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第11章 クラス対抗魔法球技戦編
3日目終了
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「さっきの氷の魔法に使われてた妖精ってジャックフロストでしたか?」
「ほう、そこに目をつけたか。さすがはルーシィじゃな」
ルーシッドにそう尋ねられて、感心したようにマリーは答えた。
「あれはジャックフロストではないわね。威力的に低位のジャックフロストではなかったわ。あれは合成魔法(対応する高位の妖精を1人使役することで、属性を2つ以上組み合わせた効果をもたらす魔法)による氷の魔法ね」
それを聞いていたヒルダがそう答える。
「合成魔法による氷の魔法は、今のところ確立された詠唱文は公開されていないですね。というか、そもそも高位の氷の妖精自体が知られてません。やはりあれは会長の固有魔法ですかね」
「詠唱文はともかく、氷の魔法を使える高位の妖精になら心当たりがあるわ。巨神族の1人、氷の巨神ヨトゥンだと思うわ」
「え、巨神ってことは、私のベルグリシのお仲間さんですか?」
ラコッテが『巨神』という言葉に反応して、振り向いて尋ねた。
「そうね、ベルグリシは山の巨神。同じ巨神族ね」
「巨神ってのは通称的なものかと思ってたんですが、神族の1つなんですね」
「まぁ、巨神と言われている妖精のうちほとんどは神位ではないけどね。氷の巨神も、氷しか使えないから一応高位の妖精に属しているわ。山の巨神も、山って言ってるけど、地属性の一属性だから高位ね。それと、さっきの2年の試合に出ていたレイチェルって子。あの子は炎の巨神ムスペルと契約していたわね。炎とは言ってるけど、要は火属性だから高位ね。まぁ、巨神と契約できるなんて大したものだけど」
「お前んとこの神族とは、何かと因縁があるからな?」
マリーがヒルダに笑いかける。
「あっちが昔から何かにつけて、つっかかってくるから相手してあげてるだけよ。こっちは別に眼中にないわ」
その後の5年、6年の決勝も滞りなく終わり、3日目の全行程が終了した。
日が沈んで暗くなった学院。生徒会室から出たところにある裏庭には一人の生徒がたたずんでいた。
「会長?」
「……あら。ヴァン君、お疲れ様」
「会長こそ。まだお休みになられてなかったんですか?今日は試合もありましたし、早めに休まないと、お体に障りますよ」
「あら、レディーの体に触るだなんて…」
フリージアは首を傾げて、頬に手を当てながら少し困ったように笑いながら言った。
「へっ、変に曲げて解釈しないでください!」
「うふふっ、ありがとう。ヴァン君こそ、明日は試合なんだから、早く休まないと」
そう言って2人は生徒会室に戻った。
「会長はいつまで会長でいてくださるんですか?」
そう尋ねられて、フリージアはしばしヴァンの目を黙って見てから、微笑みながら答えた。
「……そうねー。私の後任はヴァン君になるはずだものね?」
「意地の悪い方だ。知ってておっしゃってますね?私はいつまでいるんですかではなく、いつまでいてくださるんですかとお聞きしたじゃないですか。私は会長になるつもりはありませんよ。私がその器ではないことは自分でわかっています」
「そうかしら?ヴァン君ならぴったりだと思うけどな」
フリージアが自分より背が高いヴァンを下から覗き込むようにして見つめる。
「わっ、私の事はいいじゃないですか。それよりも会長の事です。会長は来年5年生。この学院は会長職をいつ辞するかの決まりはありませんが、5年生で引退する人も多いです。前任の会長もそうでした。会長はどうされるおつもりなんですか?」
「……そうね。来年は卒業後のこともそろそろ考えないといけないしね」
5年生からは学外実習として、自分の興味がある職業ギルドで実習を行ったりする授業が加わってくる。いわゆる就職活動だ。生徒によってはその職業ギルドが有名な他国や、自分の生まれ故郷へ実習に行く生徒もいるため、5、6年生全員が学院に揃っているということはあまりない。そういった事情もあって、5年生になると同時にギルド長を引退して、次の候補にその職を譲るという生徒も多くいるのだ。
「でも私はヴァン君みたく家柄が良いわけでもないし、魔法の才能もそこまで高いわけでもない。唯一の取り柄だった勉強もルーシィさんのせいで最近は霞んでしまったわ。私のもらい手なんてあるのかしら」
フリージアは目に手を当てて、泣く真似をした。
「何を言っているんですか…ディナカレア魔法学院の生徒会長ともなれば引く手あまたでしょう。声をかけてくるギルドや専門機関が多すぎてどこにしようか迷う事はあっても、就職先が決まらないなんてことはあり得ませんよ。まぁ仮にどうしても行く場所がないと言うならその時は……」
そこまで言って、はっとして黙るヴァン。それを見てフリージアは意地悪く笑う。
「……その時は、なぁにぃ?」
「そっ、それはその…すっ、すいません。今はまだそれを言うだけの自信が私には…先走りました……」
「ヴァン君って、いくじなし?」
「なっ……」
「ふふっ、まぁいいわ。待っててあげる」
フリージアは楽しそうに笑い、話を続けた。
「会長の件だけど、皆の信任が得られれば来年も会長を続けるつもりよ。まだ今後の学院のことで気になることもあるしね」
「ルーシッドさんのことですか?」
フリージアはそう尋ねられて、ただ黙って笑い返した。
「ほう、そこに目をつけたか。さすがはルーシィじゃな」
ルーシッドにそう尋ねられて、感心したようにマリーは答えた。
「あれはジャックフロストではないわね。威力的に低位のジャックフロストではなかったわ。あれは合成魔法(対応する高位の妖精を1人使役することで、属性を2つ以上組み合わせた効果をもたらす魔法)による氷の魔法ね」
それを聞いていたヒルダがそう答える。
「合成魔法による氷の魔法は、今のところ確立された詠唱文は公開されていないですね。というか、そもそも高位の氷の妖精自体が知られてません。やはりあれは会長の固有魔法ですかね」
「詠唱文はともかく、氷の魔法を使える高位の妖精になら心当たりがあるわ。巨神族の1人、氷の巨神ヨトゥンだと思うわ」
「え、巨神ってことは、私のベルグリシのお仲間さんですか?」
ラコッテが『巨神』という言葉に反応して、振り向いて尋ねた。
「そうね、ベルグリシは山の巨神。同じ巨神族ね」
「巨神ってのは通称的なものかと思ってたんですが、神族の1つなんですね」
「まぁ、巨神と言われている妖精のうちほとんどは神位ではないけどね。氷の巨神も、氷しか使えないから一応高位の妖精に属しているわ。山の巨神も、山って言ってるけど、地属性の一属性だから高位ね。それと、さっきの2年の試合に出ていたレイチェルって子。あの子は炎の巨神ムスペルと契約していたわね。炎とは言ってるけど、要は火属性だから高位ね。まぁ、巨神と契約できるなんて大したものだけど」
「お前んとこの神族とは、何かと因縁があるからな?」
マリーがヒルダに笑いかける。
「あっちが昔から何かにつけて、つっかかってくるから相手してあげてるだけよ。こっちは別に眼中にないわ」
その後の5年、6年の決勝も滞りなく終わり、3日目の全行程が終了した。
日が沈んで暗くなった学院。生徒会室から出たところにある裏庭には一人の生徒がたたずんでいた。
「会長?」
「……あら。ヴァン君、お疲れ様」
「会長こそ。まだお休みになられてなかったんですか?今日は試合もありましたし、早めに休まないと、お体に障りますよ」
「あら、レディーの体に触るだなんて…」
フリージアは首を傾げて、頬に手を当てながら少し困ったように笑いながら言った。
「へっ、変に曲げて解釈しないでください!」
「うふふっ、ありがとう。ヴァン君こそ、明日は試合なんだから、早く休まないと」
そう言って2人は生徒会室に戻った。
「会長はいつまで会長でいてくださるんですか?」
そう尋ねられて、フリージアはしばしヴァンの目を黙って見てから、微笑みながら答えた。
「……そうねー。私の後任はヴァン君になるはずだものね?」
「意地の悪い方だ。知ってておっしゃってますね?私はいつまでいるんですかではなく、いつまでいてくださるんですかとお聞きしたじゃないですか。私は会長になるつもりはありませんよ。私がその器ではないことは自分でわかっています」
「そうかしら?ヴァン君ならぴったりだと思うけどな」
フリージアが自分より背が高いヴァンを下から覗き込むようにして見つめる。
「わっ、私の事はいいじゃないですか。それよりも会長の事です。会長は来年5年生。この学院は会長職をいつ辞するかの決まりはありませんが、5年生で引退する人も多いです。前任の会長もそうでした。会長はどうされるおつもりなんですか?」
「……そうね。来年は卒業後のこともそろそろ考えないといけないしね」
5年生からは学外実習として、自分の興味がある職業ギルドで実習を行ったりする授業が加わってくる。いわゆる就職活動だ。生徒によってはその職業ギルドが有名な他国や、自分の生まれ故郷へ実習に行く生徒もいるため、5、6年生全員が学院に揃っているということはあまりない。そういった事情もあって、5年生になると同時にギルド長を引退して、次の候補にその職を譲るという生徒も多くいるのだ。
「でも私はヴァン君みたく家柄が良いわけでもないし、魔法の才能もそこまで高いわけでもない。唯一の取り柄だった勉強もルーシィさんのせいで最近は霞んでしまったわ。私のもらい手なんてあるのかしら」
フリージアは目に手を当てて、泣く真似をした。
「何を言っているんですか…ディナカレア魔法学院の生徒会長ともなれば引く手あまたでしょう。声をかけてくるギルドや専門機関が多すぎてどこにしようか迷う事はあっても、就職先が決まらないなんてことはあり得ませんよ。まぁ仮にどうしても行く場所がないと言うならその時は……」
そこまで言って、はっとして黙るヴァン。それを見てフリージアは意地悪く笑う。
「……その時は、なぁにぃ?」
「そっ、それはその…すっ、すいません。今はまだそれを言うだけの自信が私には…先走りました……」
「ヴァン君って、いくじなし?」
「なっ……」
「ふふっ、まぁいいわ。待っててあげる」
フリージアは楽しそうに笑い、話を続けた。
「会長の件だけど、皆の信任が得られれば来年も会長を続けるつもりよ。まだ今後の学院のことで気になることもあるしね」
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