【完結】 『未熟』スキル 最強ではないが相手を最弱にすれば関係ない ~かつてパーティーを追放された者の物語~

はくら(仮名)

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第百六話 失踪者のデータ

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「アイテムクリエイターの方々には頭が上がりませんな。彼らのおかげで、私達の仕事は以前よりもやりやすくなりましたから」
「それはおれ達冒険者も同じだな」

 ルタが相槌を打ち、ロウもうなずく。
 確かに、フードキーパーやレイブンの羽根のように、アイテムクリエイターが開発するアイテムのおかげで、人々の生活や仕事は格段に便利になっていた。特に収納や保管系のアイテムの恩恵は素晴らしく、それのおかげで大量の食料や道具、情報資料などを小さなスペースで保管できるようになったのだった。

「無論、一つのアイテムで保管できる量には限りがありますから、時々は整理や増設が必要ですがね」
「まあな」

 先を歩くサージを見やりながら、ルタはロウの耳元に小さな声で言う。

「仕事熱心なおっさんだよな」
「町の平和のために頑張ってるんですよ」
「そういう意味では、あんたと似てるかもな」
「はい?」

 ルタが彼女に抱いているイメージ……人のために動くその姿勢が、ロウとサージでは似ていると言いたいのだ。それはあくまで自分に関係することに取り組み、いつもひょうひょうとしているルタにとっては面倒くささもあると同時にうらやましいことでもあった。

「ほんと、すげえよ。おっさんも、あんたも」
「…………、ルタさんは……」

 彼女がなにか言おうとしたとき、前を歩いていたサージがとある部屋のドアの前で止まる。どうやらそこに失踪者のデータが保管されているらしい。

「到着しましたよ」

 言いながら、サージがポケットから鍵を取り出してドアを開ける。

「いつもはあまり使用していない部屋ですからね」

 常に出入りするのならともかく、そうでない部屋は鍵を掛けることになっている。万が一にでも不法に侵入した者がデータを盗んでいくのを防ぐためだ。

「あそこに置いてある棚に、失踪者のデータがしまわれているそうです」

 室内にはいくつもの金属製の棚が並び、ドアの近くには一つの机が置かれていた。それらの棚のうち奥に据え付けられていた一つを指差したあと、サージはそこへと向かっていく。

「資料棚ってやつか。からになってるのが多いけど」

 サージについていきながらルタがつぶやく。彼の言う通り、室内の棚の大半にはなにも置かれていなく、またものが置かれていたとしてもそれは少量の棚が多かった。
 それらの棚を通り過ぎながらサージが理由を説明していく。

「以前は数多くの資料が置かれていたのですがね、さっきも言ったように収納アイテムのおかげで保管が楽になりまして、空きスペースが増えたんですよ」
「ああ、なるほどね」

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