…広報の方では何かある?フィオ?」
フィオと呼びかけられたのは、フリージアと同じ4年生のフィオーレ・シーウェン。広報担当の生徒会メンバーだ。
「ん~……まぁ、今回のイベントは~…校内イベントなので~…特に対外的な告知とかもないですし~」
フィオーレは非常に間延びした、ゆっくりとした間合いで話す。
フィオーレはおっとりとした感じの性格で、見た目として目立つのは何と言ってもその豊満な胸だった。その胸の大きさは校内一ではないかと言われるほどに大きい。
「まぁそれもそうね、会計の方はどう?球技戦に必要な費用の試算は進んでる?」
「あ、はい。競技に必要な備品で、買い替えや補充が必要なものをピックアップして、試算を進めています。
あ、あと、クラスで使用する魔法具にかかる費用の請求はしても良いのかという質問が来ていますが…」
フリージアから質問されて、今年からもう1人の会計担当となったアザレアが答えた。ちなみに、マリンは書記で、サラと同じ役職である。
「ん~…魔法具は競技用のものを魔法競技ギルドから借りることになっていますが…それ以外にということかしら?」
「いえ、あの…自作したいそうです。魔法具自体の素材の方は準備できるから良いそうですが、魔法石とか結晶石だけ何とかならないかということでした…」
「えっ……自作?
すごいわね。誰かしら上級生?それとも魔法具開発ギルドの誰か?」
魔法具を自作すると聞いて、フリージアは戸惑った。普通に考えて学生が魔法具を自作することなどあり得ない。上級生ともなれば、一応作れるようにはなるだろうが、それでも実際に競技用として使われているものの代わりになるとは思えない。魔法具開発ギルドだったら作れるかも知れないが、魔法具開発ギルドの直接の仕事だったら費用の請求はしないはずだ。この学院の各ギルドの資金は基本的に自給自足だからだ。
「いえ…1年5クラスの委員長シアン・ノウブルからです」
「いっ、1年生?」
フリージアがそれを聞いてさらに驚いた。1年生で魔法具を自作できる生徒なんているはずがない。
「ごっ、5クラスって言ったらルビアのところじゃない…」
5クラスに反応したのはマリンだった。マリンは勝手にルビアをライバル視していた。
「あぁ…なるほど…」
それを聞いて、フリージアやサラは口には出さなかったが納得した。ルビアのクラスということは、つまりルーシッドのクラスということだ。質問をしてきたのはシアンという生徒だが、この話には十中八九ルーシッドが絡んでいるに違いない。
「どうしますか?会長?」
それを知ってか知らずかヴァンが会長に判断を仰いだ。
「自作で魔法具を作れるなんてすごいことだわ。もし仮にそんなことができるとすれば逸材だわ。今後の学院交流会で行われる対抗戦を見据えれば貴重な戦力になるかも知れない。まぁ無理かも知れないけど、それならそれでいいわ。何事も経験させてあげないとね。私の方で学院側に交渉してみるわ」
生徒会のギルドホームでは、生徒会定例会議が行われていた。
ここ最近の生徒会は、いよいよ来週に迫ったクラス対抗戦に向けて忙しく会議をしたり、実務をしたりしていた。
「アザリーさんもマリンさんも頑張ってね~」
そう、生徒会長のフリージア・ウィステリアから話しかけられたのは、1年生で今年から生徒会に加わった、アザレア・ディライトとマリン・デレクタブルだ。
「はい。生徒会の名に恥じないように精いっぱい頑張ります」
そう言ったのは今年の首席入学のアザレア・ディライト。準決勝でルビアに敗れて3位とはなったが、魔力ランクはA。いつもにこにこしていて、非常に明るい印象の女生徒で、その笑顔にはうっすらと桃色に染まった短めの髪型がよく映える。
「私は、ルビア・スカーレットに借りを返したいと思いますわ」
少し大人びた印象を受けるこちらの生徒がマリン・デレクタブル。入学試験の摸擬戦でルビアの断章詠法を使用した、遅延発動魔法によって敗れた生徒だ。マリンは魔力ランクAAで、青系統の魔力を持ち、水の魔法を得意としていた。マリンは短い青みがかった髪で片側の耳を出すようにしていた。目は大きくおっとりとしているが、その奥の瞳は何かを見透かしているように鋭い。
「まぁ、2人ともそう気負わずに、初めての全校行事を楽しんでください」
副会長の1人ヴァン・ブレンダークが、少しだけ微笑みながら2人にそう言った。
「そうそう、ヴァンちゃんの言う通りなのだ~。それにルビアと同じ競技に当たるとも限んないしね~。借りを返すにも当たんないとどうしようもないよね、あはは」
そう笑いながら言ったのが、もう1人の副会長、ミクリナ・フェンサーだ。ミクリナは身長がかなり小さいらしく、会議室の机が高すぎて、顔しか見えていなかった。そして、制服の寸法が合わないのか、袖はダボダボだった。
ちなみに生徒会長のフリージアは4年生で、副会長のヴァンとミクリナは3年生である。
「あはは、そらそやな。まぁ、ルビィはオールマイティーやからな。どの競技でも通用しそうやし、どれに出るかはわからんなぁ。まぁその点ではサリーとおんなじやな?」
独特のなまりでそれに答えたのは、3年生で会計のシヴァ・フィースクル。このなまりはクシダラ国の一地方のなまりだと本人は言っているが、シヴァ意外に使っている人を見たことがないので、真偽のほどは定かではない。
シヴァの目はいわゆる糸目で、ほとんど目を開けていないように見える。ウェーブがかかったショートヘアーの片側を髪留めでまとめていた。
「えっと…広報の方では何かある?フィオ?」
フィオと呼びかけられたのは、フリージアと同じ4年生のフィオーレ・シーウェン。広報担当の生徒会メンバーだ。
「ん~……まぁ、今回のイベントは~…校内イベントなので~…特に対外的な告知とかもないですし~」
フィオーレは非常に間延びした、ゆっくりとした間合いで話す。
フィオーレはおっとりとした感じの性格で、見た目として目立つのは何と言ってもその豊満な胸だった。その胸の大きさは校内一ではないかと言われるほどに大きい。
「まぁそれもそうね、会計の方はどう?球技戦に必要な費用の試算は進んでる?」
「あ、はい。競技に必要な備品で、買い替えや補充が必要なものをピックアップして、試算を進めています。
あ、あと、クラスで使用する魔法具にかかる費用の請求はしても良いのかという質問が来ていますが…」
フリージアから質問されて、今年からもう1人の会計担当となったアザレアが答えた。ちなみに、マリンは書記で、サラと同じ役職である。
「ん~…魔法具は競技用のものを魔法競技ギルドから借りることになっていますが…それ以外にということかしら?」
「いえ、あの…自作したいそうです。魔法具自体の素材の方は準備できるから良いそうですが、魔法石とか結晶石だけ何とかならないかということでした…」
「えっ……自作?
すごいわね。誰かしら上級生?それとも魔法具開発ギルドの誰か?」
魔法具を自作すると聞いて、フリージアは戸惑った。普通に考えて学生が魔法具を自作することなどあり得ない。上級生ともなれば、一応作れるようにはなるだろうが、それでも実際に競技用として使われているものの代わりになるとは思えない。魔法具開発ギルドだったら作れるかも知れないが、魔法具開発ギルドの直接の仕事だったら費用の請求はしないはずだ。この学院の各ギルドの資金は基本的に自給自足だからだ。
「いえ…1年5クラスの委員長シアン・ノウブルからです」
「いっ、1年生?」
フリージアがそれを聞いてさらに驚いた。1年生で魔法具を自作できる生徒なんているはずがない。
「ごっ、5クラスって言ったらルビアのところじゃない…」
5クラスに反応したのはマリンだった。マリンは勝手にルビアをライバル視していた。
「あぁ…なるほど…」
それを聞いて、フリージアやサラは口には出さなかったが納得した。ルビアのクラスということは、つまりルーシッドのクラスということだ。質問をしてきたのはシアンという生徒だが、この話には十中八九ルーシッドが絡んでいるに違いない。
「どうしますか?会長?」
それを知ってか知らずかヴァンが会長に判断を仰いだ。
「自作で魔法具を作れるなんてすごいことだわ。もし仮にそんなことができるとすれば逸材だわ。今後の学院交流会で行われる対抗戦を見据えれば貴重な戦力になるかも知れない。まぁ無理かも知れないけど、それならそれでいいわ。何事も経験させてあげないとね。私の方で学院側に交渉してみるわ」
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