106 / 131
第百六話 失踪者のデータ
しおりを挟む「アイテムクリエイターの方々には頭が上がりませんな。彼らのおかげで、私達の仕事は以前よりもやりやすくなりましたから」
「それはおれ達冒険者も同じだな」
ルタが相槌を打ち、ロウもうなずく。
確かに、フードキーパーやレイブンの羽根のように、アイテムクリエイターが開発するアイテムのおかげで、人々の生活や仕事は格段に便利になっていた。特に収納や保管系のアイテムの恩恵は素晴らしく、それのおかげで大量の食料や道具、情報資料などを小さなスペースで保管できるようになったのだった。
「無論、一つのアイテムで保管できる量には限りがありますから、時々は整理や増設が必要ですがね」
「まあな」
先を歩くサージを見やりながら、ルタはロウの耳元に小さな声で言う。
「仕事熱心なおっさんだよな」
「町の平和のために頑張ってるんですよ」
「そういう意味では、あんたと似てるかもな」
「はい?」
ルタが彼女に抱いているイメージ……人のために動くその姿勢が、ロウとサージでは似ていると言いたいのだ。それはあくまで自分に関係することに取り組み、いつもひょうひょうとしているルタにとっては面倒くささもあると同時にうらやましいことでもあった。
「ほんと、すげえよ。おっさんも、あんたも」
「…………、ルタさんは……」
彼女がなにか言おうとしたとき、前を歩いていたサージがとある部屋のドアの前で止まる。どうやらそこに失踪者のデータが保管されているらしい。
「到着しましたよ」
言いながら、サージがポケットから鍵を取り出してドアを開ける。
「いつもはあまり使用していない部屋ですからね」
常に出入りするのならともかく、そうでない部屋は鍵を掛けることになっている。万が一にでも不法に侵入した者がデータを盗んでいくのを防ぐためだ。
「あそこに置いてある棚に、失踪者のデータがしまわれているそうです」
室内にはいくつもの金属製の棚が並び、ドアの近くには一つの机が置かれていた。それらの棚のうち奥に据え付けられていた一つを指差したあと、サージはそこへと向かっていく。
「資料棚ってやつか。からになってるのが多いけど」
サージについていきながらルタがつぶやく。彼の言う通り、室内の棚の大半にはなにも置かれていなく、またものが置かれていたとしてもそれは少量の棚が多かった。
それらの棚を通り過ぎながらサージが理由を説明していく。
「以前は数多くの資料が置かれていたのですがね、さっきも言ったように収納アイテムのおかげで保管が楽になりまして、空きスペースが増えたんですよ」
「ああ、なるほどね」
0
あなたにおすすめの小説
『辺境伯一家の領地繁栄記』序章:【動物スキル?】を持った辺境伯長男の場合
鈴白理人
ファンタジー
北の辺境で雨漏りと格闘中のアーサーは、貧乏領主の長男にして未来の次期辺境伯。
国民には【スキルツリー】という加護があるけれど、鑑定料は銀貨五枚。そんな贅沢、うちには無理。
でも最近──猫が雨漏りポイントを教えてくれたり、鳥やミミズとも会話が成立してる気がする。
これってもしかして【動物スキル?】
笑って働く貧乏大家族と一緒に、雨漏り屋敷から始まる、のんびりほのぼの領地改革物語!
1つだけ何でも望んで良いと言われたので、即答で答えました
竹桜
ファンタジー
誰にでもある憧れを抱いていた男は最後にただ見捨てられないというだけで人助けをした。
その結果、男は神らしき存在に何でも1つだけ望んでから異世界に転生することになったのだ。
男は即答で答え、異世界で竜騎兵となる。
自らの憧れを叶える為に。
捨て子の僕が公爵家の跡取り⁉~喋る聖剣とモフモフに助けられて波乱の人生を生きてます~
伽羅
ファンタジー
物心がついた頃から孤児院で育った僕は高熱を出して寝込んだ後で自分が転生者だと思い出した。そして10歳の時に孤児院で火事に遭遇する。もう駄目だ! と思った時に助けてくれたのは、不思議な聖剣だった。その聖剣が言うにはどうやら僕は公爵家の跡取りらしい。孤児院を逃げ出した僕は聖剣とモフモフに助けられながら生家を目指す。
[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?
シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。
クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。
貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ?
魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。
ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。
私の生活を邪魔をするなら潰すわよ?
1月5日 誤字脱字修正 54話
★━戦闘シーンや猟奇的発言あり
流血シーンあり。
魔法・魔物あり。
ざぁま薄め。
恋愛要素あり。
無能扱いされ、パーティーを追放されたおっさん、実はチートスキル持ちでした。戻ってきてくれ、と言ってももう遅い。田舎でゆったりスローライフ。
さら
ファンタジー
かつて勇者パーティーに所属していたジル。
だが「無能」と嘲られ、役立たずと追放されてしまう。
行くあてもなく田舎の村へ流れ着いた彼は、鍬を振るい畑を耕し、のんびり暮らすつもりだった。
――だが、誰も知らなかった。
ジルには“世界を覆すほどのチートスキル”が隠されていたのだ。
襲いかかる魔物を一撃で粉砕し、村を脅かす街の圧力をはねのけ、いつしか彼は「英雄」と呼ばれる存在に。
「戻ってきてくれ」と泣きつく元仲間? もう遅い。
俺はこの村で、仲間と共に、気ままにスローライフを楽しむ――そう決めたんだ。
無能扱いされたおっさんが、実は最強チートで世界を揺るがす!?
のんびり田舎暮らし×無双ファンタジー、ここに開幕!
神様から転生スキルとして鑑定能力とリペア能力を授けられた理由
瀬乃一空
ファンタジー
普通の闇バイトだと思って気軽に応募したところ俺は某国の傭兵部隊に入れられた。しかし、ちょっとした俺のミスから呆気なく仲間7人とともに爆死。気が付くと目の前に神様が……。
神様は俺を異世界転生させる代わりに「罪業の柩」なるものを探すよう命じる。鑑定スキルや修復スキル、イケメン、その他を与えられることを条件に取りあえず承諾したものの、どうしたらよいか分からず、転生した途端、途方にくれるエルン。
異世界転生雑学無双譚 〜転生したのにスキルとか貰えなかったのですが〜
芍薬甘草湯
ファンタジー
エドガーはマルディア王国王都の五爵家の三男坊。幼い頃から神童天才と評されていたが七歳で前世の知識に目覚め、図書館に引き篭もる事に。
そして時は流れて十二歳になったエドガー。祝福の儀にてスキルを得られなかったエドガーは流刑者の村へ追放となるのだった。
【カクヨムにも投稿してます】
ぽっちゃり女子の異世界人生
猫目 しの
ファンタジー
大抵のトリップ&転生小説は……。
最強主人公はイケメンでハーレム。
脇役&巻き込まれ主人公はフツメンフツメン言いながらも実はイケメンでモテる。
落ちこぼれ主人公は可愛い系が多い。
=主人公は男でも女でも顔が良い。
そして、ハンパなく強い。
そんな常識いりませんっ。
私はぽっちゃりだけど普通に生きていたい。
【エブリスタや小説家になろうにも掲載してます】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる