【完結】 『未熟』スキル 最強ではないが相手を最弱にすれば関係ない ~かつてパーティーを追放された者の物語~

はくら(仮名)

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第三話 魔物の肉

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「あの、なにしてるんですか……?」
「なにって、肉集めだよ。家に帰ったら食うんだ」

 疑問に思って尋ねたロウに、ルタは至極当たり前のことのように答える。思わずロウはびっくりして。

「ええっ⁉ 食べるって、魔物の肉ですよっ⁉」
「それが?」
「いや、だから……」
「魔物のなかにも食えるやつがいるんだよ。これとか、あと牛型とか鶏型とか。結構うまいぞ、普通の肉とあんまり変わんなくて」
「…………」

 ええ……、とロウは内心で驚き半分、引き半分だった。この世界とは別の世界という魔界では、魔物を食糧にすることもあるらしいと聞いたことはあったが……まさかこの世界で本当に食べている人がいるとは思ってもみなかったからだ。

「その、大丈夫なんですか? 変な病気になったりとか、呪われたりなんか……」
「だいじょぶだいじょぶ。ガキんときから食ってるけど、そんなんなったことないから。むしろ身体が丈夫になった気さえするし」
「…………」

 だとしても、やはりロウには信じがたいことだった。魔界の産物といわれている魔物を食べるだなんて……。

「あちゃー。フードキーパーがいっぱいになっちまった」

 少年が持つ小袋の上にメッセージウィンドウが表示されて、それを見た彼が声を出した。少女のそばで倒れている巨体のエビルボアを見つつ。

「どーすっかなー……残りのフードキーパーは一つだし、けどあっちの肉はこっちより量が多いし……あとで回収しに来たら、他の魔物や動物に食われちまうかも……」

 なにやら、いま全ての肉を回収するのは難しいようで困っているらしい。と少女が思っていたら、彼はおもむろに彼女へ視線を移した。
 ロウは嫌な予感がした。

「そうだ、ロウっていったっけ、あんた、フードキーパー持ってねえか? 予備のでもいいから」

 フードキーパーとは彼が持っている小袋型のサポートアイテムであり、その名の通り、多くの食糧を長期間にわたって保存できるものだ。
 利便性の良さから、この国の冒険者達の多くがこのフードキーパーを所持しており、長時間にわたるダンジョン攻略の際などに、空腹をしのいでいるのだった。
 なかには一つだけではなく、一応念のために二つ以上持ち歩く者もいた。
 そしてルタはどうやら、ロウからそのフードキーパーを借りようとしているらしい。
 ブンブンとロウは首を横に振った。

「持ってますけど、貸しませんからねっ。魔物の肉を入れるとか……っ」
「そんなこと言わずに! あとでちゃんと返すし、なんならいくらか分けるからさ!」
「いりませんからっ!」
「頼むよ! このとーり!」
「ダメなものはダメですっ!」

 両手を合わせてお願いするルタを、しかしロウは断固として拒否する。


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