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瑠色と寝た男3

志信・25歳*8

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 志信さんはあっさりと立ち上がったボクのモノをぺろりとひと舐めして、ゴムのパッケージを切った。

 するすると装着されていく手際の良さに、いけないものを見ているような気持になって目をそらす。

「ごめんね、ルイくん」

 突然謝られて、とても驚いた。

「なんで…?」

「初めてなのに、こんなこと」

「いや…なんで…」

「だって、一生思い出すのに、私がこんなに勝手にして」

「…志信さんが、こうなった事後悔してるのなら、いまならやめられるよ? ボクに対して悪い事しちゃったって思ってるのなら、それは違うから、最後までさせて下さい」

 真顔でそう言うと、志信さんが抱きしめてくれた。

「ありがとう。後悔なんかしてないわ。あなたが、私の行動を受け入れてくれている事が、すごくうれしい。ありがたい。だから抱いて…、ルイくん」

「解ったよ」

 志信さんをベッドに横たえる。

「…初めてのボクで、手を煩わせたところ沢山あると思うけど、…ボクは志信さんが初めての相手でよかったと思ってるよ」

 膝を撫でて、そっと開かせる。足の間に身体を入れて、志信さんの秘部を探った。

 もういち度ローションを足して、ボクは挿入すべく先端をこすりつけた。

「あぁ…ッ」

 それだけで、志信さんは震えている。その様子が可愛くて、ボクは思わず微笑んでしまう。

「志信さんが感じてくれてる時の声、すごく可愛いね」

 つ、と先端を押し込めると、そのままずるずると中へ入りこんでいく。

 指でしていた時とは比べ物にならない。この気持ちよさは、やばい。

「あっ、そんな、いっきに…っ」

「入っちゃったんだよ…っ、志信さんのここ、…さっきすごく柔らかくなってたから…」

 志信さんのおしりとボクの腰が重なるまで、ボクはぐいぐいと腰を進めた。

 根元まで収まりきると、ボクの額には汗が浮かんでいた。

 気を抜くと、もうイッてしまいそうだ。

「志信さんのなか…すっごく気持ちいい…。これじゃあボク…、すぐイッちゃうよ…」

「ン…よかった…」

「動いて、いい…?」

「いいわ…」

 了解を得たボクはそれはもう、気持ちよすぎて自分の事しか考えられない。

 志信さんの快楽を気遣う余裕もなく、闇雲に腰を振った。

「あぁっ、あ、ルイくん…っ、はげし…ぃ…あァッ、いや、ぁ…」

「ごめ、ごめんっ、気持ちよすぎて…っ、志信さんっ、ごめんね…!」

 口では謝罪しているけど、ボクの腰は快楽を追う事に必死だった。志信さんは時おり悲鳴のようなものをあげていたのに、気遣っている余裕なんて、全然ない。

 勢いで動いていたボクは、あっという間に強い射精感に襲われた。

「志信さん…、どうしようっ、もうイキそう…っ!」

 志信さんが何らかの返事をする間も無く、ボクはゴムの中に精を吐き出した。

 額から、ぽたぽたと汗が滴る。

 凄い快楽に目眩がしたけれど、またしても中途半端に志信さんを放り出してしまったことを思い出す。

「ごめん…、出ちゃった…」

 項垂れるボクの頭を、志信さんがくしゃくしゃと撫でた。

「夢中になってくれたのは嬉しいけど、相手の様子をみながらしてあげなくちゃダメよ?」

「ごめんなさい…」

「初めてだから仕方ないけど…、慣れてない相手にこんなことしたら嫌われちゃうからね?」

 志信さんが、笑いながらボクの頭をくしゃくしゃとし続ける。

「うん…、気を付ける。でも…すごく気持ちよくて…止まらなかった…」

 落ち込むボクに、志信さんはしょうがないわね、と笑ってくれた。

「そんなに良かった?」

「うん…。我慢しなきゃって思ったんだけど…、あんなに気持ちいいのに動くななんて無理だよ…」

 志信さんが噴き出して、声を立てて笑った。

「もー、ルイくんってほんと可愛いわぁ」

 笑われている意味がよくわからなくて困った顔をしていると、志信さんはボクの頭をポンポンと撫でる。

「…私、まだイッてないから…手伝ってくれる?」

「あっ! もちろん、もちろんだよ!」

 志信さんが身体を起こす。そして、ボクの手を取った。

「手で良いから、イカせて?」

 おねだりの表情が、すごく可愛いと思った。

「…志信さん…、口でしたらだめかな…」

 見上げると、志信さんがぎょっとした顔をしている。

「さっき、志信さんにしてもらったの、すっごく気持ちよかったから…ダメかな?」

「…大丈夫…?」

「え、うん…、平気だと思うけど…。あ、でも、初めてするから、下手かも?」

「…ダメだと思ったら、無理しないでね?」

「うん…」

 さっきまで手で触れていたとはいえ、目の前にすると、さすがにちょっと怖気づきそうだった。

 だって、志信さんのは、ボクのソレよりも長さも太さもある。同じ器官だけど、全く別物にしか思えない。

 手を添えてそっと舐める。志信さんが息を呑むのがわかった。

 恐る恐るじゃ、きっと気持ちよくない。ボクが放っておいてしまった事に対するお詫びの意味もあるのだから、イカせてあげられるように頑張らなくてはいけない。

 さっき、志信さんがしてくれたのを思い出してやってみると、志信さんが身体をくねらせた。

「…痛い?」

「大丈夫…、気持ちいいわよ」

 しばらくそうやって志信さんがしてくれたことを思い出しながら続けていたら、志信さんの手がボクの頬を撫でた。

 なんだろう、と思って見上げると、志信さんが、

「ルイくん、もう…出るから、離してちょうだい…」

 それは興味本位だった。その言葉を聞かなかったことにして、さらに続ける。

「ちょ…っと、離して、ダメよ、ねえ…!」

 最後の最後で歯が当たってしまったみたいだったけれど、それが決定打になったみたいで、ボクの思惑通りに志信さんがボクの口の中で果てた。

「んぐ…っ」

 そしてボクは、反射的にそれを飲み込んだ。

「ちょっと、ルイくんまでそんな事しなくていいのよ…!?」

 ティッシュを差し出しながら、叫んだ志信さんは心なしか青い顔をしていたような気がする。
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