147 / 153
第11章 クラス対抗魔法球技戦編
閉会式⑤
しおりを挟む
「では、いよいよ今年度の生徒投票による最優秀選手の発表です。今年度の最優秀選手は……2年3クラス、サラ・ウィンドギャザーさんです!」
会場からは大きな歓声と拍手が沸き起こった。サラは去年に続き、2年連続の生徒選出による最優秀選手となった。
「サラさん、一言お願いできますか?」
他の生徒会メンバーと共に集まっていたサラに、フリージアは問いかけた。サラはその言葉に答えてステージへと上がった。ステージに上がってお辞儀をするだけでまた歓声が起こった。
「このような評価を受けたこと、身に余る光栄に感じます。今回の球技戦は団体戦ですから、私の活躍もチームメイトあってのものです。特に、クラスの総リーダーとして尽力し、自らも素晴らしい試合をしたフランチェスカさんには、私以上の評価がなされてもおかしくないと感じます。彼女の働き無くしては、全種目優勝は絶対に無理だったことでしょう。私がどんなに1人で頑張ろうが勝利は難しかったでしょう、これは団体戦ですから。ですが、いずれにしても皆さんからの評価は嬉しいものです。ありがとうございました」
そう言って、サラはもう一度お辞儀をした。SSランクという類まれな才能を持ちながら、仲間を立てる謙虚な言葉に、会場から拍手が起こった。
「ふぅん、『ルーシィ大大大好きー』のサリー先輩のことだから、てっきりルーシィについて触れるかと思ったけど」
サラのスピーチに少し違和感を持ったように、ルビアが首を傾げて言った。
「ははは、まぁ、自分の受賞のスピーチだし、関係ない私の話をするほどの常識外れではないと思うけど?」
「…まぁ、それもそっか」
「ほほぅ、てことは、スピーチの最後に強引に『一番目立ってないけど、一番活躍してくれた友人』っていう匂わせ発言をしたルビィもルーシィが大大大好きってことかー」
横で話を聞いていたフェリカが意地悪く、にやにやと笑いながらそう言うと、ルビアは顔を真っ赤にして反論する。相変わらず、ルビアのセリフのところだけは声や顔つき、立ち振る舞いを、少し誇張して真似していた。
「わっ、わたしの受賞とルーシィは関係なくないでしょ!それにそれを言ったらあなただってそうでしょ!」
「えー、だって私はルーシィが大大大好きだもーん、あ、もちろん、ルビィも大大大好きだよ…えっ…ルビィは……違うの?」
最後だけ声のトーンを落として、今にも泣きだしそうな表情でそう言うフェリカ。
これは完全にルビアをからかってるなと思い、笑いをこらえるのに必死なルーシッド。
しかし、無駄に演技力が高い。
何という演技力の無駄遣いだろうか。
「そっ、そういう聞き方はズルいわ!」
「……違うの?」
「好きよ!これでいいんでっ、あぁもう抱き着くなバカ!」
若干かぶせ気味に抱き着いてきたフェリカを無理やり引きはがそうとするルビア。
そんないつものやり取りを見て、思わず笑ってしまうルーシッド。
こんな日々がいつまでも続くといいな、そう思いルーシッドの表情は笑った後、少しだけ曇った。
スピーチを終えて戻ってきたサラを、生徒会メンバーたちは笑顔と拍手で温かく迎える。
「よぉ、こらえたなぁ」
シヴァが、にやにやしながらそうサラに話しかける。
「……そのくらいの良識はあります」
サラは、少し顔を赤らめて、ぷいっと顔を背けた。
「ははは。まぁあせらんでもえぇ。メインイベントはこれからや」
そう言うとシヴァは、相変わらず開いているかいないかわからないようなその細い目で、ちらりと壇上にいるフリージアの方を見た。
閉会式は続けて各代表による選出された最優秀選手の発表に移っていた。
ギルドマスター会議選出の最優秀選手は、フランチェスカ・ルテイシャスが選ばれた。
サラもそのコメントで言っていたように、クラスの総リーダーとしてクラスをまとめ上げ、見事去年の雪辱を果たしての全種目優勝に導いたことが高く評価された。
また、本人自身も、去年と同じ決勝カードであり、絶対防御の異名を持ち、今までバトルボールにおいては一度も負けたことがないクレア・グランドを相手に、巧みな戦術を用いて勝利した点が、バトルボールギルド、黄魔法研究ギルド、新魔法開発ギルドなど、多くのギルドから高い評価を受けた。
そして、教員選出の最優秀選手は、3年生のルミエ・シャノワールという生徒が選ばれた。
ルミエは黒の純色の魔法使いであり、操影魔法の使い手だ。しかし、ルミエの操影魔法は通常の影の魔法ではあり得ない事象を引き起こすため、本人の口からは語られていないが、恐らく亜種魔法か、詠唱文が公表されていない固有魔法である可能性が高い。
残念ながら、クラスとしてはどの種目も決勝まで勝ち進むことはできなかったため大きく目立ってはいないが、ルミエ自身はエリアボールとストライクボールに出場し、個人としては良い成績を収めた。また、今回の球技戦でも今までとは別の魔法を使ってきたことも評価された。
教員の選出枠としては、クラスのレベルや試合当たりの悪さによって目立ってはいないが、評価に値する確かな実力を示した生徒を選んだ、ということだろう。
「それでは最後になりましたが、生徒会選出の最優秀選手を発表します。最優秀選手は
1年5クラス、ルーシッド・リムピッドさんです」
「………へ…?」
ルーシッドは、呼ばれるはずのない名前が呼ばれるのを聞いて、素っ頓狂な声を上げた。
会場からは大きな歓声と拍手が沸き起こった。サラは去年に続き、2年連続の生徒選出による最優秀選手となった。
「サラさん、一言お願いできますか?」
他の生徒会メンバーと共に集まっていたサラに、フリージアは問いかけた。サラはその言葉に答えてステージへと上がった。ステージに上がってお辞儀をするだけでまた歓声が起こった。
「このような評価を受けたこと、身に余る光栄に感じます。今回の球技戦は団体戦ですから、私の活躍もチームメイトあってのものです。特に、クラスの総リーダーとして尽力し、自らも素晴らしい試合をしたフランチェスカさんには、私以上の評価がなされてもおかしくないと感じます。彼女の働き無くしては、全種目優勝は絶対に無理だったことでしょう。私がどんなに1人で頑張ろうが勝利は難しかったでしょう、これは団体戦ですから。ですが、いずれにしても皆さんからの評価は嬉しいものです。ありがとうございました」
そう言って、サラはもう一度お辞儀をした。SSランクという類まれな才能を持ちながら、仲間を立てる謙虚な言葉に、会場から拍手が起こった。
「ふぅん、『ルーシィ大大大好きー』のサリー先輩のことだから、てっきりルーシィについて触れるかと思ったけど」
サラのスピーチに少し違和感を持ったように、ルビアが首を傾げて言った。
「ははは、まぁ、自分の受賞のスピーチだし、関係ない私の話をするほどの常識外れではないと思うけど?」
「…まぁ、それもそっか」
「ほほぅ、てことは、スピーチの最後に強引に『一番目立ってないけど、一番活躍してくれた友人』っていう匂わせ発言をしたルビィもルーシィが大大大好きってことかー」
横で話を聞いていたフェリカが意地悪く、にやにやと笑いながらそう言うと、ルビアは顔を真っ赤にして反論する。相変わらず、ルビアのセリフのところだけは声や顔つき、立ち振る舞いを、少し誇張して真似していた。
「わっ、わたしの受賞とルーシィは関係なくないでしょ!それにそれを言ったらあなただってそうでしょ!」
「えー、だって私はルーシィが大大大好きだもーん、あ、もちろん、ルビィも大大大好きだよ…えっ…ルビィは……違うの?」
最後だけ声のトーンを落として、今にも泣きだしそうな表情でそう言うフェリカ。
これは完全にルビアをからかってるなと思い、笑いをこらえるのに必死なルーシッド。
しかし、無駄に演技力が高い。
何という演技力の無駄遣いだろうか。
「そっ、そういう聞き方はズルいわ!」
「……違うの?」
「好きよ!これでいいんでっ、あぁもう抱き着くなバカ!」
若干かぶせ気味に抱き着いてきたフェリカを無理やり引きはがそうとするルビア。
そんないつものやり取りを見て、思わず笑ってしまうルーシッド。
こんな日々がいつまでも続くといいな、そう思いルーシッドの表情は笑った後、少しだけ曇った。
スピーチを終えて戻ってきたサラを、生徒会メンバーたちは笑顔と拍手で温かく迎える。
「よぉ、こらえたなぁ」
シヴァが、にやにやしながらそうサラに話しかける。
「……そのくらいの良識はあります」
サラは、少し顔を赤らめて、ぷいっと顔を背けた。
「ははは。まぁあせらんでもえぇ。メインイベントはこれからや」
そう言うとシヴァは、相変わらず開いているかいないかわからないようなその細い目で、ちらりと壇上にいるフリージアの方を見た。
閉会式は続けて各代表による選出された最優秀選手の発表に移っていた。
ギルドマスター会議選出の最優秀選手は、フランチェスカ・ルテイシャスが選ばれた。
サラもそのコメントで言っていたように、クラスの総リーダーとしてクラスをまとめ上げ、見事去年の雪辱を果たしての全種目優勝に導いたことが高く評価された。
また、本人自身も、去年と同じ決勝カードであり、絶対防御の異名を持ち、今までバトルボールにおいては一度も負けたことがないクレア・グランドを相手に、巧みな戦術を用いて勝利した点が、バトルボールギルド、黄魔法研究ギルド、新魔法開発ギルドなど、多くのギルドから高い評価を受けた。
そして、教員選出の最優秀選手は、3年生のルミエ・シャノワールという生徒が選ばれた。
ルミエは黒の純色の魔法使いであり、操影魔法の使い手だ。しかし、ルミエの操影魔法は通常の影の魔法ではあり得ない事象を引き起こすため、本人の口からは語られていないが、恐らく亜種魔法か、詠唱文が公表されていない固有魔法である可能性が高い。
残念ながら、クラスとしてはどの種目も決勝まで勝ち進むことはできなかったため大きく目立ってはいないが、ルミエ自身はエリアボールとストライクボールに出場し、個人としては良い成績を収めた。また、今回の球技戦でも今までとは別の魔法を使ってきたことも評価された。
教員の選出枠としては、クラスのレベルや試合当たりの悪さによって目立ってはいないが、評価に値する確かな実力を示した生徒を選んだ、ということだろう。
「それでは最後になりましたが、生徒会選出の最優秀選手を発表します。最優秀選手は
1年5クラス、ルーシッド・リムピッドさんです」
「………へ…?」
ルーシッドは、呼ばれるはずのない名前が呼ばれるのを聞いて、素っ頓狂な声を上げた。
0
あなたにおすすめの小説
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた
下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。
ご都合主義のハッピーエンドのSSです。
でも周りは全くハッピーじゃないです。
小説家になろう様でも投稿しています。
悪役令嬢はモブ化した
F.conoe
ファンタジー
乙女ゲーム? なにそれ食べ物? な悪役令嬢、普通にシナリオ負けして退場しました。
しかし貴族令嬢としてダメの烙印をおされた卒業パーティーで、彼女は本当の自分を取り戻す!
領地改革にいそしむ充実した日々のその裏で、乙女ゲームは着々と進行していくのである。
「……なんなのこれは。意味がわからないわ」
乙女ゲームのシナリオはこわい。
*注*誰にも前世の記憶はありません。
ざまぁが地味だと思っていましたが、オーバーキルだという意見もあるので、優しい結末を期待してる人は読まない方が良さげ。
性格悪いけど自覚がなくて自分を優しいと思っている乙女ゲームヒロインの心理描写と因果応報がメインテーマ(番外編で登場)なので、叩かれようがざまぁ改変して救う気はない。
作者の趣味100%でダンジョンが出ました。
女神に頼まれましたけど
実川えむ
ファンタジー
雷が光る中、催される、卒業パーティー。
その主役の一人である王太子が、肩までのストレートの金髪をかきあげながら、鼻を鳴らして見下ろす。
「リザベーテ、私、オーガスタス・グリフィン・ロウセルは、貴様との婚約を破棄すっ……!?」
ドンガラガッシャーン!
「ひぃぃっ!?」
情けない叫びとともに、婚約破棄劇場は始まった。
※王道の『婚約破棄』モノが書きたかった……
※ざまぁ要素は後日談にする予定……
私ですか?
庭にハニワ
ファンタジー
うわ。
本当にやらかしたよ、あのボンクラ公子。
長年積み上げた婚約者の絆、なんてモノはひとっかけらもなかったようだ。
良く知らんけど。
この婚約、破棄するってコトは……貴族階級は騒ぎになるな。
それによって迷惑被るのは私なんだが。
あ、申し遅れました。
私、今婚約破棄された令嬢の影武者です。
みなしごだからと婚約破棄された聖女は実は女神の化身だった件について
青の雀
恋愛
ある冬の寒い日、公爵邸の門前に一人の女の子が捨てられていました。その女の子はなぜか黄金のおくるみに包まれていたのです。
公爵夫妻に娘がいなかったこともあり、本当の娘として大切に育てられてきました。年頃になり聖女認定されたので、王太子殿下の婚約者として内定されました。
ライバル公爵令嬢から、孤児だと暴かれたおかげで婚約破棄されてしまいます。
怒った女神は、養母のいる領地以外をすべて氷の国に変えてしまいます。
慌てた王国は、女神の怒りを収めようとあれやこれや手を尽くしますが、すべて裏目に出て滅びの道まっしぐらとなります。
というお話にする予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる