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第11章 クラス対抗魔法球技戦編
最終日 朝
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「いよいよ最終日だね」
魔法球技戦最終日の朝、ルーシッドは食堂でシアンにそう話しかけた。
「そうね。最初は正直冗談半分というか…みんなに発破をかけるために言ったけど、ルーシィと作戦を考えているうちに全種目優勝が現実味を帯びてきたわ。
本当にありがとうルーシィ。今回の球技戦で私たちがここまで戦えてるのは全部あなたのお陰よ」
「ううん。私はこの魔法球技って言うもの自体、今回初めて知ったからね。ルールの確認とか生徒会とのやり取りとか色々やってくれて助かったよ」
そう言われて、シアンは少し考えてから口を開いた。
「私、あなたに謝らないといけないことがあるの」
そう言われて、ルーシッドはきょとんとして、小さく「えっ?」っと言った。
「私、自分は人を外見で判断したりしない公平な人間だって、自分では勝手に思ってた。幼馴染のライムとシャルロッテもそこまで魔法が得意なわけじゃなかったし…。
だから私が頑張って2人をこのディナカレア魔法学院に合格させて、魔力ランクが魔法使いを計る全てじゃないって、頑張れば誰でも優秀な魔法使いになれるって証明してみせるって思ってた。でも、あなたに出会って、きっとそれって心のどこかで自分の方が優れてるって考えて、他の人を見下していたんだって思って、はっとしたわ。私、あなたがその才能を発揮するたびに、Fランクなのにって思った。外面的な評価に気を取られて、本当のあなたを見てなかった。それで嫉妬してた。
私は人一倍努力してきたつもりよ。でもあなたはそんな私の何十倍、いや、何百倍も努力してきたに違いないわ。血のにじむような努力を。今回の魔法球技戦で一緒に仕事をして、そのことがはっきりわかったわ。だから、ごめんなさい」
そう言ってシアンは深く頭を下げた。
その様子をしばし黙って見ていたルーシッドは口を開いた。
「……アンは優しいね」
「違う、そんなことないわ」
シアンは顔を上げた。
「アンと私は似てる気がするよ」
「あなたに似てるって言われると、なんだか嬉しいわ」
「これからもよろしくね、アン」
「こちらこそ、ルーシィ」
2人は笑い合い、ぎゅっと抱き合った。
「まぁ、でもまずは今日の試合だね。
アン、知ってた?
私、実は意外に負けず嫌いなんだよねー。だからこの球技戦、一回でも負けたくないんだ。全種目優勝しよう」
「あら、奇遇ね。実は私も昔から負けず嫌いなの。やっぱり私たち似たもの同士なのかしら」
そう言って2人は顔を見合わせてまた笑った。
魔法球技戦最終日の朝、ルーシッドは食堂でシアンにそう話しかけた。
「そうね。最初は正直冗談半分というか…みんなに発破をかけるために言ったけど、ルーシィと作戦を考えているうちに全種目優勝が現実味を帯びてきたわ。
本当にありがとうルーシィ。今回の球技戦で私たちがここまで戦えてるのは全部あなたのお陰よ」
「ううん。私はこの魔法球技って言うもの自体、今回初めて知ったからね。ルールの確認とか生徒会とのやり取りとか色々やってくれて助かったよ」
そう言われて、シアンは少し考えてから口を開いた。
「私、あなたに謝らないといけないことがあるの」
そう言われて、ルーシッドはきょとんとして、小さく「えっ?」っと言った。
「私、自分は人を外見で判断したりしない公平な人間だって、自分では勝手に思ってた。幼馴染のライムとシャルロッテもそこまで魔法が得意なわけじゃなかったし…。
だから私が頑張って2人をこのディナカレア魔法学院に合格させて、魔力ランクが魔法使いを計る全てじゃないって、頑張れば誰でも優秀な魔法使いになれるって証明してみせるって思ってた。でも、あなたに出会って、きっとそれって心のどこかで自分の方が優れてるって考えて、他の人を見下していたんだって思って、はっとしたわ。私、あなたがその才能を発揮するたびに、Fランクなのにって思った。外面的な評価に気を取られて、本当のあなたを見てなかった。それで嫉妬してた。
私は人一倍努力してきたつもりよ。でもあなたはそんな私の何十倍、いや、何百倍も努力してきたに違いないわ。血のにじむような努力を。今回の魔法球技戦で一緒に仕事をして、そのことがはっきりわかったわ。だから、ごめんなさい」
そう言ってシアンは深く頭を下げた。
その様子をしばし黙って見ていたルーシッドは口を開いた。
「……アンは優しいね」
「違う、そんなことないわ」
シアンは顔を上げた。
「アンと私は似てる気がするよ」
「あなたに似てるって言われると、なんだか嬉しいわ」
「これからもよろしくね、アン」
「こちらこそ、ルーシィ」
2人は笑い合い、ぎゅっと抱き合った。
「まぁ、でもまずは今日の試合だね。
アン、知ってた?
私、実は意外に負けず嫌いなんだよねー。だからこの球技戦、一回でも負けたくないんだ。全種目優勝しよう」
「あら、奇遇ね。実は私も昔から負けず嫌いなの。やっぱり私たち似たもの同士なのかしら」
そう言って2人は顔を見合わせてまた笑った。
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