【完結】 『未熟』スキル 最強ではないが相手を最弱にすれば関係ない ~かつてパーティーを追放された者の物語~

はくら(仮名)

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第百五話 保管されている部屋

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 うなずいた二人は受付の仕事の邪魔にならないように少しばかり離れて、サージが来るまで待つことにする。朝の官憲事務所は夜間時と比べて人の数や出入りが少なく、本当に官憲の事務所かと思ってしまうくらいだ。
 ようやく手掛かりが掴めるかもしれないという緊張感からか、待機している間、二人には特にこれといった会話はなかった。もしくは官憲の事務所内という空間が会話することを躊躇わせたのかもしれない。
 二、三分後。廊下を歩いてくる足音がして、二人が顔を向けると片手を上げるサージがいた。

「おはようございます。昨夜の今朝なのに、本当にお疲れ様です」
「それはこっちのセリフだ、おっさん。感謝してるぜ」「あたしも、ありがとうございます」

 ルタも片手を軽く上げて応じ、ロウは頭を下げて感謝の意を示す。
 二人が昨夜ここをあとにしたときから今朝まで、時間にしておよそ十二時間程度だろうか。時間だけ見れば半日経過しているわけだが、実際には官憲の多忙な仕事や二人の頼みごとの取り計らいなどがあり、あっという間に過ぎてしまった時間だろう。
 はたしてちゃんと休憩や睡眠を取っているのだろうか、サージの服は昨日よりもシワが増えたように見え、目元にもうっすらとした隈が浮かんでいた。

「あの、もしかして徹夜ですか?」

 心配してロウが尋ねると、サージはなんてことのないように軽く笑いながら。

「ははは、ご心配させて申し訳ない。ですが仮眠はちゃんと取ってますから大丈夫ですよ。同僚や上司からも注意されてますからね」
「「…………」」

 どうやらサージは仕事に集中すると平気で徹夜をしてしまうらしい。だから彼の周囲も注意して、意識的に休ませているのだろう。
 あるいはサージは、事件を解決して人々の平穏な生活のためなら、自分の身や健康もいとわないのかもしれない。

「そんなことはともかく、昨夜頼まれた件ですが、バッチリ閲覧許可をいただいてきましたよ」

 自分の使命を一つやり遂げたように、サージは笑顔を浮かべる。さっそく二人を案内したいのか、よれよれになった上着の背を向けながら。

「こちらです。ついてきてください」

 二人の反応も見ずに廊下を進んでいこうとする。サージのその様子に二人は一度顔を見合わせると。

「…………」
「…………」

 互いに小さな息を一つついて、彼のあとを慌てて追い始めた。

「失踪者のデータですが、数年前までは書類としてまとめて、いくつかの部屋に保管していました。ですがいまは便利なアイテムが開発されましたからね、一つの部屋で、しかも前よりも小さなスペースで保管できるようになりました」

 失踪者のデータが保管されている部屋へと向かいながら、サージは二人に説明していく。

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